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705.甘利経済再生相辞任、安倍政権に打撃ー2016.1.30 [政治]

(a) 日本語のニュース

安倍内閣の主要閣僚である甘利明経済再生相が、週刊誌で報じられた建設会社からの現金授受を認め、辞任しました。甘利氏が安倍政権の経済政策「アベノミックス」やTPP=環太平洋経済連携協定の交渉で推進役をつとめてきただけに、安倍政権にとって大きな打撃になるものとみられます。
甘利経済再生相は、28日内閣府で記者会見し、週刊文春で報じられた千葉県の建設会社からの現金授受の問題について、自らが、大臣室や地元事務所で、50万円ずつ合わせて100万円を受け取ったことを認めたほか、地元事務所の秘書が500万円を受け取り、200万円は適切に会計処理したが、残り300万円については私的に流用したことを明らかにしました。そして、自らの秘書の監督責任と国会審議に支障をきたしかねないといった理由から経済再生相を辞任する意向を表明しました。
甘利氏は、自らが受け取った100万円については、秘書に政治資金として適切に処理するよう指示したと説明するとともに、衆議院議員を辞職するつもりはないと述べました。
安倍晋三首相は、同日、甘利氏の辞任を了承し、後任に石原伸晃元自民党幹事長を当てました。
2012年12月第2次安倍政権の発足以来、4人目の閣僚交代に至ったことで、安倍首相は、今後政権運営の立て直しを迫られることになりますが、安倍政権の重要政策を担ってきた甘利氏の辞任は、政権にとって大きな打撃になるものとみられています。

(b) ニュースの背景

「政治とカネ」をめぐる法律には、政治資金規正法があります。この法律は、政治家や政治団体が受け取る政治資金を透明にするため1948年に議員立法で制定されたもので、政治資金の収支の公開や量的規制を規定し、罰則もあります。
政治活動を行うために寄付を受けたり、支出したりする政治団体は、毎年12月31日現在での収入や支出、資産などの状況を翌年3月末までに報告することが定められています。
1999年の改正で、政治家個人の政治団体に対する企業・団体献金は禁止されています。2007年12月改正法が成立、2008年1月に施行され、対象となる政治団体は、1万円以下の領収書を保管、1万円超の分は、総務省や都道府県選挙管理委員会に提出、開示請求があれば、原則公開することになっています。また、政治資金収支報告書や領収書の監査が義務づけられています。
しかし、国会議員の親族が代表をつとめる政治団体や地方議員は対象外、また、毎月100万円支給される文書通信交通滞在費は対象外など、支出の全体像がわかるようにはなっていません。
さらに、政治家が代表をつとめる政党支部や実質的に企業の影響下にある政治団体を抜け道とする献金があるほか、事務所費の架空計上などがあり、「ザル法」だと批判する声もあります。
政治資金規正法の罰則については、政治資金収支報告書に虚偽の記入をした者は、5年以下の禁固または100万円以下の罰金などを規定しています。報告書を提出しなかったり、収入など記入すべき事項を記載しなかった場合も同様の罰則になります。国会議員ら政治団体の代表者が虚偽記入などに直接関与していなくても、会計責任者の選任と監督に相当の注意を怠った場合は、50万円以下の罰金が科せられます。

(c)英語のニュース

A key Japanese Cabinet minister has resigned to take responsibility over a money scandal, dealing a heavy blow to Prime Minister Shinzo Abe’s policies to revive the country’s economy.
Economic Revitalization Minister Akira Amari has played a central role in carrying out Prime Minister Abe’ economic policies, called the Abenomics and concluding negotiations on the Trans-Pacific Partnership free trade agreement.
Mr. Amari stepped down on Thursday amid allegations of mishandling funds. He admitted at a news conference in Tokyo to personally receiving money worth 1 million yen or about 8,500 U.S. dollars from a construction company. But he maintained that the funds were properly reported in his political funds control report. Mr. Amari again denied having acted illegally.
However, he admitted that one of his secretaries received 5 million yen from the construction company and that 3 million yen out of the money was not declared in his political funds report and used privately by the secretary.
Mr. Amari said that he will resign to take responsibility for improper management of his office staff. He further maintained that, were he to stay in the post, it would only hinder deliberations on the fiscal 2016 national budget in parliament.
Prime Minister Abe accepted Mr..Amari’s resignation and immediately appointed a former secretary general of the ruling Liberal Democratic Party, Mr. Nobuteru Ishihara as his successor. Mr. Ishihara had also served as administrative reform minister, transport minister and environment minister.

(d) ニュースの比較研究

甘利経済再生相の辞任のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道していました。外国のメディアは、週刊文春が報道した時から甘利氏のコメントとともに詳しく報道していました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”Japan’s Economy Minister Akira Amari to Resign Over Political-Funds Scandal – Amari acknowledges personally receiving money from a person at a company involved in a property dispute –“(日本の甘利経済相、政治資金のスキャンダルで辞任へ - 甘利氏、不動産をめぐる問題に関連した会社の人物から個人的にカネを受け取ったことを認める -)という見出しで、”Japanese Economy Minister Akira Amari, a close ally of Prime Minister Shinzo Abe, said Thursday he would resign to take responsibility for a political-funds scandal. Mr. Amari was Japan’s top negotiator in the Trans-Pacific Partnership trade talks, a U.S.-led trade agreement among 12 Pacific nations”(安倍首相に近い日本の甘利経済相は、政治資金のスキャンダルで責任をとって辞任すると述べた。甘利氏は、太平洋12か国の間のアメリカ主導の自由貿易協定である環太平洋経済連携協定の交渉で首席代表だった)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、”Akira Amari, Japan’s Economic Revitalization Minister, Resigns Amid Scandal”(日本の甘利経済再生相、スキャンダルで辞任)という見出しで、”A chief architect of Prime Minister Shinzo Abe’s plan to resuscitate Japan, the world’s third-largest economy, resigned on Thursday after reports by a magazine that he had accepted money from the head of a construction company in exchange for political favors.
Akira Amari, the minister for economic revitalization, announced his resignation after markets closed in Japan. It was both a surprise and an embarrassing setback for Mr. Abe, who has used monetary easing by the Bank of Japan and other economic measures – a package known as Abenomics - to reverse the deflation and lackluster economic growth that have beleaguered the country for much of the past quarter-century”(世界第3の経済大国・日本を再活性化させようという安倍首相の計画の主たる設計者が、政治的恩恵を与えた代償として建設会社の社長からカネを受け取ったと雑誌で報道された後辞任した。それは、安倍首相にとって、驚きであり、当惑させるような後退だった。安倍首相は、過去四半世紀のほとんどの間日本を取り巻いているデフレと活気のない経済成長から脱却するために、日本銀行による金融緩和やその他の経済的措置―アベノミックスとして知られている一括方式―を使って来たのだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Japan’s economy minister resigns over money scandal, denies bribery”(日本の経済相、カネのスキャンダルで辞任、わいろは否定)という見出しで、”Japanese Economy Minister Akira Amari resigned abruptly on Thursday to take responsibility for a political funding scandal that has rocked the government, but denied having taken bribes”(日本の甘利経済相は、政府をゆるがせた政治資金のスキャンダルの責任をとって突然辞任した。しかし、わいろは受け取っていないと否定した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Japanese economy minister Akira Amari quits over bribery claims”(日本の甘利経済相、わいろをめぐる報道で辞任)という見出しで、”Japan’s Economy Minister Akira Amari has said he is resigning amid corruption allegations. Mr. Amari unexpectedly made the announcement at a press conference in Tokyo on Thursday. But he again denied personally receiving bribes from a construction company, as had been alleged by a Japanese magazine. The development will be seen as a significant blow to Prime Minister Shinzo Abe”(日本の甘利経済相は、汚職報道の中で、辞任すると述べた。甘利氏は、突然東京での記者会見で、辞任の発表をした。しかし、彼は、日本の雑誌に報道されたような、建設会社から個人的にわいろを受け取ったということは再び否定した。こうした動きは、安倍首相にとって大きな打撃になるものとみられる)と報じました。

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704.昨年の訪日外国人旅行者、過去最多の1973万人ー2016.1.21 [社会]

*2016.1.23の阿佐谷のテキスト*(701~704)

(a) 日本語のニュース

昨年日本を訪れた外国人旅行者の数が、これまでで最も多い2000万人近くになりました。
日本政府の観光局が19日に発表したところによりますと、2015年に日本を訪れた外国人旅行者の数は、これまでで最も多い1973万人で、前年に比べて47%増え、日本で使ったお金もこれまでで最高の3兆4771億円で、前年に比べて71%増えました。
最も多い旅行者は、中国からで、499万人で、前年のおよそ2倍にのぼり、全体の25%、消費額も最も多く、1兆4174億円で、前年のおよそ2倍で、全体の40%を占め、「爆買い」に象徴される購買意欲の旺盛な中国からの旅行者の消費が、全体を大きく押し上げています。
2番目に多い旅行者は、韓国からで、400万人で、全体の20%、消費額は、3位で3008億円、3番目に多い旅行者は、台湾からで、367万人で、全体の19%、消費額は、2位で5207億円となっています。
日本を訪れる外国人旅行者が大幅に増えた要因は、外国人旅行者にとって円安による割安感のほか、ビザの発給要件の緩和や免税制度の拡充などがあげられます。

(b) ニュースの背景

国土交通省観光庁のHPによる観光統計(2016年1月19日発表)

・訪日外国人旅行者数
① 中国、499万人、全体の25%、②韓国、400万人、20%、③台湾、367万人、19%、④香港、152万人、8%、⑤アメリカ、103万人、5%

・訪日外国人旅行消費額
① 中国、1兆4174億円、全体の41%、②台湾、5207億円、15%、③韓国、3008億円、9%、④香港、2627億円、8%、⑤アメリカ、1814億円、5%

・訪日外国人旅行者1人当たりの旅行支出
① 中国、28万4000円、②アメリカ、17万6000円、③香港、17万2000円、④台湾、14万2000円、⑤韓国、7万5000円

・世界の外国人旅行者数(2014年の実績)
① フランス、8370万人、②アメリカ、7475万人、③スペイン、6499万人 、
④中国、5562万人、⑤イタリア、4857万人、⑥トルコ、3981万人、⑧ドイツ、3300万人、⑧イギリス、3261万人、⑨ロシア、2984万人、⑩メキシコ、2909万人、⑪香港、2777万人、⑫マレーシア、2743万人、⑬オーストラリア、2529万人、⑭タイ、2477万人、⑮ギリシャ、2203万人、(日本、1973万人)

(c)英語のニュース

A record 19.73 million foreign people visited Japan last year.
The Japan National Tourism Organization says that about 19.73 million foreign nationals visited the country last year, up 47 percent from the previous year.
A weaker yen and looser visa requirements are cited as major factors.
Visitors from China topped the list for last year, accounting for 4.99 million, more than twice as many from the year before. They were followed by 4 million from South Korea and 3.67 million from Taiwan.
Spending by foreign visitors also reached a record 3.48 trillion yen last year, up 71 percent from the previous year.
Chinese people accounted for 41 percent, followed by 15 percent for Taiwanese and 9 percent for South Koreans.

(d)ニュースの比較研究

昨年の訪日外国人旅行者が過去最多の1973万人に達したというニュースについては、今のところ外国のメディアは伝えていません。

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703.中国の昨年のGDP=国内総生産の成長率、25年間で最低ー2015.1.21 [国際ーアジア]

*2016.1.23の阿佐谷のテキスト*(701~704)

(a) 日本語のニュース

中国の昨年のGDP=国内総生産の成長率は、実質で6.9%で、25年ぶりの低水準になり、中国経済の減速が一段と鮮明になってきました。
中国の国家統計局が19日発表したところによりますと、2015年のGDP=国内総生産は、物価変動の影響を除いた実質で、2014年に比べて6.9%のプラスにとどまり、天安門事件の翌年、米欧の経済制裁の影響を受けた1990年以来25年ぶりの低水準になりました。
これは、地方を中心に大量にマンションが売れ残り不動産向けの投資の伸びがこの1年で急速に縮んで、鉄鋼やセメントなどの建築資材の生産が振るわないなど内需の弱さが続いたことが主な要因です。
中国政府は、2015年の成長率を3年ぶりに引き下げて「7.0%前後」としていましたが、目標を下回るのは、今回で2年連続のことです。このことからも、経済の減速が政府の見込みよりも進んでいるということを示しています。

(b) ニュースの背景

中国国家統計局が19日発表した主要な経済統計は以下の通りで、中国経済は生産と投資の不振が鮮明になっています。(2014年→2015年 %は、前年比伸び率)
・実質成長率―2014年・7.3%→2015年・6.9%(1990年以来25年ぶりの低水準)
・生産(工業生産)―8.3%→6.1%(設備過剰が深刻)
・投資(固定資産投資)―15.7%→10.0%(鉄道整備などインフラ頼み続く)
・消費(社会消費品小売総額)-12.0%→10.7%(ネット通販は売上高33%増)
・不動産開発投資―10.5%→1.0%(在庫が重く、伸び10分の1に)
・卸売物価指数―マイナス1.9%→マイナス5.2%(デフレ圧力で企業債務負担重く)
・輸出―6.1%→マイナス2.8%(2009年以来の減少)
・輸入―0.5%→マイナス14.1%(2009年以来の減少)

(c)英語のニュース

China’s economy grew at its slowest pace in 25 years last year.
China’s National Bureau of Statistics says that the real gross domestic product in 2015 fell 0.4 percent from 2014, or at a rate of 6.9 percent. This is the lowest rate since 1990 when the United States, European countries and Japan imposed economic sanctions on China due to the Tiananmen incident.
The lowest growth rate in the gross domestic product is due to remarkable decreases in investment, production and consumption.

(d)ニュースの比較研究

中国の昨年のGDP=国内総生産の成長率が6.9%と25年間で最低を記録したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも報道しました。日本のメディアの報道の方が大きく取り上げ詳しかったと思います。

アメリカの『The New York Times』紙は、”China G.D.P. Growth at Slowest Pace Since 2009, Data Shows”(統計によれば、中国のGDP=国内総生産の成長率は、2009年以来最も遅いペース)という見出しで、”China’s growth slowed further last year, adding to the troubling economic picture that is unsettling investors around the world. The Chinese economy grew at a 6.8 percent in the fourth quarter, according to data released on Tuesday. It was the lowest quarterly expansion since the global financial crisis in 2009”(中国の経済成長が昨年さらに遅くなった。このことは、世界中の投資家たちを不安がらせている中国の困難な経済状況にあらたな要因として加わった。発表されたデータによれば、中国の経済は、昨年の第4四半期には、6.8%の成長だった。これは、2009年の世界的な金融危機以来、四半期の成長率としては最低だ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”China’s markets cheer the country’s GDP numbers”(中国の市場、中国のGDP=国内総生産の数字を歓迎)という見出しで、”China’s markets cheered the country’s latest GDP numbers on Tuesday, which were in line with expectations. The world’s second-biggest economy grew by 6.9% in 2015, compared with 7.3% a year earlier. The numbers mark its slowest growth in a quarter of a century, but that did little to rock investor sentiment”(中国の市場は、中国の最新のGDP=国内総生産の数字を歓迎した。それは、期待に沿ったものだったからだ。世界第2の経済大国(中国)の経済は、2014年の7.3%に比べて、2015年は6.9%だった。それらの数字は、この25年間で最も遅い成長率だが、ほとんど投資家心理を動かすまでには至らなかった)と報じました。












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702.台湾総統に野党・民進党の蔡英文主席ー2016.1.20 [国際ーアジア]

*2016.1.23の阿佐谷のテキスト*(701~704)

(a)日本語のニュース

台湾の総統に独立志向の野党・民進党の蔡英文氏が当選しました。8年ぶりの政権交代で、総統に女性が就任するのは、初めてです。
台湾総統選挙は、16日投開票が行われ、独立志向の野党・民進党の蔡英文主席(59歳)が、中国に急接近した与党・国民党の朱立倫主席(54歳)や親民党の宋楚瑜主席(73歳)を大差で破り、当選を果たしました。
中央選挙委員会の集計によりますと、蔡氏の得票率は、56.12%、朱氏は、31.04%、宋氏は12.84%でした。投票率は、過去最低の66.27%でした。
蔡氏は、5月20日に総統に就任する予定です。
総統選挙と同時に行われた立法院の選挙でも、民進党が、113議席のうち68議席を獲得し、初めて過半数を制しました。
蔡氏は、記者会見で、「選挙結果は、台湾の民意のあらわれだ。これに圧力をかけることは、両岸関係の安定を破壊するものだ」と述べ、中国をけん制しました。

(b)ニュースの背景

2008年に発足した国民党の馬英九政権が国民の支持を失った理由としては経済の低迷や格差拡大、相次ぐ不祥事などが挙げられますが、最も大きな理由は急進的な対中融和政策です。2014年3月両岸サービス貿易協定の批准を巡って台湾の立法院(議会)が紛糾し、学生らは経済的に中国に取り込まれることを恐れて「ひまわり学生運動」と呼ばれる大規模な抗議運動を行いました。
蔡氏は、こうした動きとも連動し、世代間格差の是正や政治的対立の終結を唱え、圧倒的な支持を集めました。
蔡氏は、中台関係については、「現状維持」を掲げ、挑発的な行動はとらないことを明言しており、台湾統一を望んでいる中国とどのような中台関係を築いていくのか注目されます。

(c)英語のニュース

The leader of Taiwan’s major opposition Democratic Progressive Party, Ms Tsai Ing-wen, won the presidential election held on Saturday.
She will become Taiwan’s first female president. Her Party will return to power after 8 years.
The election commission says that Ms. Tsai won 56 percent of the votes while the leader of the ruling Nationalist Party, Mr. Eric Chu took 31 percent. The turnout was a record low of 66 percent.
Ms. Tsai told newsmen that voters in Taiwan made history and that she deeply respects those who brought about a change of power.
Her party also won a majority for the first time in legislative elections held on the same day. The Democratic Progressive Party gained 68 seats in the 113-seat legislature.

(c) ニュースの比較研究

台湾総統選挙で独立志向の野党・民進党の蔡英文氏が選ばれたニュースについては、日本のメディアも、外国のメディアも詳しく伝えました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Mainland highlights 1992 Consensus as Tsai elected Taiwan leader”(蔡氏、台湾のリーダー選出で、中国本土、1992年のコンセンサス強調)という見出しで、”The Chinese mainland’s Taiwan affairs authority has reiterated the importance of adhering to the 1992 Consensus after Tsai Ing-wen, candidate of the Democratic Progressive Party(DPP), was elected Taiwan leader on Saturday”(台湾の民進党の候補者蔡英文氏が、台湾のリーダーに選出された後、中国の台湾問題担当官は、1992年のコンセンサスを順守する重要性を繰り返し強調した)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Taiwan Nationalist concedes defeat, congratulates Tsai Ing-wen as President”(台湾の国民党、敗北を認め、総統に選ばれた蔡氏に祝意)という見出しで、”Taiwan appears to have its first female president in a landmark election that could unsettle relations with Beijing”(台湾に画期的な選挙で初の女性の総統誕生。しかし、中国との関係は未解決)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Tsai Ing-wen elected Taiwan’s first female president”(蔡英文氏、台湾初の女性総統に選出)という見出しで、”Tsai Ing-wen has been elected Taiwan’s first female president. Ms Tsai, 59, leads the Democratic Progressive Party(DPP) that wants independence from China”(英文蔡氏、台湾初の女性総統に選出された。蔡氏は、59歳で、中国からの独立を望んでいる民進党の主席だ)と報じました。

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701.軽井沢でスキーバス転落事故15人死亡(最新版)ー2016.1.21 [社会]

*2016.1.23の阿佐谷のテキスト*(701~704)

(a)日本語のニュース

15日長野県軽井沢町のバイパスで、スキー客を乗せたバスが道路から転落し、乗っていた41人のうち大学生の乗客13人と乗員2人の合わせて15人が死亡した事故で、警察は、18日以降車体を検証し、事故原因の捜査を続けました。
15日未明長野県軽井沢町の碓氷バイパスで、スキーツアーのバスが反対車線に出てガードレールを乗り越え、およそ3メートル下に転落し、乗客の大学生12人と乗員2人の合わせて14人が死亡したほか、残る27人の乗客全員が重軽傷を負い、このうち男性2人が重体でしたが、そのうちの1人が18日に死亡しました。
警察は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の容疑で捜査を進め、17日バスの車体をバスのメーカーの施設に移し、18日以降、技術者を立ち会わせて、運転席付近やエンジンなど車体を検証し、事故原因の究明を行いました。

(b)ニュースの背景

バスは、観光事業会社「イーエスピー」(東京都羽村市)が運航し、同社の土屋広さん(65)と勝原恵造さん(57)が運転手として乗務し、事故当時は、土屋さんが運転していました。
スキーツアーは、旅行会社「キースツアー」が企画し、バスは、乗客39人と乗員2人を乗せて、14日午後11時に東京・原宿を出発、長野県北部の飯山市の斑尾高原のスキー場に向かい、15日午前2時ころ予定にはなかった一般道の長野県軽井沢町の入山峠付近で事故が起き、乗客の大学生ら13人と乗員2人の合わせて15人が死亡し、残る26人が重軽傷を負いました。死者10人以上を出した交通事故は、1996年以来初めてのことです。
国土交通省は、今回の事故をめぐり、バスを運行した会社「イーエスピー」でずさんな安全管理が常態化していた問題を受け、問題があるバス事業者の監視強化をはかる方針です。

(c)英語のニュース

Japanese police are now continuing investigations on the crash of a ski tour bus in central Japan that killed 13 passengers and 2 drivers. 26 other passengers were injured。
The chartered bus plunged off a mountain road on January 15th in the resort town of Karuizawa in Nagano Prefecture. It was on its way from Tokyo to a ski resort, north of the prefecture.

(c) ニュースの比較研究

軽井沢でのスキーツアーバスの転落事故のニュースについては、日本のメディアは、大事故として警察の捜査、国土交通省の調査、遺族や関係者の話などを詳しく伝えました。外国のメディアは、事件、事故のニュースについてはよく報道しますが、今回の事故についても詳しく伝えていました。
代表的なメディアの報道(1月17日現在のもの)を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、”Japan ski tour bus in Nagano crash kills 14, injures 27”(長野でスキーツアーバス事故、14人死亡、27人けが)という見出しで、”An overnight bus on its way to a ski resort in central Japan careened off a mountain road early Friday, killing 14 passengers and injuring 27 others”(中部日本のスキー場に向かっていた夜行バスが、山道を揺れながら疾走した事故で、14人の乗客・乗員が死亡し、27人がけがをした)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence France Presse)』通信は、”14 dead after Japan ski bus hurtles off mountain road”(日本のスキーバス、山道を突っ走ってはずれ14人死亡)という見出しで、“Fourteen people were killed and dozens injured when their bus plunged off a mountain road in Japan on its way to a ski resort in the country’s worst such accident for 25 years”(バスが、スキー場に行く途中で、山道から転落し、14人が死亡し、20人以上がけがをした。この25年間で日本で最悪の事故になった)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Japan mountain bus crash kills 14 and injures 27”(日本の山でバスの事故、14人が死亡し、27人がけが)という見出しで、”A bus taking passengers to a ski resort in central Japan has veered off a mountain road, killing 14 people and injuring 27”(乗客を中部日本のスキー場に運んでいたバスが、山道からはずれて転落、14人が死亡し、27人がけがをした)と報じました。















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700.日米韓、北朝鮮制裁で新たな決議必要で一致ー2016.1.14 [政治ー外交、国際ーアジア、アメリカ、国連]

*2016.1.16の荻窪のテキスト*

(a) 日本語のニュース

6日の北朝鮮の核実験を受けて、日本、アメリカ、韓国の政府高官が、13日ソウルで会談し、国連安全保障理事会で、北朝鮮に対する新たな制裁決議が必要であることで一致しました。
会談に出席したのは、日本の外務省の石兼公博アジア太平洋局長、アメリカのソン・キム北朝鮮政策特別代表、それに韓国の外務省のファン・ジュングク朝鮮半島平和交渉本部長で、3人は、いずれも北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の首席代表です。
日米韓3か国は、13日の結果を踏まえて、16日に東京で外務次官らによる協議を行う予定で、緊密に連携して北朝鮮への圧力を強めていくことにしています。

国連安全保障理事会は、6日、報道機関向けの声明を発表し、北朝鮮による核実験を強く非難するとともに、制裁強化のための新たな決議に向け、直ちに協議を開始することを明らかにしています。
声明は、北朝鮮に近い中国を含む全会一致でまとめられたものです。
安保理は、北朝鮮による2006年、2009年、2013年の核実験に際し、全国連加盟国による北朝鮮との武器取引禁止や核・弾道ミサイルに関連した資産の凍結などの制裁を発動し、制裁の種類や対象を拡大・強化してきています。

(b) ニュースの背景

北朝鮮の核実験―北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、北朝鮮は、6日、初の水素爆弾の実験を行い、成功したと発表しました。
この発表は、「水爆実験は、完全に成功した。水爆の技術が正確だということを証明し、小型化された水爆の威力を科学的に解明した」と伝え、「水爆の実験は、アメリカをはじめとする敵対勢力から国の主権と生存権を守り、朝鮮半島の平和と安全を担保する自衛的措置だ」と述べ、「核抑止力を質的、量的に絶えず強化していく」と主張しました。
北朝鮮が地下核実験を実施したのは、1回目が2006年、2回目が2009年、3回目が2013年で、今回は、およそ3年ぶり4回目で、水爆の実験を行ったと発表したのは初めてです。
北朝鮮は、キム・ジョン・ウン朝鮮労働党第1書記の誕生日にあたる8日、核実験の実施を祝う大規模な集会を開催したほか、ミサイル発射実験の新たな映像も公開し、キム第1書記の求心力を高めるとともに、核開発に加えてミサイル開発を進める姿勢を改めて示し、国威の発揚を狙ったものとみられます。

水素爆弾というのは、原爆の爆発による高温高圧で、重水素や三重水素などの軽い原子を核融合させてできるエネルギーを利用する核兵器のことで、原爆よりはるかに大きなエネルギーが得られますが、高い技術が必要とされるといわれています。
北朝鮮は、今回の核実験を水素爆弾の実験と発表していますが、アメリカと韓国は、懐疑的な見方をしています。

6か国協議(6者協議)―2003年8月北朝鮮の核開発をめぐる第1回の6か国協議が、北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、韓国、日本が出席して北京で開かれました。これは、2003年4月中国の仲介で開かれた北朝鮮、アメリカ、中国の3か国協議を拡大したものです。6か国協議は、一貫して北京で開かれ、議長は、ホスト国の中国です。しかし、協議は、北朝鮮が核実験やミサイル実験を行ったことで、中断したり、再開したりして断続的に行われてきましたが、2009年4月テポドン2号とみられるミサイルを発射した北朝鮮は、6か国協議からの離脱を宣言しています。

(c) 英語のニュース

Diplomats from Japan, the United States and South Korea have agreed to ramp up the pressure on North Korea by working for the swift adoption of a new sanction resolution at the United Nations Security Council for North Korea’s recent nuclear test.
They met in Seoul on Wednesday.
Senior diplomats from Japan, the United States and South Korea will meet in Tokyo on Saturday to continue consultations.

(d)ニュースの比較研究

日米韓、北朝鮮制裁決議必要で一致に関するニュースについては、日本のメディアは、報道しましたが、外国のメディアは、今のところ報道していません。

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699.オバマ大統領、最後の一般教書演説ー2016.1.14 [国際ーアメリカ]

*2016.1.16の荻窪のテキスト*

(a) 日本語のニュース

アメリカのオバマ大統領は、12日上下両院合同会議で、任期中最後となる一般教書演説を行い、深刻な不況を克服したことなど過去7年間の成果を強調するとともに、過激派組織IS=「イスラム国」などによるテロへの対策に全力をつくす決意を表明しました。
一般教書演説は、大統領が今後1年間の内政・外交の施政方針を示すもので、オバマ大統領にとっては、2009年大統領に就任して以来最後の一般教書演説になります。
オバマ大統領は、内政の最大の懸案だった経済の立て直しについては、1400万人の新規雇用の創出、オバマケアといわれる保険の未加入者を減らす医療制度改革などの実績を挙げ、「アメリカはいま、世界で最も強く、耐久性のある経済だ」と強調しました。
また、銃による犯罪被害者が絶えないことから、殺傷力の強い銃を購入する際の犯罪歴確認の徹底など銃規制強化策を大統領令で打ち出したことについて、規制強化を訴えました。
昨年10月12か国と合意したTPP=環太平洋経済連携協定については、「中国ではなく、我々が地域のルールを作る」と述べて、議会に対して、できるだけ早く批准するよう求めました。
また、オバマ大統領は、「アメリカは、60か国を超える有志連合を率い、過激派組織「IS=イスラム国」のたくらみを破壊し、卑劣なイデオロギーを根絶する」と強調しました。
大統領選挙で共和党候補者指名争いでトップを走り続けているドナルド・トランプ氏がイスラム教徒の一時入国禁止を主張するなど過激な発言を繰り返していることを念頭に、これを批判して、「我々は、人種や宗教で人々を標的にする、いかなる政治も拒否する必要がある」「民主主義には市民間の信頼の絆が必要だ」と述べて、排外主義からの脱却を求めました。

(b)ニュースの背景

一般教書演説(the State of the Union address)というのは、アメリカの大統領が、憲法の規定に基づいて、連邦議会の上下両院合同会議で、今後1年間の内政・外交全般にわたって施政方針を表明する演説です。日本の首相の施政方針演説に相当します。主なテレビ局が生中継し、大統領が国民に政権の成果や政策を説明する演説としても注目されています。今回は、オバマ大統領にとっては最後の一般教書演説になりました。
一般教書のほかに、予算教書と経済教書(大統領経済報告)がありますが、いずれも、憲法が、大統領に、随時議会に連邦の現状を報告し、必要かつ適切な手段を考慮することを勧告する権限を与えていることに基づくものです。

(c)英語のニュース

U.S. President Barack Obama has highlighted the achievements of his 7 years in office, and vowed to fight terrorism in his last State of the Union address to Congress.
He said that the number one priority is to protect the American people and go after terrorist networks that pose a direct threat to the United States, such as Al Qaeda and the Islamic State militant group.
Mr. Obama’s key points included how his country has recovered from the worst economic crisis in generations and how his administration has created more jobs and implement health care reforms.
He also urged Congress to approve the Trans-Pacific Partnership free trade agreement with 11 other countries as quickly as possible to counter China’s growing influence in the region.
The Democratic President criticized Republican presidential front-runner Donald Trump, who has called for a temporary ban on Muslims entering the United States and a wall on the U.S. border with Mexico to stop the flow of illegal immigrants. Mr. Obama said that insulting Muslims and other foreign people hurt the United States and betrayed its identity.

(d)ニュースの比較研究

.アメリカのオバマ大統領の最後の一般教書演説のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道していました。
アメリカの主なメディアの報道を紹介しましょう。

『The Wall Street Journal』紙は、”Obama’s State of the Union Lays Out Optimistic Tone”(オバマ大統領の一般教書演説、楽観的な調子を描く)という見出しで、”President Barack Obama, in his final State of the State of the Union address, argued the U.S. has made significant progress on economic and national-security issues and offered an optimistic vision for the future that stands in contrast to the mood of many Americans”(オバマ大統領は、一般教書演説の中で、アメリカは、経済や安全保障の問題で、輝かしい進展をなしたと述べ、将来について楽観的なビジョンを提示したが、それは、多くのアメリカ人の気持ちとは対照的な立場だ)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”State of the Union: Barack Obama sells optimism to nervous nation”(一般教書演説:オバマ大統領、楽観主義を神経質になっている国民に売る)という見出しで、”Putting aside a sudden crisis with Iran, President Barack Obama on Tuesday urged Americans in his final State of the Union address to reject the politics of tribalism and fear that have rocked the campaign to find his successor and to build a “clear-eyed, big-hearted” and “optimistic” nation”(オバマ大統領は、イランとの突然の危機を脇に置いておいて、最後の一般教書演説の中で、アメリカ国民に、彼の後継者を見つけるための選挙運動を揺るがせた部族主義や恐怖の政治を拒否し、明敏な、寛大な、楽観的な国家を建設しようと呼びかけた)と報じました。

『Fox』放送は、”Obama downplays ISIS threat, defends economic record in State of the Union”(オバマ大統領、一般教書演説の中で、ISIS=「イスラム国」の脅威を控えめに扱い、経済の記録を擁護)という見出しで、”President Obama, with an eye on cementing his legacy and countering the narrative on the Republican campaign trail, used his final State of the Union address Tuesday night to defend his economic record – and in stark language, downplay the threat from the Islamic State”(オバマ大統領は、最後の一般教書演説の中で、彼の遺産を固め、共和党の選挙運動の話に反論することに焦点を当てて、彼の経済の記録を擁護し、厳しい言葉で、「イスラム国」からの脅威を控えめに扱った)と報じました。









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