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805.ノーベル医学・生理学賞、東工大の大隅良典栄誉教授にー2016.10.3 [科学、国際ーヨーロッパ]


(a)日本語のニュース

今年のノーベル医学・生理学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に贈られることになりました。
これは、スウェーデンのカロリンスカ研究所が3日発表したもので、受賞の理由は、植物や動物などの生物が不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」の仕組みを解明したことによるものです。この仕組みは、パーキンソン病やがんなどの病気にかかわっており、予防法や治療法の開発につながるのではないかと期待されています。
日本人のノーベル賞受賞は3年連続、アメリカの国籍を取得した人を含めて25人目、医学・生理学賞の受賞は4人目です。
授賞式は、12月10日スウェーデンの首都ストックホルムで行われることになっています。

(b)ニュースの背景

ノーベル賞(Nobel Prize)は、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンのアルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言によって1901年から始まった世界的な賞のことです。物理学、化学、医学・生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
授賞者の選考は、物理学、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学・生理学賞はカロリンスカ研究所が、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会が、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

「オートファジー(自食作用)」は、ギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」という言葉からなっていて、細胞に核のあるすべての生物に備わる生命の基本的な仕組みのことです。細胞は、栄養が足りない状態になると、生き残るためにみずからの中にあるたんぱく質などをアミノ酸に分解し、新しいたんぱく質の材料やエネルギー源として利用します。古くなったり、傷つぃたりしていらなくなったたんぱく質も同じように分解して、再利用していて、こうした「オートファジー」の仕組みは、細胞の働きを正常に保つ上で、欠かせないものになっています。
「オートファジー」は、細胞をきれいにする作用や病原菌を排除する免疫の働きにも拘わっており、パーキンソン病やがんなどの病気との関連でも研究が進んでいるということです。

(c)英語のニュース

Japanese scientist Yoshinori Ohsumi has won this year’s Nobel Prize in physiology or medicine
This was announced by the Nobel Assembly at the Karolinska Institute in Sweden on Monday.
The 71-year-old honorary professor at the Tokyo Institute of Technology won the prize for discovering and elucidating mechanisms underlying autophagy, a fundamental process for degrading and recycling cellular components. His discoveries are expected to open up the possibility of new treatments for illness including cancer and Alzheimer’s and Parkinson’s diseases.
Professor Ohsumi will be the 25th Nobel recipient representing Japan. The win marks the third straight year a Japanese person has been awarded a Nobel Prize. He is the fourth Japanese recipient of the Nobel Prize in Physiology or Medicine.
The award ceremony will be held in Stockholm on December 10th.

(d)ニュースの比較研究

今年のノーベル医学・生理学賞が東工大の大隅良典栄誉教授に贈られることに決まったというニュースについては、日本のメディはもちろんどの外国のメディアも報道していました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The New York Times』紙は、”Yoshinori Ohsumi of Japan Wins Nobel Prize for Study of ‘Self-Eating’ Cells”(日本の大隅良典氏、’自食作用‘の細胞の研究でノーベル賞受賞)という見出しで、”Yoshinori Ohsumi, a Japanese cell biologist, was awarded the Nobel Prize in Physiology or Medicine on Monday for his discoveries on how cells recycle their content, a process known as autophagy, a Greek term for “self-eating”(日本の細胞に関する生物学者・大隅良典氏は、“自食作用”のギリシャ語であるオートファジーとして知られている過程である細胞がいかに中身をリサイクルするかについて発見したことによりノーベル生理学・医学相を受賞した)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”Nobel Prize in Medicine Awarded to Japan’s Yoshinori Ohsumi”(ノーベル医学賞、日本の大隅良典氏に)という見出しで、”Japanese biologist Yoshinori Ohsumi won this year’s Nobel Prize in physiology or medicine for elucidating how the body’s cells deal with and recycle waste, a discovery that has paved the way for research on treatment for neurological and other diseases”(日本の生物学者の大隅良典氏は、体の細胞が老廃物をどう扱い、リサイクルするかについて解明したことによって、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。この発見は、神経性の病気やその他の病気の治療に関する研究の道を開いた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Medicine Nobel for cell recycling work”(ノーベル医学賞、細胞リサイクル研究に“という見出しで、”The 2016 Nobel Prize in physiology or medicine goes to Yoshinori Ohsumi of Japan for discoveries about the secrets of how cells can remain healthy by recycling waste”(2016年のノーベル生理学・医学賞は、いかに細胞が老廃物をリサイクルすることによって健全なままでいることができるかについての秘密を発見したため、日本の大隅良典氏に授与される)と報じました。

ドイツの『Deutsche Welle』放送は、”Japanese scientist Yoshinori Ohsumi
Wins Nobel Prize for Medicine”(日本の科学者大隅良典氏、ノーベル医学賞受賞)という見出しで、”Japanese scientist Yoshinori Ohsumi has won the 2016 Nobel Prize in Medicine for discoveries of mechanisms for autophagy, a fundamental process for degrading and recycling cellular components”日本の科学者の大隅良典氏は、細胞の構成要素を分解したり、リサイクルしたりする基本的なプロセスであるオートファジーのメカニズムを発見したことによって2016年のノーベル医学賞を授与した)と報じました。





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671.日本の2人の科学者、ノーベル賞受賞ー2015.10.8 [科学、国際ーヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

2人の日本の科学者が、今年のノーベル医学生理学賞と物理学賞をそれぞれ受賞することになりました。
スウェーデンのカロリンスカ研究所は、5日、今年のノーベル医学生理学賞を、日本の北里大学の大村智(おおむら・さとし)特別栄誉教授、アイルランド出身でアメリカのドリュー大学の名誉リサーチ・フェローのウィリアム・キャンベル氏、中国の中医科学院の屠ユーユー氏の3人に贈ると発表しました。
受賞の理由は、アフリカなどで寄生虫が引き起こす熱帯感染症に大きな治療効果をあげた特効薬を開発した業績です。
一方、スウェーデンの王立科学アカデミーは、6日、今年のノーベル物理学賞を、日本の東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章(かじた・たかあき)教授とカナダのクイーンズ大学名誉教授のアーサー・マクドナルド氏の2人に贈ると発表しました。
受賞の理由は、重さがないと考えられていた素粒子「ニュートリノ」に質量があることを証明し、宇宙の成り立ちや物質の起源を解明するのに大きな影響を与えたことです。
日本のノーベル賞受賞者は、大村氏が23人目、梶田氏が24人目です。
授賞式は、12月10日にスウェーデンの首都ストックホルムで行われることになっています。

(b)ニュースの背景

ノーベル賞(Nobel Prize)は、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンのアルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言によって1901年から始まった世界的な賞のことです。物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
授賞者の選考は、物理学、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学生理学賞はカロリンスカ研究所が、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会が、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

(c)英語のニュース

Two Japanese scientists have won this year's Nobel Prizes in physiology or medicine and physics
respectively.
The Nobel Assembly at the Karolinska Institute in Sweden announced on Monday that distinguished emeritus professor Satoshi Omura of Japan's Kitasato University, a research fellow emeritus at Drew University in the United States, Irish-born William Campbell, and a chief professor at the China Academy of Traditional Chinese Medicine, Youyou Tu, won the Nobel Prize in physiology or medicine.
The three scientists were cited for discovering drugs to fight malaria and other tropical diseases.
Meanwhile, the Royal Swedish Academy of Sciences announced on Tuesday that Professor Takaaki Kajita of the University of Tokyo and director of the university's Institute for Cosmic Ray Research and professor emeritus Arthur McDonald at Queen's University in Canada won this year's Nobel Prize in physics.
The two scientists were cited for the discovery of neutrino osciliations and their contributions to
experiments showing that their neutrinos change identities.

(d)ニュースの比較研究

日本の2人の科学者がそれぞれノーベル医学生理学賞(3人で受賞)と物理学賞(2人で受賞)を受賞することになったニュースについては、日本のメディアは、大々的に報じました。しかし、外国のメディアは、あまり報道していません。また、日本のメディアの報道の特徴は、日本人の受賞者が中心だということで、外国の報道では、自国中心ということはあまりありません。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Malaria and River Blindness drugs share Nobel Prize”(マラリアと河川盲目症(オンコセルカ症)の治療薬、ノーベル賞を分ける)という見出しで、"This year's Nobel Prize for Medicine was awarded to three scientists whose research on parastic diseases has saved the lives of millions and the sight of hundreds of millions of people in tropical countries"(今年のノーベル医学賞は、寄生虫による病気に関する研究が、熱帯の国々における何百万人の命と何億もの目を救ってきた3人の研究者に授与された)と報じました。(見出しは、河川盲目症の治療薬を開発した大村氏とキャンベル氏と、マラリアの治療薬を開発した屠さんが受賞することになったという意味です)

アメリカの『WCVB Boston』放送は、"3 share Nobel medicine prize for new tools to kill parasites"
(3人が、寄生虫を殺す新しいツールを作り出したため、ノーベル医学賞を共同受賞)という見出しで、"Three scientists from the U.S., Japan and China won the Nobel Prize in medicine on Monday for discovering drugs to fight malaria and other tropical diseases that affect hundreds of millions of people every year"(アメリカ、日本、中国の科学者が、ノーベル医学賞を受けることになった。これは、毎年何億人もの人たちが影響を受けているマラリアやその他の熱帯の病気と戦うための治療薬を発見したためだ)と報じました。

カナダの『CTV 』放送は、"Canadian Arthur B.McDonald shares physics Nobel"(カナダのアーサー・マクドナルド氏、ノーベル 物理学賞を共同受賞)という見出しで、"A professor emeritus at Queen's University in Kingston, Ont. - the former director of the Sudbury Neutrino Observatory in northen Ontario - is a co-winner of the 2015 Nobel Prize in Physics for his work on tiny particles known as neutrinos. ・・・・・McDonald and Japanese scientist Takaaki Kajita were cited for the discovery of neutrino oscillations and their contributions to experiments showing that neutrinos change identities"(カナダのオンタリオ州キングストンのクイーンズ大学名誉教授でオンタリオ州北部のサドベリー・ニュートリノ観測所の前所長のアーサー・マクドナルド氏が、ニュートリノとして知られている微小の素粒子に関する研究で、2015年のノーベル物理学賞の共同受賞者になった。・・・マクドナルド氏と梶田隆章氏は、ニュートリノの振動の発見とニュートリノが実体を変えることを示す実験への貢献のためだ)と報じました。







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553.日本人3人にノーベル物理学賞ー2014.10.8 [科学、国際ーヨーロッパ]

*2014.10.18のサロンのテキスト*(555,554,553)

(a)日本語のニュース

今年のノーベル物理学賞が青い光を放つLED=発光ダイオードを開発した日本人3人に贈られることになりました。
スウェーデンの王立アカデミーは、7日、2014年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学終身教授85歳、天野浩・名古屋大学教授54歳、中村修二・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授60歳の3人に授与すると発表しました。
授賞の理由として、「明るく省エネルギーな白色光を可能にした効率的な青色発光ダイオードの発明」をあげています。
赤崎さんと天野さんが、青色のLED=発光ダイオードを初めて作り出し、中村さんが実用化につなげたもので、3人の成果によって、赤・緑・青の光の3原色のLEDがすべてそろい、組み合わせによってあらゆる色が出せるようになりました。
このため、白熱電球や蛍光灯に代わるLED照明として室内照明に使われ、携帯電話、交差点の信号機、フルカラーのディスプレイなどにも使われています。
日本人がノーベル賞を受賞するのは、アメリカ国籍を取得している南部陽一郎さんを含め、おととしの山中伸弥さんに続いて、合わせて22人になります。物理学賞は、2008年に受賞した南部さんと益川俊英さん、小林誠さんの3人以来で、合わせて10人になります。
今年の授賞式は、12月10日にストックホルムで開かれます。

(b)ニュースの背景

LED(Light Emitting Diode)は、発光ダイオードのことで、ダイオードは、電気を決まった方向に流す性質をもつ半導体で、電気を流したときに光るものを発光ダイオード(LED)と呼んでいます。低電力で高輝度の発光が得られるという特徴をもっています。1960年代にまず赤色と黄緑色が、さらに1970年代に黄色のLEDが開発され、赤、黄緑、黄色のLEDが実用化されました。1993年に長年
の課題であった青色を発光するダイオードが、当時日亜化学工業株式会社にいた中村修二さんたちによって開発されました。信号機やスタジアムの大型ディスプレイなどで広く使われています。さらに近年、白色LEDが広く普及、消費電力の少ない光源として家の照明やテレビのバックライトとして利用されています。

ノーベル賞(Nobel Prize)は、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンのアルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言によって1901年から始まった世界的な賞のことです。物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
授賞者の選考は、物理学、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学生理学賞はカロリンスカ研究所が、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会が、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

(c)英語のニュース

The 2014 Nobel Prize for physics has been awarded to a trio of Japanese scientists for the invention of blue light emitting diodes, or LEDs.
The Royal Swedish Academy of Sciences has announced that it awarded the prize to Professor Isamu Akasaki of Meijo University, Professor Hiroshi Amano of Nagoya University and Professor Shuji Nakamura of the University of California, Santa Barbara.
The Academy said that LEDs will be the lighting source of the 21st century, just as the incandescent bulb illuminated the 20th. It said that the new light source is brighter, cleaner,and long-lasting than previous sources and will save energy as well as improve the quality of life of millions of people around the world.

(d)ニュースの比較研究

ノーベル物理学賞受賞発表のニュースについては、日本のメディアは、「日本人3人ノーベル物理学賞受賞」という見出しで、トップニュースで大々的に報道していましたが、外国のメディアは、ほとんどが「日本人2人とアメリカの1人のトリオが受賞」と伝えていました。
主なアメリカのメディアの報道を紹介します。

『AP(=The Associated Press)』通信は、"3 Win Nobel Prize In Physics"(3人、ノーベル物理学賞受賞」という見出しで、"Isamu Akasaki and Hiroshi Amano of Japan and U.S. scientist Shuji Nakamura won the Nobel Prize in physics on Tuesday for the invention of blue light-emitting diodes - a new energy efficient and environment-friendly light source"(日本の赤崎勇氏と天野浩氏、それにアメリカの科学者の中村修二氏は、青色発光ダイオードー新しいエネルギーの効率的で環境にやさしい光源ーを発見したことでノーベル物理学賞を受賞した)と報じました。

『The New York Times』紙は、"2 Japanese and 1 American Share Nobel Prize in Physics for Work on LED Lights"(2人の日本人と1人のアメリカ人、LEDの光に関する業績でノーベル物理学賞を分かち合う)という見出しで、"The Nobel Prize in Physics for 2014 was awarded to Isamu Akasaki and Hiroshi Amano of Japan and Shuji Nakamura of the University of California, Santa Barbara, for "the invention of efficient blue light-emitting diodes, which has enabled bright and energy-saving white ligh sources"(2014年のノーベル物理学賞は、明るく、省エネの白い光源である青色発光ダイオードの発見で、日本の赤崎勇氏と天野浩氏、それにカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二氏に授与された)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、"Nobel Prize in Physics Awarded for Invention of New Light Source"(ノーベル物理学賞、新しい光源の発見に授与)という見出しで、"A trio of Japanese-born scientists has been awarded the Nobel Prize for Physics on Tuesday for inventing the blue light-emmiting diode, a highly efficient light source that is increasingly replacing old-fashioned incandescent bulbs"(日本生まれの3人の科学者は、青色発光ダイオードを発見したことでノーベル物理学賞を受賞した。これは、古いタイプの白熱電球にますますとって代わっている、高度に効率的な光源だ)と報じました。











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107.「ヒッグス粒子」発見ー2012.7.4 [科学、国際ーヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

世の中の最も基本的な粒子の一つで40年以上前にその存在が予言されていながら見つかっていなかった「ヒッグス粒子」といわれる新しい素粒子が発見されました。
これは、スイスにあるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関が、4日発表したもので、ヨーロッパ、アメリカ、日本などの国際的な研究グループが、スイスのジュネーブの郊外にあるCERNの1周27キロもある巨大な加速器の実験装置を使って、長年にわたって実験を続けてきた結果、「ヒッグス粒子」を発見しました。
「ヒッグス粒子」というのは、1964年イギリスのピーター・ヒッグス氏が、宇宙を構成するすべての物質に質量を与えるものとして、その存在を予言したもので、現代物理学の枠組みをなす標準理論で存在が予言されていた17の素粒子の中で唯一見つかっていなかったものです。
「ヒッグス粒子」は、もし存在しなければ、星や生命なども生まれなかったと考えられることから、「神の粒子」ともいわれ、宇宙の成り立ちを解明する重要な手がかりにもなるものとみられ、今回の発見は、人類史上の大きな成果と評価されています。

(b)ニュースの背景

今回のヒッグス粒子発見については、日本は、ヨーロッパやアメリカとともに、人的、技術的、資金的な貢献をしました。
実験にかかわった東京大学の浅井祥仁准教授によりますと、東大や高エネルギー加速器研究機構など16の大学や研究機関からおよそ110人が参加し、日本人が検出チームの責任者を担っていたということです。技術面では、ヒッグス粒子の生成を調べる巨大検出器の中心部や陽子同士を衝突させる巨大加速器の中心部などに日本の製品が使われたということです。さらに、実験によって得られる膨大なデータの解析でも、東大素粒子物理国際研究センターが世界の拠点の1つになったということです。

(c)英語のニュース

An international group of researchers has announced the discovery of a new particle -- the so-called Higgs boson, the most fundamental particle to open a new stage in the exploration of the universe.
The European Organization for Nuclear Research made the annoucement, saying that the discovery of the Higgs boson was the result of data collected through experiments using a 27-kilometer-long doughnut particle accelerator at the organization in the outskirts of Geneva.
British physicist Peter Higgs hypothesized its existence in 1964.
The Higgs boson is a subatomic particle that gives mass to everything in the universe.
The universe is composed of 17 elementary particles. The existence of all of them, except the Higgs boson, was established by 1990.

(d)ニュースの比較研究

ヒッグス粒子発見のニュースは、国内ではNHKが前触れとして早くから伝えていましたが、日本時間で4日午後5時正式発表と同時に速報で伝え、午後7時のニュースではトップでわかりやすく詳しく伝えていました。次いで、日本のほかのメデイアもトップで大々的に伝えました。外国のメディアは、科学ニュースとして伝えていました。
イギリス、アメリカ、中国の代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Higgs boson-like particle discovery claimed at LHC"(ヒッグス粒子とみられる粒子、LHC(大型ハドロン衝突加速器)で発見)という見出しで、"Cern scientists reporting from the Large Hadron Collider(LHC) have claimed the discovery of a new particle consistent with the Higgs boson. The particle has been the subject of a 45-year hunt to explain how matter attains its mass"(CERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)は、LHC(大型ハドロン衝突加速器)で、ヒッグス粒子と一致する新しい粒子を発見したと発表した。その粒子は、45年間にわたって探し続けられてきたもので、質量を与えるものとしていかに重要かを説明するものである.)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"New particle fits description of elusive Higgs boson, scientists say"(新しい粒子は、捕えにくいヒッグス粒子にぴったりー科学者談)という見出しで、"Scientists said Wednesday that they had discovered a new particle whose characteristics match those of the Higgs boson, the most sought-after particle in physics, which could help unlock some of the universe's deepest secrets"(科学者たちは、新しい粒子を発見したと発表した。それは、その特徴がヒッグス粒子とぴったりで、物理学で最も追跡されていた粒子で、宇宙の最も深い謎を解くのに役立つものとみられている)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"CERN eperiments observe new particle consistent with Higgs boson"(CERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関)、ヒッグス粒子と一致する新しい粒子を観測)という見出しで、"Physicists have observed a new particle consistent with the long-sought Higgs boson, a theorised sub-atomic particle believed to confer mass, the European Organization for Nuclear Research(CERN) announced on Wednesday"(CERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関が発表したところによると、物理学者たちは、長い間探し続けてきた新しい粒子を観測した。それは、質量を与えるとみられる理論化されていた素粒子である)と報じました。




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