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867. 安倍・トランプ会談のニュースに関する日米比較ー2017.2.13 [国際ーアメリカ、日本]

867. 安倍・トランプ会談(2017.2.10)のニュースについて、日米の報道を比較をしてみました。


日本のメディアの報道は、日米同盟の強化、新経済対話の設置、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用で合意というのが、共通項で、相変わらず「横並び」、「画一的」です。それは、各社政治部の官邸記者クラブの記者の書いた原稿で、これまでみてきた安倍首相とオバマ、トランプ、プーチンなど首脳との会談のニュースと同じ特徴がでています。
アメリカのメディアの報道は、トランプ大統領が日米同盟の強化・維持を確約したことに重点を置いたものが多いですが、各報道の違いが出ていて興味深いです。

日本のメディアの報道

『読売』12日付け朝刊
・見出しー日米経済対話新設、「尖閣に安保」明記、首脳会談合意、共同声明 核による防衛も
・リードー安倍首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とワシントンで初の首脳会談を行い、日米同盟と経済関係を強化していく方針を確認し、共同声明を発表した。麻生副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとし、貿易や財政・金融など分野横断的経済対話の枠組みを新設することで、合意した。また、米国の核による日本防衛や沖縄県の尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを共同声明に明記し、トランプ氏の年内来日で調整することでも一致した。
・解説―政治部 芳村健次 安倍・トランプ新時代(上)中国念頭 蜜月アピール
・社説―日米首脳会談 経済で相互利益を追求したい 個人的信頼を基に同盟強化せよ

『朝日』12日付け朝刊
・見出しー尖閣に安保 共同声明、経済対話 枠組み新設、日米首脳、同盟強化を確認
・リードー安倍晋三首相は、10日午後(日本時間11日未明)、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と初の首脳会談を行った。両首脳は日米同盟の強化で一致し、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを確認した。また、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領による日米経済対話の枠組み新設で合意した。
・解説―政治部長 佐古浩敏 親密さを国際協調への礎に
・社説―日米首脳会談 「蜜月」演出が覆う危うさ

『毎日』12日付け朝刊
・見出しー日米経済対話を新設、両首脳「同盟強化」共同声明
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、ホワイトハウスでトランプ米大統領とワーキングランチも含め計1時間40分会談した。日米の経済関係強化に向け、分野横断的な対話の枠組み「日米経済対話」を麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領の下に設けることで合意。日米同盟を強化することで一致し、トランプ氏の年内訪日も固まった。
・解説―ワシントン 秋本裕子、清水憲司 FTA 今後の焦点
・社説―日米首脳会談 厚遇の次に待つものは

『日本経済』12日付け朝刊
・見出しー日米で新経済対話、通商・金融などで合意、米の尖閣防衛義務を確認、初の首脳会談
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、ホワイトハウスでトランプ米大統領と初めて会談した。日米両国で財政・金融政策や貿易・投資などを幅広く議論するため、麻生太郎副総理とペンス副大統領をトップとする経済対話の新設で合意した。日米が主導した環太平洋経済連携協定(TPP)が漂流する中、新たな連携と公正な市場づくりに向けた協議が始まる。
・解説―コメンテーター菅野幹雄 握手の先 世界に責任
・社説―日米は新経済対話を冷静に進めよ

『産経』12日付け朝刊
・見出しー日米ナンバー2経済対話、「同盟に投資」防衛力強化、首脳会談 トランプ氏 年内訪日へ
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、米ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。両首脳は、経済関係強化のため、貿易・投資分野などを協議する経済対話の枠組みを新設することで合意。麻生太郎副総理とペンス副大統領の両国のナンバー2がトップを務める。安倍首相はトランプ氏の年内訪日を要請し、大統領も応じた。
・解説―ワシントン 田北真樹子 ディール外交の疑念残る
・主張―日米首脳会談 揺るがぬ同盟への決意だ 「自由」の恩恵に資する対話を

『東京』(中日新聞東京本社)12日付け朝刊
・見出しー経済対話で新枠組み、米大統領「公正な貿易を」首相「米雇用に貢献」、同盟強化へ共同声明
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初めて会談し、両国の貿易や日本の対米投資など経済分野を幅広く協議する麻生太郎副総理とペンス副大統領らによる枠組みを設けることで一致した。両首脳は、経済関係と同盟を強化する決意を盛り込んだ共同声明を発表。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島は、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと明記した。首相は年内訪日を招請し、トランプ氏も応じる考えを示した。
・解説―政治部長 金井辰樹 「米国第一」追随にならぬよう
・社説―安倍・トランプ会談 蜜月の影響定めねば

『共同通信』11日配信 
・見出しー日米首脳、貿易・投資、同盟強化へ声明、尖閣は安保適用
・リードー安倍晋三首相は、10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初めて会談し、日米の経済関係強化のため、貿易・投資分野など幅広く協議する閣僚枠組みを新設することで合意した。両首脳は、日米同盟を一層強化する決意を確認したとの共同声明を作成。首相は年内の日本公式訪問を招請し、トランプ氏は受け入れた。沖縄県・尖閣諸島について、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると確認した。今回の会談は大統領就任後、両首脳による初の本格的な対話となる。

『時事通信』11日配信
・見出しー分野横断で新経済対話=トランプ氏、年内訪日―共同声明に尖閣防衛義務・日米首脳
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初の首脳会談を行い、日米同盟と経済関係を一層強化していくことで一致した。両首脳は、貿易の枠組みや投資・雇用拡大策を協議するため、麻生副総理とペンス副大統領らによる「分野横断的」な経済対話を創設することで合意。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と確認した。首相は、大統領の年内訪日を招請し、大統領も受け入れた。

『NHK』11日放送
・見出しー日米首脳会談終え 両首脳が共同記者会見
・リードー安倍総理大臣は、トランプ大統領との初めての日米首脳会談のあとホワイトハウスで共同の記者会見に臨み、両国の経済関係を一層深化させるため、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で対話を進めることでトランプ大統領と合意したことを明らかにしました。また、沖縄県の尖閣諸島が、アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲であることを確認したと明言しました。
・見出しー日米共同声明 安保 経済での緊密連携を強調
・リードー安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領は、首脳会談のあと共同声明を発表し、日米同盟は、アジア太平洋地域における平和、繁栄、自由の礎であるとその重要性を確認し、沖縄県の尖閣諸島がアメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲であることを明記しています。また、経済分野では、両国間で2国間の枠組みに関する議論を含め、両国および地域の経済成長などを達成するための最適の方法を探求することを誓約したとしています。


アメリカのメディアの報道


『The Wall Street Journal』紙
・見出しーTo Bond With Trump, Japan’s Abe Takes a Swing at Fairway Diplomacy – When Japanese officials talk about the two-day summit, they emphasize a Mar-a-Lago trip over a White House meeting (日本の安倍首相、トランプ大統領と親密になるために、ゴルフのフェアウエイ外交でスウングするー日本政府筋は、2日にわたる日米首脳会談を語るときに、ホワイトハウスの会談よりもマララゴ旅行の方を強調する)
・リードーDonald Trump has jarred Japan by blasting its trade practices and hinting he might yank the American security umbrella protecting the country since World War II. Prime Minister Shinzo Abe hopes to parry those threats not with confrontation, but through a day bonding over golf and socializing with the two leaders’ wives. As heads of state around the world struggle to figure out how to handle the unpredictable new American president, Japan’s leader is honing a strategy of building personal ties first. (トランプ大統領は、日本の貿易習慣を破壊し、第二次世界大戦以降日本を守っているアメリカの核の傘を取り外すことを示唆することによって、日本にショックを与えた。安倍首相は、こうした脅しをかわしたいと思っている。対決ではなくて、ゴルフで緊密になり、両首脳の奥様方と社交を通じてだ。世界各国の首脳が、この予想できないアメリカの新大統領を扱う方法を必死に探ろうとしている時に、日本のリーダーは、まず個人的な関係を構築するという戦略に磨きをかけているのだ)

『The Washington Post』紙
・見出しーTrump reaffirms U.S. -Japan security alliance in bid to soothe fears in Tokyo(トランプ大統領、東京での恐れを和らげるために日米安全保障同盟を再確認)
・リードーPresident Trump pledged Friday that his administration remains committed to maintaining the United States’ long-standing security alliance with Japan, aiming to calm jitters in Tokyo over inflammatory rhetoric on the campaign trial.(トランプ大統領は、アメリカの日本との長い間続いている安全保障の同盟を維持する約束を守り続けると誓った。これは、トランプ氏が大統領選挙期間中、彼の扇動的な演説をめぐって、東京でのいらいらを鎮める目的なのだ)

『The New York Times』紙
・見出しーIn Welcoming Shinzo Abe, Trump Affirms U.S. Commitment to Defending Japan (トランプ大統領、安倍首相を歓迎し、アメリカの日本防衛の約束を確認)
・リードーPresident Trump pledged close security and economic cooperation with Japan on Friday, opening an elaborate multiday work-and-play visit with Prime Minister Shinzo Abe that is intended to showcase a warm rapport with a central player in Asia(トランプ大統領は、緊密な安全保障と経済協力を約束し、安倍首相との綿密に用意された仕事と遊びの訪問が始まった。それは、アジアの中心的なプレイヤーとの暖かい協調関係を見せるためのものだ)

『USA TODAY』紙
見出しーTrump commits to security of Japan (トランプ大統領、日本の安全保障を約束)
リードーExtolling an alliance more than seven decades old, President Trump on Friday reaffirmed the United States’ commitment to the defense of Japan, but he suggested that Japan as well as the U.S. contribute more to military cooperation. (トランプ大統領は、70年以上続いている日米同盟を称賛し、アメリカの日本防衛の約束を再確認したが、日米両国が、これまで以上に軍事協力を推進することを示唆した)

『CNN(=Cable News Network)』放送
・見出しーDonald Trump’s Asia pivot (トランプ大統領のアジアの中心人物)
・リードーPresident Donald Trump now has his own Asia pivot. In less than 24 hours, Trump distanced himself from the incendiary tone he struck on China and Japan while running for office, Acting more as a statesman than a populist insurgent candidate, Trump implied he will operate within the conventional US foreign policy framework towards Asia and soothed global fears that he intends a wholesale rejection of the international system.(トランプ大統領は、今やアジアの中心人物と親しくなった。トランプ氏は、大統領選挙期間中、中国と日本に攻撃を加えていた扇動的な調子とは自ら距離を置くようになった。トランプ氏は、大衆迎合型の反政府の候補者というよりも、政治家として、アメリカの外交政策のアジアへの枠組みの中で行動すると示唆し、国際システムを全面的に拒否すると世界が恐れていたことをやわらげたのだ)





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866. 講演 日曜講座「トランプ政権の発足と日本ー2017.2.12 [国際ーアメリカ、日本]

講演 日曜講座『トランプ政権の発足と日本』         日比野正明
2017.2.12 


1. アメリカの大統領選挙で共和党のトランプ氏勝利(2016.11.8)
2. トランプ大統領の就任式(2017.1.20)―就任演説と基本政策の発表
3. トランプ大統領の主な大統領令
4. トランプ政権の対日政策と日本の対応
5. 日米首脳会談(2017.2.10)のニュースの日米比較
資料 トランプ政権のホワイトハウススタッフと閣僚人事
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

1.アメリカの大統領選挙で共和党のトランプ氏勝利(2016.11.8)

2016年11月の大統領選挙で獲得した大統領選挙人の数と得票数と全体の割合

・CNN
Donald Trump (Republican) 306人  62,979,879票―46.1%
Hillary Clinton (Democrat) 232人  65,844,954票―48.2%

・The New York Times
Donald Trump (Republican) 306人 62,979,636票―46.0%  
Hillary Clinton (Democrat) 232人 65,844,610票―48.1%

2017年1月連邦議会で開票した結果、大統領選挙人が実際に投じた票数

Donald Trump 304票 (Trumpの大統領選挙人2人が他の候補者に投票)
Hillary Clinton 227票 (Clintonの大統領選挙人5人が他の候補者に投票))
            (合計7人の大統領選挙人が他の候補者に投票した
のは初めて)

・トランプ氏の勝因とクリントン氏の敗因

トランプ氏は、大統領選挙戦を通じて、女性蔑視発言、メキシコとの国境に巨大な壁を建設し、不法移民を強制送還、イスラム教徒の一時入国禁止など暴言を発してきましたが、「エスタブリッシュメント(既存の支配層)」の政治を徹底的に批判するとともに、雇用を拡大し、経済を活性化し、アメリカを再び大国にするとアメリカ第一主義をアピールしました。これが、アメリカの現状に不満を抱いている白人の中間層や無党派層からの支持を集めたとみられています。特に“隠れトランプ”といわれる人たちの多くが投票し、勝利につながったと分析されています。
一方、クリントン氏は、女性初の大統領をめざし、国務長官、上院議員などの経験と実績を強調し、万全の即戦力と資金力で臨みましたが、国務長官時代に私用メールを使っていたことと選挙終盤にFBI=連邦捜査局がメール問題で再捜査を始めたという発表も敗北に影響を与えたものとみられます。
トランプ氏もクリントン氏も”不人気候補“といわれ、双方とも支持率が50%を切るような状態でした。これまで、アメリカ人は、テレビ討論を見て誰に投票するかを決めるといわれてきましたが、3回行われたテレビ討論でも双方が相手候補を誹謗中傷し、泥仕合のような様相を呈し、”史上最低“のテレビ討論といわれました。
トランプ氏は、“トランプ旋風”といわれる勢いで、短いフレーズで刺激的な言葉を使ってアピールするやり方で人々の心をつかむポピュリズム(大衆迎合主義)で、選挙で勝利を収めましたが、今後大統領の座について、実際の政策の中でどうやって実行に移していくのか、さらに今回の選挙で分断されたアメリカの国民をどうやって融和をはかっていくのか、さらに、アメリカが再び大国になれるのかが今や問われているのです。

2. トランプ大統領の就任式(2017.1.20)-就任演説と基本政策の発表

就任演説

アメリカの共和党のドナルド・トランプ氏(70)は、1月20日、第45代大統領に就任しました。
史上最高齢の大統領で議員などの公職についたことがない実業家出身の大統領は初めてで、共和党政権は、8年ぶりのことです。
就任式は、連邦議会議事堂前で行われ、トランプ新大統領は、就任演説の中で、アメリカの国益を最優先する「アメリカ第一主義」を全面に打ち出しました。そして、雇用創出や不法移民対策などを強調し、「アメリカを再び誇り高く、安全で偉大な国にする」と強調し、国民に結束を促し、アメリカの再建を誓いました。


基本政策

トランプ新政権は、20日、就任演説直後にホワイトハウスのホームページ上で、6項目の基本政策を発表しました。
① 通商―TPP=環太平洋経済連携協定からの離脱、NAFTA=北米自由貿易協定も再交渉、全ての不正な貿易行為を特定し、あらゆる手段でやめさせるように商務長官に指示
② 雇用・経済―今後10年で2,500万人の新たな雇用を創出、年4%の経済成長を目指す、税制改革によって税制の簡素化、全ての税区分での税引き下げ、所得税、法人税の引き下げ
③ 外交―「力による平和」が外交政策の中心、「IS=イスラム国」をはじめとするイスラム過激派テロ組織の根絶が最優先課題、国際的な協力によって、テロ組織への資金源を止める
④ 軍事―アメリカ軍を再び強化するため新たな予算案を議会に提出、イランや北朝鮮を念頭に最新鋭のミサイル防衛システムの開発、サイバー攻撃対策の強化
⑤ 治安―国境に壁を作り不法移民の流入を防ぐ、犯罪歴のある不法移民の強制送還
⑥ エネルギーーエネルギーコストの引き下げ、アメリカのエネルギー資源(シェール、天然ガス等)の最大限の活用、OPEC=石油輸出機構など外国資源への依存からの脱却、「気候行動計画」(オバマ政権の包括的な気候変動対策)など不必要な政策、規制の撤廃によって年間300億ドル以上の賃金を増やす、エネルギー生産からの収入によって、道路、学校、橋、公共インフラを再建、クリーン石炭技術の推進、石炭産業の復活

3. トランプ大統領の主な大統領令

大統領令というのは、アメリカの憲法で規定された大統領の執行権に基づき、大統領が連邦政府や軍に行う命令のことです。議会を通さずに発令でき、法律と同等の力を持っています。事務的な手続きから災害対応など、幅広く使われています。オバマ前大統領は、2010年の中間選挙で民主党が下院で少数派になると、政策実現のために大統領令を多用しましたが、議会軽視という批判も招きました。
一方で、連邦議会は、反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を示すことができます。
こうして三権分立で、行政・大統領、立法・議会、司法・最高裁がお互いに牽制と均衡(checks and balances)を取り合っているのです。

・1月20日 トランプ大統領、オバマケア=医療保険制度改革法の見直し指示の大統領令に署名
・1月25日 トランプ大統領、メキシコとの国境に壁を造ることを命じる大統領に署名、不法移民対策を強化するためと説明。26日トランプ大統領、ツイッターで、国境の壁建設費用をメキシコが負担しなければ、31日に予定している首脳会談を中止した方がよいと宣言、メキシコが反発、ベニャトニエト大統領は、26日、費用は払うつもりは全くなく、首脳会談に向けた訪米は中止するとアメリカ側に通知。
・1月27日 トランプ大統領は、テロの懸念があるシリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7か国からの市民について、90日間入国を禁止する、すべての国からの難民の受け入れを120日間停止する、シリア難民は、受け入れ可能と判断するまで無期限で受け入れを停止するという大統領令に署名しました。、
この大統領令は、アメリカ国内だけでなく、世界各国から批判の声があがっています。
29日、ニューヨーク、ワシントンなど15の州と首都ワシントンの司法長官は、大統領令を「違憲で違法」と非難する連名の声明を発表。無効を訴えて提訴する方針。
30日、司法省のイェイツ長官代理は、大統領令に従わないよう同省に通知。同日、トランプ大統領は、イェイツ氏を解任。
2月3日西部ワシントン州のシアトル連邦地方裁判所は、大統領令の即時停止を命じる仮処分を決定。4日国務省は、地裁の決定を受けて、有効なビザがあれば、入国を受け入れる方針決定。トランプ政権は、地裁の決定を不服として控訴裁判所(二審、日本の高等裁判所にあたる)に上訴。9日、サンフランシスコの連邦控訴裁判所は、地裁の決定を支持し、トランプ政権の不服申し立てを却下する決定。今回の決定で、大統領令の一時停止の措置は継続、7か国の人たちの入国は引き続き認められる。トランプ政権は、連邦最高裁判所に不服申し立ての方針。
(1月31日、トランプ大統領は、連邦最高裁判事に保守的な立場で知られる連邦控訴裁判事のゴーサッチ氏(49)を指名。最高裁判事は9人からなり、昨年2月判事の一人亡くなったため、空席1。構成は、保守派4人、リベラル派4人で、上院が承認すると、保守派5人、リベラル派4人になる。2月8日、ゴーサッチ氏は、上院議員との面会で、トランプ大統領が司法や裁判官批判を続けていることについて、「がっかりする」「士気にかかわる」と述べたと伝えれています)

4. トランプ政権の対日政策と日本の対応

経済・貿易
アメリカ商務省が、2月7日に発表したところによりますと、2016年の貿易統計(通関ベース)で、モノの貿易での対日赤字は689億ドル(約7兆7000億円)となり、相手国別では3年ぶりに日本は中国に次いで2位に浮上しました。トランプ大統領が「不公平だ」と批判する自動車関連も対日赤字が526億ドルに増加しています。
モノの対日赤字は前年比横ばいで、全体の9%を占めました。アメリカの貿易赤字国としては、日本は、ドイツを抜いて2位になりました。自動車関連の貿易赤字は前年速報値(489億ドル)から大幅に増え、対日貿易赤字全体の8割弱の規模となりました。日本メーカーは、北米生産にシフトしていますが、日本車の対米輸出は高級車が中心で、単価上昇が貿易赤字拡大の要因になっています。
アメリカのモノの貿易赤字を最も計上しているのは中国で、3470億ドルと全体の47%を占めています。3位はドイツで、4位がメキシコでした。トランプ政権は日中独を通貨安誘導と批判するなど、貿易赤字削減の標的にしています。メキシコには、NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉を突き付けて、貿易不均衡の是正を求めています。

・安全保障・防衛
日米安全保障条約は、1951年サンフランシスコ講和条約の調印と同時に日米間で締結された条約で、日本の安全を保障するため、アメリカ軍の日本駐留などを定めたものです。1960年に新条約に改定され、軍事行動に関して、日米両国の事前協議・相互協力義務などが新たに加えられました。期限は10年で、それ以後は、通告後1年で破棄できることになっています。1970年から自動延長されています。
第5条は、アメリカの対日防衛義務を定めており、条約の中核的な規定です。この条文は、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」としており、我が国の施政の下にある領域内にあるアメリカ軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、日米両国が共同して日本の防衛に当たる旨規定しています。

日米防衛協力のための指針(ガイドライン)は、2015年18年ぶりに改定され、日米協力の範囲が、「アジア太平洋地域及びこれを超えた地域」に拡大され、従来、朝鮮半島有事など日本周辺に制限されていた自衛隊のアメリカ軍に対する後方支援は、地理的限定がなくなりました。これは、2014年閣議決定で、集団的自衛権の限定容認に方針を転換したことを受けて改定されたものです。

5. 日米首脳会談(2017.2.10)のニュースの日米比較


日本のメディアの報道

『読売』電子版 11日配信
・見出しー日米首脳、尖閣への安保条約5条適用を確認
・リードー安倍首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談後、共同記者会見に臨み、沖縄県・尖閣諸島について、「(米国の対日防衛義務を定めた)日米安全保障条約5条の対象であることを確認した」と明らかにした。トランプ氏も「日本の安全保障に関与していく」と強調した。
・見出しー「自由で公正な貿易で経済関係強化」共同声明
・リードー日米両政府は10日(日本時間11日)、ワシントンでの安倍首相とトランプ大統領との首脳会談後に共同声明を発表した。声明では、首相の招待により、トランプ氏が年内に日本を公式訪問することが盛り込まれた。
経済分野では、「両首脳は自由で公正な貿易のルールに基づいて、両国と地域における経済関係を強化する」と明記された。

『朝日』電子版 11日配信
・見出しートランプ氏「貿易関係を自由で公平に」日米首脳会談
・リードー安倍晋三首相とトランプ米大統領による首脳会談が10日正午過ぎ(日本時間11日未明)ホワイトハウスで行われた。
トランプ大統領は、会談後の共同記者会見で「貿易関係を自由で公平にしたい」と発言した。
トランプ大統領は、また、「日本の安全保障に関与する」と述べた。
安倍首相は、「首脳会談で、尖閣諸島が日米安全保障条約5条の適用範囲だと確認した」と明言した。

『日本経済』電子版 11日配信
・見出しー日米が経済対話 財政・金融含め包括協議、首脳会談で合意
・リードー訪米中の安倍晋三首相は10日昼(日本時間11日未明)、ホワイトハウスでトランプ米大統領と約100分間会談した。日米同盟と経済関係をさらに強化する方針で一致。麻生太郎副総理とペンス副大統領による対話の枠組みを新設し、財政政策や金融政策から貿易や投資など後半な分野で包括的に議論することで合意した。

『共同通信』11日配信 
・見出しー日米首脳、貿易・投資、同盟強化へ声明、尖閣は安保適用
・リードー安倍晋三首相は、10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初めて会談し、日米の経済関係強化のため、貿易・投資分野など幅広く協議する閣僚枠組みを新設することで合意した。両首脳は、日米同盟を一層強化する決意を確認したとの共同声明を作成。首相は年内の日本公式訪問を招請し、トランプ氏は受け入れた。沖縄県・尖閣諸島について、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると確認した。今回の会談は大統領就任後、両首脳による初の本格的な対話となる。

『時事通信』11日配信
・見出しー分野横断で新経済対話=トランプ氏、年内訪日―共同声明に尖閣防衛義務・日米首脳
・リードー安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初の首脳会談を行い、日米同盟と経済関係を一層強化していくことで一致した。両首脳は、貿易の枠組みや投資・雇用拡大策を協議するため、麻生副総理とペンス副大統領らによる「分野横断的」な経済対話を創設することで合意。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と確認した。首相は、大統領の年内訪日を招請し、大統領も受け入れた。

『NHK』11日放送
・見出しー日米首脳会談終え 両首脳が共同記者会見
・リードー安倍総理大臣は、トランプ大統領との初めての日米首脳会談のあとホワイトハウスで共同の記者会見に臨み、両国の経済関係を一層深化させるため、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で対話を進めることでトランプ大統領と合意したことを明らかにしました。また、沖縄県の尖閣諸島が、アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲であることを確認したと明言しました。
・見出しー日米共同声明 安保 経済での緊密連携を強調
・リードー安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領は、首脳会談のあと共同声明を発表し、日米同盟は、アジア太平洋地域における平和、繁栄、自由の礎であるとその重要性を確認し、沖縄県の尖閣諸島がアメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲であることを明記しています。また、経済分野では、両国間で2国間の枠組みに関する議論を含め、両国および地域の経済成長などを達成するための最適の方法を探求することを誓約したとしています。


アメリカのメディアの報道


『The Wall Street Journal』紙
・見出しーTo Bond With Trump, Japan’s Abe Takes a Swing at Fairway Diplomacy – When Japanese officials talk about the two-day summit, they emphasize a Mar-a-Lago trip over a White House meeting (日本の安倍首相、トランプ大統領と親密になるために、ゴルフのフェアウエイ外交でスウングするー日本政府筋は、2日にわたる日米首脳会談を語るときに、ホワイトハウスの会談よりもマララゴ旅行の方を強調する)
・リードーDonald Trump has jarred Japan by blasting its trade practices and hinting he might yank the American security umbrella protecting the country since World War II. Prime Minister Shinzo Abe hopes to parry those threats not with confrontation, but through a day bonding over golf and socializing with the two leaders’ wives. As heads of state around the world struggle to figure out how to handle the unpredictable new American president, Japan’s leader is honing a strategy of building personal ties first. (トランプ大統領は、日本の貿易習慣を破壊し、第二次世界大戦以降日本を守っているアメリカの核の傘を取り外すことを示唆することによって、日本にショックを与えた。安倍首相は、こうした脅しをかわしたいと思っている。対決ではなくて、ゴルフで緊密になり、両首脳の奥様方と社交を通じてだ。世界各国の首脳が、この予想できないアメリカの新大統領を扱う方法を必死に探ろうとしている時に、日本のリーダーは、まず個人的な関係を構築するという戦略に磨きをかけているのだ)

『The New York Times』紙
・見出しーIn Welcoming Shinzo Abe, Trump Affirms U.S. Commitment to Defending Japan (トランプ大統領、安倍首相を歓迎し、アメリカの日本防衛の約束を確認)
・リードーPresident Trump pledged close security and economic cooperation with Japan on Friday, opening an elaborate multiday work-and-play visit with Prime Minister Shinzo Abe that is intended to showcase a warm rapport with a central player in Asia(トランプ大統領は、緊密な安全保障と経済協力を約束し、安倍首相との綿密に用意された仕事と遊びの訪問が始まった。それは、アジアの中心的なプレイヤーとの暖かい協調関係を見せるためのものだ)

『USA TODAY』紙
見出しーTrump commits to security of Japan (トランプ大統領、日本の安全保障を約束)
リードーExtolling an alliance more than seven decades old, President Trump on Friday reaffirmed the United States’ commitment to the defense of Japan, but he suggested that Japan as well as the U.S. contribute more to military cooperation. (トランプ大統領は、70年以上続いている日米同盟を称賛し、アメリカの日本防衛の約束を再確認したが、日米両国が、これまで以上に軍事協力を推進することを示唆した)

『CNN(=Cable News Network)』放送
・見出しーDonald Trump’s Asia pivot (トランプ大統領のアジアの中心人物)
・リードーPresident Donald Trump now has his own Asia pivot. In less than 24 hours, Trump distanced himself from the incendiary tone he struck on China and Japan while running for office, Acting more as a statesman than a populist insurgent candidate, Trump implied he will operate within the conventional US foreign policy framework towards Asia and soothed global fears that he intends a wholesale rejection of the international system.(トランプ大統領は、今やアジアの中心人物を持つようになった。トランプ氏は、大統領選挙期間中、中国と日本に攻撃を加えていた煽情的な調子とは自ら距離を置くようになった。トランプ氏は、大衆迎合型の反政府の候補者というよりも、政治家として、アメリカの外交政策のアジアへの枠組みの中で行動すると示唆し、国際システムを全面的に拒否すると世界が恐れていたことをやわらげたのだ)






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863. トランプ米大統領、TPP離脱の大統領令に署名、対日批判ー2017.1.24 [国際ーアメリカ、日本]

(a) 日本語のニュース

アメリカのトランプ大統領は、23日、アメリカがTPP=環太平洋経済連携協定から離脱する大統領令に署名し、TPPは発効が不可能になりました。
大統領令は、貿易交渉を担当するUSTR=アメリカ通商代表部に対して、「TPPの署名国から離脱し、TPP交渉からアメリカが永久に離脱するよう指示する」と明記しています。
トランプ大統領は、「TPP離脱は、アメリカの労働者にとってよいことだ」と述べました。
TPP協定をめぐっては、昨年2月、日本やアメリカなど12か国が署名し、各国で、国内の承認手続きが進められており、日本は、承認手続きを終え、批准しています。しかし、TPPの発効には、アメリカの承認が欠かせない仕組みになっていて、アメリカの離脱の決定によって、TPP協定の発効は不可能になりました。
トランプ大統領は、「私の政権の意図は、個別の国と直接1対1で将来の貿易交渉を進めることだ」と述べて、2国間協定を重視する姿勢を強調しています。

トランプ大統領は、同じ23日、大統領令の署名に先だって、アメリカの企業経営者と会談し、日本や中国は、それぞれの国内でアメリカの製品を販売するのを難しくさせていて、公平な貿易を行っていないと批判しました。
このうち日本については、「われわれが日本で自動車を販売する場合、日本は販売を難しくさせている。しかし、日本の数十万台の車が大きな船でアメリカに入ってくる。これは公平ではない。この問題は協議しなければならない」と述べ、2国間協議を通じて、日本に何らかの是正を求めることを明らかにしました。

(b)ニュースの焦点

TPP
TPP(=Trans Pacific Partnership free trade agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定といい、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムの12か国が参加する自由貿易協定のことです。TPP協定交渉は、2015年10月アメリカのアトランタで大筋合意し、2016年2月ニュージーランドのウエリントンで12か国が協定に署名し、各国が国内手続きに入りました。
TPP協定が発効すれば、世界最大の自由貿易圏になることになっています。域内の人口は、世界の1割に当たる8.1億人、1国の経済活動の規模を示す名目GDP=Gross Domestic Product国内総生産は、合わせて28兆ドルで、世界のおよそ4割を占めることになります。
TPP協定は、30章からなり、関税分野では、最終的に工業品の99.9%で関税が撤廃されるほか、サービス・投資などの分野で「共通のルール」もできることになっています。
TPP協定は、12か国全てがニュージーランドに国内手続きの終了を通知してから60日で発効することになっています。12か国全てが承認できない場合は、協定への署名から2年が経過した後に、12か国全体のGDPの85%を占める
6か国が通知して発効することになっています。アメリカと日本のどちらかが欠けても発効しません。
安倍首相は、トランプ大統領がTPP離脱の大統領に署名した後も、TPP協定の重要性を説き続けるといっています。

アメリカの大統領令
アメリカの大統領が、連邦議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令のことで、法律と同じ効力を持ちます。一方で、連邦議会は、反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を示すことができます。

(c)英語のニュース

U.S. President Donald Trump has signed a presidential memorandum to withdraw the United States from the Trans-Pacific Partnership free trade agreement.
In the memorandum signed on Monday, he directed the U.S. Trade Representative to withdraw the United States as a signatory to the TPP and permanently withdraw TPP negotiations.
He also ordered the trade chief to begin pursuing bilateral trade negotiations to promote American industry, protect American workers and raise American wages.
Mr. Trump called the presidential memorandum “a great thing for American workers.
The move dealt a fatal blow to the 12-member free trade agreement, which was signed in February, last year, but does not take effect without U.S. ratification.
Earlier in the day, President Trump met U.S. corporate executives and criticized Japan and China for engaging in trade practices that, he said, are unfair to U.S. manufacturers.
He indicated that Japan and China are making it difficult for U.S. firms to sell products in their countries.
Mr. Trump said that Japan sells many cars in the United States, but it has rules on U.S. carmakers that make it impossible to sell cars there. He said that it’s not fair and needs to be discussed at bilateral negotiations.

(d)ニュースの比較研究

トランプ大統領がTPP=環太平洋経済連携協定から離脱する大統領令に署名したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも報道しましたが、特に日本のメディアは、改めて衝撃的なニュースとして伝えていました。一方、アメリカのメディアは、批判的な見方で、このニュースを伝えていました。
代表的なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『The New York Times』紙は、”Trump Abandons Trans-Pacific Partnership, Obama’s Signature Trade Deal”(トランプ大統領、TPP=環太平洋パートナーシップ、オバマ前大統領の貿易協定を破棄)という見出しで、”President Trump upended America’s traditional, bipartisan trade policy on Monday as he formally abandoned the ambitious, 12-nation Trans-Pacific Partnership brokered by his predecessor and declared an end to the era of multinational trade agreements that defined global economics for decades”(トランプ大統領は、アメリカの伝統的で超党派の貿易政策をひっくり返してしまった。それは、トランプ大統領が、彼の前任者(オバマ大統領)が取り仕切った大がかりな、12か国のTPP=環太平洋経済連携協定を正式に放棄し、何十年間も世界経済を定義してきた多国間の貿易協定の時代に終止符を打つ宣言をしたからだ)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Donald Trump Withdraws U.S. From Trans-Pacific Partnership – TPP agreement was aimed at curbing China’s advantages ”(トランプ大統領、TPP=環太平洋経済連携協定からアメリカを離脱―TPP協定は、もともと中国の進出抑制が目的だったのだ)という見出しで、”President Donald Trump’s formal withdrawal from the 12-nation Pacific trade agreement, announced Monday, creates an American policy vacuum in a fast-growing region that includes China and longtime U.S. allies”(トランプ大統領の12か国の太平洋貿易協定(TPP)から正式に離脱することは、中国と長期にわたるアメリカの同盟国が存在する急速に成長しつつある地域において、アメリカの政策の真空地帯を作り出すことになる)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Trump signs order withdrawing from TPP”(トランプ大統領、TPP=環太平洋経済連携協定からの離脱命令に調印)という見出しで、”President Donald Trump on Monday will start to unravel the behemoth trade deal he inherited from his predecessor as he signed an executive action to withdraw from the negotiating process of the Trans-Pacific Partnership. That executive action sends signals to Democrats and leaders in foreign capitals around the world that Trump’s rhetoric on trade during the campaign is turning into action. Trump vowed during the campaign to withdraw the US from the Pacific trade deal, commonly known as TPP, which he argued was harmful to American workers and manufacturing.”(トランプ大統領は、彼の前任者(オバマ大統領)から引き継いだ巨大な貿易協定をつぶし始めるだろう。それは、トランプ大統領が、TPPの交渉過程から離脱する大統領に署名したからだ。この大統領令は、民主党員や世界中の外国の指導者に対して、トランプ氏の選挙期間中の貿易に関する言葉を行動に移しつつあることを示唆した。トランプ氏は、大統領選挙期間中、TPPとして知られている太平洋貿易協定からアメリカを離脱させることを誓った。彼によれば、TPPは、アメリカの労働者や製造業にとって有害だからだ)と報じました。


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830. 安倍・トランプ会談のニュースの日米比較ー2016.11.20 [国際ーアメリカ、日本]

830. 安倍・トランプ会談のニュースの日米比較―2016.11.20

安倍晋三首相は、17日夕(日本時間18日朝)ニューヨーク市内のトランプ・タワーでドナルド・トランプ次期米大統領とおよそ1時間半会談しました。トランプ氏が、大統領選挙で当選後外国の首脳と会ったのは初めてです。
この会談は、世界的に注目をあびていましたが、非公開で、会談後、安倍首相が記者団に短く語ったこと(日本人記者(NHK)と外国人記者(REUTERS)の2つの質問に答えたにもの)とトランプ氏が自らのフェイスブックに「安倍首相に自宅に立ち寄ってもらい、素晴らしい友人関係を始められたことは喜ばしい」と写真を添えて書き込んだ以外は、ニュース・ソースはありませんでした。写真も「内閣広報室提供」のものだけでした。その写真から、トランプ氏のほかに、長女のイバンカさんやその夫のジャレッド・クシュナー氏、マイケル・フリン元国防情報局長官(翌18日ホワイトハウスで安全保障政策全般を統括する国家安全保障担当大統領補佐官への起用が発表)、それに安倍首相と通訳が出席していたことがわかりました。
こうした極めて限定されたニュース・ソースで、日本とアメリカのメディアは、それぞれどう報道したでしょうか、それらを比較してみますと、大変興味深く、日本のメディアの報道はほぼ画一的で、アメリカのメディアの報道は、それぞれ違っていて個性がでているものが多いと感じました。
それでは、日本のメディア報道とアメリカのメディアの報道を比較してみましょう。(なお、新聞の順番は、日米とも発行部数が多い順、外国の放送、新聞、通信社の報道は電子版による)



・日本のメディアの報道

『読売』
・見出しー首相「信頼できる指導者」、トランプ氏と初会談、首脳会談2月にも
・リードー安倍首相は17日夕(日本時間18日朝)、米ニューヨークでドナルド・トランプ次期大統領と会談し、新たな日米関係の構築に向けて動き出した。首相はトランプ氏を「信頼できる指導者」と評価し、トランプ氏も「素晴らしい友人関係を始められた」との所感を示した。首相は、トランプ氏と早期に再会談することで一致したことも明らかにした。日本政府は、トランプ氏の大統領就任後の来年2月にも日米首脳会談を行う方向で調整する。
・解説記事「スキャナー」-友好醸成 首相手応え、トランプ氏と会談、課題解決「長期戦」も覚悟
・社説―首相VSトランプ、まずは信頼関係を構築したい

『朝日』
・見出しー首相、トランプ氏と初会談、信頼強調 内容は非公開、異例の就任前 予定越す90分
・リードー米ニューヨークを訪問中の安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、外国首脳として初めてトランプ次期米大統領と会談した。首相とトランプ氏は会談後、ともに信頼関係づくりにつながったとして成果を強調。ただ、1時間半におよんだ会談の内容は伏せられ、日本国内では野党から批判の声が上がっている。
・解説記事「トランプ・ショック」-手探り会談握手、日―首相「選挙時と別人、よく勉強」、米―トランプ氏 外交デビュー演出
・社説―日米関係 真の信頼を築くために

『毎日』
・見出しー首相、同盟重視を演出、トランプ氏と会談
・リードー安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、ドナルド・トランプ次期大統領とニューヨークで会談し、来年1月20日の大統領就任式の後、正式な首脳会談を行う方針で一致した。大統領就任前であることから会談内容は公表されなかったが、早期の会談を実現したことで、トランプ氏の日米同盟重視の姿勢を印象付けた。首相は、会談後、「ともに信頼関係を築いていくことができると確信の持てる会談だった」と語った。
・解説記事「クローズアップ2016」―首相・トランプ氏会談、懸念払拭へ思惑一致、外交政策見通せず、反TPP翻意壁高く
・社説―激震トランプ、安倍首相と会談、霧中に踏み出した一歩

『日本経済』
・見出しー首相・トランプ氏初会談、手探りの90分、対日政策、なお霧中
・リードー安倍晋三首相は17日、ニューヨーク市内でトランプ次期大統領と初めて会談した。日米同盟強化を打ち出し、アジアの安全保障環境が変容するリスクを摑むという日本側の課題は次回に持ち越された。2人の手探り会談は1時間半近くに及んだ。
・解説記事―首相、トランプ氏と会談、異例異例異例、会うこと自体が成果、米政府の関与見えず、家族同席、発言要領の紙なし
・社説―信頼を土台に「中身ある日米関係」目指せ

『産経』
・見出しー首相、トランプ氏と初会談、同盟深化へ 早期再会談で一致、「彼は話よく聞く」「選挙中と別」
・リードー安倍晋三首相は17日夕(日本時間18日午前)、訪問先の米ニューヨークでドナルド・トランプ次期米大統領と約1時間半にわたり会談した。就任前の次期米大統領と日本の首相による会談は異例。トランプ氏が大統領選勝利後、外国首脳と会談するのは初めて。
・解説記事―安倍トランプ会談、同盟維持 端緒つかむ、安全保障 前向き。動揺回避
・主張―安倍トランプ会談、「信頼の輪」一層の拡大を

『東京』(中日新聞東京本社)
・見出しー初会談まず「友好」、首相・トランプ氏 内容明かさず
・リードー米国を訪問している安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、ドナルド・トランプ次期大統領とニューヨークで初めて会談しました。安全保障や経済分野でオバマ政権から大幅な政策変更を明言する新たなリーダーに対し、日本の立場を説明。来年1月の就任後にあらためて会う約束を取り付けた。ただ、二人の基本的な考え方の違いは大きく、簡単に溝は埋まらない。友好関係の演出を優先し、双方とも具体的な協議内容は明らかにしなかった。
・解説記事「核心」―安倍首相トランプ氏初会談、笑顔の裏 譲れぬ一線、TPP・安保やりとり語らず
・社説―日本と新政権、関係を「進化」させたい

『共同』通信
・見出しー首相、「信頼できる指導者と確信」
・リードー安倍晋三首相は17日夕(日本時間18日朝)、トランプ次期米大統領とニューヨークで約1時間半にわたり会談した。首相は「トランプ氏は信頼できる指導者であると確信した」と記者団に述べた。両氏は大統領就任後に再協議することで一致した。会談は少人数で実施した。具体的な内容は非公開としたが、アジア太平洋地域における日米同盟の重要性を確認。首相は環太平洋連携協定(TPP)を含めた自由貿易推進の意義を強調したようだ。

『NHK』
・見出しー首相、トランプ氏と「信頼関係築けると確信もてた」
・リードー安倍総理大臣は日本時間の18日朝、訪問先のニューヨーク市内でトランプ次期大統領とおよそ1時間半にわたって会談しました。このあと、安倍総理大臣は記者団に対し、信頼関係を築いていけると確信の持てる会談だったという認識を示したうえで、双方の都合のよいときに会談することで一致したことを明らかにしました。


・アメリカのメディアの報道


『ABC(=American Broadcasting Company)』放送
・見出しーDonald Trump Meets Japanese Prime Minister Shinzo Abe(ドナルド・トランプ、日本の安倍晋三首相と会談)
・リードーDonald Trump had his first face-to-face meeting as president-elect with Japanese Prime Minister Shinzo Abe at Trump Tower in New York City – the first test of Trump’s resolve to stand by caustic campaign rhetoric that left many world leaders questioning his foreign policy agenda.(ドナルド・トランプは、ニューヨーク市のトランプ・タワーで、日本の安倍晋三首相と次期大統領として初めての直接会談を行った。それは、世界の多くの指導者たちが彼の外交政策の議題について疑問のままでいる選挙期間中の痛烈なレトリック(効果をねらった言葉使い)を固く守ろうとするトランプの決意の最初の試金石だ)

『CNN(=Cable News Network)』放送
・見出しーJapan’s Abe on US mission to ‘build trust’ with Donald Trump(日本の安倍(首相)ドナルド・トランプとの’信頼構築‘のため訪米中)
リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe said Thursday he had a “very candid discussion” with President-elect Donald Trump, during a brief press availability following their in-person meeting. Abe declined to explain in detail what he discussed with Trump because the visit was “unofficial” as Trump has not yet assumed the presidency, but he stressed that he emerged feeling that the US and Japan will be able to maintain “a relationship of trust” with Trump as president.(日本の安倍首相は、次期大統領のドナルド・トランプと直接会談し、その後短い記者会見で、“”大変率直な“話し合いを行ったと述べた。安倍首相は、トランプと何を話し合ったか、詳細には語らなかった。なぜなら、トランプは、まだ大統領になっていないので、その会談は”非公式な“ものだからだ。しかしながら、アメリカと日本は、トランプが大統領になれば、”信頼関係“を維持できると感じたことを強調しました。

『The Wall Street Journal』紙
・見出しーJapan’s Shinzo Abe Discusses Security Alliance at Meeting With Donald Trump – Visit marks President-elect first face-to-face with a foreign leader since last week’s election (日本の安倍晋三(首相)、ドナルド・トランプとの会談で、安全保障の同盟で討議 - 会談は、先週の選挙以来次期大統領の外国の指導者との最初の直接会談)
・リードーPresident-elect Donald Trump on Thursday held his first face-to-face talks with a foreign leader since the election, meeting with Japanese Prime Minister Shinzo Abe in New York for a 90-minute session sought by the visiting Mr. Abe to gauge Mr. Trump’s views on the nation’s security alliance. (次期大統領のドナルド・トランプは、選挙以来外国の指導者と初めての直接会談を行った。それは、ニューヨークでの日本の安倍晋三首相との会談で、安倍首相の要請で行われた90分の会談で、日本の安全保障の同盟の関するトランプの見解を聞きたいというものであった)

『The New York Times』紙
・見出しーDonald Trump, After Fits and Starts, Focuses on Foreign Policy(ドナルド・トランプ、ぴったり合い、スタートした後、外交政策に焦点をあてる)
・リードーPresident-elect Donald J. Trump embarked on one of the rituals of the American presidency on Thursday, meeting in New York with the prime minister of Japan, Shinzo Abe, as he continued his fitful adjustment to the protocols of high-level diplomacy.(次期大統領のドナルド・トランプは、日本の安倍晋三首相とニューヨークで会談をして、アメリカの大統領としての儀式の一つを始めた。彼は、高度な外交の儀式には、気まぐれな対応を続けた)

『Los Angeles Times』紙
・見出しーJapan’s Shinzo Abe expresses ‘great confidence’ in Trump as a leader after meeting(日本の安倍晋三(首相)、トランプとの会談後、指導者として‘大きな信頼’を置けると表明)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe on Thursday became the first foreign head of state to meet face to face with Donald Trump since the election.
(日本の安倍晋三首相は、ドナルド・トランプと選挙後緒靴会談をした最初の外国の国家元首になった)

『New York Daily News』紙
・見出しーJapanese PM has ‘great confidence’ in President-elect Trump(日本の首相、トランプ次期大統領に‘大きな信頼’を置く)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe became the first world leader to meet President-elect Donald Trump, seeking reassurance over the future of US-Japan security and trade relations (日本の安倍晋三首相は、次期大統領ドナルド・トランプと会う最初の世界の指導者になった。彼は、アメリカと日本の安全保障と貿易の関係の将来について保証を求めた)

『AP(=The Associated Press)』通信
・見出しーJapan’s Prime Minister Abe Expresses ‘Confidence’ in Donald Trump(日本の安倍首相、ドナルド・トランプに’信頼‘を置くと表明)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe said he believes Donald Trump is a leader in whom he can have great confidence after meeting with the president-elect Thursday.(日本の安倍晋三首相は、次期大統領のドナルド・トランプと会談した後、トランプは、大きな信頼を置くことができる指導者だと信じていると述べた)














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825. 米大統領選のニュースの日米比較(最新版)ー2016.11.13 [国際ーアメリカ、日本]

825. 米大統領選のニュースの日米比較      2016.11.13


アメリカの大統領選挙は、世界的な注目を集め、日本のメディアも外国のメディアも速報、詳報で報道していましたが、トランプ氏の勝利は、予測されていなかっただけに、世界に大きな衝撃を与えました。
アメリカのメディアと世論調査機関のほとんどが、接戦だが、クリントン氏リードと予測し、日本など外国のメディアもその線に沿った見方で報道していましたが、“隠れトランプ”の存在を読み切れなかったのでしょうか。それにしても、トランプ氏は、昨年から今年に入って予備選挙の最初の段階までは泡沫候補といわれながらも、共和党大会で党候補に指名され、クリントン氏との選挙戦では勝利を収めるということで、メディアの見方、読み方が見事に間違っていた大きな事例になりました。(ただし、Los Angeles Timesなど一部の報道機関は、早くからトランプ氏優勢と報道していました)

アメリカの大統領選挙のニュースについて、日本のメディアの報道とアメリカのメディアの報道を比較してみましょう。日本のメディアの報道のリードは、あたかも何かフォーマットがあるかのような感じで似たり寄ったりの内容ですが、アメリカの場合は、それぞれ違った内容で個性がでていて面白く感じました。(なお、新聞の順番は、原則的に日米ともに発行部数の多い順、外国の新聞や放送は、電子版による))


・日本のメディアの報道


『読売』
・見出しー米大統領 トランプ氏、既存政治批判し逆転、公職・軍経験なし
・リードー米大統領選は8日、全米各地で投開票が行われ、実業家で公職経験ゼロの異色の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を破り、当選が確実になった。来年1月20日に第45代大統領に就任する。選挙で選ばれる公職か軍幹部のいずれの経験もない「アウトサイダー」が大統領に勝利するのは米国史上初めて。トランプ氏は「米国第一」の立場から外交、内政を抜本的に見直すとしているが、公約には現実を度外視したものも多く、外交、経済が世界的に混乱しかねないとの懸念が広まっている。
・解説(国際部長 飯塚恵子)―大衆迎合で大国導けぬ
・社説―米大統領選 トランプ氏勝利の衝撃広がる、冷静に日米同盟を再構築したい

『朝日』」
・見出しー米大統領にトランプ氏、既成政治批判支持集める、TPP・日米安保不透明に 
・リードー米大統領選は、8日夜(日本時間9日午前)から開票され、共和党のドナルド・トランプ氏(70)が、優勢が伝えられていた民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を破り、当選を確実にした。米国史上初の公職経験のない大統領となる。既成政治への不満や怒りを背景に支持を集めたが、超大国の指導者としての手腕は未知数だ。環太平洋経済連携協定(TPP)や日米関係などの行方も、不透明感が増している。
・解説(アメリカ総局長 山脇岳志)―内向きな超大国のリスク
・社説―トランプの勝利 危機に立つ米国の価値観

『毎日』
・見出しー米大統領 トランプ氏、過激言動 番狂わせ クリントン氏破る
・リードー米大統領選は8日、投開票された。米メディアによると、共和党候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)が東部時間9日朝(日本時間同日夜)の段階で激戦州の南部フロリダなど全50州中の29州を固め、勝利に必要な選挙人数270人を超える290人を確保し初当選を確実にした。トランプ氏は9日未明に地元の東部ニューヨーク州で演説し「全国民の大統領になる。米国を再建しアメリカンドリームを復活させる」と勝利宣言した。
・解説(北米総局長 会川晴之)-反既成政治 世界のうねり
・社説―米大統領にトランプ氏 世界の漂流を懸念する

『日本経済』
・見出しー米大統領 トランプ氏
・リードー米大統領選は、8日、全米各州で投票、即日開票され、共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏(70)が女性初を目指した民主党候補のヒラリー・クリントン前米国務長官(69)を大接戦の末、破った。共和党は、8年ぶりにホワイトハウスを奪還、米国民は米国の再生を政治家経験のない異端候補に託した。
・解説(ワシントン支局長 小竹洋之)― 社会分断、危うい大衆迎合
・社説―米社会の亀裂映すトランプ氏選出

『産経』
・見出しー米大統領 トランプ氏、大接戦クリントン氏破る 共和8年ぶり政権奪取
・リードー米大統領選は8日、投開票が行われ、共和党候補の不動産王、ドナルド・トランプ氏(70)9日が未明(日本時間9日午後)に当選を決めた。共和党はブッシュ前政権以来、8年ぶりに政権を奪取、トランプ氏の「米国を再び偉大にする」というメッセージが、テロや雇用への不安を抱く白人中間層を中心として国民の支持を受け、女性初の米大統領を目指した民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)との大激戦を制した。
・解説(東京本社編集局長 乾正人)-トランプ大統領で、いいじゃないか
・主張―トランプ氏の勝利。「自由の国」であり続けよ、新同盟関係へ日本は覚悟を

『東京』(中日新聞東京本社発行)
・見出しー米大統領 トランプ氏、白人労働者取り込む、「忘れられた国民はもはやいなくなる」
・リードー米大統領選は8日投開票され、共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏(70)が接戦の末、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を破り、第四十五代大統領に決まった。共和党は八年ぶりに政権を奪還。選挙で選ばれる公職に就いたことがない大統領は元軍人のドワイト・アイゼンハワー氏(1953~61年)以来となる。
・解説(外報部長 久留真一)-日米関係揺るがす「自国優先」
・社説―民衆の悲憤を聞け トランプのアメリカ

『共同通信』
・見出しー米大統領にトランプ氏
・リードー米大統領選は、8日投開票され、共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)が大接戦の末、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を退け、勝利した。共和党は8年ぶりに政権を奪還。トランプ氏は、地元ニューヨークで勝利演説し、「米国を再建し、アメリカンドリームを復活させる」と述べ、経済成長を加速させると表明した。

『NHK』
・見出しー米大統領選 トランプ氏勝利 国の融和図れるか
・リードーアメリカの大統領選挙は、共和党のトランプ氏が勝利し、次期大統領の座を射止めました。敗れた民主党のクリントン氏は「アメリカは私たちが思う以上に分断されている」と演説し、敵対する発言を繰り返してきたトランプ氏が国の融和を図れるかどうかが大きな課題となってきました。


・アメリカのメディアの報道


『CNN(=Cable News Network)』放送
見出しーThe ultimate triumph: President Trump(究極の勝利:トランプ大統領)
リードーDonald Trump will become the 45th president of the United States, CNN projects, a historic victory for outsider that represents a stunning repudiation of Washington’s political establishment.(CNNの予測によれば、ドナルド・トランプは、アメリカの第45代大統領になるだろう。それは、ワシントンの政治的エスタブリッシュメント(既成の権力組織)に対して驚くべき拒否を表わすアウトサイダーにとっての歴史的勝利なのだ)

『Fox News』放送
見出しーTrump wins presidency, defeats Clinton in historic election upsetトランプ、大統領選に勝利、歴史的大逆転でクリントンを破る)
リードーDonald Trump, defying the pundits and polls to the end, defeated Hillary Clinton in Tuesday’s presidential election and claimed an establishment-stunning victory that exposes the depth of voter dissatisfaction – and signals immense changes ahead for American policy at home and abroad.(ドナルド・トランプは、最終的には専門家や世論調査を無視して、大統領選挙で、ヒラリー・クリントンを破り、有権者の不満の厳しさを明らかにし、エスタブリッシュメント(既成の権力組織)を驚かせた勝利を宣言した。それは、アメリカの国内・対外政策にとっての大きな変革をあらかじめ表したものだ)

『The Wall Street Journal』紙
見出しーWith Donald Trump’s Win, Clinton and Obama Call for Smooth Transition – President-elect strikes conciliatory tone in acceptance speech(ドナルド・トランプの勝利で、クリントンとオバマ、円滑な移行を呼びかけー次期大統領、受諾演説で懐柔的な調子を出す)
リードーThe day after Donald Trump scored a stunning come-from-behind win to gain the presidency, Democrat Hillary Clinton and President Barack Obama separately called on the country to be open to the new leader and work toward a smooth transition.(ドナルド・トランプが、大統領の座を得るのに驚くべき逆転勝利を達成した翌日に、民主党のヒラリー・クリントンとオバマ大統領は、アメリカ国民に新しい指導者に対して寛大であるよう呼びかけ、円滑な移行に向けて努力するよう呼びかけた)

『The New York Times』紙
見出しーTrump basks in triumph(トランプ、勝利に酔いしれる)
リードーDonald John Trump was elected the 45th president of the United States on Tuesday in a stunning culmination of an explosive, populist and polarizing campaign that took relentless aim at the institutions and long-held ideals of American democracy.(ドナルド・トランプは、アメリカの第45代大統領に選出された。それは、アメリカの民主主義の制度や長い間持ち続けてきた理想に対して容赦のないねらいを定めた、爆発的でポピュリスト(大衆迎合主義者)の、分裂を起こさせた選挙運動の驚くべき高まりの中で選ばれたのだ)

『USA TODAY』紙
見出しーDonald Trump stuns the world, elected USA’s 45th president(ドナルド・トランプ、アメリカの第45代大統領に選出、世界を驚かす)
リードーDonald Trump, sweeping to victory as the 45th president of the United States in a bitterly fought campaign that defied the polls, pledged Wednesday to “be a president for all Americans”(ドナルド・トランプは、世論調査に挑むような激しい選挙戦を戦い抜いて、アメリカの第45代大統領としての勝利を収め、“すべてのアメリカ国民のための大統領になる”と誓った)

『Los Angeles Times』紙
見出しーTrump vows America will ‘no longer settle for anything less than the best’(トランプ、アメリカはもはや最高をめざさないまま安住することはないと言明)
リードーDonald Trump shocked the political establishment Tuesday, triumphing over not just Hillary Clinton but large parts of his own party’s hierarchy to become the 45th president in one of the biggest upsets in U.S. political history.(ドナルド・トランプは、政治のエスタブリッシュメント(既成の権力組織)に衝撃を与え、ヒラリー・クリントンにだけでなく、彼自身の党(共和党)のヒエラルキー(階級組織)の多くの部分に対しても勝利を収め、第45代大統領になり、アメリカの政治史の中でも大番狂わせの一つになった )

『The Washington Post』紙
見出しーClinton, Obama urge disappointed backers to reconcile themselves to Trump’s win(クリントン氏、オバマ大統領、失望した支持者たちにトランプ氏の勝利を認めるよう要請)
リードーBoth Hillary Clinton and President Obama urged their backers Wednesday to accept President-elect Donald Trump’s victory and support his transition into power, as Democrats prepare to hand over control of the White House for the first time in eight years.(民主党が、この8年間で初めてホワイトハウスの管理を引き渡す準備をしている中で、ヒラリー・クリントンとオバマ大統領は、彼らの支持者たちに次期大統領のドナルド・トランプの勝利を受け入れ、権力の移行を支持するよう要請した)

『AP(=The Associated Press)』通信
見出しーDonald Trump wins US presidential race: AP(AP: ドナルド・トランプ、アメリカ大統領選挙で勝つ)
リードーRepublican Donald Trump bested expectations on Tuesday to win the 2016 U.S. presidential elections, stumping Democratic rival and former secretary of state Hillary Clinton, according to the Associated Press.(APによれば、共和党のドナルド・トランプが、予想を覆して、2016年のアメリカ大統領選挙に勝利し、民主党のライバルで前国務長官のヒラリー・クリントンを退けた)


















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377.イグ・ノーベル賞、日本人7年連続受賞ー2013.9.12 [国際ーアメリカ、日本]

(a)日本語のニュース

ノーベル賞のパロディとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が行われ、7年連続で日本人が受賞しました。
授賞式は、12日アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学で行われ、10の部門の受賞者が発表され、このうち日本人が、「医学賞」と「化学賞」を受賞しました。
「心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた」との実験結果を発表した帝京大学医学部外科准教授の新見正則さん=54歳たちの研究グループが、「イグ・ノーベル賞」の「医学賞」を受賞しました。
また、「タマネギを切ると涙が出る原因となる酵素」を発見したハウス食品研究主幹の今井真介さん=56歳たちの研究グループが「イグ・ノーベル賞」の「化学賞」を受賞しました。

(b)ニュースの背景

イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)のイグ(Ig)というのは、否定を表わす接頭語、ignoble というのは、恥ずべき、不名誉な、などという意味の形容詞で、それらをかけた言葉です。ノーベル賞のパロディとしてユニークでユーモラスな研究に毎年贈られます。
イグ・ノーベル賞を企画運営しているのは、サイエンス・ユーモア雑誌『風変わりな研究の年報』(Annuals of Improbable Research)とその編集者で、共同スポンサーは、ハーバード・コンピューター協会、ハーバード・ラドクリフSF協会などです。
イグ・ノーベル賞には、工学賞、物理賞、医学賞、心理学賞、化学賞、文学賞、経済学賞、学際研究賞、平和賞、生物賞などがあります。毎年9月か10月ユニークでユーモラスな研究を行った10の個人またはグループに授与されます。授与式は、ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われます。

(c)英語のニュース

Two teams of Japanese researchers have won this year's ig Nobel Prize, a parody of the Nobel awards, for medicine and chemistry.
The medicine prize went to a team that included researchers from Teikyo University in Tokyo for assessing the effect of listening to opera on mice heart transplant patients.
The chemistry prize was awarded to a research team from Japanese food maker House Foods for discovering that the biochemical process by which onions make people cry is even more complicated than scientists previously realized.
The recipients of the ig Nobel Prize in 10 categories, including medicine and chemistry, were announced at Harvard University in the United Sstaes on Thursday.
The Ig Nobel Prize, inaugurated in 1991,is awarded to scientists, inventors and others whose sometimes outrageously wacky research efforts "first make people laugh and then make them think"

(d)ニュースの比較研究

イグ・ノーベル賞で日本人が7年連続で受賞のニュースについては、日本のメディアは、映像や写真入りで伝えましたが、外国のメディアでは、ほとんど報道していませんでした。
わずかに見つけたイギリスBBC放送の科学記者が書いた記事を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"'Beer goggle' study wins lg Nobel award"
(’ビール・ゴーグル効果’の研究、イグ・ノーベル賞受賞)という見出しで、"A team of researchers who found that people think they are more attractive when drinking alcohol, have scooped an ig Nobel prize for their work. The reseachers from France and the US confirmed the "beer goggle effect" also works on oneself"(人々は、アルコールを飲んだ時は普段よりもっと魅力的になると考えているということを発見した研究者のチームが、その研究で、イグ・ノーベル賞を受賞した。フランスとアメリカの研究者は”ビール・ゴーグル効果”は、またそれ自身に作用することを確認した)と伝えました。

*(注)ビール・ゴーグル効果(beer goggle effect)というのは、ビールを飲めば飲むほど性的欲求に対する抑制力が低下するという効果のことをいいます。






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280.ワシントンで桜祭りー2013.3.23 [国際ーアメリカ、日本]

(a)日本語のニュース

アメリカの首都ワシントンで、春の恒例イベント「桜祭り」の開会式が、23日行われ、参加者は、101年前に日本から贈られた桜をみて日米友好の歴史に思いをはせていました。
ワシントンの桜は、1912年当時の東京市の市長から贈られた桜が開花するこの時期に、日米の友好を記念する「桜祭り」が開かれています。
23日に行われた開会式には、およそ2,000人が出席し、地元のグレイ・ワシントン市長があいさつし、「偉大な友人からの贈り物を後世に残したい」と述べました。
続いて、日本の佐々江駐米大使が「「桜の開花は、日米の絆を思い起こさせる」と語りました。
現在ワシントンの桜は、ポトマック河畔に3,770本植わっていますが、まだつぼみの状態で、満開になるのは、来月3日から6日ごろということです。

(b)ニュースの背景

さくらまつりは、英語で ”Sakura Matsuri Japanese Street Festival"といい、ワシントンDC日米協会(The Japan America Society of Washington DC)の主催で毎年3週間行われ、今年は第53回目になります。
1912年に日本から贈られた桜が植わっているポトマック河畔には、全米屈指の桜の名所として、各地から観光客が訪れます。
ワシントンの桜祭りは、全米桜祭り(英語では、The National Cherry Blossom Festival)のクライマックスとして行われ、全米最大の日本のお祭りでもあります。日本文化、食、パフォーマンス、露店などさまざまなイベントが行われます。

(c)英語のニュース

The annual cherry blossom festival has begun in Washington D.C.(District of Columbia)
The cherry trees were presented by the mayor of Tokyo in 1912 as a token of Japanese-US friendship.
Some 2,000 people attended the opening ceremony of the three-week festival on Saturday.
The Mayor of Washington D.C., Mr. Vicent Grey, and the Japanese Ambassador to the United States, Mr.Kenichiro Sasae, delivered speeches.
The cherry trees in Washington D.C. are expected to be in full bloom between April 3 and 6.
.
(d)ニュースの比較研究

ワシントンの桜祭りの開会式のニュースについては、日本のメディアは、報道していましたが、アメリカのメディアは、恒例になっているせいか、ほとんど伝えていませんでした。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"National Cherry Blossom Festival opens in DC with free family events; festival runs 5 weeks"(全米桜祭り、自由な家族のイベントで、首都ワシントンで開く、祭りは5週間続く)という見出しで、"The National Cherry Blossom Festival is opening with a weekend of family activities at the National Building Museum. The free family days event opens Saturday and Sunday from 10 a.m. to 4 p.m. The museum will offer crafts and activities focused on architecture, the cherry trees and Japanese arts"(全米桜祭りは、国立建物博物館で週末の家族の活動で開く。自由な家族の日々のイベントは、土曜と日曜の午前10時から午後4時まで開かれる。博物館は、建築様式、桜の木、日本の美術を中心に工芸や行動に関するものを展示している)と報じています。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Spring's national arrival"(春の全米桜祭り、来る)という見出しで、"After a harsh winter for much of the United States, you're probably more than ready for spring. And if you're looking for a way to welcome the season of flowers, the National Cherry Blossom Festival is a good place to start. The annual Washington festival started Wednesday, the first day of spring, and runs through April 14. The peak bloom time for the cherry trees is expected in early April"(アメリカの多くの地方できびしかった冬のあと、春は待ち遠しいことだろう。花の季節を歓迎することを求めているなら、全米桜祭りは、始めるにはいいところだ。毎年恒例のワシントンの桜祭りは、春の初日の3月20日に始まり、4月14日まで続く。桜の満開は、4月初旬と予想されている)と報じています。
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269.NY株、史上最高値ー2013.3.5-6 [国際ーアメリカ、日本]

(a)日本語のニュース

5日のニューヨーク株式市場は、アメリカの景気や企業業績の回復への期待から買い注文が広がり、ダウ工業株30種平均が、史上最高値を記録しました。
ダウ平均株価は、2007年10月につけた史上最高値の1万4198ドル10セントを、およそ5年5か月ぶりに更新し、一時前日より160ドル近く値上がりして1万4286ドル37セントをつけ、終値でも、およそ5年5か月ぶりに市場最高値を更新し、125ドル95セント高い1万4253ドル77セントで取引を終えました。
同じ5日、ヨーロッパでもロンドンやフランクフルト市場がともにおよそ5年2か月ぶりの高値を記録し、6日の東京市場でもおよそ4年5か月ぶりの高値水準で、世界同時株高の様相を呈しています。これは、世界的な景気回復への期待から株価が続伸したためです。

(b)ニュースの背景

ダウ平均株価は、アメリカの経済ニュースの通信社であるダウ・ジョーンズ社が、アメリカのさまざまな業種の代表的な銘柄を選出し、平均株価をリアルタイムで公表している株価平均型株価指数です。
ダウ平均株価の中に、ダウ工業株30種平均があります。
日本でのダウ平均株価にあたるものとしては、日経平均株価があります。これは、日本経済新聞社が発表している数字です。

(c)英語のニュース

Share prices on the New York Stock Exchange hit a new record high in 5 years and 5 months amid expectations for the US economic recovery.
The 30-issue Dow Jones Industrial Average gained 125.95 points, 0.89 percent, to end at 14,253.77 on Tuesday. The previous record high closing was set on October 9th, 2007 at 14,164.53 before the global financial crisis.
Meanwhile, Tokyo stocks rose sharply on Wednesday, reflecting gains on the New York stock market.
The Nikkei Stock Average soared 248.82 points, or 2.13%, to end the day at 11,932.27.
The benchmark index rose to its highest close since September 25th, 2008, when it hit 12,006.

(d)ニュースの比較研究

ニューヨーク株式市場のだう平均株価が史上最高値を更新したニュースについては、外国のメディアも日本のメディアも、アメリカなど世界景気の回復への期待が高まっていることとして注目し、大きく伝えていました。
代表的なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Dow closes at record high"(ダウ、終値史上最高値)という見出しで、"The Dow Jones industrial average rallied to a new record high Tuesday. The Dow climbed more than 125 points to close at a record high of 14,253.77, topping the prior record set in October 2007."(ダウ・ジョーンズ工業平均株価は、史上最高値を更新した。ダウは、125ポイント以上上昇し、史上最高値の1万4253ドル77セントに上昇し、2007年10月の最高値を更新した)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"Dow Leaps to Record"(ダウ、最高値に上昇)という見出しで、"The Dow Jones Industrial Average jumped to a record Tuesday, marking a key milestone in the long slog to recovery from the financial crisis"(ダウ・ジョーンズ工業平均株価は、最高値に上昇し、金融危機からの回復への長い道のりの重要な道標になった)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、"As Fearss Recede, Dow Industrials Hit a Milestone"(恐れが後退、ダウ工業株価、画期的な記録)という見出しで、"The economy may be struggling to recover, but by one closely watched measure the fear that not long ago paralyzed the markets has lifted"(経済は、景気回復へ向かって奮闘しているのかもしれない。しかし、よく見ると、最近株式市場を惑わせいた恐れは、取り除かれた)と報じました。





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266.米連邦高裁、反捕鯨団体の妨害は「海賊行為」と認定ー2013.2.27 [国際ーアメリカ、日本]

(a)日本語のニュース

アメリカ・サンフランシスコの連邦高等裁判所は、アメリカの反捕鯨団体「シーシェパード」による日本の調査捕鯨団に対する妨害行為を国際法が禁じる「海賊行為」と認定する決定を下しました。
これは、東京の日本捕鯨研究所が27日発表したもので、同研究所が南極海での調査捕鯨に対する反捕鯨団体「シーシェパード」による妨害活動を差し止めるようアメリカの裁判所に求めていたものです。1審の連邦地方裁判所では訴えを棄却されたため、サンフランシスコの連邦高等裁判所に控訴していました。
日本捕鯨研究所の発表によりますと、連邦高等裁判所は、25日、シーシェパードの妨害行為を「海賊行為」と認定し、審理を連邦地方裁判所に差し戻す決定を下しました。
決定の理由について、連邦高等裁判所は「捕鯨船に船を衝突させたり、酢入りのガラス容器を投げつけたり、捕鯨船のスクリューを破壊したりする行為は、どんな信条を持とうとも、疑いなく”海賊行為”だ」と断定しています。
また、昨年12月に出していた「シーシェパード」の妨害活動を禁止する仮処分について、連邦地方裁判所が判決を言い渡すまで有効だという判断も示しました。
今回の決定は、日本側の主張を大筋で認めたもので、「シーシェパード」にとっては極めてきびしい判断になりました。

一方、日本の水産庁は、25日、南極海を航行していた日本の調査捕鯨船に対して、反捕鯨団体「シーシェパード」の船が体当たりを繰り返す妨害活動を行ったと発表しました。
「シーシェパード」による日本の調査捕鯨船に対する妨害活動は、この冬4回目です。
日本捕鯨研究所は、シーシェパードが仮処分命令に従わないとして、新たな訴訟を起こす方針です。

(b)ニュースの背景

調査捕鯨とは、クジラの生態や資源量などの科学的調査を目的とする捕鯨のことで、国際捕鯨取締条約(The International Convention for the Regulation of Whaling)第8条に基づく鯨の捕獲調査です。日本では、農林水産省所管の特例財団法人日本捕鯨研究所の特別許可を受けて、1987年から南極海で、1994年は北西大西洋でも実施しています。調査対象は、南極海のクロミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、北西太平洋のミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラの計7種ですが、ザトウクジラは、2005-06年調査以降捕獲されていません。調査の副産物である鯨肉は国内で販売され、次の調査費用に充当されます。2011年2月には、反捕鯨団体シーシェパードによる妨害によって、南極海でに調査は、きびしい立場に追い込まれています。

シーシェパードとは、シーシェパード環境保護団体(Sea Shephered Conservation Society)のことです。SSなどと略します。鯨など海洋生物保護のための直接行動を掲げる国際非営利組織の海洋環境保護団体のことです。1977年国際環境保護団体グリーンピースを脱退したカナダ人ポール・ワトソンが設立した団体で、日本、アイスランド、ノルウェーの捕鯨船を体当たりで妨害するなど過激な行動で知られるようになりました。反捕鯨に共鳴する欧米の資産家や著名人らに支援される一方で、暴力的な手段をいとわない過激な活動を行っているため、一部の国の政府からテロリストとも呼ばれています。シーシェパードの国籍は、アメリカで、本部は、ワシントン州フライデーハーバーにあります。

(c)英語のニュース

A US Court of Appeals in San Francisco has ruled that the anti-whaling group Sea Shepherd's sabotage activities against Japanese research whaling vessels are" piracy"
This was announced by the Tokyo-based Institute of Cetacean Research on Wednesday. It had appealed a ruling by a US district court, which rejected its request for a preliminary injunction against Sea Shepherd.
The Court of Appeals in San Francisco decided to send the case back to a district court in Washington State.
The appeals court said the preliminary injunction given in December will remain valid until the district court issues an offficiial ruling. The injunction prohibits Sea Shepherd from attacking Japanese research whaling ships and their crews.

(d) ニュースの比較研究

アメリカの高等裁判所が、反捕鯨団体シーシェパードによる日本の調査捕鯨船に対する妨害行為を「海賊行為」だと認定する決定をしたというニュースについては、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどのメディアで報道されていました。これらの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Washington Post』紙は、"Appeals court: Anti-whaling protesters are 'pirates' ,must halt their aggressive tactics"(控訴(高等)裁判所:反捕鯨の抗議者たちは’海賊’だ、侵略的な戦略をやめなければならない)という見出しで、"Their supporters call them heroes. The Japanese government calls them terrorists. Later Monday, the United States' largest federal court labeled them pirates. In doing so, the 9th U.S. Circuit Court of Appeals castigated Paul Watson and members of the Sea Shepherd Conservation Society he founded for the tactics used in their relentless campaign to disrupt the annual whale hunt off the dangerous waters of Antarctica"(彼らの支持者たちは、彼らを英雄と呼び、日本政府は、彼らをテロリストたちと呼び、アメリカの最大の連邦裁判所は、彼らを海賊だとした。第9巡回控訴裁判所は、シーシェパードのポール・ワトソンとそのほかのメンバーを危険な南極海で毎年恒例の捕鯨を中断させるために厳しい運動のかどで懲戒処分にした)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は"US court brands whale activists Sea Shepherd 'pirates'"アメリカの裁判所、捕鯨の活動家シーシェパードに’海賊’の烙印を押す)という見出しで、"A court in the US has labelled conservationist group Sea Shepherd "pirate". Judge Alex Kozinski said the group's "aggressive and high-profile attacks” on Japan's whaling fleet endangered lives, ordering them to stop"(アメリカの裁判所は、環境保護グループのシーシェパードに”海賊”の烙印を押した。アレックス・コジンスキー裁判長は、日本の捕鯨船団に対するシーシェパードの”攻撃的で注目を集めている攻撃”は、生命を危険に陥れるものだとし、やめるよう命令した)と伝えました。

オーストラリアの『ABC(=Australian Broadcasting Corporation)』放送は、"US court declares Sea Shepherd pirates"(アメリカの裁判所、シーシェパードを海賊と宣言)という見出しで、"An appeals court in the United states has labelled the anti-whaling group Sea Sphepherd as pirates, clearing the way for Japanese whalers to pursue legal action against it"(アメリカの控訴(高等)裁判所は、反捕鯨団体のシーシェパードを海賊のラベルを貼った。これは、日本の捕鯨者たちが合法的行動をとる道を開いた)と報じました。





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181.アメリカへの日本人留学生、7年連続で減少ー2012.11.12 [国際ーアメリカ、日本]

(a)日本語のニュース

アメリカへの日本人留学生の数が、7年連続で減り続けており、初めて2万人を下回りました。
アメリカの国際教育研究所が12日発表したところによりますと、2011年から2012年の学年度にアメリカの大学や大学院に在籍している外国人留学生は、合わせて76万4000人と過去最高で、前年度比5.7%増でした。
このうち、中国人留学生の数が最も多く全体の4分の1を占め、19万4000人で、23.1%増と、3年連続1位でした。
2位はインド、3位は韓国、4位はサウジアラビア、5位はカナダ、6位は台湾、そして7位が日本でした。
日本人留学生は、前年度比6.2%減と、1万9900人で、初めて2万人を割り、7年連続で減少しました。これは、中国人留学生のおよそ10分の1です。
国際教育研究所は、日本人留学生の減少傾向の背景として「高齢化と日本企業の採用サイクル」を指摘しています。少子化のほか、アメリカの大学を卒業すると、帰国が夏以降になることで、就職活動が不利になることも原因になっていると分析しています。

(b)ニュースの背景

アメリカの国際教育研究所は、IIE=Institute of International Education といい、1919年に創設された国際教育交換(international education exchanges)を促進するためのアメリカの非営利組織です。研究プログラムは、アメリカおよび外国における研究などで、毎年175カ国から2万人以上が参加する200以上のプログラムからなっています。毎年アメリカの大学および大学院に在籍している外国人留学生および外国に留学しているアメリカ人留学生などについて調査報告を発表しています。
同研究所には、アメリカ国務省、世界銀行、ブラジル、チリ、日本、スペインなどの政府、フォード財団など多くの機関が支援してきました。
オフィスは、アメリカ国内では、シカゴ、ヒューストン、ニューヨーク、サンフランシスコ、首都のワシントンにあります。

(c)英語のニュース

The number of international students at colleges and universities in the United States increased by 5.7 percent to a record high of 764-thousand in the 2011/2012 academic year.
According to the 2012 report published by the U.S. Institute of Inernational Education, China placed the top country of origin for international students in the United States. The number of Chinese students in the U.S.totaled 194-thousand, an increase of 23.1 percent compared with the previous academic year.
India placed second, South Korea third, Saudi Arabia fourth, Canada fifth, Taiwan sixth and Japan seventh. The number of Japanese students in the U.S.has been decreasing in seven consecutive years, and totaled 19-thousand, a decrease of 6.2 percent in the 2011/2012 academic year.

(d)アメリカへの日本人留学生の数が7年連続で減少というニュースは、日本のメディアでは取り上げられていましたが、外国のメディアでは報道されていません。





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