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774. トルコ、非常事態宣言ー2016.7.22 [国際ー中東]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト:(770、772~774)

(a) 日本語のニュース

トルコのエルドアン大統領は、20日、軍の一部によるクーデター未遂事件を受けて、トルコ全土に3か月にわたる非常事態を宣言し、国会は、21日これを承認しました。
これによって、大統領を議長とする閣僚会議は、今後、議会の審議を経ずに法律と同じ効力を持つ政令を発布できるようになり、政府は、必要に応じて国民の権利や自由を制限できるようになりました。
エルドアン大統領は、記者会見で、非常事態宣言は、「テロ組織に関する者をすべて排除する」ことが目的だと述べました。これは、大統領が、国家安全保障会議と閣僚会議を開催し、政府が事件の「首謀者」と主張するアメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師とトルコ政府がテロ組織に指定するギュレン師信奉者の団体への対応を閣僚と軍のトップと協議した後発表したものです。
トルコ政府は、15日の事件後20日までに、ギュレン師やその信奉者の団体に関係があるなどとして、軍、司法、警察、地方団体、教育機関など合わせておよそ6万人を拘束、解職、停職にしてきただけに、国内外から、エルドアン大統領が、強権的な姿勢を強めるという懸念が高まっています。
トルコと緊密な関係にあるドイツのシュタインマイヤー外相は、声明を発表し、非常事態宣言は、本当に必要な期間に限って実施し、できるだけ早く解除するよう求めました。

(b)ニュースの背景

トルコ共和国
トルコ共和国は、オスマン帝国の滅亡後、1923年に成立。面積は、日本の約2倍。人口は、約7874万人。イスラム教徒が9割を占めていますが、政治と宗教を厳格に分ける「世俗主義」が国是です。首都はアンカラで、イスタンブールは、トルコ最大の都市。在留邦人は、約2200人。
トルコの最近の動きは、2002年の総選挙で公正発展党(AKP)が勝利。ギュル副党首を首相として初のイスラム系政党単独政権が発足。2003年エルドアン党首は、国会議員再選挙で当選。ギュル内閣は総辞職し、エルドアン政権が発足。2007年総選挙で公正発展党が大勝し、第2次エルドアン政権が発足。国民投票で、大統領公選制を承認。2011年総選挙で公正発展党が勝利し、第3次内閣発足。2014年エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙に立候補表明。大統領選挙でエルドアン首相、過半数票を獲得して当選。大統領に就任(2014年8月、任期5年)。

ギュレン運動
アメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師を中心とする運動。公の場から宗教色を排除する世俗主義が国是のトルコで、世俗主義とイスラム教は矛盾しないとする穏健な思想を持っています。公的機関でのスカーフの着用や酒類販売の規制強化など宗教色を全面に出すエルドアン政権とは対立関係になっています。

非常事態宣言
非常事態宣言とは、国家の運営の危機に際し、緊急事態のための特別法を発動することで、対象には、武力攻撃、内乱、暴動、テロ、大規模な災害、疫病などがあります。措置には、警察、軍隊など公務員の動員、公共財の徴発(強制的に取り立てること)、法律に優位な政令の発布、令状によらない逮捕、家宅捜索などを許すことのほか、報道や集会の自由など自由権の制限などがあります。
フランスでは、昨年11月に起きたパリでの同時テロの際に、オランド大統領は、非常事態を宣言、この7月の終わる予定でしたが、南フランスのニースでテロ事件が起き、2017年1月まで半年間の延長が決まりました。

(c)英語のニュース

Turkish President Recep Tayyip Erdogan has declared a 3-month state of emergency throughout the country, following a failed coup by a military faction.
The president made the announcement on Wednesday after he discussed a response to the attempted coup with cabinet ministers and military leaders.
The Turkish parliament approved the state of emergency on Thursday.
The Turkish President told reporters that the measure is needed to remove the threats of further unrest.
The measure will allow the government to limit or suspend basic rights and freedom of the people if it deems necessary.
The Turkish government has blamed a movement led by U.S.-based Islamic cleric Fethullah Gulen to the abortive coup.
The government has detained, dismissed or suspended about 60-thousand people, including military leaders, police officers, prosecutors, judges, bureaucrats and teachers.
The United States and European countries have urged the Turkish government to exercise restraint in dealing with those involved in the coup attempt while condemning the plotters.

(d)ニュースの比較研究

トルコ、非常事態宣言発令のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道し、エルドアン大統領の強権政治に対する懸念を表明する報道が多かったことが指摘できます。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、”Erdogan: Turkish democracy is not under threat”(エルドアン大統領、トルコの民主主義は、脅しには屈しないと言明)という見出しで、”Turkey’s President Recep Tayyip Erdogan has insisted the Turkish democracy is not under threat, but said there could be more arrests in the wake of last week’s failed coup attempt, in a wide-ranging interview with Al Jazeera” (トルコのエルドアン大統領は、アルジャジーラとの広範なインタビューの中で、トルコの民主主義は、脅しには屈しないと述べ、さきのクーデターの試みの失敗で、さらに逮捕者がでるだろうと語った)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Turkey coup attempt: State of emergency announced”(トルコのクーデターの試み:非常事態宣言発表)という見出しで、”Turkey’s president has declared a state of emergency for three months following Friday night’s failed army coup. ・・・・The state of emergency gives President Erdogan radically enhanced powers for three months”(トルコの大統領は、軍のクーデターの失敗の後で、3か月間の非常事態を宣言した。・・・非常事態は、エルドアン大統領に3か月間極めて強大な権限を与えることになる)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Turkey declares three-month state of emergency”(トルコ、3か月の非常事態を宣言)という見出しで、”Turkish President Recep Tayyip Erdogan announced the nation is imposing a three-month state of emergency in the aftermath of last week’s bloody coup attempt”(トルコのエルドアン大統領は、トルコは、流血のクーデターの試みの後で、3か月の非常事態を宣言すると発表した)と報じました。



















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773. ロシアのドーピング、国が主導ー2016.7.20 [スポーツ]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト*(770、772~774)

(a) 日本語のニュース

WADA=世界反ドーピング機構は、ロシアのドーピング問題の調査報告書を公表し、ロシアの組織ぐるみのドーピングは、陸上界だけでなく大半の競技に広まり、検査機関の不正を政府が主導していたことを明らかにしました。
これは、WADAの調査チームが、18日カナダのトロントで記者会見を開き明らかにしたものです。
報告書は、ロシアのスポーツ省が、2014年のソチ・オリンピックなど、2011年から2015年にかけてモスクワの検査機関を管理下に置き、ドーピング隠しを主導していたと指摘、隠ぺいは、陸上、重量挙げ、水泳、アイスホッケーなど大半のスポーツで行われ、情報機関を含むロシア政府が関与していたと認定しています。
報告書の公表を受け、WADAは、IOC=国際オリンピック委員会やIPC=国際パラリンピック委員会に対し、8月から9月に行われるリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックへのロシアの全選手の出場登録を拒否することを検討すべきだと勧告しました。

一方、ロシアのプーチン大統領は、18日ドーピング問題で異例の声明を発表し、「国ぐるみのドーピング」との指摘には強く反発し、「政治によるスポーツへの干渉が繰り返されようとしている」と批判しました。

(b)ニュースの背景

WADA(=World Anti-Doping Agency)
WADAは、世界反ドーピング機構のことです。ドーピングとは、筋肉増強効果や興奮作用など、薬の効用を利用し運動の能力を高めることです。IOC=国際オリンピック委員会は、薬物問題で中心的な役割を担ってきましたが、1999年ドーピング問題で世界共通のルールを規定しようとスポーツのドーピングに関する世界会議を開催、WADA=世界反ドーピング機構が発足しました。カナダのモントリオールに本部があります。WADAは、ドーピング取り締まりの国際基準「統一コード」を定めています。今では、200種類以上もある禁止薬物のリストを毎年更新し、抜き打ち検査のため選手に居場所情報の提出を義務付けています。違反者には、最長4年の資格停止処分を下しています。世界には、WADAが認めた検査施設が30以上あり、尿や血液など選手の検体を分析しています。毎年28万3000あまりの検体を調べ、禁止薬物の陽性反応が出た数は3800余りで、陽性率はおよそ1.3%です。
今回のロシアのドーピング問題は、今年5月アメリカの新聞『ニューヨーク・タイムズ』が、ロシアの検査機関にいたロドチェンコフ元所長とのインタビュー記事を載せて明らかになったもので、それを受けてWADAの調査チームが調査していました、

(c)英語のニュース

The World Anti-Doping Agency says that Russia carried out a state-sponsored doping program between 2011 and 2015, including at the Sochi Winter Olympics in 2014.
This was contained in a report announced by the inquiry commission of the WADA in Canada.
The report says that Russia’s Sports Ministry directed, controlled and oversaw manipulation of urine samples provided by its athletes.
The inquiry commission, led by Canadian law professor and sports lawyer Dr. Richard McLaren, looked into allegations made by the former head of Russia’s national anti-
Doping laboratory.
Grigory Rodochenkov claimed he doped dozens of athletes before the 2014 Winter Olympics in Sochi, Russia.
He also alleged he had been helped by the Russian secret service, the FSB.
Meanwhile, Russian President Vladimir Putin has reacted strongly against the Wada report. In a statement, he said that people are witnessing a dangerous relapse of political interference in sports and that sports are used as an instrument of geopolitical pressure.

(d)ニュースの比較研究

WADA=世界反ドーピング機関がロシアのドーピングが国主導で行われていたという報告書を公表したというニュースについては、世界に大きな衝撃を与え、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

ロシアの『TASS』通信は、”Each Russian 2014 Olympian ready for doping samples re-tests – minister. – Russian sports minister says Moscow cannot agree with WADA findings until domestic probe is over”(スポーツ相、2014年のオリンピック参加のロシアの選手は、ドーピングの再テストを受ける用意がある、ロシアは、国内の調査が終わるまでは、WADA=世界反ドーピング機関の調査を受け入れるわけにはいかないと言明)という見出しで、”Each Russian athlete, who competed at the 2014 Winter Olympics in Sochi, is ready that his or her doping samples collected at the Games will be re-analyzed, Russian Sports Minister Vitaly Mutko told TASS on Tuesday”(ロシアのムトコ・スポーツ相は、タス通信とのインタビューで、2014年の冬のソチ・オリンピックに参加したロシアの選手は誰でも、ドーピングのサンプルを再検査する用意があると述べた)と報じました。

アメリカの『The Washington Post』紙は、”WADA recommends banning Russia from Olympics after investigation reveals far-reaching doping program”(WADA=世界反ドーピング機関、その調査が広範囲のドーピング計画を明らかにした後、ロシアをオリンピックから締め出すことを勧告)という見出しで、”The global agency that polices drug cheating in sports called for banning all Russian athletes from the Summer Olympic Games in Rio de Janeiro next month after an investigative report released Monday found “beyond a reasonable doubt” that the Russian government ran a widespread doping system for years in multiple Olympic sports”(スポーツの薬物使用の不正を取り締まる世界的な機関は、調査報告が、”合理的な疑いを超えて“ロシア政府が何年もの間数々のオリンピックで広範囲なドーピング・システムを行っていたことを見つけ出した後で、ロシアの全選手に対して、来月のリオデジャネイロの夏のオリンピックから締め出すことを呼びかけた)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”No time to ask Russia’s opinion, I had enough evidence anyway’ – WADA doping report author to RT”(WADA=世界反ドーピング機関のドーピング調査報告の筆者、ロイター通信に「ロシアの意見なんか聞いてるひまはない。ともかく私が十分証拠を握っているのだ」と語る)という見出しで、”Richard McLaren, a Canadian lawyer and the author of the latest WADA report on alleged doping by Russian athletes, told RT that he did not ask the Russian Sports Ministry to provide any opinions about doping allegations. McLaren also claimed he had enough evidence, but would not make it public”(カナダの弁護士でロシアの選手たちのドーピング疑惑についてのWADAの報告書をまとめたリチャード・マクラレン氏は、ロイター通信とのインタビューで、「ドーピング疑惑についてロシアのスポーツ省に意見を求めていないが、十分な証拠を握っている、しかし、そのことは公にはできない」と語った)と報じました。








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772.ソフトバンク、英半導体設計会社ARMホールディングスを3.3兆円で買収ー2016.7.19 [経済、国際ーヨーロッパ]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト*(770、772~774)

(a) 日本語ニュース

日本の通信大手のソフトバンクグループは、18日、イギリスに本社を置く世界的な半導体設計会社ARM=アームホールディングスをおよそ240億ポンド、3兆3000億円で買収すると発表しました。
これは、日本企業による外国企業の買収では、過去最大のものです。
ソフトバンクは、スマートフォン用CPU=中央演算処理装置などに広く使われるアームの半導体技術を取り込み、あらゆるものをインターネットでつなぐ新しい技術IoT
の事業を強化することがねらいだとしています。
ソフトバンクは、買収額のうち7割にあたる167億ポンドは、手元資金から拠出するとしています。中国のネット通販大手アリババ集団などの保有株を立て続けに売却して得たおよそ2兆円が元手となり、残る73億ポンドは、新規の借り入れ金をあて、大手銀行と最大1兆円のつなぎ融資契約を結んだと説明しています。
ソフトバンクは、アームの強みは、導入コストの安さと消費電力の低さだとし、自動車や家電、インフラ機器などがネットでつながれば、スマートフォンで築いたシェアを生かし、IoT技術が一段の成長を促すと期待しています。

(b) ニュースの背景

IoTは、Internet of Thingsの頭文字で、モノのインターネットと訳されています。これは、パソコンやスマートフォンだけでなく、家電や家具など、いろいろなモノがネットにつながることで、使い道が増え、便利になる世界が訪れ始めているのです。ネット経由で集められたモノの情報を活用したビジネスにも注目が集まっています。
メールやSNSなどで人と人とのつながりを変えたインターネットがIoTの登場で、モノとモノがつながる新しい段階に進んでいるのです。たとえば、家電では、テレビでネットの動画がみられるし、洗濯機やエアコンを家の外から操作することも可能になります。体重計や運動靴とスマートフォンをつないで、体調管理や運動のアドバイスを受けることもできます。ベッドについたセンサーが寝ている時の体温や脈拍、呼吸を測ることで体調を管理することも可能になります。
IoTを使うと、企業は、リアルタイムで状況を把握し、利用状況に応じたきめ細かいサービスの提供や利用者の手を煩わせずに製品価値を向上させる新しいビジネスを展開できるようになります。さらに、ビッグデータといわれる膨大なデータを解析する技術やデータをもとに自らが考える人工頭脳の開発も盛んになっています。

(c) 英語のニュース

Japanese telecommunication company, SoftBank, has announced that it will buy a major British semiconductor developer, ARM Holdings for 31 billion U.S. dollars or 3.3 trillion yen.
This is the largest takeover of an overseas business by a Japanese company.
SoftBank said that it will pursue business opportunities being created by emerging Internet of Things product network.

(d) ニュースの比較研究

ソフトバンクがイギリスのARMホールディングスを3.3兆円で買収するというニュースについては、驚きをもって受け止められ、日本のメディアも外国のメディアも報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”ARM chipmaker to be bought for £24bn by Japan’s Softbank”(ARM半導体メーカー、日本のソフトバンクによって240億ポンドで買収へ)という見出しで、”UK technology firm ARM Holdings is to be bought by Japan’s Softbank for £24bn($32bn)it confirmed on Monday. The board of ARM is expected to recommend shareholders accept the offer – which is around a 43% premium on its closing market value of £16.8bn on Friday”(イギリスの技術関係の会社ARMホールディングスは、日本のソフトバンクによって240億ポンド、320億ドルで買収されることを確認した。ARMの理事会は、168億ポンドの15日の終値に43%のプレミアムを上乗せするという提案を株主たちに受け入れるよう勧告することになっている)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Softbank made formal approach to ARM after Brexit vote”(ソフトバンク、イギリスのEU=欧州連合からの離脱が国民投票で決まった後で、ARMに正式に接近)という見出しで、”Japan’s SoftBank made its formal approach to buy UK chip designer ARM after Britain voted to leave the European Union on June 23”(日本のソフトバンクは、イギリスが6月23日EU=欧州連合からの離脱することを国民投票で決めた後で、イギリスの半導体設計会社ARMを買収したいと正式に接近した)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”SoftBank to buy ARM Holdings for More Than $32 Billion”(ソフトバンク、ARMホールディングスを320億ドルで買収へ)という見出しで、”U.K.-based chip designer ARM Holdings PLC confirmed Monday that it agreed to a buyout offer worth more than $32 billion from SoftBank Group Corp., marking a significant push for the Japanese telecommunications giant into the mobile internet”(イギリスに本社がある半導体設計会社ARMホールディングスPLC(株式公開会社)は、ソフトバンクグループからの320億ドル以上の買収提案に合意したことを確認した。このことは、日本の大手通信会社(ソフトバンク)がモバイル・インターネットに大きく乗り出していくことを示している)と報じました。























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771.トルコでクーデターの試み失敗、8300人拘束ー2016.7.19(最新版さしかえ) [国際ー中東]

(a) 日本語のニュース

トルコで15日起こった軍の一部によるクーデター未遂をめぐって、トルコ政府が19日発表したところによりますと、これに関わった疑いで、軍の幹部や兵士、警察官、それに裁判官や検察官など司法関係者ら少なくとも8300人を拘束し、イスラム組織の「ギュレン教団」との関連などを調べています。
また、国営アナトリア通信が、18日伝えたところによりますと、クーデター未遂で、全国で警察官や地方自治体幹部ら8,700人以上を停職処分としたということです。
エルドアン大統領は、17日イスタンブールで行われた鎮圧作戦の犠牲者の葬儀で、「政府のあらゆるレベルでウイルスの浄化作戦を続ける」と述べて、「ギュレン教団」の支持者を一掃する決意を強調しました。そして、国民に対して、引き続き街に出て、今回のクーデターの試みに対する抗議デモを続けるよう呼びかけました。
エルドアン大統領は、また、アメリカ政府に対して、大統領の政敵でアメリカに住んでいる「ギュレン教団」の指導者ギュレン師が今回の事件に関わったとして、身柄の引き渡しを求めました。
これに対して、アメリカに住んでいる「ギュレン教団」の指導者のギュレン師は、17日、今回のクーデター未遂への関与を全面的に否定するとともに、エルドアン大統領は、これを機に政権に批判的な勢力を強制的に一層しようしていると非難しました。
トルコ政府の発表によりますと、今回のクーデター未遂で、市民145人を含む208人が死亡しました。

一方、アメリカのホワイトハウスの報道官は、18日の記者会見で、「アメリカは民主的に選ばれた現在のトルコ政府を強く支持するが、自制し、法的な手続きを尊重することが重要だ」と述べ、批判勢力の一掃をはかるような強権的な手法は自制すべきだという考えを強調しました。また、エルドアン政権がイスラム組織「ギュレン教団」の指導者でアメリカに住むギュレン師がクーデター未遂に関与したとしていることについて、「まだトルコ政府から引き渡しの要請は受けていない。要請があれば、両国の間の条約に基づき、犯罪に関わったかどうかや証拠がみたされているかどうかを見極めて判断する。アメリカがギュレン師をかくまっているというのは誤りだ」と述べました。
EU=欧州連合の外相会議が、18日ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、トルコのクーデターの試みを非難しながらも、これをきっかけに政府が軍の関係者などを次々と拘束し厳しく処罰する姿勢を見せていることについて、「人権の尊重と公正な裁判を保障し、法に基づいた秩序の回復を求める」とする共同声明を発表しました。

(b) ニュースの背景

トルコ共和国
トルコ共和国は、オスマン帝国の滅亡後、1923年に成立。面積は、日本の約2倍。人口は、約7874万人。イスラム教徒が9割を占めていますが、政治と宗教を厳格に分ける「世俗主義」が国是です。首都はアンカラ、イスタンブールは、トルコ最大の都市。在留邦人は、約2200人。
トルコの最近の動きでは、2002年の総選挙で公正発展党(AKP)が勝利。ギュル副党首を首相として初のイスラム系政党単独政権が発足。2003年エルドアン党首は、国会議員再選挙で当選。ギュル内閣は総辞職し、エルドアン政権が発足。2007年総選挙で公正発展党が大勝し、第2次エルドアン政権が発足。国民投票で、大統領公選制を承認。2011年総選挙で公正発展党が勝利し、第3次内閣発足。2014年エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙に立候補表明。大統領選挙でエルドアン首相、過半数票を獲得して当選。大統領に就任(2014年8月、任期5年)。

ギュレン運動
アメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師を中心とする運動。公の場から宗教色を排除する世俗主義が国是のトルコで、世俗主義とイスラム教は矛盾しないとする穏健な思想を持っています。公的機関でのスカーフの着用や酒類販売の規制強化など宗教色を全面に出すエルドアン政権とは対立関係になっています。

(c) 英語のニュース

Turkey's government says that about 8,300 people, including military leaders, judges and prosecutors have been detained for their suspected involvement in last Friday’s coup attempt.
It also says that 8,700 police officers and local government officials have been fired.
The Turkish government believes that a group led by a U.S.-based Islamic cleric, Fethullah Gulen, was behind the coup attempt and says that it is urging the U.S. government to hand him over.
It reports that 208 people, including 145 citizens, have been killed.
Turkish President Recep Tayyip Erdogan has pledged to purge the government of followers of Islamic cleric Fethullah Gulen, who is critical of the president.
Mr. Erdogan also called on people to take to the streets to continue protesting the failed coup.
On the other hand, Islamic cleric, Fethullah Gulen himself has flatly denied the charge on his involvement in the coup attempt.
Meanwhile, in Washington, the White House Press Secretary has stressed that the Turkish government should exercise restraint in dealing with the alleged plotters of the failed coup attempt. He said that Turkey has not yet asked the United States to extradite cleric Fethulliah Gulen. But the press secretary said that once a request is made, the United States will examine whether the crimes involved and the evidence provided satisfy the terms of the 2 countries’ extradition treaty. He denied that the United States is harboring the cleric, who leads the so-called Gulen movement.
The European Union’s foreign ministers have held a meeting in Brussels to discuss the Turkish situation and issued a joint statement condemning the attempted coup but also calling on the Turkish government to respect human rights in dealing with the plotters.

(d) ニュースの比較研究

トルコで起こった軍の一部によるクーデター未遂のニュースについては、発生から沈静化するまで、日本のメディアも外国のメディアも時々刻々移り変わる動きを詳しく伝えていました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。(日本時間18日正午現在の報道)

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Turkey coup attempt: Over 6,000 held”(トルコでクーデターの試み:6,000人以上拘束)という見出しで、”Turkish President Recep Tayyin Erdogan’s crackdown on alleged coup plotters continued Sunday as the number of those detained by the government topped 6,000”(トルコのエルドアン大統領のクーデター計画者に対する厳重な取り締まりは、続き、政府によって拘束された人の数は、6,000人を超えた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Turkey coup arrests hit 6,000 as Erdogan roots out ‘virus’(トルコのクーデターの逮捕者、6,000人を超える、エルドアン大統領、‘ウイルス’を根絶と言明)という見出しで、”Turkey has arrested 6,000 people after a failed coup, with President Erdogan vowing to purge state bodies of the “virus” that caused the revolt”(トルコは、クーデターに失敗した後、6,000人を逮捕した。エルドアン大統領は、国家機関から反乱を引き起こした”ウイルス“を追い払うことを誓った)と報じました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、“Turkey mulls death penalty after failed coup attempt – Turkey’s potential reintroduction of capital punishment could complicate its bid for EU membership – “(トルコ、クーデターの試みが失敗した後、死刑を検討へートルコの死刑再導入の可能性は、そのEU=欧州連合加盟の企てを困難にする可能性がある)
という見出しで、”President Recep Tayyip Erdogan has said Turkey will consider reinstating the death penalty after the failed attempt to overthrow his government”(エルドアン大統領は、トルコは、政府を転覆しようとした試みの失敗の後で、死刑を復活することを検討すると述べた)と報じました。











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770. 国立西洋美術館などル・コルビュジエの作品、ユネスコの世界遺産に登録決定ー2016.7.17 [国際ー国連]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト*(770、772~774)

(a) 日本語のニュース

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産に、フランスの建築家ル・コルビュジエの作品の東京の国立西洋美術館など7か国の17作品が登録されました。
日本の文化庁が17日発表したところによりますと、これは、ユネスコの諮問機関のイコモス=国際記念物遺跡会議が、5月に「世界遺産に登録することがふさわしい」と勧告し、17日にトルコのイスタンブールで開かれたユネスコの世界遺産委員会で正式に決まったものです。
世界遺産委員会は、トルコ軍の一部が起こそうとしたクーデターの試みによって審査が一時中断されましたが、17日再開され、登録が決まったものです。
ル・コルビュジエは、近代建築の父と呼ばれ、スイス出身で、その後フランス国籍を取得し、パリを拠点に活躍した20世紀を代表する建築家で、フランスの10作品、スイスの2作品、ベルギー、ドイツ、インド、アルゼンチン、日本のそれぞれ1つの作品、あわせて7か国の17作品が登録されました。
そのうち、東京にある国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが設計した日本国内唯一の作品で1959年に完成したものです。ピロティと呼ばれる柱で支えられた開放的な空間やらせん状の回廊、それに自然光を利用した建築様式が特徴です。
日本国内の世界遺産候補がほかの国との共同推薦で登録されるのは初めてで、国内の世界遺産は、20件になりました。

(b)ニュースの背景

ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887~1965)は、本名は、シャルル・エドゥアール・ジャンネレ・グリ(Charles-Edouard Jeanneret-Gris)で、ル・コルビュジエは、祖先の名に由来するペンネーム。スイス生まれで、その後フランスの国籍を取得し、パリを拠点に世界各地で活躍した建築家。鉄とガラスとコンクリートによる箱型のモダニズム建設を確立し、それまでの伝統的な石積みやレンガ積みの建築からの転換をはかりました。また、ピロティと呼ばれる柱で支えられた吹き抜け空間、屋上庭園、横長の窓などを「新しい建築の5つの要点」として提唱しました。ル・コルビュジエに師事した日本人の中には、昭和を代表する建築家、前川國男や板倉準三、吉坂隆正などがいて、日本の近代建築にも大きな影響を与えました。

世界遺産(World Heritage)は、1972年のユネスコ=国連教育科学文化機関の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録された遺跡、景観、自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的な価値を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象になっています。日本の世界遺産は、今回の決定で、20件(文化遺産16件、自然遺産4件)です。国立西洋美術館は、東京都内で初めての世界文化遺産になりました。

イコモス(ICOMOS=International Council on Monuments and Sites)は、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議のことで、世界遺産の登録の審査、モニタリングの活動などを行っています。イコモスの評価は、「登録」、追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回す「情報照会」、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要な「登録延期」、登録にふさわしくない「不登録」の4段階があります。

(c) 英語のニュース

The UNESCO World Heritage Committee has decided to add to the World Heritage list 17 structures designed by French architect Le Corbusier, including a museum in Tokyo.
The Japanese government’s Cultural Affairs Agency says that the decision was made at a meeting of UNESCO’s World Heritage Committee in Istanbul, Turkey, on Sunday, following May’s recommendation by the UNESCO’s ICOMOS=the International Council on Monuments and Sites. The meeting had been suspended because of the attempted coup in Turkey.
Le Corbusier’s structures in 7 countries include 10 in France, 2 in Switzerland and 1 in Japan - the main building of the National Museum of Western Arts in Tokyo. The building, completed in 1959, features a winding path staircase that slopes through the center of the galleries. It was the sole building in Japan designed by Le Corbusier, who is recognized as the grand master of modern architecture.
The museum’s main building is now the 20th world heritage site in Japan.

(d)ニュースの比較研究

ユネスコの世界遺産委員会の登録決定のニュースについては、ル・コルビュジエの17作品に決定し、そのうちの1つが国立西洋美術館だったのですが、日本のメディアは、それだけを取り上げて、大々的に報道していました。外国のメディアは、ごくわずかのメディアしか伝えていませんでした。
フランスのメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence France-Presse)』は、”UNESCO lists Le Corbusier’s works as World Heritage Sites”(ユネスコ、ル・コルビュジエの作品を世界遺産に登録)という見出しで、”UNESCO on Sunday listed Franco-Swiss architect Le Corbusier’s works – including the Indian city of Chandigarh which he planned in the 1950s – among its World Heritage Sites. The decision was announced as the World Heritage Committee meeting in Istanbul resumed for a day on Sunday, after being suspended a day earlier due to an abortive putsch bid in Turkey which claimed more than 260 lives”(ユネスコは、世界遺産のリストに、スイス生まれのフランスの建築家ル・コルビュジエの作品を登録することを決めた。その中には、彼が1950年代に計画したインドの都市チャンディーガルがある。その決定は、ユネスコの世界遺産委員会の会議が、260人以上が死んだトルコでの失敗に終わったクーデターのために、1日中断した後に、発表された)と報じました。













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769.メイ英新首相就任、離脱派のジョンソン氏を外相に起用ー2016.7.14 [国際ーヨーロッパ]

*2016.7.16の荻窪のテキスト(767~769)

(a) 日本語のニュース

国民投票でEU=欧州連合からの離脱を決めたイギリスで、与党保守党党首のテリーザ・メイ内相が、新しい首相に就任しました。
キャメロン首相が、13日、エリザベス女王に辞表を提出し、続いてメイ内相が女王から新しい首相に任命され、イギリスでサッチャー元首相以来26年ぶり2人目になる女性の首相が誕生しました。
メイ新首相は、59歳、1997年に下院議員に初当選したあと、保守党で初めての女性幹事長になるなど党内の要職を歴任し、2010年からはキャメロン政権で6年にわたって内相をつとめ、テロ対策や移民などに問題取り組んできました。
メイ新首相は、首相官邸前で初めての演説を行い、「国民投票の後、私たちは、大きな変化に直面しているが、私たちは、この試練に打ち勝つであろう。ともによりよいイギリスを築こう」と国民に呼びかけました。
メイ新首相は、ただちに組閣に着手し、主要閣僚を発表しました。
イギリスのEUからの離脱キャンペーンを率いて次期党首と有力視されながら党首選挙に出馬しなかった前のロンドン市長で下院議員のジョンソン氏を外相に起用するなど離脱派も重用しており、党内の融和を図るねらいがあるものとみられています。国防相など閣僚経験が豊富なハモンド外相を政権ナンバー2の財務相に任命しました。
メイ新首相は、国民投票で二分された国内の融和をはかりながら、EUからの離脱に向けて困難な交渉に臨むことになり、その手腕が問われることになります。

(b)ニュースの背景

メイ新首相のプロフィール
テリーザ・メアリー・メイ(Theresa Mary May)は、1956年イギリス南部のイーストボーン生まれで、59歳。名門オックスフォード大学のセント・ヒューズ・カレッジで地理学を学び、卒業後イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行に勤務。1997年下院議員に初当選、保守党で初の女性幹事長をつとめ、キャメロン政権で、2010年から2016年まで内相、2016年6月イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利したあと、残留派のキャメロン首相が辞任、メイ内相は、残留派でしたが、与党の保守党党首に選出、首相に就任しました。
メイ新首相は、クールで敏腕というイメージから「氷の女王」と呼ばれ、かつて同じ保守党のリーダーで「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元首相と対比されているということです。有名ブランドのスーツや靴などを身に着けることから政界のファッションリーダーとしても知られています。

(c)英語のニュース

Britain’s new Prime Minister Theresa May is taking over the task of steering her country’s exit from the European Union.
Queen Elizabeth appointed Home Secretary May as new Prime Minister on Wednesday after Prime Minister David Cameron resigned.
59-year-old Mrs. May served as Home Secretary in the Cameron administration for 6 years, tackling terrorism and the flow of immigrants from Europe.
Mrs. May, who succeeded Mr. Cameron after seeing off several rivals for leader of the Conservative Party, became Britain’s second female prime minister after Mrs. Margaret Thatcher.
In her first speech at the Downing Street residence, Mrs. May said that as Britain leaves the European Union, Britons will forge a bold new positive role for themselves in the world.
She appointed former London mayor Boris Johnson as the new Foreign Secretary. Mr. Johnson led Britain’s “leave” campaign to a victory in a national referendum on the country’s membership in the European Union last month. Mr. Johnson replaced Mr. Philip Hammond, who became the Chancellor of the Exchequer.

(d) ニュースの比較研究

イギリスのメイ新首相が就任し、EU離脱派のリーダーだったジョンソン氏を外相に起用したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道し、これからのEUとの離脱交渉の難航を予想していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Theresa May’s cabinet: Who’s in and who’s out?(テリーザ・メイ内閣:誰が残留派で、だれが離脱派か)という見出しで、”Theresa May is forming her new government after becoming Conservative prime minister. She is continuing to announce her full cabinet – but here’s what we know so far. The list will be updated as new appointments are made. Prime Minister – Theresa May Campaigned to Remain in the European Union. The former home secretary, 59, becomes the UK’s second female prime minister in the wake of David Cameron’s resignation after the EU referendum. She had previously served in the Home Office for more than six years”(テリーザ・メイ氏は、保守党出身の首相に就任した後、新内閣を発足させている。新首相は、閣僚名簿の発表を続けている。これまでわかっている閣僚は、以下の通りで、新たな任命があれば、名簿を最新のものにする予定である。首相―テリーザ・メイ。EU=欧州連合残留派。前の内相で59歳。キャメロン首相がEUに関する国民投票の後で辞任したため、イギリスで2番目の女性の首相に就任。前に内相を6年以上つとめた)と報じ、さらに”Chancellor Philip Hammond:Remain. Foreign Secretary Boris Johnson:
Leave. Home Secretary Amber Rudd: Remain. “Brexit” Secretary David Davis: Leave. Defense Secretary Michael Fallon: Remain. . International Trade Secretary Liam Fox: Leave: Leave ・・“(フィリップ・ハモンド財務相(残留派)、ボリス・ジョンソン外相(離脱派)、アンバー・ラッド内相(残留派)、デイビッド・デイビス英離脱相(離脱派)、マイケル・ファロン国防相(残留派)、ライアン・フォックス国際貿易相(離脱派)・・)と伝えています。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Britain’s new PM May gives Johnson big job, says needs time before Brexit talks”(イギリスの新首相、ジョンソン氏に大役を与え、イギリスのEUからの離脱交渉に入る前に時間が必要だと言明)という見出しで、”Theresa May became Britain’s prime minister on Wednesday with the task of leading it out of the European Union and quickly named leading “Brexit” supporters including former London mayor Boris Johnson to key positions in her new government”(テリーザ・メイ氏がイギリスの首相に就任した。これからの仕事は、イギリスのEUからの離脱だ。そして、ただちに、前のロンドン市長のボリス・ジョンソン氏など離脱派のリーダーたちを内閣の主要ポストに任命した)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”U.K.’s Theresa May Readies Brexit Team With Boris Johnson in Key Cabinet Post – New British leader appoints Brexit campaigner as foreign secretary, Philip Hammond as Treasury chief”(イギリスのメイ新首相、ボリス・ジョンソン氏を内閣の主要ポストに起用し、イギリスのEU離脱チームの準備 - イギリスの新首相、離脱派の運動家を外相に任命、フィリップ・ハモンドしを財務相に任命)という見出しで、”New Prime Minister Theresa May quickly assembled a built-for-Brexit cabinet on her first evening at 10 Downing St. and, in a surprise pick, put Boris Johnson – the former London mayor who appeared politically deceased a week ago – in charge of foreign policy. Ms. May’s office announced that Mr. Johnson, the flamboyant figurehead of the campaign to leave the European Union, would succeed Philip Hammond as foreign secretary“(メイ新首相は、ダウニング街10番地の官邸で就任初日にただちにイギリスのEU離脱のための内閣を組閣した。1週間前には、政治的に死同然だったとみられた前のロンドン市長のボリス・ジョンソン氏を外相に任命した。驚きの起用だった。メイ氏のオフィスは、EU離脱運動のはでなリーダーだったジョンソン氏が、外相として、フィリップ・ハモンドしの後任になると発表した)と報じました。








































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768.国際的な常設仲裁裁判所、南シナ海の中国の主張認めず-2016.7.13 [国際ー国連、アジア]

*2016.7.16の荻窪のテキスト*(767~769)

(a)日本語のニュース

オランダのハーグの国際的な常設仲裁裁判所は、12日、中国が南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張していることについて、これを認めないという判断を示しました。
これは、フィリピンが「中国の主張は国際法に違反している」として、3年前仲裁裁判を申し立てていたもので、原告のフィリピンの訴えが認められました。
仲裁裁判所は、南シナ海に中国が独自に設定した「九段線」と呼ばれる境界線の内側に「主権」や「管轄権」、それに「歴史的権利」があると主張していることについて、「中国が、この地域や資源に対して、歴史的に排他的な支配をしてきたという証拠はない」と指摘しました。そのうえで、「九段線の内側にある資源に対して中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」という判断を示し、中国の主張は認めませんでした。
南シナ海をめぐり、国際法に基づく判断が示されたのは、初めてです。仲裁裁判では、原則として上訴することはできず、今回の判断が最終的な結論になります。

これについて、フィリピンのペルフェクト・ヤサイ外相は、歓迎する意向を表明すると同時に「関係者には、抑制的に、かつ落ち着いて対応するよう呼び掛けている」と述べ、中国に対する配慮もにじませました。
中国外務省は、ただちに声明を発表し、「判断は無効で、拘束力はない。中国は、これを受け入れず、認めない」と述べました。
アメリカ国務省の報道官は、「最終的な判断で法的拘束力があり、中国、フィリピン双方がその責任を果たす義務がある」と述べると同時に「中国が判断を受け入れないと言おうが、法的に拘束された義務があるという事実は変わらない」として、中国に対して今回の仲裁判断に従った行動をとるよう強く求めました。
日本の岸田外相は、「当事国は、仲裁判断に従う必要があり、日本としては、当事国が、この判断に従うことで、今後南シナ海における紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待している」と述べました。

(b)ニュースの背景

南シナ海領有権問題
南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島 Spratly Islands)、西沙諸島(パラセル諸島 Paracel Islands)などの領有権をめぐる中国、台湾、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との対立のことで、南シナ海は、海上交通の要衝で豊かな漁場であり、石油・天然ガスの資源の存在も指摘されています。特に中国は、南シナ海のほぼ全域に権利が及ぶと主張し、南沙諸島に人工島の造成を進め、軍事拠点化する動きを見せています。
南シナ海をめぐる動きとしては、1992年中国が周辺海域の権益を主張する領海法を一方的に制定。1995年フィリピンが領有権を主張するミスチーフ礁を中国が占拠。2002年中国とASEANが紛争防止のための行動宣言を採択。2013年フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国との仲裁を提起。2014年中国が西沙諸島で石油採掘を開始、南沙諸島での埋め立てを本格化。2015年アメリカの軍艦が南シナ海を通過する「航海の自由作戦」を展開。2016年南沙諸島の人工島の滑走路で中国機が試験飛行などがあります。

常設仲裁裁判所(Permanent Court of Arbitration)
1899年の第1回ハーグ平和会議で設立された常設の仲裁法廷です。1899年に採択された原条約は、1907年の第2回ハーグ平和会議で改正され、103の国が原条約または改正条約のいずれかを批准しています。当該裁判所は、オランダのハーグに常設されています。国家主権原則によって常設仲裁裁判所が強制的な管轄は有さなくとも、言い渡された仲裁判断は、強制力を有するとされています。
国連海洋法条約は、紛争の平和的な解決の手段として、国際司法裁判所(オランダのハーグ)や国際海洋法裁判所(ドイツのハンブルク)、仲裁裁判所などへ提訴できると定めています。国際的な裁判を始めるには、通常、当事国双方の合意が必要とされますが、仲裁裁判は、一方の申し立てだけで開始できる規定があります。フィリピンは、この規定を使って中国を提訴しました。審理は、常設仲裁裁判所(ハーグ)で行われ、裁判官は、ガーナ、オランダ、フランスなど第3国出身の5人があたりました。

(c)英語のニュース 

An international arbitration tribunal in The Hague has dismissed China’s claim to the waters in the South China Sea.
This is the first international ruling on the sea’s overlapping claims.
The tribunal sided with the Philippines, which filed the case in 2013, saying that China’s claim on almost all of the sea is contrary to international law.
The tribunal said that there was no evidence that China had historically exercised exclusive control over the waters or their resources. And it said that there is no legal basis for China’s claim to historic rights over the area,
The ruling is legally binding and it cannot be appealed. But no penalty is stipulated for violation.

Meanwhile, China’s Foreign Ministry declared that the tribunal’s decision is null and void and has no binding force. It said that China neither accepts nor recognizes the decision.
Philippine Foreign Secretary Perfecto Yasay welcomed the tribunal’s decision and called on all those concerned to exercise restraint and sobriety.
The U.S. State Department said that the United States expects China and the Philippines to comply with their obligations under the ruling. It said that it understands the Chinese have made an argument that they are not going to abide by it, but that does not change the fact it is still a legally binding obligation. The State Department added that the world is watching what China will do.
Japanese Foreign Minister Fumio Kishida said that the parties involved should follow the ruling. He said that Japan strongly hopes this will lead to a peaceful solution over the dispute in the South China Sea.

(d)ニュースの比較研究

国際的な常設仲裁裁判所が南シナ海の領有権問題で判決を下したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道しました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”China refuses South China Sea arbitration award”(中国、南シナ海の判決拒否)という見出しで、”China said Tuesday it neither accepts nor recognizes the award of an arbitral tribunal in the South China Sea arbitration established at the request of the Philippines”(
中国は、フィリピンの要請による南シナ海の仲裁に関する仲裁裁判所の仲裁裁定を受け入れないし、認めもしないと言明した)と報じました。

フィリピンの英字紙『The Manila Times』とベトナムの英字紙『Viet Nam News』は、フランスの『AFP(=Agence France-Presse)』通信の報道を引用して、”Tribunal rules against Beijing in South China Sea dispute”(裁判所、南シナ海の問題で中国に反対する判決)という見出しで、”An international tribunal today ruled against China in a bitter row over territorial claims to the South China Sea that is likely to ratchet up regional tensions”(国際裁判所は、南シナ海の領有権問題で中国に対してはきびしい一連の打撃を与える判決を下した。それは、地域の緊張をある程度歯止めすることになるかもしれない)と報じました。

シンガポールの『The Strait Times』紙は、”China has no historic rights to resources in South China Sea, says UN-backed tribunal”(国連に関連した裁判所、中国は、南シナ海の資源に対する歴史的権利はないと言明)という見出しで、”In a landmark ruling on Tuesday(July 12), a UN-backed arbitral tribunal concluded that China has no legal basis to claim “historic rights” to resources in the South China Sea and it has violated the Philippines’ sovereign rights in the disputed waters”(国連に関連した裁判所は、画期的な判決の中で、中国は、南シナ海の資源に対して“歴史的権利”を主張する法的根拠はないし、紛争海域におけるフィリピンの主権を犯していると結論付けた)と報じました。








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767.参院選で改憲派3分の2超えるー2016.7.11 [政治]

*2016.7.16の荻窪のテキスト*(767~769)

(a)日本語のニュース

10日行われた参議院選挙で、与党の自民、公明両党が改選議席121議席の過半数を上回る70議席を獲得し、さらに両党を含め憲法改正に前向きな勢力は、憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を確保しました。
参議院は、定数が242議席で、任期が6年、3年ごとに半数の121議席が改選されます。今回の選挙で、各党が選挙区と比例代表で合わせて獲得した議席は、自民党が56議席、公明党が14議席、与党の両党合わせて70議席、野党の民進党が32議席、おおさか維新の会が7議席、共産党が6議席、生活の党が1議席、無所属が4議席となっています。
この結果、自民、公明両党は、改選議席の過半数の61議席を上回る70議席を獲得し、さらに両党とおおさか維新の会やそのほかの憲法改正に前向きな議員をあわせると改憲勢力は、77議席で、非改選を含めると、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2を超える議席を占めることになりました。
なお、定数476議席の衆議院では、自民、公明、おおさか維新の会の3党で、すでに全議席の3分の2の317議席を超えています。
今回の選挙の投票率は、54.70%で、過去4番目の低さでした。
11日、自民党総裁の安倍首相と公明党の山口代表が会談し、憲法改正の問題については、衆参両院の憲法審査会で、議論を深め、幅広い合意を模索していく方針を確認しました。
また、安倍首相は、記者会見で、今回の選挙では有権者からアベノミックスを加速するようにという信任をいただいたとし、新たな大型の経済政策を推進していく方針を明らかにしました。

(b)ニュースの背景

安倍政権の歩み
安倍政権の自民、公明両党は、2012年と2014年の衆議院選挙で、2013年と2016年の参議院選挙で勝利を収めたことになります。
2012年12月の衆議院選挙で、自民、公明両党は、3分の2以上の議席を獲得して民主党から政権を奪還しました。2013年の参議院選挙でも、両党は、過半数を確保しました。安倍政権は、国家機密情報の管理徹底を目的とする特定秘密保護法を成立させ、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を閣議決定しました。日中関係は、尖閣諸島問題や安倍首相の靖国神社参拝によって一層冷え込み、日韓関係も歴史認識の問題などで悪化しました。
安倍首相は、2015年10月に予定していた消費増税の延期の是非を問うと称して、2014年11月衆議院を解散し、総選挙を行い、自民、公明両党が再び3分の2以上の議席を獲得しました。
2015年4月、安倍首相は、アメリカ議会で演説し、安保法制の整備によって自衛隊と米軍の協力関係が強化され、日米関係は一層強固になると述べ、安保関連法案を同年夏までに成立させると明言しました。安倍政権は、5月に法案を通常国会に提出しましたが、法案審議が停滞したため、国会の会期を戦後最長となる95日間延長しました。全国各地では、安保関連法案の廃案を求める大規模なデモが連日のように行われ、法案は、9月ようやく参議院本会議で可決、成立しました。
2015年9月行われた自民党総裁選挙で安倍首相の続投が決まりました。総裁任期は、2018年9月までです。さっそく、安倍首相は、改造内閣に目玉として、1億総活躍担当相を新設し、アベノミックスの「新3本の矢」として、GDP=国内総生産600兆円、希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロの目標を掲げました。
安倍首相は、2016年5月G7=主要国首脳会議=伊勢志摩サミットを開催し、議長をつとめました。サミットが終わった直後、6月に記者会見を開き、消費増税を再び先送りし、2017年4月に予定していた消費税率8%から10%への引き上げを2019年10月まで再延期することを表明し、参議院選挙を7月10日に行うと発表し、増税延期について選挙で国民の信を問うと述べました。

憲法改正
日本国憲法は、1946年公布、1947年施行されて以来、一度も改正されていません。憲法改正は、衆議院100人以上、参議院50人以上の議員の賛成で原案が発議され、両院それぞれの本会議で総議員の3分の2以上の賛成で可決して、国会が国民に憲法改正を発議し、発議の日から60~180日に国民投票(投票権は18歳以上)を行い、有効投票の過半数の賛成を得て承認されます。
憲法改正をめぐる動きについては、2000年衆参両院に憲法審査会が設立され、国会議員による憲法のあり方をめぐる話し合いが始まっていますし、2007年第1次安倍内閣の時、憲法改正のための国民投票法が成立しています。2012年第2次安倍内閣が成立、憲法改正を目標に掲げています。
安倍首相は、6月21日、日本記者クラブ主催の与野党9党による党首討論会で、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の勢力を参議院選挙後の衆参両院の憲法審査会の議論を通じて形成したいという考えを表明しました。これに対して民進党の岡田代表は、安倍政権下で憲法改正の議論を進めることに慎重な考えを示し、共産党の志位委員長も安倍政権による憲法改正に反対を表明しました。

(c)英語のニュース

Japan’s ruling Liberal Democratic Party and its coalition partner, Komeito, have scored a sweeping victory in Sunday’s Upper House election, which cleared a path for reform of the Constitution.
The Liberal Democratic Party took 56 of the 121 contested seats – half of all 242 seats in the Upper House – and Komeito gained 14 seats. The opposition Democratic Party obtained 32 seats, Osaka Ishin no Kai 7 seats and the Communist Party 6 seats.
The LDP-Komeito coalition has now 70 seats, retaining a majority. Together with the uncontested seats, the coalition – plus several other lawmakers and parties in favor of revising the Constitution - now accounts for two-thirds of the Upper House. The coalition has already held more than two-thirds of the seats in the Lower House. That level of support in both chambers is needed to call a national referendum on any proposed amendments to the Constitution.
Prime Minister Shinzo Abe has told reporters that debate will take place at the Commissions on the Constitution in both Houses, beginning in September.
He also said that the results of the election represent a mandate from voters for the government to vigorously press ahead with his economic policies, called Abenomics.

(d)ニュースの比較研究

参議院選挙のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも、改憲勢力が3分2を超えた点に注目して報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The New York Times』紙は、”Japan Vote Strengthens Shinzo Abe’s Goal to Change Constitution”(日本の選挙の投票、安倍首相の憲法改正の目標を強化)という見出しで、”Voters helped Prime Minister Shinzo Abe of Japan move closer on Sunday to securing the lawmaker support he needs to revise a pacifist Constitution that has been in place since American occupiers created in 1947”(選挙の有権者たちは、日本の安倍首相が、アメリカの占領者たちが1947年に創った平和憲法を改正するために必要としている国会議員の支持を確保するのにより近づくのを助けた)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”In Japan Election, Voters Learn to Love the One They’re With – Shinzo Ab is regarded as a pair of relatively safe hands, delivering stability after a string of hapless leaders”(日本の選挙で、有権者たちは、共にいる1人の人を愛していることを知る -安倍首相は、1連の不運なリーダーの後で、安定さをもたらす比較的安全な人物とみなされている) という見出しで、”In a world rocked by destabilizing political passions, Japan is an island unto itself. In elections Sunday, early results showed Prime Minister Shinzo Abe’s ruling coalition expanded its control of parliament and might have a big enough majority to try revising the constitution. Already in power for 3 1/2 years, Mr. Abe looks likely to stay on until at least 2018”(不安定な政治的熱情によって激震が走った世界で、日本だけが島国のままだ。選挙結果は、安倍首相の連立政権は、議会での支配を拡大し、憲法を改正しようとするのに十分な過半数を持っている。安倍首相は、すでに3年半政権の座にあって、さらに少なくとも2018年まで居座り続けるようにみえる)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Japan PM Shinzo Abe claims victory in parliamentary election”(日本の安倍首相、議会選挙で勝利宣言)という見出しで、2Japanese Prime Minister Shinzo Abe has claimed victory in an election for the upper house of parliament, saying voters backed his economic policies”(日本の安倍首相は、議会の上院の選挙で勝利を宣言し、有権者は、自らの経済政策を支持したのだと述べた)と報じました。

ドイツの『Deutsche Welle』放送は、”Japan PM’s party set to win two-thirds needed to change constitution”(日本の首相の政党、憲法改正に必要な3分の2獲得へ)という見出しで、”Prime Minister Shinzo Abe’s Liberal Democratic Party and its junior coalition partner, Komeito, have claimed victory in an upper house election. The coalition and allied parties have won the two-thirds “super majority” needed to enable them to begin revising Japan’s pacifist postwar constitution”
(安倍首相の自民党と連合政権を組んでいる公明党は、上院選挙での勝利を宣言した。連合政権とその他の政党は、日本の戦後の平和憲法を改正するのに必要な”超過半数“を獲得した)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Commentary: Abe’s victory in Upper House election threat to Japan, regional stability” (解説:安倍首相の上院選挙での勝利、日本や地域の安定にとって脅威)という見出しで、”The Japanese ruling camp led by Prime Minister Shinzo Abe has won a majority in Sunday’s upper house election, which means Abe’s coalition and like-minded parties managed to take the two-thirds majority needed to try to revise the nation’s post-war pacific Constitution.
The victory, though came as no surprise to the public, could pose a danger to Japan and regional stability, as it means Prime Minister Shinzo Abe will snatch more power and put Japan’s Constitution in jeopardy”(安倍首相に率いられた日本の政権は、上院の選挙で過半数を獲得した。このことは、安倍連立政権とそれに似た政党が、日本の戦後の平和憲法を改正するのに必要な3分の2を制したことになるのだ、この勝利は、日本の有権者にとっては驚きではなかったが、日本や地域の安定にとって危険なことである。というのは、安倍首相が、より強い権力を掌握し、日本の憲法を危険な状態に置くことになるからだ)と報じました

















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766. NATO首脳会議閉幕ー2016.7.10 [国際ーアメリカ、ヨーロッパ]


(a)日本語のニュース

ポーランドの首都ワルシャワで開かれていたNATO=北大西洋条約機構の首脳会議は、9日、防衛力と抑止力の強化などをうたった「ワルシャワ宣言」を採択して閉幕しました。
NATOの首脳会議は、ロシアを念頭においた防衛体制の強化に向けて、ポーランドとバルト3国のエストニア、ラトビア、リトアニアに来年から最大4000人規模の多国籍部隊を展開することを決めました。この部隊は、アメリカ、イギリス、ドイツ。カナダが中心的な役割を果たすことになります。
会議は、また、過激派組織IS=「イスラム国」を抑える対策の一環として、これまでイラクの隣国ヨルダンで行っていた治安部隊の訓練をイラク国内でも行うことで合意しました。
8日の会議には、ロシアに隣接するNATO非加盟のフィンランドやスウェーデンの首脳が参加、9日の会議には、ウクライナのポロシェンコ大統領も出席しました。
NATO首脳は、ポロシェンコ大統領との会談で、ウクライナがロシアの強い脅威にさらされているとして、ウクライナの防衛力の強化を支援していくことで一致しました。

(b)ニュースの背景

NATO(=North Atlantic Treaty Organization)は、北大西洋条約機構のことで、1949年東西冷戦の激化にともない、アメリカを中心に12か国で結成された軍事機構で、1989年の冷戦終結のあと、1999年から東欧諸国が加盟、現在では、28か国が加盟しています。本部は、ベルギーの首都ブリュッセルにあり、理事会は、外相、国防相など閣僚レベルで構成する最高決定機関で、このほかに、政策を担当する委員会グループと実戦指揮にあたる司令部があります。首脳会議は、随時開かれています。事務総長は、イエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)、ノルウェー出身で、2014年10月就任。

(c)英語のニュース

NATO leaders have decided to deploy multinational troops to Poland and the 3 Baltic countries – Estonia, Latvia and Lithuania – starting next year to boost deterrence against Russia.
This decision was made at their 2-day meeting in the Polish capital, Warsaw, which ended on Friday.
The 4,000-member troops will be led by the United States and Britain.
The NATO leaders also agreed to step up measures to counter the Islamic State militant group. The NATO nations will start training forces in Iraq as part of efforts to contain the militants. They have already provided such training in neighboring Jordan..

(d)ニュースの比較研究

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議閉幕のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも、ロシアへの対応措置で合意した点に注目した報道がほとんどでした。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The New York Times』紙は、”Obama Tells NATO That ‘Europe Can Count On’ the U.S.”(オバマ大統領、NATO諸国に’ヨーロッパはアメリカをあてにできる‘と言明)という見出しで、”President Obama, acknowledging that the trans-Atlantic alliance faces an unprecedented array of threats from terrorism, migrant flows and an aggressive Russia, said on Saturday that “in good times and in bad, Europe can count on the United States – always”(オバマ大統領は、大西洋同盟(NATO)が、これまでにない一連のテロからの脅威、移民の流入、侵略的なロシアに直面していると認識し、「ヨーロッパは、いい時も悪い時も、いつでも、アメリカをあてにできる」と言明した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Nato summit: Obama expects UK to continue Europe security role”(NATO首脳会議:オバマ大統領、イギリスがヨーロッパの安全保障での役割を果たすことに期待)という見出しで、”The UK will remain a major contributor to European security, Barack Obama has said, as Nato and EU nations signed a deal focusing on the perceived threat from Russia. Mr Obama added he hoped for an orderly” UK transition from the EU”(オバマ大統領は、NATO とEUの諸国が、ロシアからの脅威とみられるものに焦点をあてた協定に調印したので、イギリスは、ヨーロッパの安全保障への大いなる貢献者としてとどまるだろうと述べた。オバマ大統領は、“秩序ある”イギリスのEUからの離脱を望んでいると付け加えた)と報じました。

ドイツの『Deutsche Welle』放送は、”NATO sends signals to Russia at Warsaw summit”(NATO、ワルシャワの首脳会議で、ロシアにシグナル送る)という見出しで、”NATO is not only planning to boost its forces in the East. The alliance wants to focus on counterterrorism and immigration on the southern flank. After two days of round-table discussions and many bilateral meetings, among them with the American and Turkish presidents, Chancellor Angela Merkel seemed satisfied. ”I believe that this is an important NATO summit because many concrete decisions have been made” Indeed, the leaders gave their blessings to a series of decisions that had been in preparation in NATO for months. There were no real surprise in Warsaw”(NATOは、東方では、その軍隊を増強する計画があるばかりでなく、南方にあっては、テロ対策や移民問題に焦点をあてたいと望んでいる。2日間にわたる円卓会議やアメリカやトルコの大統領などとの多くの2国間の会談の後で、メルケル首相は、満足気で、「今回は、重要なNATOの首脳会議だった。なぜなら、多くの具体的な決定がなされたからだ」と述べた、たしかに、首脳たちは、今後のNATOの準備として一連の決定に賛意を表したのだ)と報じました。


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765. 長期金利、20年国債初のマイナス、円高株安ー2016.7.6 [経済]



(a)日本語のニュース

世界経済の先行き懸念から、6日の東京市場で、比較的安全とされる国債と円に資金が集中し、債券市場では、新発20年物国債利回りが初のマイナスになり、為替市場では、1ドル=100円台をつけ、6月24日以来の円高水準になりました。
6日の東京債券市場では、長期金利の代表的な指標である満期10年の新発国債の流通利回りが一時、前日より0.030%幅低い(価格は上昇)マイナス0.285%をつけ、過去最低を更新しました。満期20年の国債の利回りも一時、マイナス0.005%と初めてマイナスとなりました。
市場関係者は、「イギリスの国民投票が行われて以降、世界経済の不透明感が高まっているとして、日本だけでなく、アメリカやドイツなどでも、国債が買われる動きが強まっている」と話しています。
一方、6日の東京外国為替市場では、円相場が、6月24日イギリスの国民投票でEU=欧州連合からの離脱が明らかになって以来、1ドル=100円台と円高が進みました。6日の東京株式市場では、企業業績への悪化懸念から下げ幅が一時500円を超えました。

(b)ニュースの背景

長期金利は、1年を超える預金・債券などに適用される金利のことで、日本では、新発10年物国債の流通利回りが代表的な指標とされ、他の長期金利に影響を与えます。短期金利が、日銀など中央銀行の金融政策の影響を直接的に受けるのに対し、長金利は、短期金利の影響を受けながら、景気やインフレ動向に関する予測を反映した長期資金の需給によって市場で決定されます。
新発10年国債利回りは、国が期間10年の借金をするときに発行する債券(国債)の流通利回りで、通常、債券市場の需給関係で決まり、国債の買い手が少なくなれば、価格は下落して利回りは上昇する一方で、逆に買い手が増えれば、価格は上昇して、利回りは下落することになります。

(c)英語のニュース

The yield on Japan’s key 20-year Japanese government bond fell below zero for the first time on Wednesday, as investors seek relatively safety on mounting concern about the course of the world economy, following Britain’s vote to leave the European Union.
The 10-year Japanese government bond yield also fell, hitting a record low of minus 0.285%.
The U.S. dollar fell as low as around 100.60 yen after the 225-issue Nikkei stock average accelerated its downswing to tumble some 500 points in trading on Wednesday.

(d)ニュースの比較研究

長期金利が20年国債で初のマイナスになり、円高株安が続いている市場のニュースについて、日本のメディアは、大きく報道しましたが、外国のメディアは、債券、外為、株の市場の動きを数字でだけしか伝えていません。












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