SSブログ
政治ー外交、国際ーヨーロッパ ブログトップ

600.ドイツのメルケル首相、来日ー2015.3.10 [政治ー外交、国際ーヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

安倍首相は、9日、首相官邸で、ドイツのメルケル首相と会談した後そろって記者会見に臨み、ウクライナの平和と安定へ両国が積極的役割を果たしていくことで一致したことを明らかにしました。
両首脳は、また、過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件などを踏まえたテロ対策や国連安全保障理事会改革での協力も確認しました。
安倍首相は、ロシアのG8サミット=主要国会合への復帰について、「ウクライナ情勢に鑑み、意味のある議論を行える環境にない」として、時期尚早との認識を示しました。
安倍首相は、また、「両国は、戦後、国際協調主義に立脚しつつ、一貫して平和国家として道を歩み、国際社会で平和と繁栄を享受し、自ら力強く貢献してきた」と強調しました。
メルケル首相は、2008年北海道・洞爺湖で開かれたG8サミット=主要国首脳会議に出席するため日本を訪れて以来7年ぶりの来日で、6月ドイツで開かれるG8サミットの参加国回りの一環として日本を訪問しているものです。なお、来年の議長国は、日本の予定です。

(b)ニュースの背景

アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)は、1954年ドイツ北部ハンブルク生まれ、牧師の父親に連れられて生後間もなく東ドイツに移住。ライプチヒ大学で物理学を専攻後、科学アカデミー研究員・物理学博士。東ドイツの民主化運動に加わり、1990年キリスト教民主同盟(CDU)入党、ドイツ統一後初の連邦議会選挙で当選。1991~94年女性青年相、1994~98年環境相。1998年CDU幹事長。2000年CDU初の女性党首。2005年9月総選挙で勝利、11月ドイツ初の女性首相に就任、東ドイツ出身者としても初の首相。2009年9月聡千九尾を経て10月再選、2013年3選。
メルケル氏は、2011年の東日本大震災の際の東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原発の稼働延長を決めていたエネルギー政策を転換し、2022年までの原発停止を決めています。
「メルケル氏の訪日は、2008年の北海道・洞爺湖サミット以来、7年ぶりのことです。」と日本のどのメディアも書いていますが、正しくは、メルケル氏が2005年に就任して以来10年経ちますが、2008年サミットに出席するために来日した時を除いて、日本を訪問したのは初めてです。なお、メルケル首相は、就任以来、中国には7回も訪問しています。

(c)英語のニュース

Japanese Prime Minister Shinzo Abe and West German Chancellor Angela Merkel have reaffirmed that their countries will work closely on a variety of issues, including the Ukrainian crisis and proposed reforms of the United Nations Security Council.
At a joint news conference held in Tokyo on Monday after their talks, Mr Abe referred to the fight against the Islamic State militants and said that Japan and Germany agreed to strengthen counter-terrorism measures.
Mr. Abe noted that Japan and Germany have been peaceful nations since the end of World War Two and have contributed to the international community.
The German Chancellor was making her first visit to Japan in seven years.

(d)ニュースの比較研究

ドイツのメルケル首相の来日のニュースについては、日本のメディアは、安倍首相との日独首脳会談などの報道については、日本側のブリーフィングに基づいて報道しており(このブログの日本語と英語のニュースは、日本のメディアの報道に基づいています)、欧米のメディアの報道が、「歴史認識」と「反原発」を中心に伝えているのとは大きな違いを見せていました。
ドイツの『Deutche Welle』放送とイギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送が伝えたメルケル首相の滞日中の報道を紹介しましょう。

『Deutche Welle』放送は、3本のニュースを伝えています。
・①"Merkel in Japan to talk conflict and climate with Abe"(メルケル首相、日本到着、安倍首相と紛争と気候(変動)問題を協議へ)という見出しで、"German Chancellor Angela Merkel has arrived in Tokyo ahead of scheduled talks with Prime Minister Shinzo Abe. In preparation for this summer's G-7 summit, Merkel plans to discuss climate change, terrorism and free trade.(ドイツのメルケル首相は、安倍首相と会談するため、東京に到着した。メルケル首相は、この夏開かれるG7サミット=先進国首脳会議の準備のため、気候変動、テロ、自由貿易問題を協議する計画である)と報じました。
・②Mend wounds of WWII, urges Merkel in Tokyo"(メルケル首相、東京で、第2次世界大戦の傷をいやすよう要請)という見出しで、"Chancellor Merkel has encouraged Japan to mend post-war ties with its Asian neighbors by saying Germany had "squarely" dealt with its Nazi past. Merkel is visiting Japan ahead of her hosting June's G7 summit in Bavaria"(メルケル首相は、ドイツは、ナチの過去と”まともに”向き合ったということによって、日本に対して、アジアの隣国との戦後の関係を改善するよう要請した)と報じました。
・③”Merkel urges Tokyo to confront Japan's WWII sex slavery crimes"(メルケル首相、日本に対して、日本の第2次世界大戦における性的奴隷の犯罪に向き合うよう要請)という見出しで、"The German chancellor has called on Tokyo authorities to resolve the issue of "comfort women" in World War II. On the last day of her official visit, Merkel also met with female representatives from the private sector"(ドイツの首相は、日本の当局者に対して、第2次世界大戦における”慰安婦”問題を解決するよう呼びかけた。メルケル首相は、公式訪問最後の日に、また、民間の女性の代表と会った)と報じました。

『BBC』放送も3本のニュースを伝えています。
・①"Germany's Merkel addresses WWII reconciliation in Japan"(ドイツのメルケル首相、日本で第2次世界大戦の和解で演説)という見出しで、"German Chancellor Angela Merkel has begun a two-day visit to Japan by doscussing Germany's reconciliation efforts after World War Two. She said Germany had "faced its past squarely", helping it move forward. Japan has been criticized by its neighbours for what is seen as its inadequate acknowledgement and education of wartime atrocities"
(ドイツのメルケル首相は、2日間の日本訪問を始め、第2次世界大戦後のドイツの和解の努力について説明した。首相は、ドイツは、”その過去とまともに向き合い”、それで前進できたと述べた。日本は、隣国から戦争中の残虐行為について不適切な認識と教育を行っているとみられ、批判されてきている)と報じました。
・②"Japan marks 70th anniversary of Tokyo firebombing"(日本、東京大空襲の70周年を迎える)という見出しで、"Japan has marked the 70th anniversary of the firebombing of Tokyo by US forces that killed more than 100,000 people during World War Two"(日本は、第2次世界大戦中10万人以上が死亡したアメリカ軍による東京大空襲から70周年を迎えた)とし、その慰霊祭が行われ、安倍首相ら数百人が出席したことを報じ、そのあとで、"German Chancellor Angela Merkel is in Japan for a two-day visit and met with Mr. Abe. On Tuesday, she touched on the sensitivities surrounding Japan's relations with China and South Korea, urging Japan to resolve the issue of "comfort women" - Japan's wartime military brothels. On Monday, Mrs. Merkel told a news conference that Japan should follow Germany's examples and that settling wartime history was "a prerequisite for reconciliation" But Japan's Foreign Minister Fumio Kishida responded that it was not appropriate to compare Japan and Germany. "The background - what happened to Japan and Germany during the war and what countries their neighbours are - is different", Mr. Kishida told reporters" (ドイツのメルケル首相は、2日間の訪問のため日本に滞在中で、安倍首相と会談した。メルケル首相は、日本の中国と韓国との関係をめぐる微妙な問題に触れ、日本の戦時中の軍の売春宿の”慰安婦”の問題を解決するよう日本に要請した。メルケル氏は、記者会見で、日本はドイツの例に従うべきだとし、戦時中の歴史を解決することは、”和解のための前提条件”だと述べた。しかし、日本の岸田外相は、記者団に、日本とドイツを比較するのは、適当ではないと述べ、戦争中日本とドイツに何が起こったか、どんな国が隣国だったか、そうした背景が違うと述べた)と報じました。
・③"China media urge Japan to learn from Merkel's 'history lecture'(中国のメディア、日本に対して、メルケル首相の’歴史の教訓’から学ぶよう要請)という見出しで、"Papers urge Japanese PM Shinzo Abe to learn from German Chacellor Agela Merkel's "history lecture" and "face up" to the country's military past"((中国の)新聞は、日本の安倍首相に対して、ドイツのメルケル首相の”歴史の教訓”から学び、軍政の過去に直面するよう求めた)と報じました。










コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

349.麻生副総理・財務相、改憲をめぐるナチス発言撤回(最新版)ー2013.8.1-2 [政治ー外交、国際ーヨーロッパ]

*2013.8.3のサロンのテキスト*

(a)日本語のニュース

麻生太郎副総理兼財務相は、1日、憲法改正にめぐって、第2次世界大戦戦前のドイツのナチス政権を例示した自らの発言を「誤解を招いたことは遺憾だ」と述べ、発言を撤回しました。
麻生氏は、3日前の29日、東京都内で開かれたシンポジウムでの講演で、憲法改正に関連して、「憲法の話は、狂騒の中でやってほしくない。ドイツのワーマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わった。誰も気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうか」などと述べました。
この発言に対して、アメリカのユダヤ系人権団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」や中国、韓国の外務省、日本の野党などから、きびしい批判がでていました。
麻生氏は、1日記者団に「憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要と考えている。この点を強調する趣旨で、十分な国民的理解や議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係わる経緯をあげた」と発言の意図を説明し、「この例示が誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」と語りました。
さらに2日、麻生氏は、記者会見で、今回の発言について、「閣僚や議員を辞職つもりはない」と述べました。

麻生氏の発言について、菅義偉官房長官は、1日の記者会見で、31日に麻生氏と電話で協議し、「誤解を招いている」と進言し、麻生氏が「趣旨と違うので撤回したい」と話したことを明らかにした上で、「安倍内閣、政府の立場は、ナチスを肯定的にとらえるようなことは断じてない」と強調しました。

(b)ニュースの背景

ワイマール共和国(Weimar Republic, Weimarer Republik ワイマール共和政)は、1918年のドイツ革命および第1次世界大戦によるドイツ帝国の敗北の結果生まれた共和国または共和体制。1919年ワイマールで国民議会が開かれ、憲法(ワイマール憲法)を制定したので、ワイマール共和国と通称されています。
共和国を支えた政党は、ドイツ社会民主党、民主党、中央党、ドイツ人民党で、政権はつねにこれら諸政党の連立内閣でした。共産党とナチスは、この体制の反対政党でした。1933年ヒトラーの権力奪取によってワイマール政権は崩壊してしまいます。

ワイマール憲法は、ワイマール共和国の憲法。憲法典に記されている正式名は、ドイツ国憲法(Die Verfassung des Deutschen Reichs)です。
1919年ワイマールで開かれた制憲国民議会の議決に基づいて制定され、同年に公布されました。それまでの帝国憲法(1871年)と異なり、民主主義的憲法の典型とされています。議院内閣制の原則がとられ、直接選挙制で選ばれる大統領に対し、その解任のための国民投票に付する権限が議会に与えられていました。市民的自由と並んで社会的自由が広範に認められたことでも有名です。
しかし、この憲法は、1933年ヒトラーの権力掌握によって、蹂躙されてしまいます。ヒトラー支配下の「ドイツ第3帝国」期においては、ワイマール憲法に替わる新たな憲法を制定することはありませんでした。このため、ワイマール憲法は、形式的には、1949年のドイツ連邦共和国基本法(ボン基本法)に替わるまで存続したことになりますが、実質的には1933年の全権委任法(政府が立法権を手中におさめただけでなく、憲法に係わる無制限の権限があたえられ法)の成立のよって効力を失ってしまいました。

(c)英語のニュース

Japan's Deputy Prime Minister and Finance Minister Taro Oso has retracted his controversial remarks that could be interpreted as holding up Nazi Germany as an example for Japan to follow in
revising its Constitution.
Speaking to newsmen in Tokyo on Thursday, he said that he regrets his remarks were taken as a way differing from his true intentions and invited misunderstanding.
And, on Friday, Mr. Aso said that he will not resign as a Cabinet member or lawmaker over his remarks.
Mr. Aso, who was once Prime Minister,came under fire domestically and internationally after he said in a speech in Tokyo on Monday that Japan should learn how Germany's Constitution under the Weimar Republic was transformed by the Nazis before anybody realized what was happening.
Mr. Aso's remarkds drew harsh criticism from a Jewish human rights group in the United States - the Simon Wiesenthal Center - , the foreign ministries of China and South Korea and Japanese oppsition parties.

(d)ニュースの比較研究

麻生副総理兼財務相が、憲法改正にからんでワイマール憲法とナチに言及した発言は、特に外国で大きな反響を呼び、麻生氏は、発言を撤回しました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

ドイツの『DW(=Deutche Welle)』放送は、"Japanese minister Aso wihdraws Nazi comment"(日本の麻生大臣、ナチのコメントを撤回)という見出しで、”A Japanese minister has withdrawn a remark suggesting his country could learn from constitutional changes made by the German Nazi party in the 1930's. Tokyo wants legal amendments to allow a strengthening of its military"(日本の閣僚が、日本は、1930年代ノドイツ・ナチ党による憲法の変更から学ぶことができるということを示唆した見解を撤回した。日本政府は、軍隊を強化することを認める法改正を望んでいるのだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"Japanese minister Aso retracts Nazi comment amid criticism"(日本の麻生大臣、批判の中でナチのコメントを撤回)という見出しで、"Japanese Deputy Prime Minister Taro Aso retracted on Thursday a comment he had made that referred to Adorf Hitler's rise to power and which was interpreted as praising the Nazi regime"(日本の麻生副総理は、アドルフ・ヒトラーの権力奪取に言及し、それがナチ体制を称賛するものとして解釈されたコメントを撤回した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Japan Deputy PM Taro Aso retracts Nazi comments"(日本の麻生副総理、ナチのコメントを撤回)という見出しで、"Japan's Deputy Prime Minister Taro Aso has retracted remarks suggesting that the country could learn from Nazi Germany's constitutional reform. Mr. Aso said on Monday Japan could "learn the technique" Nazi Germany used to change the Weimar constitution"(日本の麻生副総理は、日本がナチ・ドイツ
の憲法改革から学ぶことができることを示唆した見解を撤回した。そして、麻生氏は、日本は、ナチ・ドイツが憲法を改正するのに使った”技術を学ぶ”ことができるだろうと述べた)と報じました。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、Japan Finance Minister under fire for Nazi comment"
(日本の財務相、ナチのコメントで非難をあびる)という見出しで、"Japanese Finance Minister Taro Aso has retracted a comment he made this week suggesting Japan should follow the Nazi example of how to change the country's constitution following complaints from neighboring countries and human rights activitists"(日本の麻生財務相は、日本は国の憲法を改正する方法でナチの例に習うべきだということを示唆したコメントを撤回した。これは、隣国や人権活動家たちから批判がでてから後のことだ)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"Japan's Deputy PM Tries to Unknot Tongue After Nazi Remark"(日本の副総理、ナチに関する見解の後、発言の波紋を鎮静化しようと試みている)という見出しで、"Japan's outspoken, gaffe-prone deputy prime minister and finance minister, Taro Aso, seems to have outdone himself this time - so much so he felt the need to back away from remarks earlier in the week suggesting the Nazis offered a useful example of how to change a nation's constitution"
(ずけずけものをいい失言癖のある日本の麻生副総理兼財務相は 今回はいつになくさえていたように思われる。それは、ナチスが1国の憲法を改正する方法の有益な例を提示していると先に述べた見解から後退する必要性をすごく感じたからだ)と報じました。




コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

321.安倍首相、東欧4か国首脳と会談ー2013.6.16 [政治ー外交、国際ーヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

安倍首相は、16日ポーランドの首都ワルシャワで、東ヨーロッパのポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4か国の首脳と会談し、原子力をはじめとするエネルギー分野や安全保障の分野で協力を進めていくことで合意した共同声明を発表しました。
安倍首相は、イギリスで17日から始まるG8サミット=主要国首脳会議に出席するのに先立って、日本の首相として10年ぶりにポーランドを訪れたものです。
安倍首相と東ヨーロッパ4か国の首脳による共同声明は、また、日本と東ヨーロッパの4か国の専門家による安全保障セミナーを年内にも開き、連携を深めることで一致し、首脳や外相の対話を定例化する重要性を確認しました。

(b)ニュースの背景

東ヨーロッパのポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4か国は、V4=ビシェグラード4といわれる地域協力の枠組みを作っています。この枠組みは、チェコとスロバキアが分かれる前の1991年ハンガリー北部の町ビシェグラードでポーランド、当時のチェコスロバキア、ハンガリーの3か国の首脳が合意して発足したものです。

(c)英語のニュース

Japanese Prime Minister Shinzo Abe and his counterparts from Poland, the Czech Republic, Hungary and Slovakia have agreed in Warsaw to strengthen cooperation in the fields of energy,including nuclear power, and security.
The agreement was contained in a joint statement issued on Saturday after talks in Warsaw attended by Mr. Abe and four leaders - Mr. Donald Tusk of Poland, Mr. Petr Necas of the Czech Republic, Mr. Viktor Orban of Hungary and Mr. Robert Fico of Slovakia.
The joint statement also says that Japan and the four countries agreed to strengthen national security ties by holding a seminar, possibly by year-end, and confirmed the holding of regular talks at the leadership and foreign ministerial levels.
The four countries are called V4 or Visegrad Group of East European nations.
Mr. Abe visited Poland on his way to Britain to attend the G8 summit.

(d)ニュースの比較研究

安倍首相と東欧4か国首脳による共同声明のニュースについては、今のところ外国のメディアは、報道していません。
コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

316.日仏首脳会談、共同声明発表ー2013.6.7 [政治ー外交、国際ーヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

安倍首相は、7日首相官邸で、日本を訪れているフランスのオランド大統領と会談し、安全保障分野での協力を強化するため、外務・防衛閣僚級協議を行っていくことで合意しました。
会談後、両首脳は、共同記者会見に臨んで共同声明を発表し、外務・防衛閣僚級協議、いわゆる2プラス2をできるだけ早期に開催し、防衛装備品の共同開発や輸出管理について対話を行うことで一致しました。
また、核燃料サイクルなど原子力関係の技術開発での連携を確認し、原子力関連技術の輸出を進めるための協力を強化することで合意しました。
さらに、今年1月アルジェリアで起きた人質事件を踏まえて、中東、アフリカの治安情勢について情報交換を緊密に行うことや日本とEU=ヨーロッパ連合が進めているEPA=経済連携協定の早期締結を目指しし、交渉を促進することで一致しました。
オランド大統領は、6日から3日間の日程で国賓として日本を訪れているもので、7日天皇、皇后両陛下と会見しています。フランスの大統領が国賓として日本を訪れたのは、17年ぶりのことです。

(b)ニュースの背景

フランソワ・オランド(Francois Hollande)氏は、1954年8月12日フランス北部のルーアンで医師の家庭で生まれ、パリ政治学院、国立行政学院を卒業。1988年下院議員に初当選、1997年から2008年までの11年間社会党トップの第1書記をつとめました。2001年から2008年まで中部のチュール市の市長もつとめました。2012年5月行われた大統領選挙に社会党候補として立候補し、現職のサルコジ大統領を破って当選しました。
フランスの政治体制は、大統領制と議院内閣制の混成型で、大統領は、任期5年で有権者から直接選ばれ、首相の任命(ただし、議会の信任が必要)、下院の解散、法案などを国民投票にかける権利、非常事態の指揮権など強い権限をもっています。

(c)英語のニュース

Japanese Prime Minister Shinzo Abe and French President Francois Hollande have agreed to
hold a meeting of foreign and defense ministers of the two countries to discuss security and defense cooperation.
The agreement was contained in a joint statement issued after talks between the two leaders in Tokyo on Friday.
The joint statement says that the meeting of foreign and defense ministers of the two countries will discuss joint development of defense equipment and export control of such equipment.
IIt also says that Japan and France agreed to cooperate in exporting nuclear power technologies.
The joint statement says that the two countries agreed to closely exchange information on the security situation in the Middle East and Africa in connection with terrorists' attacks on a gas plant in Algeria in January in which Japanese nationals were among the dead.
It also says that the two countries will help accelerate negotiations between Japan and the European Union to conclude an economic partnership agreement for free trade.
Earlier on Friday, French President Hollande, now on a state visit to Japan, met the Japanese Emperor and Empress.

(d)ニュースの比較研究

日仏首脳会談のニュースについては、日本のメディアは、いずれも安倍首相とオランド大統領の共同記者会見と共同声明を中心に詳しく報道していましたが、外国のメディアは、このニュースをあまり報道していませんでしたし、報道したメディアも、日本のメディアのようなう形で取り上げたものはほとんどありませんでした。
フランス、アメリカ、イギリスの通信社の報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence-France Presse) 』通信は、"France's Hollande calls Japan "China"(フランスのオランド大統領、日本を”中国”と呼ぶ)という見出しで、"France's Francois Hollande was left red-faced in Tokyo on Friday after a slip of the tongue that saw him confuse his Japanese hosts with the Chinese."(フランスのフランソワ・オランド大統領は、日本のことを中国のことと混同して言葉を間違えたことから東京で恥をかいた)と伝え、"During a press conference , Hollande, speaking in French, referred to the Algerian hostage crisis in January in which 10 Japanese nationals died, saying that he had "expressed the condolence of the French people to the Chinese people". The President, who is in Japan on a three- day state visit, made no attempts to correct his mistale"(オランド大統領は、記者会見で、フランス語で話し、日本人10人が死亡したアルジェリアの人質事件について、”中国国民に対して、フランス国民の哀悼の意を表する”と述べたのだ。大統領は、3日間にわたって日本を公式訪問中だが、彼の間違いを正そうとはしなかった)と報じました。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"French president urges release of 2 journalists believed at risk in Syria"(フランス大統領、シリアで危険な目に遭っているとみられる2人のジャーナリストの釈放を要求)という見出しで、"French President Francois Hollande called Friday for the release of two French journalists missing in Syria, saying that their lives were at risk. Hollande, who is visiting Tokyo on a state visit, told repoters he could not give details about the two"(フランスのフランソワ・オランド大統領は、シリアで行方不明になっている2人のフランス人ジャーナリストの釈放を呼びかけ、彼らの命が危険にさらされていると述べた。オランド大統領は、東京を公式訪問しているが、記者団に、2人については詳細をいうことはできないと語った)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"France, Japan join forces for larger share of nuclear market"(日仏、原子力市場のより広い分野で協力)という見出しで、”Japan and France on Friday agreed to boost nuclear cooperation to secure a larger share of global atomic energy markets as Tokyo's pro-nuclear government looks to restart reactors despite public unease in the wake of the Fukushima disaster"(日本とフランスは、世界の原子力市場のより広い分野を確保するために協力することで合意した。それは、原子力発電に好意的な日本政府が、福島の原発事故で国民が不安に思っているにもかかわらず、原子炉を再稼働するようにみられるからだ)と報じました。



コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
政治ー外交、国際ーヨーロッパ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。