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876.テロ等準備罪新設法案を閣議決定ー2017.3.21 [社会、政治]



(a) 日本語のニュース

政府は、21日の閣議で、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改めて、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を決定しました。
これは、テロ組織などの組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、計画に合意した全員が処罰の対象になるものです。
処罰の対象になる重大な犯罪は、組織的な殺人やハイジャックなどテロの実行に関連する110の犯罪や覚せい剤や大麻の輸出入といった薬物に関する29の犯罪など277の犯罪が明示されていて、政府は、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるものに限定したとしています。
また、罰則については、死刑や10年を超える懲役や禁錮が科せられる犯罪を計画し、準備行為を行った場合、5年以下の懲役か禁錮とするなどとしています。

政府は、同改正案について、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを控え、テロなどの組織犯罪を未然に防ぐために、一定の条件が満たされた場合には、犯罪の実行前の段階でも処罰できるよう、テロ等準備罪を新設することが必要だとしています。
しかし、野党や日本弁護士連合会は、「捜査機関の解釈や裁量に委ねられ、一般市民が対象になる恐れがある」などとして反対しています。

(b)ニュースの背景

多国間で組織犯罪の捜査情報の共有などを進める国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は、187か国・地域が締結済みですが、日本政府は、2003年から2006年にかけて合わせて3回、同条約が求める国内法整備のため、共謀罪の名称で法案を提出しましたが、いずれも廃案になっています。
法務省によりますと、国連加盟国の中で同条約を締結していない国は、日本、イラン、ブータンなど11か国で、政府は、テロ等準備罪を新設して同条約を締結し、国際的な組織犯罪捜査の穴を埋めたいとしています。

(c)英語のニュース

The Japanese government has approved a controversial bill to criminalize the act of preparing for terrorism and other serious crimes.
The government says that the bill is a necessary measure to thwart terrorism at the 2020 Olympics and Paralympics in Tokyo and to ratify the United Nations Convention against Transnational Organized Crime. Japan signed the convention in 2000, but has not yet ratified it.
The legislation covers preparations for 277 offenses, including systematic killings, hijacking and drug-related crimes.
Plotters would face up to 5 years in prison for preparing for crimes that carry the death penalty or a jail term of 10 years or more.
Opposition parties and the bar association say that the legislation might infringe on people’s constitutional freedom of thought.

(d) ニュースの比較研究

テロ等準備罪新設法案を閣議決定のニュースについては、日本のメディアは、ほとんどトップニュースとして扱っていましたが、外国のメディアは、今のところ報道していません。




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850. カジノ法成立ー2016.12.15 [社会、政治]

(a) 日本語のニュース

カジノを含むIR=統合型リゾート整備推進法が、衆議院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。
この法律は、カジノ法とも呼ばれ、カジノに宿泊施設や会議場を併設したIR=統合リゾートの整備を促す基本法で、議員立法です。政府に対し、施行後1年以内に、運営業者の選定基準やギャンブル依存症対策など必要な対策を盛り込んだ実施法案の策定を行うよう求めています。
この法案は、いったん衆議院本会議で可決され、参議院に送られて修正され、再び衆議院に送られ、可決・成立したものです。

(b)ニュースの背景

IR=統合型リゾート整備推進法では、統合型リゾート施設をカジノや会議場、それにホテルなど観光振興につながる施設が一体的に整備された区域と定義し、適切な国の監視と管理の下、民間事業者が運営するとしています。そして、施設を整備できる区域は、地方自治体からの申請に基づいて国が認定するとしています。
この法律に関しては、カジノを合法化する、つまり賭博罪の例外を認める根拠、ギャンブル依存症対策、多重債務問題、反社会的勢力によるマネーロンダリング(資金洗浄)、運営業者の選定、青少年への影響などが指摘されています。

(c) 英語のニュース

Japan’s Parliament has enacted a bill to promote establishing integrated resorts that includes casinos.
The bill was sponsored by a group of lawmakers from the ruling Liberal Democratic Party, the opposition Nippon Ishin no Kai and others.
It allows casino gambling in integrated resorts that include hotels and entertainment facilities.
The legislation calls on the government to promote the development of facilities integrating casinos, hotels and convention halls.
The extraordinary session of Parliament effectively ended early on Thursday after the enactment of the bill.

(d) ニュースの比較研究

カジノを含むIR=総合型リゾート施設整備推進法が成立したニュースについては、日本のメディアは、詳しく報道していましたが、外国のメディアでは、カジノを抱えているシンガポールとアメリカのメディアが報道していました。
それの報道を紹介しましょう。

シンガポールの『The Straits Times』紙は、”Japan legalizes casinos, paving way for resort investment”(日本、カジノを合法化、リゾート投資への道開く)という見出しで、”Japan’s parliament passed a bill legalizing casinos early on Thursday(Dec15)、paving the way for billions of dollars of potential investment after years of political wrangling”(日本の議会は、カジノを合法化する法案を通した。これは、何年もの政治的論争の後に、何十億ドルもの投資の可能性に道を開くものだ)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙(12月6日衆議院通過の時点の報道)は、”Japan Moves Closer to Legalizing Casino Gambling – Lower House od parliament passes bill promoting casinos”(日本、カジノ・ギャンブル合法化へ動く ― 衆議院、カジノ促進法案通す )という見出しで、”Japan on Tuesday took a major step toward legalizing casino gambling, an unpopular gambit in the country that is favored by U.S. casino companies and by Prime Minister Shinzo Abe, who hopes it will boost tourism”(日本は、カジノ・ギャンブルを合法化する方向へ大きく一歩踏み出した。それは、日本では人気のないギャンブルだが、アメリカのカジノの企業や観光振興になることを望んでいる安倍首相にとっては好ましいものとみているのだ)と報じました。



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169.最高裁、衆参両院の選挙制度「違憲状態」と判決ー2012.10.18 [社会、政治]

(a)日本語のニュース

最高裁判所が、衆議院とともに参議院でも選挙制度が「違憲状態」だとする判決を下しました。
最高裁は、17日、2010年の参議院選挙で、選挙区ごとの議員1人当たりの有権者数の格差、いわゆる1票の格差が最大で5倍あり、これは、憲法違反の状態だという判断を示しました。
これは、各地の有権者が各選挙管理委員会に選挙無効を求めた訴訟の上告審で、「違憲状態」という判断を示したものです。
最高裁は、また、初めて、参議銀選挙における現行の都道府県単位の選挙区割りの見直しについても明確に求めました。
しかし、原告の選挙無効の請求については、国会の対応は「裁量権の限度を超えていない」として、退けました。
最高裁は、昨年、2009年の衆議院選挙で最大2.3倍の格差があったことについても違憲状態だという判断を示しており、衆参両院の1票の格差が憲法に違反する状態だと指摘する異例の事態となりました。
こうしたことから、国会の衆参両院は、早急な制度改革を迫られることになりました。

(b)ニュースの背景

1票の格差というのは、選挙区ごとに議員1人当たりの有権者数を計算し、比較したもので、一般的にいって、人口の多い都市部の方が1票の価値は低くなっています。2010年の参議院選挙では、神奈川、鳥取の選挙区の間の格差が最も大きく、5倍でした。今回のような定数訴訟では、こうした格差が、憲法第14条の「法の下の平等」などに反するとして、有権者が選挙の無効(やり直し)を求めています。

現在国会で審議中の選挙制度改革に関する法案では、参議院では、民主、自民党が共同提案している公職選挙法改正案で、選挙区定数を2府県で各2増、2県で各2減する「4増4減」で、神奈川、大阪は定数を6から8に、福島、岐阜は4から2にするというものです。
衆議院では、自民党が提出している選挙制度改革法案で、小選挙区を5県で、1減らす「0増5減」で、山梨、福井、徳島、高知、佐賀の各県で1減し、小選挙区数を3から2にする、総定数を475(小選挙区295、比例区を180)にするものです。
しかし、衆参両院での審議は与野党の対立などで、いずれも進んでおらず、成立するかどうかは不透明な状況です。今回最高裁が国会にもとめた選挙制度の早期の抜本的な改革は、現状では、極めて難しい情勢です。

(c)英語のニュース

Japan's Supreme Court has ruled that the fivefold disparity in the weight of votes in the 2010 Upper House election was in a state of unconstitutionality.
In the election,a single vote in the least populated district carried 5 times the weight of one cast in the most populated district.
The plaiintiffs argued that the election violated the principle of constitutional equality in voting rights.
The Supreme Court urged legislators to promptly correct the disparity by reviewing the current election system.
Last year, the Supreme Court ruled that a voter disparity of up to 2.3 times in the 2009 Lower House election was in a state of unconstitutionality.

(d)ニュースの比較研究

最高裁が1票の格差は違憲状態の判断のニュースについては、日本のメディアは、トップ・ニュースで詳しく報道していましたが、外国のメディアは、今のところ、伝えていません。



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