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779. 天皇陛下、生前退位示唆ー2016.8.8 [皇室]


(a)日本語のニュース

天皇陛下が、国民向けのビデオメッセージの中で、生前退位の意向を強く示唆されました。
現在82歳の天皇陛下は、「次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないか」と懸念を表明され、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じる」と述べられ、務めが果たせなくなる前に皇位を皇太子さまに譲りたい意向を強く示唆されました。
天皇陛下は、憲法上の立場から皇室制度に具体的に触れることは差し控えるとして「私が個人として」の立場を強調され、生前退位の意向を強くにじませました。
天皇陛下は、天皇の高齢化で、公務や国事行為を縮小することは、「無理があろうかと思われます」と述べられ、負担軽減には否定的な見解を示され、また、、天皇の行為を代行する摂政についても、天皇が十分に務めを果たせぬまま、生涯天皇であり続けることに変わりはないと述べられ、望ましくないという考えを話されました。
天皇陛下は、「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます」と述べられました。

安倍首相は、天皇陛下のご意向表明を受け、記者団に、「ご公務のあり方などについては天皇陛下のご心労に思いを致し、どのようなことができるのかしっかり考えていかなければいけない」と述べました。
政府は、今後、有識者から広く意見を聞くなどし、世論の動向を踏まえたうえで、どのような対応が可能か検討を進めていく方針だとみられています。

(b)ニュースの背景

天皇や皇位継承に関する規定

・憲法
第1条―天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
第2条―皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第4条―天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない。
(注)天皇の国事行為というのは、憲法上、天皇が国事に関して行う形式的、儀礼的行為のことで、内閣の助言と承認を必要とし、その責任は内閣が負います。具体的には、内閣総理大臣の任命、最高裁判所長官の任命、憲法改正・法律・政令・条約の交付、国会の召集、衆議院の解散、国会議員の総選挙の施行の公示、国務大臣および法律の定めるその他の官吏の任免ならびに全権委任状および大使・公使の信任状の認証、大赦・特赦など恩赦の認証、栄典の授与、批准書および法律の定めるその他の外交文書の認証、外国の大使・公使の接受などです。

・皇室典範
第1条―皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第4条―天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
(注)皇嗣というのは、皇位継承順位1位の皇族のことです。

(c)英語のニュース

Japan’s 82-year-old Emperor Akihito has indicated his readiness to abdicate.in a rare video message to the public.
He expressed concern that it may become difficult for him to carry out his duties as the symbol of the state because his physical condition declines.
Japan’s imperial law does not envisage an abdication by a reigning emperor. The Emperor maintained that he must refrain from making any specific comments on the existing imperial system, but that he would like to express his thoughts as an individual.
He expressed concern that when the Emperor is ill, society comes to a standstill and people’s lives are impacted in various ways.
The Emperor hoped that the duties of the Emperor as the symbol of the state can continue steadily without a break.

(d) ニュースの比較研究

天皇陛下が、国民へのビデオメッセージで、生前退位を示唆されたニュースについては、日本のメディアは、トップニュースとして大々的に報道し、外国のメディアもほとんどが詳しく伝えていました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”Japanese Emperor Akihito Indicates He Is Ready to Abdicate”(日本の天皇アキヒト、生前退位示唆)という見出しで、”Japanese Emperor Akihito said Monday that age and ill health make it difficult for him to carry out his official duties, hinting that he wanted to abdicate in what would be the most significant change to the imperial system in the postwar era”(日本の天皇アキヒトは、年齢と健康がすぐれないことから、公的義務を果たすことが難しくなっていると述べ、生前退位を示唆した。それは、戦後の皇室制度の中で、最も重要な変更になるだろう)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Japan’s Emperor Akihito hints at wish to abdicate”(日本の天皇アキヒト、生前退位の希望を示唆)という見出しで、”Japan’s Emperor Akihito has strongly indicated he wants to step down, saying he fears his age will make it difficult to fulfill his duties”(日本の天皇アキヒトは、退位したい意思を強く示唆し、彼の年齢が、彼の義務を完全に果たすことを難しくすることを恐れると述べた)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence France-Presse)』通信は、”Japan’s ageing emperor hints at abdication”(日本の高齢の天皇、生前退位を示唆)という見出しで、”Emperor Akihito said Monday his advancing age and weakening health mean he may no longer be able to carry out his duties, setting the stage for Japan to prepare for an historic abdication”(天皇アキヒトは、彼の高齢と健康が弱っていることから、もはや彼の義務を果たせなくなっていると述べ、日本が歴史的な生前退位の準備をしようとしている)と報じました。







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