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684.辺野古問題で政府と沖縄県、法廷闘争へ(最新版)ー2015.11.18 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐって、政府と沖縄県が、法廷で争うという異例の事態になりました。
これは、政府が、17日、さきに沖縄県の翁長知事が名護市辺野古への移設計画承認を取り消したことに対して、国が知事に代わって取り消しを撤回する代執行を求めた行政訴訟を福岡高等裁判所那覇支部に起こしたためです。
政府側は、訴状で、「普天間基地周辺住民の生命・身体に対する重大な危険は現実化している」と移設計画の必要性を強調するとともに、移設計画に関する日米の合意が守られなければ、「アメリカとの信頼関係に亀裂を生じさせ、わが国の外交、防衛上の不利益は極めて重大だ」と指摘しています。
これに対して、沖縄県の翁長知事は、17日記者会見し、「訴訟の場でわれわれの考えが正当であることを主張・立証していく」と述べ、裁判を通じて移設計画反対の県の主張を説明する考えを示しました。
福岡高等裁判所那覇支部は、17日、国側と県側の双方と事前の話し合いを行い、最初の弁論を来月2日に行うことを決めました。
沖縄の基地問題をめぐって、政府と沖縄県が法廷で直接争うのは、20年ぶりのことで、沖縄県民が強く反対する辺野古移設をめぐる政府と沖縄県の対立は、異例の法廷闘争に発展することになりました。

(b)ニュースの背景

普天間基地(=普天間飛行場)は、沖縄本島南部の宜野湾市(ぎのわんし)中心部の人口密集地域にあり、”世界で一番危険な飛行場”といわれています。アメリカ海兵隊が駐屯していて、沖縄のアメリカ軍の拠点の一つです。
1995年アメリカ兵による沖縄の少女暴行事件が起こり、沖縄で大規模な抗議集会が開かれ、翌1996年日米両国政府は、5~7年の間に普天間基地を日本に返還することで合意しました。ただし、返還は、代替施設が運用可能になった後とされ、1997年名護市辺野古を移転先とすることを決定しました。
2012年日米両国政府は、共同文書を発表し、それに基づいて、現在在日アメリカ軍の再編計画を進めています。計画では、アメリカ海兵隊およそ9000人を国外に移転させる、嘉手納以南5か所にある施設・区域の返還を段階的に進める。これらの計画は、普天間基地の返還と切り離して行うなどとしています。
2012年12月安倍政権が発足し、2013年2月安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談が行われ、辺野古移設を早期に進めることで一致しました。これを受けて、沖縄県の仲井真知事は、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸の埋め立て申請を承認しました。2014年に入って、移設予定地のキャンプシュワブ内の施設解体工事が始まりました。
しかし、2014年11月に行われた沖縄県知事選挙で、無所属で前の那覇市長の翁長氏が、自民党などが推薦していた現職の仲井真知事を破って当選を果たしました。翁長氏は、選挙期間中、辺野古への移設計画に強く反対し、県外、国外の移設を主張していました。
辺野古への移設計画をめぐる沖縄県と政府の集中協議は、2015年9月7日まで5回にわたって行われましたが、沖縄県側は、辺野古への移設計画に反対し、県外移設を強く主張し、一方政府は、辺野古への移設計画の実施を求め、対立したままで終わっています。
政府は、沖縄との集中協議で中断していた辺野古での移設作業を9月12日に再開し、現在も作業を継続しています。付近では、昨年の7月から移設反対の人たちが座り込みを続け、11月18日で500日目を迎えましたが、今後も反対行動を続けるということです。
10月13日沖縄県の翁長知事は、移設予定地の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を正式に取り消す法的手続きを取りました。これに対して、政府は、14日、移設計画をこれまで通り進める方針で、工事を続けるため、承認取り消しの執行停止と無効を求める法的手続きを取りました。これによって、政府と沖縄県の対立は、法廷闘争に持ち込まれることになりました。

(c)英語のニュース

The confrontation between Japan’s central government and the Okinawa prefectural government over the relocation of a key U.S. military base in Okinawa has now escalated into a court battle.
This came after the central government on Tuesday filed a lawsuit with the Fukuoka High Court branch in Naha, the capital of Okinawa, aimed at repealing Okinawa prefectural governor Takeshi Onaga’s nullification of a permit for landfill work related to the relocation within the Okinawa prefecture. The central government has a plan, on the basis of the agreement with the U.S. government, to build a replacement facility in the Henoko coastal area in Nago for the U.S. Marine Corps’ Futenma air station, now located in a densely populated area in Ginowan.
Later in the day, Okinawa prefectural governor Takeshi Onaga told newsmen that his prefecture will appropriately deal with the lawsuit and asserted again that his cancellation of the landfill work approval is legitimate.
The Fukuoka High Court’s Naha branch notified the central and Okinawa prefectural governments of its decision to hold the first hearing on December 2nd.

(d)ニュースの比較研究

辺野古問題で政府と沖縄県が法廷闘争へというニュースについては、日本のメディア、特に沖縄の新聞・テレビは大きく報道しました。『沖縄タイムズ』紙は「政府、沖縄を提訴」、『琉球新報』紙は、「国、沖縄を提訴」と、いずれも大見出しで詳しく報道していました。外国のメディアは、中国とフランスの通信社が報道していました、
それらの報道を紹介しましょう。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Japan central gov’t sues Okinawa Gov. for revoking landfill approval as feud escalates”(日本政府、沖縄の知事を埋め立て承認取り消しで提訴、対立拡大へ)という見出しで、”Japan’s Land, Infrastructure, Transport and Tourism Minister Keiichi Ishii filed a lawsuit Tuesday with the Naha branch of the Fukuoka High Court, demanding that Okinawa Gov.Takeshi Onaga officially retract his decision to revoke a permit granted for landfill work for the relocation of a U.S. air base”(日本の石井国土交通相は、福岡高等裁判所那覇支部に沖縄県の翁長知事が、あるアメリカ軍の空軍基地の移設のための埋め立て工事承認を取り消した決定を公式に撤回するよう求める訴訟を起こした)と報じました。

フランスの『AFP(Agence France-Presse)』通信は、”Japan government takes Okinawa to court over US base relocation”(日本政府、アメリカ軍基地移設問題で沖縄を提訴 The lawsuit comes amid a long-running)という見出しで、”Japan on Tuesday sued its southern region of Okinawa over local resistance to a new US military base, the latest chapter in deepening mistrust between central authorities and the government of the strategic island. The lawsuit comes amid a long-running drama between Tokyo, keen to satisfy security ally the United States, and Okinawa, where frustration over a seven-decade American military presence is rife”(日本は、新しいアメリカ軍基地に対する地元住民の抵抗をめぐって、南の地方の沖縄を提訴した。
それは、中央政府と戦略的島(沖縄)の政府との間の相互不信を深める新たな1章なのだ。安全保障の同盟国アメリカを満足させるのに熱心な中央政府と70年間にもわたるアメリカの軍事的プレゼンスをめぐってのフラストレーションが広まっている沖縄との間の長いドラマの中でその提訴はなされたのだ)と報じました。














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共通テーマ:ニュース

675.沖縄県と政府、アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐり法廷闘争へ(最新版)ー2015.10.14 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

沖縄県と政府は、アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐって対立してきましたが、沖縄県が移設先の名護市辺野古(なごし・へのこ)沿岸部の埋め立て承認を正式に取り消したのに対し、政府は、これを無効として争う姿勢を示しているところから、法廷闘争に発展する見通しです。
沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は、13日、移設予定地の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を正式に取り消す手続きをとり、記者会見で、「仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事による承認に法的に瑕疵(かし=本来あるべき要件が欠けていること)があると認められ、取り消しが相当であると判断した」と述べました。その上で、「辺野古に新基地を造らせないという公約の実現に向けて全力で取り組む」と語りました。
これに対して、政府は、移設計画をこれまで通り進める方針で、工事を続けるため、14日承認取り消しの執行停止と無効を求める法的手続きをとりました。これによって、この問題は、最終的には、沖縄県と政府の法廷での争いに発展することが予想されます。

(b)ニュースの背景

普天間基地(=普天間飛行場)は、沖縄本島南部の宜野湾市(ぎのわんし)中心部の人口密集地域にあり、”世界で一番危険な飛行場”といわれています。アメリカ海兵隊が駐屯していて、沖縄のアメリカ軍の拠点の一つです。
1995年アメリカ兵による沖縄の少女暴行事件が起こり、沖縄で大規模な抗議集会が開かれ、翌1996年日米両国政府は、5~7年の間に普天間基地を日本に返還することで合意しました。ただし、返還は、代替施設が運用可能になった後とされ、1997年名護市辺野古を移転先とすることを決定しました。
2012年日米両国政府は、共同文書を発表し、それに基づいて、現在在日アメリカ軍の再編計画を進めています。計画では、アメリカ海兵隊およそ9000人を国外に移転させる、嘉手納以南5か所にある施設・区域の返還を段階的に進める。これらの計画は、普天間基地の返還と切り離して行うなどとしています。
2012年12月安倍政権が発足し、2013年2月安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談が行われ、辺野古移設を早期に進めることで一致しました。これを受けて、沖縄県の仲井真知事は、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸の埋め立て申請を承認しました。2014年に入って、移設予定地のキャンプシュワブ内の施設解体工事が始まりました。
しかし、2014年11月に行われた沖縄県知事選挙で、無所属で前の那覇市長の翁長氏が、自民党などが推薦していた現職の仲井真知事を破って当選を果たしました。翁長氏は、選挙期間中、辺野古への移設計画に強く反対し、県外、国外の移設を主張していました。
辺野古への移設計画をめぐる沖縄県と政府の集中協議は、2015年9月7日まで5回にわたって行われましたが、沖縄県側は、辺野古への移設計画に反対し、県外移設を強く主張し、一方政府は、辺野古への移設計画の実施を求め、対立したままで終わっています。
政府は、沖縄との集中協議で中断していた辺野古での移設作業をすでに9月12日に再開しており、10月末までに海底ボーリング作業を終え、その後、速やかに埋め立て作業などの本体工事に入る方針です。

(c)英語のニュース

Japan's southern prefecture of Okinawa and the central government have begun a legal battle over a government plan to relocate a key U.S.military base within the pefecture.
This came after the Governor of Okinawa Prefecture, Mr. Takeshi Onaga, on Tuesday officially revoked the approval his predecessor issued to the central government for landfill work to relocate the U.S. Marine Corps Futenma Air Station.
Meanwhile the central government, which intends to continue the relocation work, took a step on Wedesday to counter the move by the Okinawa Prefecture.
The Japanese and U.S. governments had agreed to transfer the Futenma air station, now in a densely populated residential area in Ginowan, Okinawa, to the Henoko coastal district in Nago, also in Okinawa, through the reclamation of areas of water off Henoko. Mr Onaga strongly opposes the relocation within Okinawa, because the Okinawa Prefecture has long hosted the bulk of U.S. forces in Japan.

(d)ニュースの比較研究

沖縄県知事が辺野古承認を正式に取り消したニュースについては、日本のメディアは、前日から前触れ記事で報じ、当日もトップ・ニュースでした。外国のメディアも、アメリカ軍基地に関連したニュースなので報道していました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、"Okinawa governor revokes approval for US air base relocation"(沖縄の知事、アメリカ空軍基地の移設承認を取り消す)という見出しで、"Okinawa's governor on Tuesday revoked approval for work needed to relocate a U.S. air base from one area of the southrn Japanese island to another , but the Tokyo government said it would proceed with the plan. Local residents object to living with U.S. Marine Air Station Futenma and want the base moved off Okinawa . Current plans call for moving it to a less developed area on the island called Henoko"(沖縄の知事が、あるアメリカ空軍基地を沖縄の島のある箇所から他の箇所に移設するために必要な作業の承認を取り消した。しかし、日本政府は、その計画を続けていくと述べた。地元の住民は、アメリカ海兵隊の普天間基地と一緒に生活することに反対し、その基地が沖縄からでていってほしいと思っている。現在の計画では、普天間基地を辺野古というあまり開発されていない地域に移すことになっている)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、"Okinawa Governor Revokes Permission for Construction of U.S. Base"(沖縄の知事、アメリカ軍基地建設許可を取り消す)という見出しで、"A long-running political dispute in Japan over the proposed relocation of a United States Marine Corps air base entered new territory on Tuesday, after the governor of Okinawa revoked permission for construction work to take place at the site planned for the facility. The decision, which central government officials in Tokyo said they would appeal, is the latest setback for a 20-year effort by Japanese and American military planners to move the base, Marine Corps Air Station Futenma, from its current location in the middle of a crowded Okinawa city to a less populated part of the island"(アメリカ海兵隊基地の移設計画をめぐる日本における長期間にわたる政治的紛争は、沖縄の知事が、基地計画地域で行われている建設作業許可を取り消した後、新たな段階に入った。その決定は、日本政府は、提訴するといっているが、海兵隊の普天間基地を密集している市の中心の現在の場所から同じ沖縄という島の人口の少ない地区に移そうとする日米の軍事計画者たちの20年間にわたる努力にとっては、新たな後退だ)と報じました。

アメリカの『The Washington Post』紙は、"Okinawa governor revokes permit for construction of new U.S. Marine base"(沖縄の知事、新たなアメリカ海兵隊基地建設の許可を取り消す)という見出しで、"A battle over the relocation of a U.S. Marine Corps base on Okinawa escalated Tuesday when the governor of the Japanese island revoked a permit for the new construction site. The central government in Tokyo vowed to fight the governor's decision, but Tuesday's action was the latest complication to bedevil the U.S. military's efforts to build a new base on Okinawa"(沖縄のアメリカ海兵隊の基地の移設をめぐる争いは、沖縄の知事が、新たな建設地の許可を取り消した時、拡大した。日本政府は、知事の決定に戦うことを誓った。しかし、その決定は、沖縄に新たな基地を造ろうとするアメリカ軍の努力を悩ます新たな頭痛の種だ)と報じました。

ドイツの『Deutche Welle』放送は、"Okinawa governor adds roadblock to US base relocation"(沖縄の知事、アメリカ軍基地の移設の路上バリケードを追加)という見出しで、”Plans to relocate a U.S. military base on the Japanese island of Okinawa have hit another snag. The Okinawa governor has revoked approval need for the move - a further contradiction to plans set in motion by Tokyo"
(日本の島の沖縄のアメリカぐん基地を猪接する計画は、また新たな障害にぶつかった。沖縄の知事が、移設に必要な承認を取り消したからだ。それは、日本政府が行動を起こす計画に真っ向からあらたに否定するものだ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Japan's Okinawa governor revokes permit for US base move"(日本の沖縄の知事、アメリカ軍基地の移設承認を取り消す)という見出しで、"The governor of Japan's southern Okinawa prefecture has revoked a permit allowing the controversial move of a US military base. The permit, given by his predecessor, allowed a coastal area to be reclaimed for the Futenma airbase relocaton. But a central government spokesman said there is "no change" in plans to proceed. Tokyo has been engaged in a long-running stand-off with local authorities on the issue"(日本の南の沖縄県知事が、問題のアメリカ軍基地移設の許可を取り消した。その許可は、彼の前任者が与えたもので、普天間基地のi移設のために海岸地域の埋め立てを許可したものだ。しかし、日本政府のスポークスマンは、計画に”何の変更もなく”進めていくと述べた。日本政府は、地元当局とこの問題をめぐって長期間行き詰まりの状態が続いている)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"Japan's Okinawa governor officially revokes U.S. base relocation approval"(日本の沖縄の知事、アメリカ軍基地移設承認を取り消す)という見出しで、
"Governor Takeshi Onaga of Japan's Okinawa Prefecture on Tuesday officially revoked the approval for the relocation of a key U.S. military base within the most southern island prefecture which was issued by his predessor to the Japanese central government. Onaga's decision came after the central and Okinawa pefecture governments failed to reach a compromise over the relocation of the Futenma base to the Henoko region in their month-long consultation ending early September"(日本の沖縄県の翁長知事は、彼の前任者が日本政府に出した日本の最南端の島の沖縄県の中での重要なアメリカ軍基地の移設承認を取り消した。翁長氏の決定は、日本政府と沖縄県が、9月上旬まで1か月に及んだ協議で、普天間基地移設問題をめぐって妥協に達しなかった後になされた)と報じました。





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663.安保法案反対で最大規模のデモ(最新版)ー2015.9.2 [政治・社会]

*2015.9.5のサロンのテキスト*(663&664)

(a)日本語のニュース

参議院で審議中の安全保障関連法案に反対する、これまでで最大規模の集会が、30日東京の国会周辺で開かれ、参加した人たちは、「戦争法案廃案」「安倍政権退陣」と叫び続けていました。
主催者の発表では、参加したのは、12万人で、野党の政治家のほか、一般市民、学生ら若者、主婦、学者・研究者たちで、雨の中、国会議事堂を取り囲み、歩道だけでなく車道にも広がり、安全保障関連法案をめぐる抗議行動としては最大規模になりました。
抗議行動は、東京以外でも北海道、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄など全国各地およそ300か所で行われました。

(b)ニュースの背景

安全保障関連法案というのは、日本が集団的自衛権の行使を可能にする法案で、自衛隊の活動範囲を海外にまで拡大するものです。それは、1つの新法案・国際平和支援法案と10の改正法案の武力攻撃事態法改正案、周辺事態法→重要影響事態法案、PKO(=国連平和維持活動)協力法改正案、自衛隊法改正案、船舶検査法改正案、米軍行動円滑化法→米軍等行動円滑化法案、海上輸送規制法改正案、捕虜取り扱い法改正案、特定公共施設利用法改正案、国家安全保障会議(NSC)設置法改正案です。

安全保障関連法案は、7月15日衆議院の特別委員会で、野党議員が抗議する中、採決が強行され、与党の自民・公明両党の賛成多数で可決され、翌16日衆議院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決され参議院に送られました。参議院では、7月27日本会議で、28日特別委員会で論戦が始まり、現在特別委員会で審議されています。
この中で、安倍首相は、国際情勢の変化を強調し、法案成立の必要性を強調しました。首相は、中国が海洋進出を活発化させていることを踏まえ、法案成立によって日米同盟がゆるぎないものであることを内外に示していく必要があると述べました。
これに対して、民主党、共産党など野党は、集団的自衛権を可能にする安全保障関連法案は憲法に違反していると主張し、廃案にするよう迫りました。
一方、国会周辺のほか、日本各地では、法案に反対し廃案を呼びかけるデモや集会が行われているほか、さまざまな市民団体などが抗議声明、反対声明を出しています。

今の国会の会期は、95日間延長され、9月27日までとなっています。与党としては、9月14日以降できるだけ早い時期に、遅くとも会期末までに、参議院で可決・成立させたいとしています。

(c)英語のニュース

Tens of thousands of people have gathered near the parliamentary building in Tokyo calling for the scrapping of controversial national securuty bills in the largest rally so far held against the bills.
Organizers say that some 120-thousand people including opposition party leaders, citizens, students, homemakers and other protesters took part in the rally on Sunday.
The protesters, ranging from the young to the elderly, braved the rain to shout slogans and wave banners demanding the bills' abolition and Prime Minister Shinzo Abe's resignation.
The organizers say that some 300 similar protest rallies were held across the country.
The controversial national security bills are now under deliberation in the Upper House, expected to be enacted mid-September.
The bills would expand the activities of Japanese Self-Defence Forces abroad and allow the country to exercise the right to collective self-defense with an ally, likely the United States, if an event critically threatens Japan's national security.
Protesters maintain that the move, long banned under the postwar Constitution, is unconstitutional and that the bills could eventually drag Japan into an unwanted war.

(d)ニュースの比較研究

安全保障関連法案反対の最大規模のデモのニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きくは扱いましたが、トップ・ニュースにしたのは少なかったように思います。それにしても、日本のメディアは、なぜ、デモの参加者数については、必ずといっていいほど、主催者発表と警察発表の両方をのせるのでしょうか。”客観報道””公正な報道”のためなのでしょうか。今回の場合は、主催者発表12万人、警察側の数字は3万人余りでしたが、あの報道写真や映像をみて、3万人は余りにも少ないと感じたのは私だけでしょうか。そういう場合は、警察の数字は伝えないということはできないのでしょうか。外国の報道でデモのニュースで主催者発表と警察発表の両方をのせているのはみたことがありません。
今回のデモのニュースについて、主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、"Tens of thousands protest defense bills outside Japan's Diet"(何万人もの人たちが日本の国会の外で防衛法案に抗議)という見出しで、"Tens of thousands of protesters rallied outside Japan's parliament Sunday to oppose security legislation in one of this summer's biggest protests ahead of the anticipated passage next month. "No to war legistlation""Scrap the bills now""Abe quit" they chanted during the demonstration in the government district in Tokyo, filling the street outside the front gate of the parliament or Diet. The demonstration oppose legislation that would expand Japan's military role under a reinterpretation of the country's war-renouncing constitution"(何万人という抗議をする人たちが、安全保障法案に反対するために日本の議会の外に集まった。それは、来月(9月)通過が予想されているのに先立って行われたこの夏最大の抗議行動の一つだ。”戦争法案反対””法案を廃棄せよ””安倍退陣”、彼らは、東京の官庁街でデモをしながら叫んだ。そして、議会、すなわち国会の正門の外で道一杯にあふれた。このデモは、日本の戦争放棄の憲法の再解釈のもとで、日本の軍事的役割を拡大することになる法案に反対しているのだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"Huge protest in Tokyo rails against PM Abe's security bills"(東京の巨大な抗議行動、安倍首相の安全保障法案に反対叫ぶ)という見出しで、"Tens of thousands of protesters gathered near Japan's parliament building on Sunday to oppose legislation allowing the country to fight overseas, the latest sign of public mistrust in Prime Minister Shinzo Abe's security policy. In one of Japan's biggest protests in years - organizers put the crowd at 120,000 - people of all ages braved occasional rain to join the rally, chanting and holding up placards with slogans such as "No War" and "Abe quit"(何万人もの抗議をする人たちが、日本が海外で戦うことを認める法案に反対して、日本の議会の建物の近くに集まった。これは、安倍首相の安全保障政策に国民が不信を抱いている最も新しい兆しだ。近年で最大の抗議行動の一つで、主催者は、その群衆の数を12万人とみている。人々は、あらゆる年齢層の人たちで、時々降る雨にもものともせず、集会に参加し、”戦争反対””安倍退陣”といったスローガンのプラカードを掲げ、口々に叫んでいた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Japan military legislation changes draw protests"(日本の軍事法の改正、抗議行動を引き起こす)という見出しで、"Thousands of people have protested outside of Japan's parliament against new legislation that would allow the military to deploy overseas. The changes would allow Japanese troops to fight abroad for the first time since World War Two. The legislation has already been passed by Japan's lower house and is expected to be endorsed by the upper chamber"(何千人もの人たちが、日本の軍隊が海外で展開するのを認める新しい法案に反対して日本の議会の外で抗議行動を行った。この法改正は、第2次世界大戦後初めて海外で日本の軍隊が戦うことを認めることになるだろう。この法案は、すでに日本の下院(衆議院)を通過し、上院(参議院)でも可決成立するものとみられている)と報じました。

ドイツの『Deutche Welle』放送は、”Mass protests in Tokyo against controversial military bills"(問題の軍事法案に反対する大規模な抗議行動、東京で)という見出しで、"Tens of thousands of people have gathered in front of Japanese parliament to protest against security bills they believe to be unconstitutional. The proposed legislation would allow Japanese soldiers to fight overseas. The demonstrations were chanting "No to war legislation" and calling on Prime Minister Shinzo Abe to quit at the large rally in downtown Tokyo on Sunday""(何万人もの人々は、彼らが違憲だと信じている安全保障法案に反対して抗議するため、日本の議会の前で集まった。デモは、東京の中心部での大集会で”戦争法反対”を叫び、安倍首相の退陣を呼びかけた)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"120,000 protesters surround Japan's Diet against security bills"(12万人のデモ、安全保障法案に反対して、日本の国会を取り囲む)という見出しで、"Some 120,000 people rallied and surrounded Japan's parliament building here on Sunday, demanding Prime Minister Shinzo Abe rescind the controversial security bills. Political heavyweight Ichiro Ozawa, who also serves as a co-head of the People's Life Party, and other opposition leaders also participated in the largest rally recently seen in Tokyo. According to organizers, similar demonstrations against the bills were also held across the country at the weekend" (約12万人の人々が、安倍首相に問題の安全保障法案を廃案にするよう要求して、東京にある日本の国会議事堂を取り囲んで集会を開いた。生活の党代表で有力な政治家の小沢一郎氏やその他の野党の指導者たちも最近東京で開かれた中で最大の集会に参加した。主催者によると、同じような法案に反対するデモが、週末全国各地で開かれた)と報じました。


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662.戦後70年終戦の日、政府主催の式典、安倍首相談話ー2015.8.16 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

戦後70年の終戦の日8月15日には、政府主催の全国戦没者追悼式典が行われ、前日の14日には、政府が、安倍首相談話を閣議決定し、発表しました。
政府主催の全国戦没者追悼式は、15日、東京の日本武道館で、天皇、皇后両陛下や安倍晋三首相、それに全国から遺族の代表などおよそ6500人が参列して行われました。
式典では、参列者は、正午から1分間の黙とうをし、戦没者およそ310万人の冥福を祈り、平和への誓いを新たにしました。
天皇陛下は、追悼式のお言葉で初めて「さきの大戦に対する深い反省」に言及され、「今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願う」と述べられました。
安倍首相は、式辞で、「歴史を直視し、常に謙抑を忘れず」「戦争の惨禍を決して繰り返さない」と述べました。しかし、歴代首相が盛り込んできたアジアへの加害と反省には言及しませんでした。

前日の14日、政府は、臨時閣議で、戦後70年の安倍首相談話を決定し、発表しました。
安倍首相談話は、わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきたが、こうした歴代内閣の立場はゆるぎないと述べています。
さらに、事変、侵略、戦争など、いかなる武力の威嚇や行使も国際紛争を解決する手段としては二度と用いてはならない、また、植民地支配から永遠に決別し、民族自決の権利が尊重される世界にしなければならないと、深い悔悟の念とともに、わが国は、そう誓ったと述べています。
安倍首相談話は、また、次の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと述べているほか、わが国は、ともに、自由、民主主義、人権といった基本的価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗をかかげ、世界の平和と繁栄に貢献していくという方針を明らかにしています。
この安倍談話については、戦後50年の村山談話、60年の小泉談話に盛り込まれた「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」といった4つの文言を使う一方で、歴代内閣の方針を引用するなど間接的な表現で、安倍首相自らの言葉でおわびや反省は示していない点が指摘されています。
また、「次の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べ、中国や韓国などにおわびを繰り返す「謝罪外交」に区切りをつけたい意向をにじませた表現も指摘されています。
いずれにせよ、今回の安倍談話は、国内外のさまざまな事情に配慮したものになっており、これから盛り込まれた内容をどう具体的に実現していくかにかかっているといわれています。

(b)ニュースの背景

首相談話というのは、首相が自らの考えを国内外に示す文書で、閣議決定で政府の公式見解になります。
首相談話は、首相就任や内閣改造などの際に今後の政権運営の方針を示したり、大規模な自然災害や事故が発生したときの対応を明らかにしたりすることもあります。中でも注目度が高いのは、歴史認識に関する談話です。
1995年8月15日に自民、社会、新党さきがけ3党連立内閣の村山富市首相が発表した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」は、過去の植民地支配や侵略への反省とおわびを表明しました。村山談話は、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策をあやまり、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大の損害と苦痛を与えました。私は、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明します」と述べています。
2005年8月15日の小泉純一郎首相の談話も村山談話のキーワードなど主要部分を踏襲し、未来志向を強調しました。村山、小泉両談話とも閣議決定しており、政府の公式な意思表明と位置づけられています。

(c)英語のニュース

Japan observed the 70th anniversary of the end of World War Two on Saturday - August 15th -
A government-sponsored memorial ceremony was held in Tokyo, attended by some 6,500 people, including bereaved families, the Emperor and Empress and Prime Minister Shinzo Abe.
At the ceremony, participants observed a minute of silent prayer.
In his address, the Emperor referred for the first time to a profound sense of remorse over the war and expressed hope that the devastation of war will never be repeated.
Prime Minister Abe, in his speech, paid his respects to the fallen during the war. He said that the country's current peace and prosperity have been made possible only through their sacrifices.
Mr.Abe said that he prays for world peace and further progress for the country.

Prime Minister Shinzo Abe on Friday issued a statement marking the 70th anniversary of the end of Wold War Two, reaffirming that Japan has expressed deep remorse and heartfelt apology over its past wartime actions. In the statement approved at a cabinet meeting, he said that such positions articulated by previous cabinets will remain unshakable into the future.
Mr. Abe said "Aggression, war - we shall never again resort to any form of the threat or use of force as a means of settling international disputes. We shall abandon colonial rule forever."
He said that Japan will keep its pledge never to wage war again and continue to uphold the rule of law.
Mr. Abe said "We must not let our children, grandchildren, and even further generations to come, who have nothing to do with that war, be predestined to apologize"
Political observers in Tokyo say that Prime Minister Abe's statement included key words, such as "apology,""aggression,""colonial rule,""deep remorse" that were used in past war anniversary statements, notably the one released in 1955 by then Prime Minister Tomiichi Murayama. However, the observers say,Mr. Abe's statement stopped short of extending a fresh apology for Japan's wartime acts in his own words. And the words "aggression" and "colonial rule" in Mr.Abe's statement were not used to directly describe Japan's wartime acts. The political observers also point out that
Mr.Abe's statement shows there is a limit to the number of times Japan could apologize.

(d)ニュースの比較研究

戦後70年の終戦の日の政府式典と安倍首相談話のニュースについては、日本のメディアは、もちろんトップ・ニュースで大々的に伝えましたし、外国のメディアも、大きく報道しました。とくに欧米のメディアの安倍首相に対する批判的な報道が目立ちました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The New York Times』紙は、政府主催の式典について、”Emperor Akihito Expresses 'Deep Remorse' for Japan's Role in World War II"(天皇、第2次世界大戦の日本の役割に”深い反省”を表明)という見出しで、"Emperor Akihito, whose father announced his exausted country's surrender in World War II, expressed "deep remorse" for the conflict on Saturday at a memorial service on the 70th anniversary of the war's end. The words were not new for the emperor: He has often spoken of remorse over the war, and he has done so increasingly in recent years, in meetings with foreign leaders and visits to sites where battles once raged. But they were an unfamiliar addition to the short and highly ritualized statement he delivers each year at the memorial ceremony on Aug.15. In a year of controversies in Japan over memories of the war and the role of the country's modern military, they could reinforce a belief among some observers that Emperor Akihito is taking a quiet stand against the policies of Prime Minister Shinzo Abe"(天皇アキヒトは、その父が第2次世界大戦の疲弊した日本の降伏を発表したが、彼自身は、第2次世界大戦終結の70周年の記念式典でその戦争に”深い反省”を表明した。この言葉は、天皇にとっては新しいものではない。彼は、しばしば、その戦争に対する反省について話してきた。特に近年外国の指導者との会談や戦闘がかつて行われた場所への訪問で、ますますそうしてきた。しかし、その言葉(”深い反省”)は、8月15日の記念式典で毎年読み上げる短い、儀式化された声明には、あまりみられない付け加えたものだ。日本では、この1年、その戦争の記憶や日本の近代の軍隊の役割について議論が起こっている中で、その言葉は、天皇アキヒトは、安倍首相の政策に反対した静かな立場をとっているとする一部観測筋の見方を強めるものだ)と報じました。
また、安倍首相談話について、"Shinzo Abe Echoes Japan's Past World War II Apologies but Adds None"(安倍首相、日本の過去の第2次世界大戦の謝罪をおうむ返しに繰り返す、しかし何も付け加えず)という見出しで、"Using the carefully chosen words that govern reckonings with Japan's militarist past, Prime Minister Shinzo Abe reiterated his country's official remorse for the catastrophe of World War II on Friday, the eve of the 70th anniversary of the war's end. In a nationally televised address, Mr. Abe described feelings of "profound grief" and offered "eternal, sincere condolences" for the dead. He said Japan had inflicted "immeasurable damage and suffering" when it "took the wrong course and advanced along the road to war." But in a potentially contentious break with previous expressions of contrtion by Japanese leaders, he did not offer a new apology of his own."(安倍首相は、日本の軍国主義の過去との清算に関わる注意深く選んだ言葉を使って、第2次世界大戦の終結70周年の前夜、戦争の大惨事に対して日本の公式の深い悔恨の意を繰り返した。安倍首相は、”深い悲しみ”の感情を表明し、死者に”永遠の、心からの哀悼の意”を表した。彼は、日本が悪い道をたどり、戦争への道を進んだとき、日本は、はかりしれない損害を与えたと述べた。しかしながら、安倍首相は、日本の指導者による以前の悔悟の表現の中で、彼自身の新たな謝罪を表明しなかった)と伝えました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、政府主催の式典については、"Japan emperor 'remorseful' over WW2, as 70th anniversary marked"(日本の天皇、戦後70年記念で、第2次世界大戦について’深い反省’表明)という見出しで、"Japanese Emperor Akihito has for the first time expressed "deep remorse" over Japan's role in World War Two. He was speaking at a ceremony to mark 70 years since his country surrendered. PM Shinzo Abe said Japanese service personnel who died had "sacrificed their futures", but China and South Korea have accused him of failing to properly atone for Japan's aggression.(日本の天皇アキヒトは、第2次世界大戦の日本の役割について”深い反省”を初めて表明した。彼は、日本が降伏してから70年を記念する式典で声明を読み上げていた。安倍首相は、戦争で亡くなった日本の兵役に服した人たちが彼らの将来を犠牲にしたと述べたが、中国や韓国は、安倍首相を日本の侵略を適切に償っていないと非難してきている)と伝えました。
また、安倍首相講話については、"Japan expresses World War 2 regret as end of conflict is marked"
(日本、終戦記念日に第2次世界大戦に遺憾の意を表明)という見出しで、"Japan's Prime Minister Shinzo Abe has expressed his regret about the immeasurable suffering his country caused during the Second World War. However, he avoided saying it had fought a war of aggression. It comes on the eve of the anniversary marking 70 years since the war came to an end.(日本の安倍首相は、第2次世界大戦で日本が引き起こした、はかりしれない被害について遺憾の意を表明した。しかしながら、彼は、戦略戦争をやったとはいわなかった。それは、第2次世界大戦が終結して70年たった記念日の前日のことだ)と報じました。

ドイツの『Deutche Welle』放送は、"Why Abe's 'utmost grief won't ease regional tensions"(なぜ安倍首相の’深い悲しみ’は、地域の緊張を和らげないだろうか)という見出しで、""Japanese PM Shinzo Abe's failure to express a clear "heartfelt apology" for his country's actions during World War II reflects a missed opportunity to ease tensions that have haunted the region for decades, experts say. It would have been an ideal occasion for the Japanese PM to defuse tensions over his country's wartime past, which still haunts ties with neighboring China and South Korea. But despite upholding past apologies from his predecessors for the country's actions in World War II, the nationalist premier failed again to issue a personal "heartfelt apology""(専門家によれば、日本の安倍首相が、第2次世界大戦中の日本の行動に対するはっきりとした”心からの謝罪”を表明しなかったことは、何十年もの間この地域に付きまとってきた緊張を和らげる機会を逸した。日本の首相が、隣国の中国や韓国との関係で依然として付きまとっている日本の戦時中の過去をめぐる緊張を和らげる機会であることが望ましかったのに。しかしながら、ナショナリストの首相が、第2次世界大戦中の日本の行動に対する前任者たちの過去の謝罪を守るとしたにもかかわらず、彼は、再び個人的な”心からの謝罪”をしなかったのだ)と伝えました。













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642.沖縄全戦没者追悼式、沖縄と政府の溝深まるー2015.6.24 [政治・社会]

*2015.7.4のサロンのテキスト*(642~645)

(a)日本語のニュース

沖縄は、23日、太平洋戦争末期に多くの人たちが犠牲になった沖縄戦から70年の「慰霊の日」を迎え、各地で慰霊祭が行われ、そのうち最後の激戦地となった沖縄本島南部の糸満市の平和祈念公園で、沖縄県主催の「戦後70年沖縄全戦没者追悼式」が開かれました。
70年前の沖縄戦では住民を巻き込んだ激しい地上戦が3か月続き、20万人を超える人たちが亡くなりました。
追悼式には、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事や県民をはじめ、安倍首相、衆参両院議長、アメリカのキャロライン・ケネディ駐日大使らおよそ5,400人が参列し、1分間の黙とうをささげました。
翁長知事は、「平和宣言」を読み上げ、その中で、政府に対して、アメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を中止するよう求めました。
安倍首相は、追悼式後、記者団に「普天間飛行場の固定化は、断固としてあってはならない」と述べ、辺野古移設の必要性を強調し、知事の中止要求に反論しました。
政府は、普天間飛行場の名護市辺野古への移設を計画通り推し進める方針ですが、沖縄県側は、これに断固反対という姿勢で、政府と沖縄県の間の溝は深まっています。

(b)ニュースの背景

普天間基地は、沖縄本島南部の宜野湾市中心部の人口密集地域にあり、”世界で一番危険な飛行場”といわれています。アメリカ海兵隊が駐屯していて、沖縄のアメリカ軍の拠点の一つです。
1996年日米両政府は、5~7年の間に普天間飛行場を日本に返還することで合意しました。ただし、返還は、代替施設が運用可能になった後とされ、1997年名護市辺野古を移転先に決定しました。
2012年日米両国政府は、共同文書を発表し、それに基づいて、現在在日アメリカ軍の再編計画を進めています。計画では、アメリカ海兵隊およそ9000人を国外に移転させる、嘉手納以南5か所にある施設・区域の返還を段階的に進める、これら計画は、普天間基地の返還とは切り離して行うなどとしています。
2012年12月に安倍政権が発足して以来初めての日米首脳会談が2013年2月に行われ、辺野古移設を早期に進める方針で一致しました。これを受けて、仲井真知事は、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸の埋め立て申請を承認しました。2014年には、移設予定地のアメリカ軍のキャンプ・シュワブ内の施設解体工事が始まりました。
しかし、2014年11月に行われた沖縄県知事選挙で、無所属で前の那覇市長の翁長雄(おなが・たけし)氏=64歳が、36万票余りを獲得し、自民党などが推薦していた現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏=75歳を10万票近く差をつけて破り、当選を果たしました。
この時の沖縄知事選挙の最大の争点は、日米両国政府が1996年に合意した宜野湾(ぎのわん)市の中心部にあるアメリカ軍の普天間基地の名護市辺野古(へのこ)への移設計画をめぐる問題で、3期目を目指していた仲井真氏は、前回の知事選では「県外移設」を求める立場をとっていましたが、この時は、「辺野古移設が現実的だ」と強調し、一方翁長氏は、「移設阻止」を主張し、国外や県外への移設を求めていました。
1996年の日米の合意以降、沖縄県知事選挙で辺野古移設反対を掲げる候補が勝利したのは、この時が初めてです。

2015年4月、安倍首相と沖縄県の翁長(おなが)知事が初めて会談し、沖縄県宜野湾市(ぎのわんし)にあるアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古(なごし・へのこ)への移設計画について話し合いましたが、お互いの立場を述べ合い、会談は平行線に終わりました。
会談は、首相官邸で行われ、昨年12月翁長氏が移設阻止を掲げて沖縄県知事に就任して以来初めてのことです。

(c)英語のニュース

Japan's southernmost prefecture of Okinawa marked the 70th anniversary of the Battle of Okinawa, the country's fiercest and bloodiest fighting at the end of World War Two on Tuesday.
More than 200,000 people, including citizens, Japanese soldiers and U.S. servicemen, were killed during the 3-month Battle of Okinawa - the last fighting in the ground war.
Some 5,400 people, including Okinawa Governor Takeshi Onaga and representatives from Okinawa prefecture, as well as Prime Minister Shinzo Abe,and U.S.Ambassador to Japan Caroline Kennedy, attended the memorial service in Itoman City, where the last major combat took place.
They offered one minute of silence for those who died in the Battle of Okinawa.
Okinawa Governor Onaga read out a peace declaration, expressing the opposition to the government's plan on the relocation of Futenma Air Station to Henoko in Okinawa Prefecture. He said that the government should stop the work to relocate Futenma to Henoko.
Speaking to newsmen after the memorial service, Prime Minister Abe indicated that his government will carry out the relocation plan.

(d)ニュースの比較研究

沖縄の戦没者追悼式のニュースについては、日本のメディアは、沖縄県の翁長知事が「平和宣言」の中で、政府に普天間基地の辺野古への移設計画の中止を求めたことを異例なこととして報道していました。一方、外国のメディアは、ほとんどが、安倍首相が、「帰れ」のヤジをあびたことをリードで伝えていました。日本のメディアと外国のメディアの大きな違いです。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"Japan Marks 70th Anniversary of WWII Battle of Okinawa"(日本、第2次世界大戦の沖縄戦70周年を迎える)という見出しで、"Heckled by local residents, Prime Minister Shinzo Abe joined about 5,000 people including U.S.ambassador in a memorial service marking the 70th anniversary of the Battle of Okinawa, one of the bloodiest conflicts of World War II"(地元の住民によるやじをあびて、安倍首相は、第2次世界大戦の最も熾烈な戦いの一つだった沖縄戦70周年の祈念式典に、アメリカの駐日大使などおよそ5,000人とともに参列した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Japan PM Shinzo Abe jeered at Battle of Okinawa ceremony"(日本の安倍首相、沖縄戦の式典でやじをあびる)という見出しで、"Japanese PM Shinzo Abe has been heckled at a ceremony marking the 70th anniversary of the Battle of Okinawa. Mr. Abe was shouted at by locals, angry about the size of the US military presence on their island"(日本の安倍首相は、沖縄戦70周年祈念式典でやじをあびた。安倍首相は、沖縄のアメリカ軍のプレゼンスの規模に怒っている地元の人たちから罵声をあびたのだ)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence-France Presse)』通信は、"Tensions surface in Okinawa on 70th anniversary of battle"(沖縄戦70周年で緊張表面化)という見出しで、"Japan's premier Shinzo Abe was heckled Tuesday at a ceremony to mark the 70th anniversary of the end of the Battle of Okinawa, the bloodiest episode in the Pacific War, as anger flared over the US military's continuing presence"(日本の安倍首相は、太平洋戦争の最も熾烈な出来事である沖縄戦の終結70周年祈念式典で、やじをあびたのだ。それは、アメリカ軍のプレゼンスが継続していることについての怒りが燃え上がった時だった)と報じました。






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633.安保法制反対デモ、国会周辺で(最新版)ー2015.6.16 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

後半国会の焦点になっている安全保障関連法案に反対する人たちが、14日国会周辺で抗議集会を開き、「法案は憲法違反で、今すぐ廃案にすべきだ」などと訴えました。
呼びかけた市民団体によりますと、およそ2万5000人が参加し、「戦争法案成立反対」「憲法9条を守れ」「安倍政権の暴走を止めよ」などと訴え、国会周辺で集会とデモを行いました。集会には、野党の幹部や有識者も参加しました。

(b)ニュースの背景

安全保障関連法案というのは、昨年7月安倍政権が閣議決定した、これまでの憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を可能にする新たな安全保障法制のことで、自衛隊法や武力攻撃事態法、周辺事態法など10の法律の改正案を一括した「平和安全法制整備法案」と国際紛争に対処する他国軍の後方支援のため自衛隊を海外に随時派遣できるようにする恒久法の「国際平和支援法案」の2本からなっています。政府は、「平和安全法制」と総称していますが、民主党、共産党などの野党は、「戦争法案」と批判しています。特に最近衆議院の憲法審査会で、自民党などが推薦した参考人を含む3人の参考人の憲法学者全員が「安全保障関連法案は憲法に違反している」という意見を述べて大きな反響を呼びました。

(c)英語のニュース

In Tokyo, thousands of people have held a rally and demonstrations in protest against a set of national security bills being deliberated in Parliament.
Organizers say that some 25-thousand peole took part in the rally and demonstrations which surrounded the Parliamentary building on Sunday. Opposition parties' leaders and scholars also attended the rally.
They expressed their opposition to the national security bills, which would allow Japan to exercise the right to collective self-defense. They argued that the proposed legislation violates the war-renouncing Constitution and should be scrapped immediately.

(d)ニュースの比較研究

安全保障法制に反対する集会とデモが国会周辺で行われたというニュースについては、日本のメディアは、いずれも報道していましたが、それほど大きい扱いではありませんでした。いくつかの外国のメディアは、このニュースを伝えました。
それらのメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence-France Presse)』通信は、"Thousands rally against Japan PM's security bills"(何千人もの人たちが日本の首相の安全保障関連法案に反対してデモ)という見出しで、"Thousands of Japanese rallied Sunday in protest at plans by Prime Minister Shinzo Abe to bolster the role and scope of the pacifist nation's military. The protest which surrounded the parliamentry building was held as the nationalist premier tries to force through parliament a set of controversial bills making the changes"(何千人もの人たちが、平和国家(日本)の軍隊の役割と規模を強化するという安倍首相の計画に抗議して集会を開いた。国会の建物を取り囲んだ抗議行動は、ナショナリストの首相が、そうした変化を行うために、問題の多い一連の安全保障関連法案を強引に国会を通そうとしている時に、行われた)と報じました。
(このAFPの記事は、『Jakarta Post』『Gulf News』などでも引用され報道されました)

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"Abe's arrogance on security bills angers Japan's constitutional academics"(安倍首相の安全保障関連法案に関する尊大さ、日本の憲法学者を怒らす)という見出しで、"Japanese Prime Minister Shinzo Abe has showed dictator's arrogances in pushing forward a series of controversial security-related bills in parliament, but his autocracy quickly backfired since three prominent Japanese constitutional scholars testified in a Diet Session recently that the bills allowing the Self-Defense Forces to exercising the right to collective defense violate the country's Constitution"(日本の安倍首相は、国会で一連の問題の多い安全保障関連法案を推進するのに独裁者の尊大さを示した。しかし、彼の独裁政治は、すぐ裏目に出た。なぜなら、日本の3人の著名な憲法学者は、国会で、自衛隊が集団的自衛権を行使するのを容認することは憲法違反だと証言したからだ)と報じました。






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601.東日本大震災から4年ー2015.3.11 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

11日は、東日本大震災から4年目を迎え、各地で追悼式が行われました。
東日本大震災は、2011年3月11日に発生し、国内観測史上最大規模のマグニチュード9.0の巨大地震と大津波が東北地方から関東地方にかけて襲いました。被災地は、宮城、岩手、福島の3県を中心に、死者1万5891人、行方不明2584人、震災後の体調不良や自殺による震災関連死3194人をだしたほか、東京電力福島第1原子力発電所の事故など各地に大きな被害をもたらしました。
今なお避難生活を送っている人はおよそ23万人にのぼっており、避難先は、福島、宮城、岩手の3県を中心に全国47都道府県に及んでいます。
東日本大震災から4年たった11日、政府主催の追悼式が東京の国立劇場で行われ、岩手、宮城、福島3県の遺族代表のほか、安倍首相や天皇、皇后両陛下らがおよそ1100人が出席しました。
震災が発生した午後2時46分に1分間の黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈りました。
続いて、安倍首相が式辞を述べ、天皇陛下がお言葉を述べられました。そして、被災3県の遺族代表が追悼の言葉を述べました。このあと、追悼式では、各国の代表ら参列者が献花を行い、犠牲者を悼みました。

(b)ニュースの背景

東京電力福島第1原子力発電所の事故は、2011年3月11日の東日本大震災の際起きた事故で、主に隣接した原子炉4基で深刻な事態を引き起こしています。地震発生当時、運転中の1~3号機は地震の揺れで止まりました。4~6号機は定期検査中で止まっていました。しかし、核燃料は、核分裂生成物が放射線を出し、崩壊熱を出しています。4号機の核燃料は、定期検査のため、使用済み燃料プールに一時的に移されていました。プールは、他の号機にもあります。原子炉とプールの両方を冷やし続ける必要がありましたが、地震・津波とそれに伴う電源喪失のため冷却に失敗してしまいます。
1~3号機でメルトダウン、1、3、4号機で水素爆発、2号機で格納容器下部の圧力抑制プール付近での破損が起き、大量の汚染水が生まれ、放射性物質が放出されました。
事故のあった原子炉建屋には、毎日400トンの地下水が流入しています。建屋内には、溶け落ちた核燃料による高濃度の汚染水が残っているため、流入した地下水も汚染されてしまいます。汚染水をそのまま海に流すことはできないので、くみ上げて、放射性物質を取り除き、地上タンクに貯蔵しています。しかし、タンクは日に日に増えるばかりで、目下のところ汚染水対策が急務になっています。
第1原発の原子炉計6基は、すべてが取り壊され、廃炉されます。この作業には、30年から40年かかる予定です。

福島県民のうち約12万人が、自宅を離れ、県内外で避難生活を続けています。このうち、放射能汚染によって居住が制限されている避難指示区域(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)からの避難者は計約8万人です。

(c)英語のニュース

Japan has marked the fourth anniversary of the 2011 massive earthquake and tsunami that devastated the country's northeastern region. The disaster left more than 18,000 people dead or missing and triggered the continuing Fukushima nuclear crisis.
Nearly 23,000 people are still living as evacuees, following the 9.0-magnitude quake and gigantic tsunami and the subsequent accident at Tokyo Electric Power Company's Fukushima No.1 nuclear power station.
A government-sponsored memorial service was held in Tokyo on Wednesday, attended by about 1,100 people, including the Emperor and Empress, Prime Minister Shinzo Abe and representatives from the disaster victims' families. They observed a moment of silence at 2:46 p.m., the time of the quake four years ago.
In his speech, Prime Minister Abe pledged to accelerate reconstruction efforts and keep moving forward like the forefathers who overcame many difficulties, for future generations.
The Emperor said in his address that it's important to never forget lessons fro the disaster, hand them down to future generations and keep striving to make the country safe.
Representatives of bereaved families from the 3 hardest-hit prefectures of Iwate, Miyagi and Fukushima also spoke. They paid tribute to loved ones who died in the disaster and promised to look ahead and hand down their experiences and lessons as survivors to the next generation.

(d)ニュースの比較研究

東日本大震災から4年というニュースについては、日本のメディアは、何日も前から報道していましたが、外国のメディアは、当日いくつかのメディアが報道していましたが、原発事故後に注目したものが多かったように思いました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"Japan mourns lives lost 4 years after triple disaster amid growing mistrust of TEPCO"(日本、TEPCO=東京電力への不信が高まる中で、三重の災害(地震、津波、原発事故)から4年、亡くなった方々に黙とう)という見出しで、"The nation stopped for a moment of silence on Wednesday afternoon to remember the tens of thousands of lives lost four years ago when an earthquake-triggered tsunami pummelled the eastern sea board of Japan and devoured swathes of coastal land before triggering an ongoing nuclear crisis that continues to threaten the region as radioactive materials still regularly flow into the Pasic Ocean"(日本は、4年前、地震のあと起こった津波は、日本の東海岸を襲い、沿岸地域に被害を与え、さらに今なお続いている原発事故による危機は、放射性物質を太平洋に定期的に流出して、この地域を脅かし続けている。日本は、4年前の震災で命を亡くした何万人もの人々を追悼するために1分間の黙とうをささげた)と報じました。

アメリカの『NBC(=National Broadcasting Company)』放送は、"Earthquake-Tsunami Anniversary: Japan Marks Four Years Since Disaster"(日本、地震・津波の大震災から4年目を迎える)という見出しで、"Japan has marked the fourth anniversary of the devastating earthquake and tsunami that claimed nearly 20,000 lives and triggered a nuclear disaster with prayers and promises of better days ahead"(日本は、破壊的な地震と津波から4年目を迎え、およそ2万人の命を奪い、核の災害をもたらしたが、祈りとこれからのよりよい日々の約束を誓った)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Japan marks anniversary of devastating 2011 tsunami"(日本、壊滅的な2011年の津波の記念日を迎えた)という見出しで、"Cities across Japan have marked the fourth anniversary of the earthquake and tsunami that left more than 18,000 people dead or missing. Ceremonies were held in areas hit by the magnitude 9.0 earthquake, which devastated whole towns and badly damaged nuclear power plant"(日本中の都市は、1万8000人の死者・行方不明者をだした地震と津波から4年目を迎えた。町全体を破壊し、原子力発電所にひどく被害を与えたマグニチュード9.0の地震によって破壊された地域で追悼式が行われた)と報じました。











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572.特定秘密保護法施行ー2014.12.10 [政治・社会]

(a)日本語のニュース

安全保障の情報など国家機密の管理のルールを定め、漏えいした人に厳罰を科する特定秘密保護法が、10日施行されました。
特定秘密は、防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の4つの分野で、特定秘密に指定し、漏えいした公務員や民間業者に最高で10年の懲役刑を、漏えいをそそのかした者にも5年以下の懲役刑を科すもので、昨年12月に連立政権をつくっている自由民主党と公明党の賛成で成立しました。
政府は、特定秘密保護法の施行に先立って、特定秘密を指定できる役職を、防衛省や外務省など19の行政機関の長に限るとともに、特定秘密の対象として、極秘を前提に外国政府から提供された情報や自衛隊の警戒監視活動など、55の細目を明記した運用基準などを決めています。
政府は、施行に合わせて、特定秘密の指定が適切かどうかをチェックする機関として、官房長官をトップに関係省庁の事務次官級でつくる保全監視委員会と独立公文書管理監を置くことにしています。独立公文書管理監は、秘密指定が適正かどうかをチェックするとともに、内部告発の窓口にもなる機関として内閣府に施設されるもので、10日政府は、管理監に検事で法務省法務総合研究所研修第一部長の佐藤隆文氏が就任すると発表しました。

日本弁護士連合会は、10日、特定秘密保護法施行について声明を発表し、「国民の知る権利を侵害し、国民主権を形骸化するものである」として、「反対の意見を表明し、この法律の廃止を強く求め、引き続き廃止のための活動を行っていく」方針を明らかにしました。
また、特定秘密保護法施行反対や廃止を求める集会やデモが、10日東京、名古屋、大阪、金沢など日本各地で行われました。

特定秘密保護法は、安全保障協力やテロ防止などでアメリカなどと情報共有が進めやすくなる一方で、秘密指定が適切になされるかどうか、国民の知る権利が侵害されないかどうかなどの問題点は残ったままです。

(b)ニュースの背景

特定秘密保護法は、機密をもらした公務員らへの罰則を強化するもので、2013年12月に成立しました。これとセットなのが、同年同月発足した国家安全保障会議で日本版NSC(NSC=National Security Council アメリカの国家安全保障会議で、アメリカの外交・安全保障政策を決める最高機関の会議)と呼ばれているものです。いずれもアメリカ側の強い要請で生まれたものといわれています。安倍首相は、国家安全保障会議がアメリカなど各国と情報交換をしていくうえで、秘密保全に関する法制の整備が喫緊の課題だと強調していました。

特定秘密保護法で、主な特定秘密の対象となるものは、防衛では、自衛隊の潜水艦や航空機の性能、外国政府から提供された武器・弾薬などの仕様など、外交では、外国人の入国制限などの方針、貨物の輸出入の禁止や制限の方針など、スパイ活動防止では、電波や衛星で収集した情報など、テロ防止では、重要施設、要人などに対する警戒警備の計画、テロ防止のために外国政府と協力して実施する措置などです。

(c)英語のニュース

Japan's state secret protection law has taken effect amid persistent concerns that it might restrict the public's right to know.
Under the law, which was enacted in December 2013, civil servants and others who leak sensitive information on security, foreign policy, counterterrorism and counterespionage will face up to 10 years in prison and those who instigate leaks will be subject to a prison term of up to 5 years.
Under government guidlines only the heads of 19 government bodies, such as the defense and foreign ministries, can designate information as state secrets. The guidlines also define state secrets in 55 categories, including top-secret information provided by foreign governments as well as surveillance activities by the Self Defense Forces.
The legislation has drawn criticism over the possibility of arbitrary classification of state secrets that will undermine the people's right to information.
The Japan Federation of Bar Association has issued a statement demanding the abolishment of the state secret protection law.
Protest rallies and demonstrations have been held in Tokyo, Osaka, Nagoya and other cities, calling for the abolishment of the law.

(d)ニュースの比較研究

特定秘密保護法施行については、日本のメディアは、大きく報道しましたが、外国のメディアは、報道していません。



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93.福井県の関西電力大飯原発、7月に再稼働の見通しー2012.6.8-11 [政治・社会]

*2012.6.16のサロンのテキスト*

(a)日本語ニュース

福井県にある関西電力の大飯(おおい)原子力発電所は、7月に再稼働する見通しで、再稼働すれば、日本で稼働する唯一の原発になる予定です。
これは、野田首相が再稼働が必要であることを言明し、地元の福井県もそれに同意する見通しで、それを受けて、政府が16日までに最終決定することが明らかになったためです。
野田首相は、8日官邸で記者会見し、福井県おおい町にある関西電力大飯原子力発電所3号機と4号機について、「国民生活を守るため、再稼働すべきだというのが私の判断だ」と述べ、「今原発を止めてしまっては、日本の社会は立ち行かない」と指摘しました。
そして、中長期的に原発を重要な電源と位置付ける考えを示し、夏場限定の再稼働ではないことを強調しました。
野田首相は、また、原発の安全監視体制の強化に取り組んできたとして「2011年3月の東京電力福島第1原発事故の時のような地震や津波が起きても事故は防止できる」と述べました。
野田首相は、地元の福井県とおおい町に対して、これまでの原発への協力に敬意と感謝の意を表しました。

地元の福井県では、11日、県の原子力安全専門委員会が大飯原発の安全対策は確保されているという報告書を西川知事に提出しました。西川知事は、おおい町長や県議会の再稼働の同意を取り付けたうえ、正式に同意を発表することになっています。
政府は、これを受けて、16日までに大飯原発の再稼働について最終決定をすることになっています。

(b)ニュースの背景

福井県にある関西電力の大飯原子力発電所は、関西電力が保有する原発としては最大規模で、日本の原発としても、2011年3月事故があった東京電力の福島第1原発を除き、新潟県にある東京電力の柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発に続き、日本で2位の発電量があります。3号機が出力117.5万kw、4号機も出力117.5万kwで、定期点検中でしたが、2011年7月政府が原発再稼働の条件としてストレス・テスト(耐性検査)の実施を指示したため、関西電力は、10月に3号機の、11月に4号機のストレス・テスト1次評価を政府の原子力安全・保安院に提出し、2012年2月同院は、両方とも妥当とする審査結果を発表しました。ストレス・テスト(stress test)というのは、システムに通常の負荷をかけて正常に動作するか、隠れたリスクはないかを調べることで、コンピューターシミュレーションのよって評価するものです。2011年3月の福島第1原発の事故後、EU(欧州連合)内で独自にストレス・テストを行っています。
2012年4月政府は、「原子力発電所の再稼働にあたっての安全性に関する判断基準」(暫定基準)を示しました。関西電力は、安全対策の現状と今後の計画を政府に提出し、政府は、これを「おおむね適合している」として事実上の安全宣言をしました。
一方、2012年5月国内で唯一稼働していた北海道電力の泊(とまり)原発が発電を止めて定期検査に入ったため、国内にある原発50基すべてが発電を停止したことになりました。

(c)英語のニュース

Prime Minister Yoshihiko Noda has stressed that it is necessary to reactivate two idled reactors at the Oi nuclear power plant in Fukui Prefecture in western Japan for the sake of people's livelihoods.
He said that nuclear power is an important source of electricity. And he said that the Japanese society can not stand without nuclear power.
Mr. Noda said that the plant has been secured safety and poses no risk even if the plant is rocked by a major earthquake or inundated by tsunami.
He was speaking at a news conference in Tokyo on Friday(June 8th) in response to a request by the Governor of Fukui Prefecture, Mr. Issei Nishikawa, for the Prime Minister to clarify his stance on the restart issue in public.
The Oi nuclear power plant in Fukui Prefecture is offline for scheduled safety checks.The plant is run by Kansai Electric Power Company, a major power supplier based in Osaka.
The last of Japan's 50 nuclear reactors was shut down in May, following the Fukushima nuclear crisis in March, 2011.
The government is expected to authorize the resumption of the Oi nuclear power plant's operation later this week(by June 16th), following the approval of the move by local governments and assemblies.

(d)ニュースの比較研究

野田首相が記者会見で大飯原子力発電所の再稼働が必要だと言明したことは、日本のメディアは、トップ・ニュースとして伝え、外国のメディアも日本の原発問題に大きな関心を寄せていることもあってこのニュースを報道しましたので、そのうちの代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"Japan prime minister says 2 nuke reactors must be restarted"(日本の首相、2つの原子炉の再稼働が必要と言明)という見出しで、"Japan's leader appealed to the nation Friday to accept that the two nuclear reactors that remained shuttered after the Fukushima disastor must be restarted to protect the economy and people's livelihoods"(日本指導者は、福島の原発事故のあと閉鎖されたままの2つの原子炉は、経済と人々の生活を守るために再稼働しなければならないと国民に訴えた)と報じました。

イギリスの『Reuters』通信は、"Japan PM says two reactors must restart for''survival of society""(日本の首相、2つの原子炉を「社会の再生」のために再稼働しなければならないと言明)という見出しで、"Japan's prime minister said Friday that two idled nuclear reactors in western Japan must be restarted to protect jobs and ensure the "survival of society", risking a voter backlash given safety fears more than a year after the Fukushima crisis"(日本の首相は、西日本の停止中の2つの原子炉は、雇用を確保し、「社会の再生」を確実にするために再稼働しなければならないと述べた。この発言は、福島の原発事故から1年余りたって安全性の恐怖を持っている有権者の反発をかう危険性がある)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"Japan's Noda urges nation to go nuclear"(日本の野田首相、原発の稼働を国民に呼びかけ)という見出しで、"Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda has made a nationwide appeal to the people of Japan to understand that two idled nuclear reactors in western Japan must be restarted to protect people's livelihoods and the economy in general"(日本の野田首相は、西日本の停止中の2つの原子炉は国民の生活と経済を守るために再稼働しなければならないということを理解してほしいと全国民に訴えました)と報じました。

中東・カタールの『Aljazeera』放送は、"Japanese PM says no choice but nculear"(日本の首相、原発以外に選択の余地なしと言明)という見出しで、"Yoshihiko Noda angers anti-nuclear lobby with call for two reactors to be restarted to head off energy crisis"(野田首相は、反原発運動の団体に怒り、エネルギー危機を乗り切るために2つの原子炉の再稼働を呼びかけた)と報じました。
















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