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834. トランプ米次期大統領、就任初日にTPPからの離脱表明ー2016.11.22 [経済ー貿易、国際ーアジア、アメリカ、中南米]


(a) 日本語のニュース

アメリカのトランプ次期大統領は、21日、TPP=環太平洋経済連携協定について、「就任初日に離脱を表明する」と述べ、選挙戦で訴えたTPP協定からの離脱の方針を直ちに実行に移す考えを明らかにしました。
トランプ氏は、21日、インターネット動画を公開し、就任初日に指示する改革や就任後100日間に取り組む政策課題について説明しました。
この中で、トランプ氏は、「私の政策課題は、アメリカ第一主義という原則に基づいている」と述べ、そのうえで、国内の雇用拡大を重視する考えを強調しました。
そして、来年1月20日の就任初日に着手するものとして、まず、貿易政策を掲げ、「アメリカにとって大きな災難とみられる恐れがあるTPP協定からの離脱を表明する。代わりに、アメリカの雇用を取り戻し、産業を復活させる公平な2国間協定の交渉を進める」と述べました。
TPP協定に署名した12か国は、19日、ペルーで開いた首脳会合で、協定の発効を目指して各国が国内手続きを進めることを確認し、アメリカのオバマ大統領も「TPPの受容性について今後もアメリカ国内での理解を求めるべく尽力を続ける」と述べていました。

(b) ニュースの背景

TPP(=Trans-Pacific Partnership free trade agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定などといわれています。
もともとTPPは、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4か国で2006年に発効した自由貿易協定で、2010年アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムを加え、8か国で交渉開始、マレーシアの交渉参加で9か国に、2012年メキシコ、カナダの交渉参加で11か国、2013年日本の交渉参加で、合わせて12か国になりました。
TPP交渉では、モノやサービスのやりとりを自由化することを原則に、貿易だけでなく、特許など知的財産権の保護や投資などについての共通のルール作りを目指しました。
TPP交渉は、2015年10月アメリカのジョージア州アトランタで開かれた閣僚会合で大筋合意に達しました。
そして、TPP協定に参加する日本、アメリカなど12か国は、2016年2月ニュージーランドのオークランドで、協定の署名式を行いました。
TPPは、日本やアメリカなど世界のGDP=国内総生産の4割を占める12か国が参加し、アジア太平洋地域での貿易や投資の自由化に加え、サービスや知的財産などのルールを決める包括的な経済連携協定です。
TPP協定の署名によって、2015年10月に大筋合意した協定文が確定し、今後は、議会承認などの国内手続きが本格化することになります。協定が発効するためには、2つの段階があります。2年以内に参加する12の国すべてが議会の承認など国内手続きを終えれば、協定は発効することになっています。しかし、2年以内にこうした手続きを終えることができなかった場合には、12か国のGDPの85%以上を占める少なくとも6か国が手続きを終えれば、その時点から60日後に協定が発効することになっています。
しかし、アメリカのトランプ次期大統領は、選挙期間中からTPPに反対という意向を表明し、議会の共和党幹部もTPPの審議は年内にはないと断言しています。また、オバマ大統領も、在任中にTPPの議会承認を取り付けることを断念したと伝えられています。

(c)英語のニュース

U.S. President-elect Donald Trump says that he will announce his intention to pull out of the Trans-Pacific Partnership free trade agreement on his first day of taking office on January 20th.
In a video message released on Monday, Mr. Trump, who repeated his intention during the presidential election campaign to withdraw from the TPP, said that the trade pact would hurt American jobs.
He said that his agenda as U.S. President base on a principle of putting America first and stressed creating more jobs at home.
Mr. Trump said that his team will negotiate fair bilateral trade deals that bring jobs and industry back to the United States.
He made these remarks in a video message about his top policy priorities for the first 100 days of the presidency on the website of his transition team.

(d) ニュースの比較研究

トランプ次期米大統領が就任初日にTPP=環太平洋経済連携協定から離脱すると表明したニュースについては、日本のメディアは、大きく伝えましたし、外国のメディアも報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”Donald Trump Calls for List of Day-One Executive Actions, Outlines First 100 days – In video, Trump vows to order withdrawal from TPP trade deal, investigate immigration visa fraud and create a plan to counter cyberattacks”(ドナルド・トランプ、政権初日の行動と最初の100日間の行動のリストを要請 - ビデオで、トランプ、TPP=環太平洋経済連携協定からの離脱を命令する、偽造移民ビザを調査する、サイバー攻撃に立ち向かう計画を作成することを誓う)という見出しで、”President-elect Donald Trump said on Monday he has ordered his transition team to draft a list of executive actions he could take “on day one to restore our laws and bring back our jobs” The 2 1/2-minute video posted on You Tube marked the first time Mr. Trump has tried to communicate directly with the public about his agenda for his first days in office since he won the Nov. 8 election” (ドナルド・トランプ次期大統領は、彼の移行チームに対して、“われわれの法を回復し、われわれの仕事を取り戻すための政権初日の行動”を実施するリストを作成するように指示したと述べた。ユーチューブに投稿した2分半のビデオは、トランプ氏が、11月8日の選挙で勝って以来、大統領に就任してから初期の議題について国民に直接訴えようとしたのは初めてだ)と報じました。

イギリスの『Financial Times』紙は、”Trump to spell out TPP exit on first day in office”(トランプ、大統領就任初日にTPP=環太平洋経済連携協定からの離脱を提示へ)という見出しで、”Donald Trump plans on his first day in office to
tell the Pacific Rim countries that signed the Trans-Pacific Partnership that the US will pull out of the trade deal which was a signature policy of Barack Obama”(ドナルド・トランプは、大統領就任初日に、環太平洋の国々に対して、アメリカは、バラク・オバマの特徴的な政策だった貿易協定(TPP)から離脱すると通告する計画だ)と報じました。

オーストラリアの『ABC(=Australian Broadcasting Corporation)』放送は、”Donald Trump vows to withdraw from Trans-Pacific Partnership trade deal”(ドナルド・トランプ、環太平洋経済連携協定から離脱すると明言)という見出しで、”US President-elect Donald Trump has vowed to pull out of the world’s largest trade deal on his first day in office”(ドナルド・トランプ次期米大統領は、就任初日に世界最大の貿易協定から離脱すると明言した)と報じました。(注:オーストラリアは、TPPの主要国の1つ)













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425.TPP交渉、来年1月に再協議ー2013.12.10 [経済ー貿易、国際ーアジア、アメリカ、中南米]

(a)日本語ニュース

シンガポールで開かれていたTPP=環太平洋経済連携協定交渉の閣僚会合は、10日来年1月に次回の会合を開くことを明記した共同声明を発表して閉幕しました。
日本、アメリカなど12か国の閣僚級の代表が出席した会合は、7日から10日の4日間開かれ、閉幕にあたって発表された共同声明は、「交渉妥結に向けて大きな進展があった。各国は、交渉における未解決の課題について合意可能な着地点を確認した。関税撤廃を含め、残された課題について柔軟性をもって作業を続ける」と述べています。
TPP閣僚交渉については、アメリカは年内妥結をめざしていましたが、農産物などの関税撤廃、知的財産の保護などで意見の対立が解けず、交渉は、年明けに持ち越すことになりました。

(b)ニュースの背景

TPPは、Trans-Pacific Partnership (Agreement)の略で、環太平洋パートナーシップ協定(政府が使用している用語)、環太平洋経済連携協定などと訳されています。
現在TPP交渉に参加しているのは、12か国で、日本(今年の7月から参加)、アメリカ、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドです。韓国が参加を希望しています。
TPPは、FTA(=Free Trade Agreement  自由貿易協定)の基本的構成要素である物品市場アクセス(物品の関税撤廃・削減)やサービス貿易のみでなく、非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達など)のルール作りのほか、新しい分野(環境、労働、分野別横断的事項など)を含む包括的協定として交渉しています。
交渉は、アメリカが主導して進められ、妥結を急いでていますが、アメリカと日本、アメリカと新興国の間できびしい対立が伝えられています。

(c)英語のニュース

Ministers from Japan, the United States and 10 other countries involved in the Trans-Pacific Partnership free trade talks have ended their four-day meeting in Singapore without reaching a final agreement.
A joint statement, issued on Tuesday after the meeting, says that the ministers have made substantial progress and confirmed common ground on unsolved isues.
It also says that the ministers will continue to work flexibly on outstanding issues, including tariffs.
The joint statement adds that the ministers will meet again next month, following additional work by negotiators.
The 12 countries agreed in October to try to reach an agreement in December, but this time failed to narrow their differences on issues including abolition of farm trade tariffs and protection of intellectual property.

(d)ニュースの比較研究

TPP関連のニュースについては、一般的にいって、日本のメディアは、大きく詳しく報道していますが、アメリカをはじめ外国のメディアは、ほとんど報道していません。これは、日本の交渉団に各社の同行記者がついていって報道しているからで、アメリカなど外国の場合は、ほとんど同行していないし、現地の記者も報道しないからです。
今回も同様で、外国のメディアは、ほとんど報道しませんでした。





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398.TPP、APEC首脳会議閉幕ー2013.10.9 [経済ー貿易、国際ーアジア、アメリカ、中南米]

(a)日本語のニュース

インドネシアのバリ島で開かれていたTPP=環太平洋経済連携協定の首脳会合とAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議が、8日それぞれ閉幕しました。

TPP=環太平洋経済連携協定の首脳会合は、12か国の首脳が出席して開かれ、交渉を「年内に妥結するため、残された困難な課題の解決に取り組むことで合意した」とする首脳声明を発表して閉幕しました。
しかし、アメリカなどが当初目指していた首脳会合での「大筋合意」という表現は盛り込まれず、関税撤廃、知的財産、国有企業の優遇政策など交渉が難航している分野は結論を先送りしたことから、年内妥結はかなり難しいという見方が広がっています。

一方、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議は、21の国と地域の首脳が出席して開かれ、貿易・投資やインフラ整備などで包括的な統合をめざす方針を明記した首脳宣言を発表して閉幕しました。
首脳宣言は、TPPなどを念頭に、域内で進むさまざまな経済連携の枠組みを発展させていくことを表明しています。

なお、アメリカのオバマ大統領は、政府機関閉鎖への対応などアメリカ国内問題の影響で、これらの会議には欠席し、ケリー国務長官が代理で出席しました。

(b)ニュースの背景

TPPは、Trans-Pacific Partnership (Agreement)の略で、環太平洋パートナーシップ協定(政府が使用している用語)、環太平洋経済連携協定などと訳さあれています。
現在TPP交渉に参加しているのは、12か国で、日本(今年の7月から参加)、アメリカ、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドです。
TPPは、FTA(=Free Trade Agreement 自由貿易協定)の基本的構成要素である物品市場アクセス(物品の関税撤廃・削減)やサービス貿易のみでなく、非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達など)のルール作りのほか、新しい分野(環境、労働、分野横断的事項など)を含む包括的協定として交渉しています。
交渉は、アメリカ主導で進められ、アメリカは、来年中間選挙があるため、今年の12月までの妥結をめざしています。しかし、交渉では、アメリカとアジアの新興国の間できびしい対立が伝えられています。

APECは、Asia-Pacific Economic Cooperation (forum, conference...)の略で、アジア太平洋経済協力会議のことです。
APECは、現在環太平洋地域の21の国と地域から構成されています。APECは、1989年に設立され、毎年会議を開き、経済協力や貿易の自由化などの問題を討議しています。日本、中国、韓国、アメリカ、ロシア、オーストラリアなどが参加しています。
APECは、FTAAP(=Free Trade Area of the Asia-Pacific アジア太平洋自由貿易地域)の設立をめざしています。その大枠の中にTPP(=Trans-Pacific Partnership agreement 環太平洋経済連携協定)の交渉とRCEP(=Regional Comprehensive Economic Partnership agreement  東アジア地域経済連携協定)の交渉などがあります。TPPは、アメリカ主導、RCEPは、中国、日本など中心となって交渉を進めています。日本は、TPPとRCEPの両方に参加しています。アメリカはRCEPに参加していませんし、中国は、TPPに参加していません。

(c)英語のニュース

Top leaders of countries involved in the Trans-Pacific Partnership free trade negotiations and in the Asia-Pacific Economic Cooperation forum have respectively concluded their meetings in Bali, Indoneshia.
TPP leaders adopted a joint statement on Tuesday after their talks saying that they will continue talks to finalize a wide-range free trade agreement by the end of this year.
However, the leaders failed to reach a basic agreement this time as initially planned.
They are reported to be facing difficulties over such issues as tariff reductions, intellectual property and state-owned enterprises.
Participating in the US-led TPP negotiations are Australia, Brunei, Canada, Chile, Japan, Malaysia, Mexico, New Zealand, Peru, Singapore, the United States and Vienam.

Meanwhile, leaders of the 21-member APEC forum adopted a joint declaration on Tuesday after their talks pledging to aim for comprehensive integration of regional economies.
The concept of comprehensive integration covers a variety of connecions including infrastructure networks and personnel exchanges.
The joint declaration calls for the development of various economic partnership frameworks to achieve APEC's goal of free and open trade and investment.

U.S. President Barack Obama was absent at both conferences due to pressing domestic matters including the government shutdown. US Secretary of State John Kerry attended in his place.

(d)ニュースの比較研究

TPP首脳会合とAPEC 首脳会議閉幕のニュースについては、日本のメディアは、安倍首相、甘利TPP担当相に同行した記者が書いたTPPの記事がほぼトップ扱いで大々的に報道されましたが、欧米のメディアは、これらの会議にはあまり関心を示しておらず、特にTPPについては、報道は少なかったように思います。
外国のメディアの報道を紹介しましょう。

インドンシアの『Tempo』紙は、ニュース解説欄で、"Sustaining the Post-APEC Momentum"(ポストAPECの勢いを持続すること)という見出しで、"Tangible steps are necessary to secure the strategic momentum and optimize the results of the Asia-Pacific Economic Cooperation(APEC) Summit in Nusa. Bali -- which concluded today. As the host nation, we are hoping the 2013 APEC Summit will yield maximum benefits to the ongoing endeavors to improve the Indonesian economy"(バリのヌサでのAPEC首脳会議が終わって、戦略的な勢いを維持し、その結果を最大限活用するためには、現実的な手段が必要だ。われわれ(インドネシア)は、主催国として、2013年のAPEC首脳会議がインドネシアの経済を改善するために、現在続けている努力に最大限の恩恵が生じるよう希望している)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"Trans-Pacific Trade Talks Hit Thorny Home Stretch"(環太平洋の通商交渉、困難なホーム・ストレッチにかかる)という見出しで、"The world's largest trade pact in years is about much more than trade - and that is predictably comlicating matters as negotiators enter the home stretch of discussions to create it"(TPPは、近年で世界最大の自由貿易協定で、貿易より以上のもので、交渉者が協定を作成するために、討議のホームストレッチに入ったが、予想通り複雑な問題が立ちはだかった)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"Global trade weakening, economy to slow - APEC statement"(APEC声明ー世界貿易が弱体化、世界経済が緩慢化)という見出しで、"The 21 countries of the Asia Pacific Economic Cooperation trade group promised on Tuesday to implement responsible macroeconomic policies that will help offset slowing global economic growth and weaker trade"(APEC=アジア太平洋経済協力の貿易グループの21か国は、緩慢な世界経済成長と弱体化した世界貿易を改善する責任あるマクロ経済政策を実行すると約束した)と報じました。















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