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895. イランの大統領選挙で、穏健派のロウハニ師が再選ー2017.5.21 [国際ー中東]

(a)日本語のニュース

イランの大統領選挙で、保守穏健派で現職のロウハニ大統領が再選されました。
19日投票が行われたイランの大統領選挙は、開票の結果、欧米との協調を重視し核開発の制限を受け入れた保守穏健派のロウハニ大統領68歳が、反米を掲げる保守強硬派のライシ前検事総長56歳などを抑えて再選を果たしました。
内務省の最終発表によりますと、得票率は、ロウハニ師が57%、ライシ師が38%などで、ロウハニ師が有効投票の過半数を獲得し、再選されました。任期は4年です。
ロウハニ大統領は、再選後国営テレビを通じて演説し、「イラン国民は世界とかかわりあう道を選んだ」と述べ、「相互の利益と尊重」に基づき国際社会と交流すると表明しました。
その一方で、、アメリカのトランプ大統領がイランと激しく対立しているサウジアラビアを訪れて、イランへの圧力強化の姿勢を示したことについて、「イランは辱めを受けたり、脅しを受けたりするのを容認はしない。このメッセージを周辺国や世界の大国はよく聞いてほしい」と述べて、けん制しました。

(b)ニュースの背景

ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)は、1948年セムナーン州ソルヘ生まれ。イスラム教シーア派聖地コムで教育を受けた聖職者。穏健派の重鎮だった元大統領ラフサンジャニ師の側近。テヘラン大学卒、イギリスのグラスゴー・カレドニアン大学で法学博士号取得。1979年イラン革命で帰国。イラン・イラク戦争で防空部隊司令官。1989~2005年最高安全保障委員会事務局長。ハタミ政権下で2003~2005年核交渉責任者。1992年2期国会副議長。1992~2013年戦略研究センター所長、1991年最高評議会、1999年専門家会議のメンバー。2013年の大統領選挙で対話に基づく穏健外交を掲げて当選、就任。
今回の大統領選挙では、ロウハニ大統領は、1期4年の実績として、2015年イランが核兵器開発につながるウラン濃縮活動を制限する見返りに、国際社会が制裁を解除する核合意を米英仏独ロ中の6か国と締結したことを強調。選挙戦では、「自由に生きるか、そうでないかの選択を迫られている」と訴え、人口の多い若者を中心に保守穏健派と改革派の支持層をつかんだとみられています。
しかし、イランの失業率は12.7%で、特に人口の4分の1を占める15~24歳は30.2%の高水準で、経済の立て直しがロウハニ政権2期目の最優先課題になっています。
一方、アメリカのトランプ大統領は、イランに対する対決姿勢を崩しておらずサウジアラビアと連携して対イラン包囲網の強化をめざしていますので、これにどう対応していくかが注目されています。
対日関係では、2015年の対日輸出は原油など32億5014万ドル、輸入は機械など2億8729万ドル。2015年の日本のイランへの原油依存度は4.8%で、6番目の原油供給国。日本政府は、2016年核問題の最終合意に伴い、石油・ガス分野の新規投資停止などの対イラン制裁を解除しました。また、日本政府は、イランとの間で投資協定を締結しました。

(c)英語のニュース

Iranian President Hassan Rouhani, a moderate cleric who campaigned in favor of greater engagement with the international community, has won re-lection for another 4-year term.
He defeated his hard-line challenger Ebrahim Raisi, a former prosecutor, and other candidates in the presidential elections.
The Interior Ministry says that President Rouhani won 57 percent of the votes and his rival Raisi took 38 percent.
The Rouhani government concluded a deal with world powers in 2015 to curb Iran’s nuclear activities.
President Rouhani emphasized the deal brought about the lifting of economic sanctions on Iran. He called on people to support his policy of seeking dialogue with the international community.

(d) ニュースの比較研究

イランの大統領選挙で、穏健派のロウハニ大統領が再選されるかどうか世界的関心を集めていましたので、世界のメディアは、大統領選挙の結果を詳しく報道しました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

イランの『Teheran Times』紙は、”Rouhani secures second term with landslide victory”(ロウハニ大統領、地滑り的勝利で2期目を確実に)という見出しで、
”Hassan Rouhani reelected president in the Friday election, after a month of heated competition with conservative rivals. Rouhani, who represented moderates and reformers in the campaigns, won 23.5 million(or 57 percent) of the total vote, while his closest rival, Ebrahim Raisi, received 15.7 million (38.5 percent), the Interior Ministry announced on Saturday”(ロウハニ大統領は、保守派の候補たちとの1か月にわたる激しい大統領選挙戦の後で、大統領に再選された。内務省の発表によれば、ロウハニ大統領は、選挙戦では中道派と改革派を代表していたが、全投票のうちの2350万票、(57%)を獲得し、激しく追い上げたライシ候補は、1570万票(38.5%)であった)と報じました。

サウジアラビアの『Saudi Gazette』紙は、”Rouhani wins re-election in Iran by a wide margin”(イランのロウハニ大統領、大差で再選)という見出しで、”Iran’s President Hassan Rouhani won re-election by a wide margin on Saturday, giving the moderate leader a second four-year term to see out his agenda pushing for greater freedoms and outreach to the wider world”(イランのロウハニ大統領は、大差で再選を果たした。より広い世界へより大きな自由と活動を推進するという彼の課題を最後まで見届けるために、この穏健派のリーダーに2期目の4年間が与えられたのだ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Iran election: Hassan Rouhani says voters rejected extremism”(イランの選挙:ロウハニ大統領、有権者は過激派思想を拒否と言明)という見出しで、”Moderate Iranian President Hassan Rouhani has said his re-election shows voters reject extremism and want more links with the outside world. After avoiding a run-off with a 57% outright victory over his main rival, Mr Rouhani said he respected his opponents’ right to criticize him”(穏健派のイランのロウハニ大統領は、彼の再選は、有権者が過激派思想を拒否し、外部の世界とより多くの結びつきを望んでいることを示していると述べた。ロウハニ大統領は、主な競争相手に得票率57%で圧勝し決選投票を待たずに再選され、彼の対戦相手が彼を批判する権利を尊重すると述べた)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”In victory for moderates, Iranian President Hassan Rouhani wins re-election”(イランのロウハニ大統領、穏健派の勝利で再選果たす)という見出しで、”Iranian President Hassan Rouhani handily won re-election in what amounts to a victory for the Shiite nation’s reformist camp and a sign that citizens favor fruitful engagement with the outside world”(イランのロウハニ大統領は、選挙で楽勝し再選された。このことは、シーア派の国家(イラン)の改革派にとっての勝利であり、一般の人々が外部の世界との実りある関わりに賛成していることを示しているのだ)と報じました。






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884. トルコで国民投票、大統領の権限強化の憲法改正案承認ー2017.4.18 [国際ー中東]


(a) 日本語のニュース

トルコで16日大統領の権限を大幅に強化する憲法改正案についての国民投票が行われ、選挙管理委員会は、賛成が過半数を占めたと発表、エルドアン大統領は勝利を宣言しました。
憲法改正によって、これまでの議院内閣制から大統領制に移行し、首相職は廃止され、大統領が閣僚の任命や非常事態令の発令の権限のほか司法にも影響力を持ち、絶大な権力を握ることになります。
トルコのアナトリア通信によりますと、開票率100%で、賛成票が51.41%、反対票が48.59%となっています。
エルドアン大統領は、「国民の力で、トルコの歴史上最も重要な憲法改正を成し遂げた」と勝利宣言をしました。
これに対し、憲法改正に反対してきた野党は、選挙管理委員会が無効票を有効とする違法な決定をしたなどとして票の数えなおしを要求しています。
また、野党側は、今後、エルドアン大統領の強権的な姿勢が一段と強まることを警戒しています。
エルドアン大統領の今後の出方次第では、人権問題などに敏感なヨーロッパ諸国との関係にも影響が出てきそうですし、難民問題や過激派組織「IS=イスラム国」への対応をめぐっても影響が出てくる可能性もあるとみられています。

(b) ニュースの背景

エルドアン(レジェプ・タイップ Recep Tayyip ERDOGAN)は、1954年イスタンプール生まれ、マルマラ大学経済商学部卒。1969~1980年プロサッカー選手。1985年福祉党イスタンブール総支部長、1994年イスタンブール市長に当選、2001年親イスラム政党・公正発展党(AKP)を結成し、初代党首に就任。2002年の総選挙で大勝して政権につくと、高い経済成長率を実現し、低所得者層向けの福祉政策やインフラ整備の充実を図り、国民の支持をつかみました。
2014年エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙への立候補を表明。エルドアン氏が、過半数票を獲得して当選し、大統領に就任。任期は5年。
2015年の総選挙で、公正発展党(AKP)は第1党を守ったものの、2002年の単独政権発足以降初めて半数を割り込みました。しかし、再選挙ではAKPが圧勝しました。
2016年7月軍の一部がエルドアン政権の転覆を狙い軍事行動を起こしましたが、政権側がこれを鎮圧しました。反乱勢力は、政権側や治安部隊の呼びかけで街頭に出た市民らと衝突し、軍内部や国民に支持は広がりませんでした。事件の死者はおよそ240人、負傷者はおよそ2200人に上りました。エルドアン政権は、敵対するアメリカ在住のイスラム指導者ギュレン師が黒幕と主張、しかしギュレン師は関与を否定しました。当局は、ギュレン師との関わりを理由に軍や警察、司法関係者など7万人以上を拘束、10万人を免職や停職処分とするなど大規模粛清を進めました。
2016年12月、AKPは、儀礼的な地位と位置づけられてきた大統領に実権を集中させる憲法改正案を国会に提出しました。国会は、2017年1月改正案を可決し、国民投票の実施が決定しました。改正案は、首相府を廃止し、行政の長となる大統領が政令を出せるほか、閣僚らの任命権や非常事態発令権を持つような内容でした。これによって、エルドアン大統領は、強大な権力を持てる可能性がでてきたのです。
トルコは、ヨーロッパとアジアにまたがり、アラブ世界にも接する位置にあり、国際社会に影響を与えます。
トルコは、EU=欧州連合と長い間、加盟交渉を続けてきましたが、国内の人権問題などで妥結のめどはたっていません。エルドアン氏は、トルコが交渉で加盟条件となっている死刑廃止を決めたのに交渉がうまくいかないので、それを復活することを示唆し、EUとの対決姿勢を国民に印象付けています。
さらに、昨年、ヨーロッパに流入したシリアなどの難民・移民をトルコに送還することでトルコとEUは合意し、トルコにはシリア難民が300万人もいますが、トルコには、EU側は押し付けるだけ押し付けて代償を払わないという不満があります。
さらに、アメリカとの関係では、トルコが、昨年のクーデター未遂事件で首謀者とみているギュレン師の引き渡し問題があり、さらに過激派組織IS=イスラム国掃討作戦で、トルコがテロ組織と指定している少数民族クルド人の武装組織とアメリカ軍が共闘している問題もあります。
いずれにせよ、トルコの国際関係では、難民問題、テロとの戦いのほか、欧米が主張する人権問題、言論・表現の自由など民主主義の基本的価値観の問題があり、今後のトルコの出方によってはかなりこじれる可能性があるものとみられます。

(c) 英語のニュース

In Turkey’s referendum, voters have approved by a small margin constitutional amendments giving sweeping powers to the president.
State media report that with all votes counted, 51.41% approved the constitutional amendments and 48.59% opposed.
Turkish President Recep Tayyip Erdogan claimed victory, while opposition parties charged that the result is invalid, citing irregularities.
The constitutional amendments call for replacing a parliamentary system with an executive presidency giving sweeping power to the president.
Under the new system, the post of prime minister will be abolished and the president will be able to appoint cabinet ministers and issue emergency decrees and also wield influence over the judiciary system.
Political observers say that the constitutional amendments may lead to an Erdogan dictatorship and endanger democracy and affect Turkey’s relations with EU member nations as well as the United States.

(d) ニュースの比較研究

トルコで大統領に強大な権限を与える憲法改正案がごくわずかな差で承認されたニュースについては、世界のメディアは、いずれも詳しく伝えました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

トルコの『Turkish Daily News』紙は、”Parliament needs to adjust scores of laws to new charter in next 6 months”(議会は、何十という法律をこれから6か月で新しい憲法の条項に合わせる必要がある)という見出しで、”The system change approved on April 16 by a narrow majority of the electorate voting in favor of changing the constitution is set to be in effect after 2019, as the parliament readies to enter an intense period in the next six months in order to harmonize the existing legislation with new constitution.”憲法改正のため国民投票でごくわずかな差で承認された制度の変更は、事実上2019年以降のことだ。議会は、新憲法と現存する法律を調和させるために、これからの6か月の重要な時期に入ることになる)と報じました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、”Turkey: Recep Tayyip Erdogan hails referendum victory – Constitutional changes transform Turkey from a parliamentary system to an executive presidency with more powers) ” (トルコ:レジェプ・タイップ・エルドアン、国民投票の勝利を歓迎―憲法改正は、トルコを議院内閣制からより多くの権限を持った大統領制に変える)という見出しで、”President Recep Tayyip Erdogan has welcomed the “Yes” vote in the referendum to amend Turkey’s constitution and grant the country’s presidential office now executive powers”(レジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、トルコの憲法を改正し、大統領府に新たな行政権を与えるための国民投票における賛成投票に歓迎の意を表わした)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Turkey’s Erdogan declares referendum victory, opponents plan challenge”(トルコのエルドアン大統領、国民投票で勝利宣言、反対派、挑戦を計画)という見出しで、”President Tayyip Erdogan declared victory in a referendum on Sunday to grant him sweeping powers in the biggest overhaul of modern Turkish politics, but opponents said the vote was marred by irregularities and they would challenge its result”(レジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、トルコの現代政治の最大の変革の中で、彼に全面的な権限を与える国民投票での勝利を宣言した。しかし、野党側は、その投票は、不正によって傷つけられているとして、その結果に挑戦すると述べた)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Turkey referendum: Erdogan declares victory”(トルコの国民投票:エルドアン大統領、勝利宣言)という見出しで、”Turkish President Recep Tayyp Erdogan and the country’s prime minister have declared victory in a Sunday referendum designed to hand Erdogan sweeping powers”(トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領とトルコの首相は、エルドアン氏に全面的な権限を与えるための国民投票で勝利を宣言した)と報じました。






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815. イラク政府軍、モスル奪還作戦開始ー2016.10.18 [国際ー中東]

(a) 日本語ニュース

イラク政府軍は、17日、アメリカ軍などの空爆の支援を受けながら、過激派組織IS=イスラム国が2年以上にわたって支配していたイラク第2の都市モスルを奪還する大規模な作戦を始めました。
作戦には、2万人規模の部隊が参加し、主力のイラク政府軍が南から攻撃し、北からクルド地域政府の治安部隊などが進み、アメリカ軍を中心にした有志連合軍が空爆などで援護に当たっているということです。これに対して、ISの勢力は数千人規模とみられています。
モスル市内には、100万人を超える市民が残っているといわれています。
ISは、市民を巻き込んで抵抗しようという戦略にでるものとみられ、今回の作戦は長期化することが予想されます。
一方、イラクの首都バグダッド南部の検問所で、17日自動車を使った自爆テロがあり、少なくとも10人が死亡し、20人余りがけがをしたということで、ISが犯行声明を出しました。

(b)ニュースの背景

モスルは、イラク北部に位置し、首都バグダッドに次ぐイラク第2の都市で、シリアやイラク国内各地につながる交通の要衝となっているほか、周辺には油田が点在し経済面でも重要な都市です。2002年の調査では、人口は、170万人と見積もられていましたが、現在では、それより減っているとみられています。
過激派組織IS=イスラム国が、2014年6月に制圧して以来、モスルをイラク最大の拠点として勢力を拡大してきました。
ISは、市民に対して、厳しい統制を行い、市内に多くの検問所を設けて移動を制限したり、女性は顔を隠さなければ外出を禁じるなど、イスラム教の極端な解釈による統治を行ってきました。また、内部の情報が外に漏れることを恐れて、携帯電話を禁止するなどしてきました。
さらに、税金と称して住民から金を集めていたほか、市内の銀行を略奪するなどして莫大な資金を得てきました。
これに対して、イラク政府軍は、今年3月からアメリカなど有志連合の支援を受けながら、モスル周辺で大規模な軍事作戦を行い、モスル奪還を目指してきました。

(c)英語のニュース

Iraqi government forces, backed by U.S. military planes, have conducted a large-scale offensive to retake the Iraqi second largest city of Mosul from Islamic State militants.
Some 20,000 troops, including Kurdish fighters, are taking part in the offensive on Mosul, which has been the IS’s main stronghold since June, 2014.
The U.S.-led coalition is carrying out airstrikes in support of the Iraqi government forces who are fighting against several thousand IS fighters.
Meanwhile, the Islamic State militant group has claimed responsibility for a suicide car bombing that occurred on the outskirts of the capital city, Bagdad, killing at least 10 people and injuring more than 20 others.

(d) ニュースの比較研究

イラク政府軍が、アメリカ軍機による空爆の支援を受けて、イラク第2の都市モスル奪還作戦を開始したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『Al Jazeera』放送は、“Mosul: Iraqi army battles ISIL in ‘historic Operation -Iraqi forces, backed by U.S. air and ground support, begin ”historic operation” as concerns mount for city’s civilians”(モスル;イラク政府軍、歴史的な作戦でISIL=イスラム国と戦う - イラク政府軍、アメリカ軍による空と陸からの支援を受け、モスル市民の関心が高まる中で、“歴史的な作戦”を開始)という見出しで、”Iraqi government forces have launched a campaign to retake the de-facto capital of the Islamic State of Iraq and the Levant(ISIL) group in Iraq”(イラク政府軍は、イラクにおけるISIL=イラク・レバントのイスラム国のグループの事実上の首都(モスル)を奪還する作戦を開始した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Battle for Mosul: Iraq and Kurdish troops make gains”(モスルをめぐる戦い:イラクとクルド軍、進撃)という見出しで、”Iraqi pro-government forces have made gains at the start of a large-scale operation to retake Mosul, the last major stronghold of the so-called Islamic State(IS) in the country”(イラク政府軍は、イラクにおけるいわゆるIS=イスラム国の最後の拠点であるモスルを奪還する大規模な作戦のスタートで進撃した)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Mosul offensive”(モスルへの攻勢)という見出しで、”A major offensive to re capture Mosul from ISIS is under way, as Iraqi-led forces advance on the city, which has been under the terror group’s control since June 2014 “(ISIS=イスラム国からモスルを奪還する大規模作戦が現在行われている。イラク政府軍は、2014年6月以来テロリストのグループ(ISIS)の支配下にあるモスルに進撃している)と報じました。


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804.OPEC、減産合意ー2016.9.30 [国際ー中東]

*2016.10.1の講座のテキスト*(802~804)このほか「コロンビアで和平合意」の資料は席上配布

(a) 日本語のニュース

中東などの産油国でつくっているOPEC=石油産出国機構が、低迷が続く原油価格の底上げをねらって、およそ8年ぶりに原油の減産に合意しました。
OPECは、28日、アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、加盟14か国の原油生産量を1日あたり3250万バレルから3300万バレルに制限することで合意しました。
OPEC加盟14か国は、8月に1日あたり3324万バレル生産しており、実質的に最大で1日あたり70万バレル減らすことになります。
OPECが原油を減産するのは、世界的な金融危機直後の2008年12月以来およそ8年ぶりのことです。
OPECは、11月30日ウィーンで開く総会で、国別の生産量の上限や実施期間など減産に関する詳細を正式に決める予定です。

(b)ニュースの背景

石油輸出機構(OPEC=Organization of the Petroleum Exporting Countries)は、1960年バグダッドで開かれたイラク、イラン、サウジアラビア、クウェート、ベネズエラの5大石油輸出国会議で創立を決めました。
OPECは、その目的として、原油価格の安定維持のための産油国の共通石油政策を立案、実施し、原油価格の安定を保証する方式として生産制限を検討、消費国への有効かつ安定した原油供給、石油会社との公平な利益配分を研究することをうたっています。 
現在の加盟国は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、カタール、インドネシア、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、ガボン、アンゴラです。(OPEC HPより)
総会は、最高機関で、政策決定の責任を負います。加盟国代表で構成し、理事会が提出する報告につぃて決定を下します。年少なくても2回開催。

原油生産量(英国のBP=British Petroleumが2015年に発表した2014年の実績、1000バレル/日)
① アメリカ      11,644
② サウジアラビア   11,505
③ ロシア       10,838
④ カナダ        4,292
⑤ 中国         4,246
⑥ アラブ首長国連邦   3,712
⑦ イラン        3,614
⑧ イラク        3,285
⑨ クウェート      3,123
⑩ メキシコ       2,784

今回のOPECの臨時総会は、原油安が長引く中、OPECの加盟国やロシアなどの産油国が、増産の凍結などの生産調整に向けた協議を続けてきた一環とみられています。
今年2月に、サウジアラビアなどOPEC加盟3か国と非加盟のロシアがカタールで会合を開き、生産量を1月の水準で据え置き、増産を凍結することで暫定的に合意しました。しかし、この合意は、ほかの産油国も同じように増産を凍結することが条件になっていました。これに欧米による経済制裁を解除され増産を計画していたイランなどが反発、4月には、サウジアラビアやロシアなど18か国がカタールで会合を開き、増産凍結に向けた協議を行いましたが、カギを握っていたイランが会合に出席せず、協議は物別れに終わりました。
さらに、6月のOPECの総会でも、増産凍結を含む生産調整について再度協議したものの、原油価格が持ち直しつつあったことに加え、サウジアラビアとイランの対立もあって合意に失敗しました。
しかし、このところ、イランの原油の生産量は経済制裁を受ける前の水準近くまで回復してきたほか、サウジアラビアも態度を軟化させてきたと伝えられていました。
今回OPECが原油の減産に合意した背景には、サウジアラビアが、これ以上の消耗戦は国力を疲弊させるだけだという焦りが、財政難にあえぐ中東の大国を動かし、対立するイランへの態度を軟化させ、減産の例外とすることを認めたためだと伝えられています。

(c)英語のニュース

Member nations of OPEC, or the Organization of Petroleum Exporting Countries have agreed to reduce their crude oil output for the first time in 8 years in response to falling prices.
The agreement was reached at an informal meeting of the 14-member OPEC in the Algerian capital, Algiers, on Wednesday.
The member nations agreed to curb their production to a range of 32.5 million to 33.0 million barrels per day from 33.24 million barrels in August.
Production levels of each nation will be decided at the next formal meeting on November 30th.
Crude oil prices went up on the New York market on Wednesday following reports of the OPEC agreement.

(4)ニュースの比較研究
原油価格が低迷する中でOPCE=石油輸出機構が原油の減産に踏み切るのかどうか世界的に注目されていましたが、減産合意のニュースは、日本のメディアも外国のメディアも速報、詳報で報道していました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『REUTERS』通信は、”OPEC agrees modest oil output curbs in first deal since 2008”(OPEC=石油輸出国機構、2008年以来初めて適度な減産で合意)という見出しで、”OPEC agreed on Wednesday modest oil output cuts in the first such deal since 2008, with the group’s leader Saudi Arabia softening its stance on arch-rival Iran amid mounting pressure from low oil prices”(OPEC=石油輸出機構は、2008年以来初めて適度な原油生産削減で合意した。これは、OPECのリーダーであるサウジアラビアが、原油価格が低迷する圧力が高まる中で、最大のライバルであるイランに対する態度を軟化させたからだ)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”OPEC Agrees on Need to Cut Oil Output”(OPEC=石油輸出国機構、原油減産の必要性で合意)という見出しで、”OPEC said its members agreed that they need to cut crude output to
reduce the world’s supply glut, a shift for the 14-member group that was enough to send oil prices higher, even though reaching a deal remains far from certain”(OPECは、世界の原油の供給過剰を削減するために、減産の必要性で合意したと発表した。これは、14か国からなるOPECにとって大転換で、原油価格を上昇させることになろう。しかしながら、まだ協定締結に至るかどうかは、不確実だ)と報じました。











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774. トルコ、非常事態宣言ー2016.7.22 [国際ー中東]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト:(770、772~774)

(a) 日本語のニュース

トルコのエルドアン大統領は、20日、軍の一部によるクーデター未遂事件を受けて、トルコ全土に3か月にわたる非常事態を宣言し、国会は、21日これを承認しました。
これによって、大統領を議長とする閣僚会議は、今後、議会の審議を経ずに法律と同じ効力を持つ政令を発布できるようになり、政府は、必要に応じて国民の権利や自由を制限できるようになりました。
エルドアン大統領は、記者会見で、非常事態宣言は、「テロ組織に関する者をすべて排除する」ことが目的だと述べました。これは、大統領が、国家安全保障会議と閣僚会議を開催し、政府が事件の「首謀者」と主張するアメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師とトルコ政府がテロ組織に指定するギュレン師信奉者の団体への対応を閣僚と軍のトップと協議した後発表したものです。
トルコ政府は、15日の事件後20日までに、ギュレン師やその信奉者の団体に関係があるなどとして、軍、司法、警察、地方団体、教育機関など合わせておよそ6万人を拘束、解職、停職にしてきただけに、国内外から、エルドアン大統領が、強権的な姿勢を強めるという懸念が高まっています。
トルコと緊密な関係にあるドイツのシュタインマイヤー外相は、声明を発表し、非常事態宣言は、本当に必要な期間に限って実施し、できるだけ早く解除するよう求めました。

(b)ニュースの背景

トルコ共和国
トルコ共和国は、オスマン帝国の滅亡後、1923年に成立。面積は、日本の約2倍。人口は、約7874万人。イスラム教徒が9割を占めていますが、政治と宗教を厳格に分ける「世俗主義」が国是です。首都はアンカラで、イスタンブールは、トルコ最大の都市。在留邦人は、約2200人。
トルコの最近の動きは、2002年の総選挙で公正発展党(AKP)が勝利。ギュル副党首を首相として初のイスラム系政党単独政権が発足。2003年エルドアン党首は、国会議員再選挙で当選。ギュル内閣は総辞職し、エルドアン政権が発足。2007年総選挙で公正発展党が大勝し、第2次エルドアン政権が発足。国民投票で、大統領公選制を承認。2011年総選挙で公正発展党が勝利し、第3次内閣発足。2014年エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙に立候補表明。大統領選挙でエルドアン首相、過半数票を獲得して当選。大統領に就任(2014年8月、任期5年)。

ギュレン運動
アメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師を中心とする運動。公の場から宗教色を排除する世俗主義が国是のトルコで、世俗主義とイスラム教は矛盾しないとする穏健な思想を持っています。公的機関でのスカーフの着用や酒類販売の規制強化など宗教色を全面に出すエルドアン政権とは対立関係になっています。

非常事態宣言
非常事態宣言とは、国家の運営の危機に際し、緊急事態のための特別法を発動することで、対象には、武力攻撃、内乱、暴動、テロ、大規模な災害、疫病などがあります。措置には、警察、軍隊など公務員の動員、公共財の徴発(強制的に取り立てること)、法律に優位な政令の発布、令状によらない逮捕、家宅捜索などを許すことのほか、報道や集会の自由など自由権の制限などがあります。
フランスでは、昨年11月に起きたパリでの同時テロの際に、オランド大統領は、非常事態を宣言、この7月の終わる予定でしたが、南フランスのニースでテロ事件が起き、2017年1月まで半年間の延長が決まりました。

(c)英語のニュース

Turkish President Recep Tayyip Erdogan has declared a 3-month state of emergency throughout the country, following a failed coup by a military faction.
The president made the announcement on Wednesday after he discussed a response to the attempted coup with cabinet ministers and military leaders.
The Turkish parliament approved the state of emergency on Thursday.
The Turkish President told reporters that the measure is needed to remove the threats of further unrest.
The measure will allow the government to limit or suspend basic rights and freedom of the people if it deems necessary.
The Turkish government has blamed a movement led by U.S.-based Islamic cleric Fethullah Gulen to the abortive coup.
The government has detained, dismissed or suspended about 60-thousand people, including military leaders, police officers, prosecutors, judges, bureaucrats and teachers.
The United States and European countries have urged the Turkish government to exercise restraint in dealing with those involved in the coup attempt while condemning the plotters.

(d)ニュースの比較研究

トルコ、非常事態宣言発令のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道し、エルドアン大統領の強権政治に対する懸念を表明する報道が多かったことが指摘できます。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、”Erdogan: Turkish democracy is not under threat”(エルドアン大統領、トルコの民主主義は、脅しには屈しないと言明)という見出しで、”Turkey’s President Recep Tayyip Erdogan has insisted the Turkish democracy is not under threat, but said there could be more arrests in the wake of last week’s failed coup attempt, in a wide-ranging interview with Al Jazeera” (トルコのエルドアン大統領は、アルジャジーラとの広範なインタビューの中で、トルコの民主主義は、脅しには屈しないと述べ、さきのクーデターの試みの失敗で、さらに逮捕者がでるだろうと語った)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Turkey coup attempt: State of emergency announced”(トルコのクーデターの試み:非常事態宣言発表)という見出しで、”Turkey’s president has declared a state of emergency for three months following Friday night’s failed army coup. ・・・・The state of emergency gives President Erdogan radically enhanced powers for three months”(トルコの大統領は、軍のクーデターの失敗の後で、3か月間の非常事態を宣言した。・・・非常事態は、エルドアン大統領に3か月間極めて強大な権限を与えることになる)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Turkey declares three-month state of emergency”(トルコ、3か月の非常事態を宣言)という見出しで、”Turkish President Recep Tayyip Erdogan announced the nation is imposing a three-month state of emergency in the aftermath of last week’s bloody coup attempt”(トルコのエルドアン大統領は、トルコは、流血のクーデターの試みの後で、3か月の非常事態を宣言すると発表した)と報じました。



















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771.トルコでクーデターの試み失敗、8300人拘束ー2016.7.19(最新版さしかえ) [国際ー中東]

(a) 日本語のニュース

トルコで15日起こった軍の一部によるクーデター未遂をめぐって、トルコ政府が19日発表したところによりますと、これに関わった疑いで、軍の幹部や兵士、警察官、それに裁判官や検察官など司法関係者ら少なくとも8300人を拘束し、イスラム組織の「ギュレン教団」との関連などを調べています。
また、国営アナトリア通信が、18日伝えたところによりますと、クーデター未遂で、全国で警察官や地方自治体幹部ら8,700人以上を停職処分としたということです。
エルドアン大統領は、17日イスタンブールで行われた鎮圧作戦の犠牲者の葬儀で、「政府のあらゆるレベルでウイルスの浄化作戦を続ける」と述べて、「ギュレン教団」の支持者を一掃する決意を強調しました。そして、国民に対して、引き続き街に出て、今回のクーデターの試みに対する抗議デモを続けるよう呼びかけました。
エルドアン大統領は、また、アメリカ政府に対して、大統領の政敵でアメリカに住んでいる「ギュレン教団」の指導者ギュレン師が今回の事件に関わったとして、身柄の引き渡しを求めました。
これに対して、アメリカに住んでいる「ギュレン教団」の指導者のギュレン師は、17日、今回のクーデター未遂への関与を全面的に否定するとともに、エルドアン大統領は、これを機に政権に批判的な勢力を強制的に一層しようしていると非難しました。
トルコ政府の発表によりますと、今回のクーデター未遂で、市民145人を含む208人が死亡しました。

一方、アメリカのホワイトハウスの報道官は、18日の記者会見で、「アメリカは民主的に選ばれた現在のトルコ政府を強く支持するが、自制し、法的な手続きを尊重することが重要だ」と述べ、批判勢力の一掃をはかるような強権的な手法は自制すべきだという考えを強調しました。また、エルドアン政権がイスラム組織「ギュレン教団」の指導者でアメリカに住むギュレン師がクーデター未遂に関与したとしていることについて、「まだトルコ政府から引き渡しの要請は受けていない。要請があれば、両国の間の条約に基づき、犯罪に関わったかどうかや証拠がみたされているかどうかを見極めて判断する。アメリカがギュレン師をかくまっているというのは誤りだ」と述べました。
EU=欧州連合の外相会議が、18日ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、トルコのクーデターの試みを非難しながらも、これをきっかけに政府が軍の関係者などを次々と拘束し厳しく処罰する姿勢を見せていることについて、「人権の尊重と公正な裁判を保障し、法に基づいた秩序の回復を求める」とする共同声明を発表しました。

(b) ニュースの背景

トルコ共和国
トルコ共和国は、オスマン帝国の滅亡後、1923年に成立。面積は、日本の約2倍。人口は、約7874万人。イスラム教徒が9割を占めていますが、政治と宗教を厳格に分ける「世俗主義」が国是です。首都はアンカラ、イスタンブールは、トルコ最大の都市。在留邦人は、約2200人。
トルコの最近の動きでは、2002年の総選挙で公正発展党(AKP)が勝利。ギュル副党首を首相として初のイスラム系政党単独政権が発足。2003年エルドアン党首は、国会議員再選挙で当選。ギュル内閣は総辞職し、エルドアン政権が発足。2007年総選挙で公正発展党が大勝し、第2次エルドアン政権が発足。国民投票で、大統領公選制を承認。2011年総選挙で公正発展党が勝利し、第3次内閣発足。2014年エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙に立候補表明。大統領選挙でエルドアン首相、過半数票を獲得して当選。大統領に就任(2014年8月、任期5年)。

ギュレン運動
アメリカに亡命中のイスラム教指導者ギュレン師を中心とする運動。公の場から宗教色を排除する世俗主義が国是のトルコで、世俗主義とイスラム教は矛盾しないとする穏健な思想を持っています。公的機関でのスカーフの着用や酒類販売の規制強化など宗教色を全面に出すエルドアン政権とは対立関係になっています。

(c) 英語のニュース

Turkey's government says that about 8,300 people, including military leaders, judges and prosecutors have been detained for their suspected involvement in last Friday’s coup attempt.
It also says that 8,700 police officers and local government officials have been fired.
The Turkish government believes that a group led by a U.S.-based Islamic cleric, Fethullah Gulen, was behind the coup attempt and says that it is urging the U.S. government to hand him over.
It reports that 208 people, including 145 citizens, have been killed.
Turkish President Recep Tayyip Erdogan has pledged to purge the government of followers of Islamic cleric Fethullah Gulen, who is critical of the president.
Mr. Erdogan also called on people to take to the streets to continue protesting the failed coup.
On the other hand, Islamic cleric, Fethullah Gulen himself has flatly denied the charge on his involvement in the coup attempt.
Meanwhile, in Washington, the White House Press Secretary has stressed that the Turkish government should exercise restraint in dealing with the alleged plotters of the failed coup attempt. He said that Turkey has not yet asked the United States to extradite cleric Fethulliah Gulen. But the press secretary said that once a request is made, the United States will examine whether the crimes involved and the evidence provided satisfy the terms of the 2 countries’ extradition treaty. He denied that the United States is harboring the cleric, who leads the so-called Gulen movement.
The European Union’s foreign ministers have held a meeting in Brussels to discuss the Turkish situation and issued a joint statement condemning the attempted coup but also calling on the Turkish government to respect human rights in dealing with the plotters.

(d) ニュースの比較研究

トルコで起こった軍の一部によるクーデター未遂のニュースについては、発生から沈静化するまで、日本のメディアも外国のメディアも時々刻々移り変わる動きを詳しく伝えていました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。(日本時間18日正午現在の報道)

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Turkey coup attempt: Over 6,000 held”(トルコでクーデターの試み:6,000人以上拘束)という見出しで、”Turkish President Recep Tayyin Erdogan’s crackdown on alleged coup plotters continued Sunday as the number of those detained by the government topped 6,000”(トルコのエルドアン大統領のクーデター計画者に対する厳重な取り締まりは、続き、政府によって拘束された人の数は、6,000人を超えた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Turkey coup arrests hit 6,000 as Erdogan roots out ‘virus’(トルコのクーデターの逮捕者、6,000人を超える、エルドアン大統領、‘ウイルス’を根絶と言明)という見出しで、”Turkey has arrested 6,000 people after a failed coup, with President Erdogan vowing to purge state bodies of the “virus” that caused the revolt”(トルコは、クーデターに失敗した後、6,000人を逮捕した。エルドアン大統領は、国家機関から反乱を引き起こした”ウイルス“を追い払うことを誓った)と報じました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、“Turkey mulls death penalty after failed coup attempt – Turkey’s potential reintroduction of capital punishment could complicate its bid for EU membership – “(トルコ、クーデターの試みが失敗した後、死刑を検討へートルコの死刑再導入の可能性は、そのEU=欧州連合加盟の企てを困難にする可能性がある)
という見出しで、”President Recep Tayyip Erdogan has said Turkey will consider reinstating the death penalty after the failed attempt to overthrow his government”(エルドアン大統領は、トルコは、政府を転覆しようとした試みの失敗の後で、死刑を復活することを検討すると述べた)と報じました。











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763.イラクの首都バグダッドで自爆テロ292人以上死亡ー2016.7.9(最新版) [国際ー中東]

(a)日本語のニュース

イラクの首都バグダッドで3日爆弾テロがあり、7日までに292人が死亡し、およそ200人がけがをしたということで、過激派組織IS=「イスラム国」が犯行声明をだしています。
この事件は、バグダッドの中心部でイスラム教シーア派が多く住む地区の繁華街で、イスラム教のラマダン=断食月明けの祝祭を控え、買い物客でにぎわっている中で起きました。大量の爆弾を積んだトラックが爆発し、子どもたちを含む292人が死亡し、およそ200人がけがをしているということです。
これについて、過激派組織IS=「イスラム国」が犯行声明を発表し、イスラム教シーアを標的にしたと主張しています。
イラク政府は、6月下旬、2年以上にわたってISが支配していた、バグダッドの西50キロの所にある交通の要衝ファルージャを奪還したのに続き、ISがイラク最大の拠点とするモスルの奪還を早期に成し遂げると強調しています。
しかし、今回の爆弾テロ事件のあと現場を訪れたアバディ首相に対し、集まった人たちからテロを防止できない政府を非難する声が一斉に上がるなど政府への不信感が高まっています。

(b)ニュースの背景

イスラム国は、中東の過激派組織で、シリア北部からイラク中部にかけての領域を占拠し、2014年6月国家の樹立を宣言して「Islamic State(イスラム国)」と自称しています。国際社会は、国家としては承認しておらず、各国政府は、ISIL(=Islamic State of Iraq and the Levant)とか、ISなどと呼んでいます。ISは、イスラム教を厳格に適用しているといわれ、スンニ派によるイスラム国家を武力の行使も辞さずに実現しようとしています。
ISは、6月にイスラム教のラマダン=断食月中のテロ攻撃を世界中の支持者に呼びかけました。ラマダン入りに先立つ6月の声明で、「昼夜を問わず、今いる場所で、十字軍を恐怖に陥れよ」と訴え、テロを先導した」と述べています。

(c) 英語のニュース

Iraqi officials say that 292 people, including children, have been killed and some 200 others injured in Sunday’s car bomb attack in central Bagdad.
A refrigerator truck packed with explosives blew up on a commercial street in a district in the capital city, a Shiite section, crowded with people enjoying shopping and meal after observing a daytime fast as part of the holy month of Ramadan.
The Islamic State militant group claimed responsibility for the attack, saying that it had targeted Shiite Muslims.
Prime Minister Haider al-Abadi visited the site, but he was booed by the crowd that gathered. Growing numbers of Iraqi people believe that the government cannot protect citizens from the threat of terrorism posed by the Islamic State militant group.

(d)ニュースの比較研究

イラクの首都バグダッドで起きた爆弾テロで200人以上が死亡したニュースについては、日本のメディアも、外国のメディアも、速報で伝えていましたが、日本のメディアは、バングラデッシュでのテロで犠牲となった中に日本人が含まれていたため、そちらの方を大きく扱っていました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、”Iraq: Baghdad bombing kills more than 200 – Anger grows as Bagdad residents accuse Iraqi government of failing to protect them after ISIL attack kills over 200”(イラク:バグダッドで爆弾テロ、200人以上死亡、― ISIL=イスラム国の攻撃で200人以上が殺害された後で、バグダッド市民は、イラク政府に対し、市民を守ることができないと非難、怒りが大きくなる)という見出しで、”Anger is growing in Baghdad over the government’s failure to protect civilians, after a devastating bombing in a crowded commercial area in the Iraqi capital killed more than 200 people, including many children”(イラクの首都バグダッドの人々でごった返す商業地区で大きな爆弾テロが起き、多くの子どもたちを含む200人以上が殺された後で、イラク政府は市民を守ることができないという怒りが、バグダッドで高まった)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Iraq suicide bomb attack: Deaths in Baghdad rise to 165”(イラクの自爆テロ:バグダッドの死者165人に上る)という見出しで、”The number of people killed in Sunday’s suicide bomb attack in the Iraqi capital, Bagdad, has risen to 165, Interior ministry officials say”(イラク政府関係者によると、イラクの首都バグダッドにおける自爆テロの犠牲者の数は、165人に上った)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Bombing that killed more than 200 deadliest attack in Baghdad in years”(バグダッドにおける過去最悪の自爆テロで200人以上が死亡)という見出しで、“More than a day after a suicide truck bomb ripped through Baghdad, families are still hoping that rescuers searching through the rubble can locate the bodies of their loved ones. The bombing early Sunday in a busy shopping district was the deadliest single attack in Iraq’s war-weary capital in years, killing at least 215 people, Mohamed al-Rubaye, deputy head of the security committee of the Baghdad Provincial Council, said Monday on Afaq TV”(バグダッドの自爆テロが起きてから1日以上たった後でも、家族の人たちは、がれきの中を探している救援隊の人たちが、愛する身内の者を見つけてくれるという希望をまだ持っている。バグダッド県評議会の関係者によれば、人々がごった返すショッピング街で起こった自爆テロは、イラクの首都バグダッドで近年起こった単独の自爆テロで最悪のもので、死者は、少なくとも215人に上った)と報じました。




















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758.イスタンブールの空港で自爆テロー2016.6.28 [国際ー中東]

(a) 日本語のニュース

トルコ最大の都市イスタンブールのアタチュルク国際空港で、28日自爆テロがあり、44人が死亡し、200人以上がけがをしました。トルコの治安当局は、過激派組織IS=「イスラム国」が関わった可能性があるとして、容疑者の特定など事件の背後関係の解明に向けて本格的な捜査を進めています。
トルコの治安当局によりますと、武装した3人の男が、アタチェルク国際空港で、銃を乱射し、持っていた爆発物を爆破させ、警察官と銃撃戦になり、その後自爆したということです。これまでに、外国人10人を含む44人が死亡し、200人以上がけがをしました。
トルコのエルドアン大統領は、「トルコは、テロと戦い続ける力と決意を有している」という声明を発表し、テロに屈しない姿勢を強調しました。

(b) ニュースの背景

イスタンブール・アタチュルク国際空港(Istanbul Ataturk International Airport)は、トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタチュルクの名前から名づけられて空港で、イスタンブールのヨーロッパ側(トラキア)にあり、市街地中心部から南西に約15km離れています。同空港は、ヨーロッパとアジア、中東、アフリカを結ぶハブ空港です。トルコでは最大の空港で、2015年には、6180万人が利用し、世界では11番目に利用客が多い。ヨーロッパでは、ロンドン、パリに次いで3番目に多い。航空機の発着数は、46万回で、世界14位。空港施設は、3,000m滑走路2本、2,580m滑走路1本の計3本。国際線ターミナルと国内線ターミナルの旅客用ターミナルと貨物専用のターミナルがあります。

(c) 英語のニュース

Turkish authorities say that 44 people have been killed and more than 200 others injured when three suicide bombers attacked Istanbul’s main airport.
They say that initial suspicions are that the Islamic State militant group is behind the incident.
The authorities say that the attackers, armed with assault rifles blew themselves up after an exchange of fire with police on Tuesday at Ataturk International Airport – the country’s largest airport and a major transport hub for international travelers.
President Recep Tayyip Erdogan released a statement that strongly condemned the attack as one targeting innocent people carried out by terrorists.

(d)ニュースの比較研究

トルコ最大の都市イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロ事件のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも、速報で大きく伝えていました。
主なメディア の報道を紹介しましょう。

トルコの英字紙『DAILY NEWS』は、“At least 41 killed in terror attack on Istanbul’s Ataturk Airport”(イスタンブールのアタチュルク空港でテロの襲撃、少なくとも41人死亡)という見出しで、”At least 41 people were killed and 239 others were injured when suspected Islamic State of Iraq and the Levant(ISIL) militants attacked Istanbul’s Ataturk Airport late on June 28, the Governor’s office announced on June 29. It added that 10 of the victims were foreign nationals and three had dual-citizenship”(県知事の事務所が発表したところによると、ISIL=イラクとレヴァントのイスラム国の過激派とみられる容疑者たちが、イスタンブールのアタチュルク空港を襲撃し、少なくとも41人が死亡し、239人がけがをした。その発表によると、犠牲者のうち10人が外国人で、そのうち3人が二重国籍を所有している)と報じました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、”ISIL ‘key suspect’ in Istanbul’s Ataturk airport attack – PM Binali Yildirim says suicide bombers who killed at least 41 at Istanbul’s Ataturk Airport likely linked to ISIL”(ISIL=イラクとレヴァントのイスラム国が、イスタンブールのアタチュルク空港襲撃の‘主犯格’―ユルドゥルム首相、イスタンブールのアタチュルク空港で少なくとも41人を殺害した自爆犯は、ISILと関連と言明)という見出しで、”Turkey has declared a day of national mourning after three suicide bombers attacked Istanbul’s Ataturk Airport, killing at least 41 people and wounding 239. The attackers arrived at Ataturk, Europe’s third-busiest airport, late on Tuesday evening where they opened fire before blowing themselves up”(トルコは、イスタンブールのアタチュルク空港で、3人の自爆犯が、少なくとも41人を殺害し、239人にけがを負わせた事件を受けて、全国民に1日喪に服すことを宣言した。彼らは、ヨーロッパで3番目に利用客が多いのその空港に到着し、発砲し、自爆したのだ)と報じました。

アメリカの放送『FOX NEWS』は、”Istanbul airport reopens after terror attack leaves 41 dead, 239 injured”(テロの襲撃で41人が死亡し、239人がけがをした事件後、イスタンブールの空港再開)という見出しで、”Turkish Prime Minister Binali Yildirim said in a statement Wednesday that air traffic had returned to normal and “our airport has been opened to flights and departures from 2:20(local time)on”, following the terror attack at an Istanbul airport that left 41 dead and 239 injured”(トルコのユルドゥルム首相は、声明の中で、イスタンブールの空港のテロの襲撃で41人が死亡し、239人がけがをした事件の後、空の便は正常に戻った。現地時間の2時20分から空港の発着は再開したと発表した)と報じました。


















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713.シリア停戦受け入れ後も戦闘続くー2016.2.25 [国際ー中東]

*2016.2.27の阿佐谷のテキスト*


(a)日本語のニュース

シリアの内戦をめぐって、アメリカとロシアが今月27日からの停戦を呼びかけたのを受けて、アサド政権と反政府勢力は、条件つきで受け入れる姿勢を示しましたが、シリア各地では戦闘が激化しており、停戦の実現は困難を極めそうです。
アメリカ、ロシア両政府は、22日、シリアのアサド政権と反政府勢力に対して、27日午前0時(日本時間午前7時)から停戦に入るよう呼び掛ける共同声明を発表しました。
ホワイトハウスが発表したところによりますと、オバマ大統領は、22日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、合意を歓迎する意向を示したうえで、「すべての当事者が停戦を履行することが重要だ」と強調しました。
共同声明は、戦闘を続ける当事者に対して、26日正午(日本時間午後7時)までに停戦の受け入れを表明するよう求めています。この停戦の対象には、過激派組織「IS=イスラム国」と国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」は含まれていません。
共同声明は、アメリカ主導の有志連合、ロシア軍、シリア政府軍は、ISなどのテロ組織への軍事作戦を続けると明記しています。

共同声明を受けて、シリア外務省は、23日、「ISや国際テロ組織アルカイダ系の勢力、それに関係するテロ組織への戦いは続けるという前提で停戦に応じる」と発表しました。
また、反政府勢力の主要なグループも、「ロシアやイランなどが責任をもって市民に対する空爆や砲撃を停止すると保証するのなら、停戦のための国際的な仲介に同意する」と述べました。
双方とも停戦に応じる姿勢を示しながらも、条件をつけていて、停戦の実現は見通せない状況です。
シリアでは、23日も戦闘が続き、政府軍が北部や南部に空爆や砲撃を行ったのに対し、反政府軍がこれに応戦したほか、ロシアの空爆の支援を受けたクルド人勢力と反政府勢力の間で激しい戦闘が続いています。
一方、ISは、21日、シリア中部の第3の都市ホムスと首都ダマスカスで連続自爆テロを起こし、180人以上の死者がでています。現場は、いずれもアサド政権支持派の住民が多く住んでいる地区だということです。ISは、22日も政府軍に攻撃をしかけるなど活動を活発化させています。

(b)ニュースの背景

シリアでは、アサド父子による晴家が1970年から45年以上も続いています。アサド家の宗教は、イスラム教シーア派から分かれたアラウィ派で、政権中枢も同じアラウィ派で固めています。シリア国内では、スンニ派が多数を占めていますが、アサド政権は、厳しい言論統制や弾圧によって反対勢力を抑え込み、国民を統治してきました。
2010年北アフリカのチュニジアで発生した「アラブの春」という民主化要求運動は、瞬く間にエジプト、リビア、イエメンなど中東諸国に広がり、シリアでも2011年から各地で民主化を要求する反政府デモが行われました。アサド政権は、これらのデモを徹底的に弾圧しましたが、デモは収まらず、やがて、武装した反政府勢力(自由シリア軍)と政府軍の内戦に発展していきました。
アサド政権も反政府勢力も、それぞれ国外から支援を受けています。アサド政権は、ロシア、シーア派を国教とするイラン、レバノンを拠点とするシーア派の武装組織ヒズボラなどから支援を受けています。一方反政府勢力は、欧米諸国やスンニ派に属するアラブ諸国が支持しています。
こうした混乱に乗じて、スンニ派の過激派組織IS=イスラム国が、シリアでも
勢力を伸ばしています。
シリアの内戦は、激化し、アメリカ主導の有志連合やロシアは、それぞれ空爆を続け、多数の犠牲者をだしています。国連の報告によりますと、5年目に入ったシリアの内戦の死者は、25万人以上、難民は、400万人以上、国内避難民は、約760万人で、人口約2200万人の半数以上が避難生活を送っています。

(c)英語のニュース

Fierce fighting is continuing in Syria even after the United States and Russia have agreed to call for a cease-fire and the Assad government and main anti-government forces have conditionally accepted the call.
The governments of the United States and Russia released a joint statement on Monday, calling for a cease-fire starting on Saturday and urging Syrian government forces and anti-government forces to accept the terms by Friday.
The joint statement said that the cease-fire does not apply to the militant Islamic State and the radical al-Qaida-linked Nusra Front and other terrorist groups designated by the United Nations Security Council.
Later, the Syrian government and main anti-government forces respectively announced that they accepted conditionally the terms of a deal to cease hostilities from Saturday.

However, reports say that fierce fighting is continuing in Syria, as government forces on Tuesday carried out airstrikes in southern and other areas controlled by anti-government forces, while anti-government forces repeated shelling outside the northern city of Aleppo.
Deadly explosions in the capital Damascus and the third largest city of Homs on Sunday killed a total of more than 180 people. Islamic State militants claimed the responsibility for the attacks.
The United Nations say that enforcing the cease-fire plan on the ground will be challenging.
More than 250,000 people have died and 11 million others have fled their homes in almost 5 years of war in Syria.

(d)ニュースの比較研究

シリアの内戦をめぐって、アメリカとロシアが停戦の呼びかけに合意し、アサド政権と反政府勢力が条件付きで合意したニュースについては、日本と外国のメディアは、そろって報道しましたが、いずれも停戦が実際に行われるかについては懐疑的な見方をしていました。それから、日本のメディアは、オバマ大統領とプーチン大統領の合意と電話会談を大きく扱っていましたが、外国のメディアは、それほど大きくは扱っていませんでした。
代表的なメディアの報道は、以下の通りです。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、“Syria truce:
Will this one be different ?(シリアの停戦:今回の停戦は、これまでのと違うのか)という見出しで、“Another day, another announcement on a truce in Syria. The latest met with optimism, skepticism and a whole lot of questions. Russia and the United States announced Monday that a truce among some -- but not all – of the group fighting inside Syria will go into effect at midnight Friday. The “cessation of hostilities” is the result of talks between the two countries as co-chairs of the International Syria Support Group(ISSG), they said in a joint statement”(シリアの停戦の関するもう一つ日、もう一つの発表。今回の発表は、楽観主義と懐疑主義と多くの疑問に出会わした。ロシアとアメリカは、シリアで戦っているいくつかの -すべてではないーグループの間の停戦が、金曜日の真夜中に発効すると発表した。米ロ両国は、共同声明の中で、ISSG=国際シリア支援団の共同議長国としての両国間の話し合いの結果だと述べた)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、”U.S.-Russia Deal on a Partial Truce in Syria Raises More Doubt Than Optimism”(シリアにおける部分的停戦の関するアメリカとロシアの合意、楽観主義よりもより多くの疑問を提起)という見出しで、”The United States and Russia announced an agreement on Monday for a partial truce in Syria, though the caveats and cautious words on all sides underscored the obstacles in the way of the latest diplomatic effort to end the five-year-old civil war. Under the terms of the agreement, the Syrian government and Syria’s armed opposition are being asked to agree to a “cessation of hostilities,” effective this Saturday. But the truce does not apply to two of the most lethal extremist groups, the Islamic State and the Nusra Front, raising questions about whether it will be any more lasting than previous cease-fire”(アメリカとロシアは、シリアにおける部分的停戦のための合意を発表した。しかしながら、すべての側の但し書きや注意深い言葉は、5年間の内戦を終わらせるための外交的努力の過程での障害を浮き彫りにしている。
その合意の条項の下で、シリア政府とシリアの武装反政府勢力は、この土曜日から”戦闘行為の停止“に合意するよう要請されている。しかし、停戦は、最も過激な2つのグループであるIS=イスラム国とヌスラ戦線には適用されない。このことは、これまでの停戦よりも長く続くかどうかについては疑問がある)と報じました。

ロシアの『TASS』通信は、”Putin says ceasefire in Syria presents real chance to stop bloodshed. Russian president also said that strikes on the Islamic State and other terrorist groups in Syria will be continued after the agreement on the cessation of hostilities comes into force”(TASS通信は、見出しとリード・センテンスが同じ)(ロシアのプーチン大統領は、シリアの停戦は、流血を止める真のチャンスだと述べた。さらに、シリアのIS=イスラム国やその他のテロ・グループの攻撃は、戦闘行為の停止が有効になった後も続くだろうと語った)と報じました。
また、”Russia to carry out necessary work with Damascus to settle situation – Kremlin. “Russia expects that the United States alongside allies and the U.S. –backed groups will follow suit,” said Kremlin spokesman Dmitry Peskov”
(ロシア政府は、ロシアが、シリア情勢を解決するために、シリア政府と必要な仕事を実行していくと述べた。ロシア政府のスポークスマンのドミトリーペスコフ氏は、ロシアとしては、アメリカとその同盟国とアメリカが支援しているグループがそれに従うことを期待していると述べた))と報じました。が、

中東・カタールの『Al Jazeera』放送は、”Syrian opposition accepts ceasefire for ‘two weeks’”(シリアの反政府勢力、‘2週間’の停戦受け入れ)という見出しで、”Syria’s main opposition bloc has said it will support a temporary two-week truce to test the seriousness of the other side’s commitment to a US-Russian plan to end fighting. ・・・The opposition statement came after Syria’s president assured Russia of his readiness to respect the ceasefire, the Kremlin said on Wednesday”(シリアの主要な反政府勢力は、アメリカとロシアの戦闘終結計画に対して、政府側が真剣に順守するかどうかをみるため、一時的な2週間の停戦を支持すると述べた。ロシア政府によると、この声明は、シリアのアサド大統領 がロシアに対して、停戦を尊重すると約束した後、発表されたものだ)と報じました。




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674.トルコで自爆テロ、97人死亡、246人負傷ー2015.10.12 [国際ー中東]

(a)日本語のニュース

トルコの首都アンカラで10日起きた自爆テロとみられる爆発で、これまでに97人が死亡し、246人がけがをし、トルコでは史上最悪のテロ事件になりました。一方、トルコ政府は、この事件を受けて、反政府勢力に対する攻撃や取締りを強化しています。
爆発事件は、10日アンカラの中心部で、トルコ政府とクルド人の過激派による抗争の激化を受けて政府に批判的な左派やクルド人たちが和平を呼びかけるデモが行われていたところ、爆発が2回相次いで起き、デモの参加者など、これまでに97人が死亡し、246人がけがをしました。
トルコ当局は、2人の男が実行した自爆テロで、過激派組織「IS=イスラム国」やクルド人武装組織、それに極左組織のいずれかによる犯行とみて捜査を進めています。特に、過激派組織「IS=イスラム国」による犯行の可能性が高いとみています。
トルコ政府は、爆破事件を受けて、これら反政府勢力に対する攻撃や取締りを強化し、11日にはトルコ国内やイラク北部のクルド人武装組織を攻撃したほか、トルコの各地で過激派組織「IS=イスラム国」の関係者とみられる40人以上を拘束しました。
しかし、トルコ国内では、こうした政府の強硬なやり方やテロをふせげなかったことに対する批判が高まり、トルコ最大の都市イスタンブールなど各地で反政府デモが行われました。

(b)ニュースの背景

・最近のトルコの動き

大統領選挙
2014年7月エルドアン首相、初の直接選挙による大統領選挙に立候補を表明
2014年8月大統領選挙で、エルドアン、首相から鞍替えし、過半数票を獲得して当選、大統領に就任、エルドアン、AKP=公正発展党(イスラムの伝統を尊重、民主主義を掲げる政党で、議会で第1党)を大統領就任に伴い離党、ダクトオール外相、党首に、また首相に任命

総選挙
2015年6月総選挙(一院制、550議席)、選挙管理委員会の発表によりますと、AKP=公正発展党40.87%、世俗派のCHP=共和人民党24.95%、右派のMHP=民族主義者行動党16.29%、クルド系のHDP=人民民主主義党13.12%。
AKP=公正発展党、53議席減の258議席で第1党、2002年の政権発足以来、初の過半数割れ、一方、クルド系政党のHDP=人民民主主義党、51議席増の80議席に躍進、

トルコ軍の空爆
2015年7月、トルコ軍が、隣国シリアの過激派組織「IS=イスラム国」の拠点と同じく隣国イラクの北部のクルド人武装組織「PKK=クルディスタン労働党」にも空爆。
トルコは、アメリカ主導の有志連合によるトルコの基地の使用も承認。
トルコ政府と停戦を宣言しているクルド人武装組織「PKK=クルディスタン労働党」の対立も再燃。トルコ軍は、PKKのイラク北部の拠点に空爆、トルコ軍の車列を狙った自動車爆弾が爆発など双方の報復の連鎖が激化。

出直し総選挙
エルドアン大統領は、6月の総選挙における与党のAKP=公正発展党の敗北を受け、11月1日再び総選挙実施に打ってでて過半数を奪還したい意向。しかし、今回の事件で、大統領や与党に対する批判が高まっており、各地で政府批判のデモが行われ、テロ事件が起きるなど、トルコ情勢は不安定な状況が続く。

・クルド問題
クルド人は、クルド語を母語として独自の文化を持ち、現在は、トルコ、シリア、イラク、イランに分断されて住んでおり、人口は、3000万人くらいと推定されています。そのうち、トルコでは、クルド人は、およそ1000万人いると推定され、1984年PKK=クルディスタン労働者党が分離独立を求めて武装闘争を始めました。PKKは、トルコでは、非合法組織で、クルド人の独立国家樹立を目指す武装組織です。トルコとの国境に近いイラク北部に拠点を置き、トルコ国内で活動しています。アメリカとEU=欧州連合は、テロ組織と指定しています。創設者は、アブドラ・オジャランで、1999年逃亡中にケニアで拘束され、同年国家反逆罪で、死刑判決を受けましたが、2002年終身刑に減刑され、服役中です。オジャランは、2013年トルコ政府との停戦とトルコ領からの戦闘員の撤退を呼びかける声明を発表、それ以降トルコ政府と断続的に和平交渉を行ってきたといわれていましたが、2015年7月のトルコ軍の空爆以降交渉が行われたという報道はありません。

(c)英語のニュース

The Turkish government has intensified its attacks on anti-government groups, following Saturday's terrorist bombings in the capital of Ankara killing nearly 100 people.
Turkish security sources say that 97 people have been killed and 246 others wounded in two suspected suicide bombings in Ankara on Saturday - the worst terrorist explosions in Turkey's history. The two blasts occurred near a peace rally in central Ankara where participants were protesting against a recent series of clashes between government forces and anti-government groups.
The Turkish security sources say that 2 male suicide bombers carried out attacks. They are focusing their investigations on the Islamic State militant group, the Kurdish militant group and extreme leftist groups.
The Turkish government has intensified its crackdown on the Islamic State group and the Kurdish militant group.
Meanwhile, anti-government demonstrations have been held in Istanbul and other cities in Turkey, arguing that such a hardline stance taken by the government has encouraged insurgents to conduct terrorist attacks.

(d)ニュースの比較研究

トルコの首都アンカラで起きた自爆テロによる爆破事件は、100人近くの人たちが犠牲になるという大惨事になりました。日本のメディアも外国のメディアも速報・続報で伝えました。今後トルコ情勢は不安定化の方向へ向かうことが危惧されます。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『Aljazeera』放送は、"Thousands rally to mourn Ankara bombing victims - Demonstraitors gather in central Ankara near Saturday's attack site, conducting attacks that killed at least 96 people -"(何千人もの人が、アンカラの爆破事件の犠牲者を悼んで集まる - デモの参加者たちは、爆破事件の現場近くに集まり、少なくとも96人が殺された攻撃を非難)という見出しで、"Thousands of people have attended a rally in Ankara under heavy security to remember the at least 96 people killed in twin bombings in the Turkish capital. The demonstrators on Sunday filled Sihhye in central Ankara, close to the site of Saturday's blasts outside the city's train station with shouting anti-government slogans."(何千人もの人たちが、トルコの首都アンカラにおける2回連続の爆発で犠牲となった少なくとも96人の死を悼むために開かれた集会に集まった。デモの参加者たちは、アンカラ中心部のシヒェを埋め尽くした。それは、鉄道の駅のすぐ側の爆破事件の現場の近くだ。デモ参加者は、口々に反政府のスローガンを叫んだ)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Thousands gather in Ankara in aftermath of deadly blasts that killed scores"(多数の死者を出した爆破事件の直後に、何千人もの人たちがアンカラに集まる)という見出しで、"Thousands of people gathered in the streets of Ankara on Sunday near the site of two deadly bomb blasts that tore through crowds taking part in a peace rally in the capital a day earlier. The attack - for which no group has so far claimed resonsibility - killed at least 97 people, wounded nearly 250 others and threatened to deepen divisions and distrust in Turkey's polarized society"(何千人もの人たちが、トルコの首都アンカラの街に集まった。そこは、1日前2回連続の爆破で死者を出し、平和集会に集まった人々を混乱に陥れた場所の近くだ。その爆破事件については、どのグループも犯行声明をだしてはいないが、少なくとも97人が死亡し、およそ250人がけがをし、トルコの分裂した社会で分裂と不信を深めることが危惧される)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Turkish air strikes on PKK rebels as country mourns"(トルコが死者を悼んでいる間に、PKK=クルディスタン労働党の反政府派にトルコの空爆)という見出しで、"The Turkish air force has pounded Kurdish militants a day after a deadly bomb attack on a rally for peace in the capital Ankara. Planes attacked Kurdistan Workers Party(PKK) targets in both the south-east and over the border in northern Iraq. Saturday's twin bombing in Ankara killed at least 95 people, making it the deadliest such attack in years"(トルコ空軍は、アンカラ中心部での平和集会への死者を出した爆破事件の1日後、クルドの過激派を爆撃した。空軍機は、トルコの南東部とイラク北部の国境付近のPKK=クルディスタン労働党の目標を攻撃した。アンカラでの2回の爆破事件は、少なくとも95人が死亡し、近年で最も多い死者を出した爆破事件になった)と報じました。









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