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649.イラン核協議、最終合意ー2015.7.15 [国際ー中東、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、国連、]

*2015.7.11のサロンのテキスト*(649~651)

(a)日本語のニュース

イランの核開発問題をめぐって協議を続けてきたイランと欧米など6か国は、14日ウィーンで、問題の解決に向けた最終合意に達しました。
イランとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6か国が最終合意した「包括的共同行動計画」は、イランが長期間にわたって核開発を大幅に制限し、関係6か国側がイランに対する経済制裁を解除するという内容です。
この計画によりますと、イランは、15年間にわたって、高濃縮ウラン、兵器級プルトニウムを製造しない、イランは、15年間にわたって、およそ1万2000キロある低濃縮ウランを300キロに減らす、IAEA=国際原子力機関は、イランのあらゆる施設を査察する、合意の履行が確認されれば、EU=欧州連合は、核関連の制裁を解除する、アメリカは制裁を緩和する、核問題に関する国連安全保障理事会の決議は解除する、合意違反があれば、再び制裁を課すなどとなっています。
今回の最終合意は、核拡散防止の1歩となる外交的成果として欧米諸国などで評価された一方、イスラエルやサウジアラビアなどでは合意の実効性に強い疑念が表明されています。

(b)ニュースの背景

2002年にイラン国内で核施設の建設が進んでいることが明らかにされ、国際社会は、イランの核兵器製造をねらった動きだという疑惑が持ち上がりました。2003年イランは、イギリス、ドイツ、フランスとウラン濃縮の一時停止で合意しましたが、2005年アフマディネジャド大統領が就任し、2006年ウラン濃縮を再開しました。国連安全保障理事会の制裁決議を無視し、「民生用」を口実に核開発を続けました。2013年穏健派のロハニ大統領が就任すると融和路線に転じ、2015年4月アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国との間で核開発制限を盛り込んだ「枠組み」に合意し、そして今回の最終合意に至ったものです。

(c)英語のニュース

Iran and 6 major powers have reached a final agreement to resolve Iran's nuclear development program.
This came after foreign ministers from Iran and the 6 powers - the United States, Britain, France, Germany, Russia and China - held the final session of talks in Vienna on Tuesday.
The agreement limits Iranian nuclear activity in return for the lifting of crippling international economic sanctions.
It is seen as a big step forward in preventing nuclear proliferation in the Middle East.
The United States and European countries welcomed the agreement, but Israel and Saudi Arabia criticized it.

(d)ニュースの比較研究

イラン核協議が最終合意に達したというニュースについては、協議が延びていただけに、世界的な注目を浴びていました。日本のメディアも外国のメディアもトップ・ニュースとして大きく伝えました。
アメリカの代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Iran nuclear deal: What's the deal in a nutshell?”(イラン核協定:要約すると、その協定は何か?)という見出しで、"Diplomats fron the United States, the UK, China, Russia and Germany have finally completed a deal with Iran meant to prevent it from developing nuclear weapons. In exchage for limits on its nuclear program, Iran will come out from under some economic sanctions while being allowed to continue a peaceful nuclear program"(アメリカ、イギリス、中国、ロシア、ドイツの外交官たちは、イランが核兵器を開発しないようにする協定をイランとの間で最終的に完成させた。イランは、核計画を制限する代わりに、平和的な核計画を継続することを許され、経済制裁の一部を解除されることになろう)と報じました。

『The New York Times』紙は、"Iran Nuclear Deal 'Built on Verification,' Obama Says"(オバマ大統領、イラン核協定は、検証に基づくものだと言明)という見出しで、"Iran and a group of six nations led by the United States said they had reached a historic accord on Tuesday to significantly limit Tehran's nuclear ability for more than a decade in return for lifting international oil and financial sanctions"(イランとアメリカを筆頭とする6か国のグループは、歴史的な合意に達した。それは、国際的な石油および財政的制裁措置を解除する代わりに、10年以上にわたってイランの核能力を大きく制限するものだ)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、"Iran Nuclear Deal Ignites Fierce Debate - Obama adminitration at odds with critics in Congress, allies including Israel, Saudi Arabia - "(イラン核協定、激論に火をつける ーオバマ政権、議会の反対派とイスラエル、サウジアラビアなどの同盟国と対峙 )という見出しで、"The announcement that world powers reached a nuclear deal with Iran delivered a powerful geopolitical jolt, setting off what promises to be months of contention in Washington and around the world as key provisions begin taking effect"(世界の大国がイランと核協定で最終合意に達したという発表は、大きな地政学的な激震を引き起こした。それは、協定の条項が発効し始めた時、ワシントンや世界中での何か月もの議論に火をつけたのだ)と報じました。


















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445.イランと欧米など6か国、核合意第1段階履行開始ー2014.1.21 [国際ー中東、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、国連、]

(a)日本語のニュース

イランの核開発問題をめぐる合意に基づいて、イランと欧米など関係6か国は、問題解決に向けた第1段階の措置の履行を始めました。
まず、イランが、20日核兵器への転用が懸念される濃縮度20%のウランの製造を停止したと発表し、IAEA=国際原子力機関がこれを確認しました。
これを受けて、EU=ヨーロッパ連合は、同日ブリュッセルで開いた外相会議で、石油化学製品や金などに科していた禁輸措置を一時停止するなど、イランに対する経済制裁の緩和を決め、即日発効させました。
アメリカも、自動車の貿易に関する制裁など独自に科していたものを含め、制裁の一部を緩和する手続きを行いました。
今回の措置は、昨年11月イランと国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6か国が合意したイランの核開発問題の解決に向けた第1段階の措置で、その期間は、20日から6か月です。
イランと欧米など6か国は、来月にも新たな交渉を始め、年内を目標に最終的な合意をめざしたいとしていますが、アメリカの議会では制裁をむしろ強化すべきだという意見も出ていて、厳しい交渉が予想されています。

(b)ニュースの背景

①イランの核開発問題解決に向けた第1段階の主な内容(1月20日から6か月間)
・イランの措置
濃縮度5%以上のウラン生産停止、20%ウランの燃料化、新規濃縮施設の建設禁止、アラクの重水炉の建設停止、5%未満の濃縮ウランの保有量を規制、IAEA=国際原子力機関の査察強化を承認
・欧米など6か国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、ドイツ)の措置
42億ドル相当の海外資産凍結を解除、金やレアメタルの取引を容認、石油化学製品の禁輸などを一時解除、自動車部品の輸入を容認、人道的取引、留学中のイラン学生への送金を容認、追加制裁を凍結、現行量の原油輸出を容認(日量およそ100万バレル)

②イランの核開発問題解決に向けた第2段階または最終合意に向けた協議のポイント
・ウラン濃縮活動の制限(濃縮度5%以上のウラン生産を恒久的に禁止、濃縮活動の全面停止)
・アラクの重水炉の建設(施設の解体、恒久的な査察を容認)
・IAEAの査察権限(軍事施設への査察拡大、抜き打ち検査実施を容認)
・対イラン制裁(原油禁輸、金融制裁など制裁の全面解除)

(c)英語のニュース

Iran and six major powers, including some European countries and the United States, have started the process of implementing their agreement on curbing Iran's nuclear program.
First, Iran stepped the production of 20-percent enriched uranium in line with the agreement.
Then, the European Union, including Britain, France and Germany, eased some economic sanctions on Iran for their part of the agreement. The United States also took steps to lift some of its own sanctions on the auto trade.
The mutual actions started a six-month clock for Iran and six major powers to try to negotiate a final agreement by the end of this year.

(d)ニュースの比較研究

イランと欧米など6か国がそれぞれイラン核問題の包括解決に向けた第1段階の措置の履行を開始したというニュースについては、欧米のメディアも日本のメディアも大きく取り上げました。その中で、アメリカのメディアは、実施に懐疑的な見方を示していたのが特徴でした。
世界の代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、"EU and US ease some sanctions against Iran / Measures comes after Tehran started to shut down its most sensitive nuclear work, as part of deal with West"(EU=ヨーロッパ連合とアメリカ、イランに対する制裁措置の一部を解除 / これは、イランが西側との合意の一部として、最も機密の核作業を閉鎖したあとになされた)という見出しで、"The European Union and the United States have suspended a range of sanctions against Iran after Tehran began implementing a deal to curb its nuclear programs. The move eases restrictions on trade in petrochemicals and precious metals and on the provision of insurance for oil shipments among other measures"(イランが、その核計画を制限する合意を実施することを始めた。そのあと、EU=ヨーロッパ連合とアメリカが、イランに対する一連の制裁措置を停止した。この動きは、石油化学製品や貴金属の取引や石油積み出しの保険の条項に対する制限などを緩和するものだ)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Iran says it's implementing interim nuclear deal"(イラン、核に関する暫定協定を実施と言明)という見出しで、"Iran started suspending high levels of uranium enrichment Monday as an interim deal struck with six world powers went into effect, state media reported, making way for more talks and fewer sanctions. The United States and European Union announced that they were suspending certain sanctions for six months as part of the deal"(イランの国営テレビの報道によると、イランの世界の6大国との暫定協定が発効したので、イランが高いレベルの濃縮ウランの生産を停止し始めた。このことは、交渉をより多くし、制裁措置をより少なくする道を開くことになるだろう。アメリカとEU=ヨーロッパ連合は、イランとの合意の一部として、6か月間制裁措置の一部を解除すると発表した)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Iran nuclear: Curbs on uranium enrihment begin"(イランの核問題:ウラン濃縮の制限開始)という見出しで、"Iran has begun curbing uranium enrichment under a deal which will also see international sanctions eased, says the International Atomic Energy Agency(IAEA), the UN nuclear watchdog. The move is part of a six-month nuclear deal reached with the US, Russia, China and European powers last November"(国連の核監視機関であるIAEA=国際原子力機関の発表によると、イランは、欧米など6か国との合意に基づいて濃縮ウランを制限することを始めた。このことは、国際的な制裁を緩和することになるだろう。これは、昨年11月イランがアメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパの国々との間で合意した6か月の核協定の一部である)と報じました。






















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