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430.南スーダンのPKOで、日本、韓国へ銃弾1万発提供ー2013.12.24-25 [政治ー防衛、国際ーアジア、アフリカ]

(a)日本語のニュース

アフリカの南スーダンのPKO=国連平和維持活動で、日本の陸上自衛隊が、国連を通じて、韓国軍に銃弾1万発を提供しました。
日本が、PKO協力法に基づいて、武器を他の国の軍隊に提供したのは、これが初めてです。
これについて、日本政府は、官房長官談話を発表し、今回の提供は、緊急性と人道性が極めて高い理由をあげ、武器輸出を禁じている、いわゆる武器輸出3原則の例外措置として実施したと述べました。
一方、韓国国防省の報道官は、派遣部隊の予備弾薬が不足したわけでなく、あくまでも緊急事態に備えた措置だと述べ、韓国外務省の報道官は、国連に要請し、国連を通じて支援を受けたと述べ、日本に要請はしていないと強調しました。

(b)ニュースの背景

南スーダンは、2011年スーダンから独立しましたが、政情不安になったため、2012年国連南スーダン派遣団(UNMISS)が派遣され、平和維持活動(PKO)にあたっています。UNMISSは、50か国以上のおよそ7600人で構成され、そのうち日本の自衛隊は、およそ400人で、首都ジュバで、道路や滑走路などの整備にあたっています。
2013年12月に入って、大統領派の政府軍と元副大統領派の反政府軍の間の戦闘が拡大しました。UNMISSに参加している韓国軍は、首都ジュバの北東にあるジョングレイ州で、輸送や警備にあたっており、宿営地に避難民およそ1万5000人を受け入れています。

日本のPKO協力法25条は、弾薬など武器の提供を認めており、PKOの活動などで適当と認められる場合は、閣議決定したうえで物資の提供ができると定めています。
しかし、弾薬の提供は、武器の輸出を禁じた「武器輸出3原則」に抵触する可能性があります。政府は、これまで「武器輸出3原則」の例外措置をとるときは、官房長官談話を発表し、その理由を発表していました。今回の官房長官談話は「韓国隊の隊員および避難民等の生命・身体の保護のためのみに使用され、UNMISS以外への移転が厳しく制限されていることを前提に、「武器輸出3原則」によらない」と述べています。

「武器輸出3原則」というのは、武器と関連技術の海外移転を原則禁止する政府の方針で、法的拘束力はありません。1967年佐藤内閣が、①共産圏②国連決議で武器輸出が禁止された国③国際紛争の当事国やその恐れがある国への武器輸出を認めない方針を表明、1976年三木内閣が、これ以外の国へも原則武器輸出を禁止しました。2011年野田内閣が「武器輸出3原則」を大幅に緩和し、平和・人道目的や国際共同開発・生産への参加であれば、例外として武器の輸出を認めました。安倍内閣は、2013年12月策定した国家安全保障戦略の中で、「武器輸出3原則」に代わる新しい原則を定める方針を明らかにしています。

(c)英語のニュース

The Japanese government has provided ammunition to South Korean troops involved in the United Nations peacekeeping mission in South Sudan.
It's the first time for Japan to supply weapons to other countries under the country's peacekeeping operation law.
The Japanese government provided 10,000 rounds of ammunition for free to South Korean troops through the United Nations The government, citing urgency and humanitarian needs, said that it's an exceptional measure to Japan's ban on weapons exports.
Meanwhile, South korean government sources say that the government has asked Japan not to
make a political issue out of the country's supply of ammunition to South Korean troops in South Sudan.

(d)ニュースの比較研究

日本が、南スーダンの国連平和活動に従事している韓国軍に1万発の弾薬を供給したというニュースについて、日本のメディアは、PKO法の下で初めての外国への武器供給として大きく伝えましたが、外国のメディアは、ほとんど伝えていません。
このニュースを伝えた外国のメディアの報道を紹介しましょう。

韓国の『KBS(=Korean Broadcasting System)』放送は、"Japan's provision of Ammo to S. Korean Unit Causes Noise in Japan"(日本の韓国軍への武器供与、日本で大騒ぎ)という見出しで、"Japan's provision of live ammunition to South Korean peacekeeping troops in South Sudan has
caused much noise in Japan"(日本が南スーダンの韓国の平和維持軍に武器を供給したことは、日本に大騒ぎを巻き起こした)と報じ、"Japan's opposition camp took issue with the provision of live ammunition being carried without parliamentary approval and with how the provision came about.
The opposition also believes the latest act violate Japan's three principles of arms exports"(日本の野党陣営は、議会の承認なしに武器供与がなされ、いかにしてその供与がなされたかを問題視した。野党陣営は、また、今回の行動は、日本の武器輸出3原則に違反していると信じている)と伝えました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"UN Bullet Supply Deal Highlights Tokyo-Seoul Rifts"
(国連の銃弾配分、日韓の間の亀裂を目立たせる)という見出しで、"The awkward outrage between Tokyo and Seoul over ammunition Japan provided to South Korean troops taking part in a United Nations peacekeeping operation highlights the deep diplomatic difficulties between the two neighbors"(日本が国連平和維持活動に参加している韓国軍に供給した武器をめぐる日韓両国の間のやっかいな怒りは、この2つの隣国の間の深い外交的なむずかしさを浮き彫りにしている)と報じました。


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