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542.iPS、世界初の移植手術成功ー2014.9.14 [科学ー医学]

(a)日本語のニュース

日本の医療研究チームが、世界で初めて人工細胞であるiPS細胞を移植する手術に成功し、再生医療の実現に向けた大きな一歩となることが期待されています。
手術は、神戸市の理化学研究所の発生・再生科学総合研究センターの高橋政代プロジェクトリーダーらが進めている臨床研究の一環として行われたもので、ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞を使う再生医療の今後を占う手術として注目されています。
手術を受けたのは、目の難病の「加齢黄斑変性」を患っている70代の女性患者で、医療研究チームは、まず女性の腕から皮膚の細胞を取って、iPS細胞を作り出し、これを目の網膜の組織に変化させ、12日病気のために傷ついた網膜の一部を取り出したあと、移植する手術を行い、成功しました。患者は順調に回復しており、1週間程度で退院できるということです。
2007年にヒトでiPS細胞が作製されてから、実際に患者の体に移植したのは、世界で初めてで、今回は、治療効果より、安全性の確認を目的とした臨床研究だということです。

(b)ニュースの背景

iPS細胞(Induced Pluripotent Stem cell)は、人工多能性幹細胞のことで、体のあらゆる細胞や臓器になることができる万能細胞の一種です。人の皮膚などの細胞に遺伝子を導入させて培養した細胞で、このiPS細胞を作製した京都大学の山中伸弥教授には、イギリス・ケンブリッジ大学のジョン・ガードン名誉教授とともに、2012年のノーベル医学・生理学賞が贈られました。
iPS細胞は、神経や血管などの組織、臓器の細胞を作り出せるため、再生医療のカギを握る細胞です。再生医療というのは、細胞を加工(培養)し、その細胞を生体に戻す医療のことです。

加齢黄斑変性というのは、年をとるにつれ、目の網膜の中心部にある「黄斑」に異常が出る病気で、難病の一つです。網膜の下の色素上皮という組織が傷み、ものがゆがんで見えたり、最悪の場合失明したりします。日本人に多い型では、50歳以上の有病率は1%程度、患者数は推定約70万人とみられています。

(c)英語のニュース

A Japanese research team has successfully conducted the world's first clinical study using induced pluripotent stem, or iPS, cells.
The surgery was carried out on a woman in her 70s suffering from a serious eye disease to transplant retina sheet made of iPS cell in the patient. The woman is in a stable condition and says she has come to have a brighter view.
The surgery was conducted by the team led by Dr. Masayo Takahashi from Japanese national research institute Riken in Kobe, western Japan.
The transpant came after iPS cells were developed by Kyoto University Professor Shinya Yamanaka, who was awarded the 2012 Nobel Prize in Physiology and Medicine.
The first-ever use of iPS cells into a human patient is seen as a major step foward for regenerative medicine - a kind of therapy aimed at restoring organs and tissue.

(d)ニュースの比較研究

理化学研究所などのチームが世界初のiPS細胞を使った臨床手術に成功したニュースについては、日本のメディアは、トップニュースとして伝えましたが、外国のメディアは、フランスの通信社が伝えた以外は、ほとんど伝えませんでした。
そのフランスの通信社の報道を紹介しましょう。

『AFP(=Agence-France Presse)』通信は、"Japan carries out first iPS stem cell implant surgery"
(日本、初のiPS細胞移植手術を実施)という見出しで、"Japanese researchers Friday conducted the world's first surgery to implant "iPS" stem cells in a human body in a major boost to regenerative medicine, two institutions involved said"(2つの研究機関が発表したところによりますと、日本の研究者たちは、iPS細胞を人体に移植する世界初の手術を実施した。これは、再生医療への大きな一歩なのだ)と報じました。











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