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908. タカタ、民事再生法の適用申請ー2017.6.26 [経済]



(a) 日本語のニュース

世界的なエアバッグメーカーのタカタは、欠陥エアバッグの問題で経営が悪化し、26日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、受理されました。負債総額は、1兆円にのぼり、製造業では、戦後最大の大型倒産になります。
タカタは、アメリカでエアバッグの不具合が原因となった死亡事故が相次いだことをきっかけに、日本など世界各地で、リコール=回収・無償修理が拡大し、今年3月期の決算は795億円の最終赤字に陥りました。さらに、自動車メーカーが肩代わりしているリコールの費用を含めた負債の総額は、1兆円をこえています。
タカタの高田重久会長兼社長は、26日の記者会見で、「すべての関係者、債権者にご迷惑をおかけすることになり深くお詫びしたい」と陳謝し、2018年3月までに経営責任をとって辞任することを明らかにしました。
また、アメリカなどにある海外の子会社12社は、25日、アメリカのデラウエア州にある連邦破産裁判所に、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請して、経営破綻しました。
タカタは、今後、裁判所の管理下でリコールの対応などに専念し、それ以外の自動車部品の製造などのすべての事業は、中国企業の傘下にあるKSS=キー・セイフティー・システムズにおよそ1750億円で譲渡し、その傘下で再建をめざすことになります。

(b)ニュースの背景

タカタは、1933年に滋賀県彦根市で繊維メーカーとして創業し、1980年代にエアバッグの生産を開始し、世界シェアがおよそ2割を占める大手で、シートベルトなども生産しています。2017年3月期の連結売上高は6625億円でした。欧米やアジアなどおよそ20か国に拠点を持ち、従業員はおよそ4万6000人います。
タカタ製エアバッグの異常破裂では、2009年アメリカで初の死亡事故が起こり、これまで因果関係が特定できないものも含め世界で17人が亡くなっています。
リコール対象のエアバッグは、世界で1億規模にのぼり、この1兆円規模の費用の大半は自動車メーカーが負担しています。
事態をより深刻化させたのは、リコール(回収・無償修理)への対応です。エアバッグの不具合を把握してからリコールを実施するまで時間がかかり、リコールの範囲を広げなかったとして、批判が高まりました。
タカタの創業家出身の高田氏ら経営陣は、当初、自動車メーカーなど関係者の話し合いに基づき、企業イメージが傷つきにくい「私的整理」での再建を模索していました。しかし、アメリカで法的な問題にまで発展したうえ、リコール費用を肩代わりする自動車メーカーは、より公平に負担額を確定させ、経営陣や株主の責任も明確になる「法的整理」を主張し、タカタも、財務の悪化や人材の流出が続き、それを受け入れざるを得なくなりました。

民事再生とは、2000年4月施行された民事再生法による手続きのことで、株式会社、有限会社のほか、医療法人、学校法人を含むすべての法人および個人に適用されます。早期再建を目的とし、現経営陣が残り、倒産した企業の実態に合わせ、半年程度で再生計画案をまとめます。可決条件は緩やかで、対応も柔軟です。「3年経過ルール」があり、裁判所の認可3年後に自動的に終結の決定がおります。

(c)英語のニュース

Troubled Japanese air bag maker, Takata Corporation, has filed with Tokyo District Court for bankruptcy protection under Japan’s civil rehabilitation law, following massive recalls of its products around the world.
Takata’s liabilities are seen finally exceeding one trillion yen, or about 9 billion dollars, the largest amount for any failed manufacturer in Japan since the end of World War Two.
The head of the company, Chairman and CEO Shigehisa Takata, said at a news conference that he will step down to take responsibility for the company’s failure.
Takata said that it has reached a basic agreement to transfer its operations to U.S.auto parts maker, Key Safety Systems for about 1.6 billion dollars. The U.S. maker is owned by Chinese company Ningbo Hoyson Electronic Corporation.
Takata airbags have been subject to recall since 2013. Since then, costs have been ballooning and Takata has had a difficult time restructuring on its own.
U.S. transport authorities say that Takata airbags were responsible for at least 11 deaths. Two people have been injured in Japan.

(d)ニュースの比較研究

エアバッグの欠陥で大量リコール(回収・無償修理)を招いたタカタが経営破綻し民事再生法の適用を申請したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく伝えました。
欧米の代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Takata, brought down by airbag crisis, files for bankruptcy”(タカタ、エアバッグ危機で、破産申請)という見出しで、”The company at the heart of one of the worst auto safety scandals in history has filed for bankruptcy. Japan’s Takata was brought down by the huge cost of its exploding airbag crisis. The company’s faulty airbag inflators, which can blast shrapnel into drivers and passengers have resulted in the recall of tens of millions of vehicles and been linked to 11 deaths in the US and several others elsewhere”(史上最悪の自動車の安全性にかかわるスキャンダルの一つの中心にあった会社が、破産の申請を行った。日本のタカタは、そのエアバッグのリコールの危機の膨大な費用で経営破綻に陥った。その会社の欠陥エアバッグが爆発しドライバーや乗客を襲い、何千万台の車のリコールをもたらし、アメリカやその他の所で11人が死亡する事故に関連したのだ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Takata:
Airbag-maker files for bankruptcy”(タカタ:エアバッグ・メーカー、破産申請)という見出しで、”Japanese car parts maker Takata has filed for bankruptcy protection in the US and Japan. It is facing billions of dollars in liabilities over its defective airbags, which have been linked to at least 17 deaths worldwide”(日本の自動車部品メーカーのタカタは、アメリカと日本で破産保護申請を行った。タカタは、世界中で少なくとも17人が死亡した欠陥エアバッグの事故を巡って、何万ドルという負債を抱えている)と報じました。

ドイツの『Deutche Welle』放送は、”Takata declares insolvency in face of airbag recall costs”(タカタ、エアバッグのリコールの費用で破産宣告)という見出しで、”The Japanese auto supply company whose airbags were blamed for killing at least 17 people around the world, filed for bankruptcy in the US and Japan on Sunday. Most of Takata’s assets will be sold to a Chinese-owned American rival for 1.6 billion dollars”(日本の自動車部品の会社タカタは、そのエアバッグで世界中で少なくとも17人が死亡したとして非難されているが、アメリカと日本で破産申請を行った。タカタの財産の多くは、中国系のアメリカのライバル会社に16万ドルで売却されることになるだろう)と報じました。

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