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907. フランスの総選挙で、マクロン大統領の新党過半数制すー2017.6.21 [国際ーヨーロッパ]

(a) 日本語のニュース

フランスの総選挙でマクロン大統領の新党「共和国前進」が単独で過半数を制し、連携する中道政党と合わせますと、下院577議席のうち6割の350議席を獲得し勝利を収めました。
フランス内務省が18日発表したところによりますと、5月に就任したマクロン大統領の率いる新党「共和国前進」が308議席を獲得して単独で過半数を制し、連携する中道政党の「民主運動」の42議席と合わせて下院577議席の6割の350議席を獲得しました。
これまで政権を交互に担ってきた中道右派の共和党は113議席、中道左派の社会党は29議席と大幅に議席を減らし、極右政党・国民戦線は、さきの大統領選挙でマクロン氏と決選投票で争った党首のルペン氏を含め8議席にとどまりました。
今回の投票率は、これまでで最低の42.6%にとどまりました。
マクロン大統領は、総選挙の結果、支持勢力が過半数の議席を獲得したことで、政権基盤を固め、公約に掲げたEU=欧州連合の統合強化や経済改革などの実現へ足場を築いたことになります。
しかし、新党から当選した議員は、マクロン氏の政治運動に共鳴したものが多く、政治経験のない新人が多いとみられ、不慣れな議会運営や急造の政権内の派閥抗争などを懸念する声もあり、マクロン氏の政治手腕が問われることになります。

(b) ニュースの背景

フランスの政治体制
・憲法―大統領に強大な権限を与え、第5共和制(1958年ドゴール大統領が発足)は、第4共和制に比べて議会の権限が制限れています。憲法改正の発議権は大統領と議会に属し、両院一致の条文で議決され、国民投票を経て改正されます。大統領が改正案を両院合同会議に付託した場合は、国民投票を行わず、合同会議の有効投票の5分の3以上の賛成で承認されます。
・元首―大統領。直接選挙で選ばれます。第1回投票で過半数を取得した候補がない場合には、上位2人で決選投票が行われます。首相の任免権、首相を通じての閣僚任免権、下院解散権、国民投票の施行権を持っています。非常時には独裁的権限も行使できます。
5月に行われた大統領選挙の決選投票では、中道で無所属のマクロン氏39歳が当選しました。マクロン候補の有効投票での得票率が66.10%、極右政党のルペン候補が33.90%でした。。
大統領の権限が強化された1956年から始まった第5共和制で、左右2大政党以外からの大統領は初めてで、フランス史上最年少の大統領です。
・議会―下院の国民議会(Assemblee Nationale)と上院(Senat)からなっています。
国民議会は、定数は577。 18歳以上の有権者による投票で、選挙制度は、1区1人選出の小選挙区制です。有効得票の50%超かつ登録有権者の25%以上の得票を得た候補がいない場合は、登録有権者の12.5%以上の得票を得た候補による決戦を行う2回投票制になっています。
今回は、6月11日に1回目の投票、6月18日に2回目の投票が行われました。
上院は、定数は348.下院議員や県会議員、市町村代表らによって構成される選挙人団による間接選挙で、3年ごとに半数を改選します。
・政党―共和国前進、共和党、社会党などがあります。
共和国前進(La Republique En Marche!)は、前身が前進(En Marche!)で、前進は、大統領になったマクロン氏が2016年4月設立した政党政界刷新のための政治運動ことで、政治的立場は、中道で、政治的思想は、社会自由主義、親欧州主義、第3の道、経済的自由主義、新自由主義です。2017年5月党名を共和国前進に変更しました。

(c) 英語のニュース

French President Emmanuel Macron’s new party has won a majority in the Lower House of Parliament as a result of the final round of elections.
The party - the Republic on the Move - won 308 seats of the 577-seat Lower House – the National Assembly The party, plus its allies, Democratic Movement, took 350 seats.
The comfortable majority of Mr. Macron’s party and its allies has been a big blow to traditional parties on both the left and right. The center-right Republican Party took 137 seats and the center-left Socialist Party gained 45 seats. The far-right National Front took 8 seats, including the seat for party leader Le Pen.
The voter turnout was a record low of 42.6%.
The result of the elections has swept aside all of the mainstream parties and gives the 39-year-old President a strong mandate in Parliament to pursue his pro-EU, business-friendly reform plans.

(d) ニュースの比較研究

フランスの下院・国民議会選挙は、大統領選挙で勝利したマクロン氏の陣営が優勢を伝えられ、1週間前までは、議席全体の7~8割を占める可能性があるという世論調査がでていましたが、ふたを開けてみると、6割、さらに投票率は、有権者の半数を割り、これまでで最低という結果でした。
ヨーロッパのメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence France Presse)』通信は、”Macron marches to clear majority in French Parliament”(マクロン大統領、フランス議会で過半数獲得へ)という見出しで、”French President Emmanuel Macron’s central party swept to a large majority in parliamentary elections on Sunday although it felt short of projected landslide. Macron’s year-old Republique en Marche(Republic on the Move, REM) and their allies won 351 seats in the 577-seat National Assembly, final results showed after the second round of an election which has eliminated many high-profile figures”(フランスのマクロン大統領の中道の政党は、議会選挙で、予想されていた地滑り的勝利ではなかったが、優に過半数を制した。2回目の投票の最終結果によれば、マクロン氏の政党「共和国前進」とその連携する政党は、国民議会577議席のうち351議席を獲得した。この選挙では、多数の大物候補が落選してしまったのだ)と報じました。

フランスの『FRANCE 24』放送は、”Macron completes electoral grand slam amid record-low turnout”(マクロン大統領、議会選挙で投票率最低にもかかわらず大勝)という見出しで、”French President Emmanuel Macron wrapped up his extraordinary string of electoral victories on Sunday as his fledgling new party picked up a large majority of seats in legislative polls marred by the lowest turnout on record. The takeover is complete. Just over a month after his stunning election to the Elysee Palace, France’s youngest-ever president has guided his party to a huge win in legislative polls, crushing the old parties of left and right that have dominated French politics for decade”(フランスのマクロン大統領は、特別な一連の勝利を収めた。それは、(大統領選挙に次いで)議会の選挙で、過去最低の投票率ではあったが、発足したばかりの彼の政党が優に過半数を制し大勝したからだ。その勝利は完全だった。フランスの史上最も若い大統領は、大統領選挙で驚くべき勝利を収めてから1か月あまりで、彼の政党を議会選挙で大勝に導いたのだ。何十年もフランスを支配していた左翼、右翼の政党を打ち破ってしまったのだ)と報じました。

ドイツの『Deutsche Welle』放送は、”French President Emmannuel Macron’s LREM party wins majority in parliament”(フランスのマクロン大統領の政党「共和国前進」、議会で過半数制す)という見出しで、”French President Emmanuel Macron’s LREM party has won a large majority in parliamentary elections which will enable it to push through reforms. But there was a record, low turnout”(フランスのマクロン大統領の政党「共和国前進」は、議会選挙で優に過半数を制した。それは、改革を推し進めることができるものだ。しかしながら、投票率は、これまでで最低だった)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”France polls: Marcon’s party wins clear parliamentary majority”(フランスの総選挙の投票結果:マルコン大統領の政党、議会で過半数制す)という見出しで、”French President Emmanuel Marco’s party has won a clear parliamentary majority, results show, weeks after his own presidential victory. With nearly all votes counted, his La Republique en Marche, alongside its MoDem allies, won more than 300 seats in the 577-seat National Assembly”(フランスの総選挙の結果によれば、フランスのマクロン大統領の政党は、大統領選挙での勝利に続いて、議会でも過半数を制した。投票の結果がほぼ出そろって、「強国前進」は、「民主運動」とともに、国民議会の577議席のうち、300議席以上を獲得した。





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