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770. 国立西洋美術館などル・コルビュジエの作品、ユネスコの世界遺産に登録決定ー2016.7.17 [国際ー国連]

*2016.7.23の阿佐谷のテキスト*(770、772~774)

(a) 日本語のニュース

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産に、フランスの建築家ル・コルビュジエの作品の東京の国立西洋美術館など7か国の17作品が登録されました。
日本の文化庁が17日発表したところによりますと、これは、ユネスコの諮問機関のイコモス=国際記念物遺跡会議が、5月に「世界遺産に登録することがふさわしい」と勧告し、17日にトルコのイスタンブールで開かれたユネスコの世界遺産委員会で正式に決まったものです。
世界遺産委員会は、トルコ軍の一部が起こそうとしたクーデターの試みによって審査が一時中断されましたが、17日再開され、登録が決まったものです。
ル・コルビュジエは、近代建築の父と呼ばれ、スイス出身で、その後フランス国籍を取得し、パリを拠点に活躍した20世紀を代表する建築家で、フランスの10作品、スイスの2作品、ベルギー、ドイツ、インド、アルゼンチン、日本のそれぞれ1つの作品、あわせて7か国の17作品が登録されました。
そのうち、東京にある国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが設計した日本国内唯一の作品で1959年に完成したものです。ピロティと呼ばれる柱で支えられた開放的な空間やらせん状の回廊、それに自然光を利用した建築様式が特徴です。
日本国内の世界遺産候補がほかの国との共同推薦で登録されるのは初めてで、国内の世界遺産は、20件になりました。

(b)ニュースの背景

ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887~1965)は、本名は、シャルル・エドゥアール・ジャンネレ・グリ(Charles-Edouard Jeanneret-Gris)で、ル・コルビュジエは、祖先の名に由来するペンネーム。スイス生まれで、その後フランスの国籍を取得し、パリを拠点に世界各地で活躍した建築家。鉄とガラスとコンクリートによる箱型のモダニズム建設を確立し、それまでの伝統的な石積みやレンガ積みの建築からの転換をはかりました。また、ピロティと呼ばれる柱で支えられた吹き抜け空間、屋上庭園、横長の窓などを「新しい建築の5つの要点」として提唱しました。ル・コルビュジエに師事した日本人の中には、昭和を代表する建築家、前川國男や板倉準三、吉坂隆正などがいて、日本の近代建築にも大きな影響を与えました。

世界遺産(World Heritage)は、1972年のユネスコ=国連教育科学文化機関の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録された遺跡、景観、自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的な価値を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象になっています。日本の世界遺産は、今回の決定で、20件(文化遺産16件、自然遺産4件)です。国立西洋美術館は、東京都内で初めての世界文化遺産になりました。

イコモス(ICOMOS=International Council on Monuments and Sites)は、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議のことで、世界遺産の登録の審査、モニタリングの活動などを行っています。イコモスの評価は、「登録」、追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回す「情報照会」、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要な「登録延期」、登録にふさわしくない「不登録」の4段階があります。

(c) 英語のニュース

The UNESCO World Heritage Committee has decided to add to the World Heritage list 17 structures designed by French architect Le Corbusier, including a museum in Tokyo.
The Japanese government’s Cultural Affairs Agency says that the decision was made at a meeting of UNESCO’s World Heritage Committee in Istanbul, Turkey, on Sunday, following May’s recommendation by the UNESCO’s ICOMOS=the International Council on Monuments and Sites. The meeting had been suspended because of the attempted coup in Turkey.
Le Corbusier’s structures in 7 countries include 10 in France, 2 in Switzerland and 1 in Japan - the main building of the National Museum of Western Arts in Tokyo. The building, completed in 1959, features a winding path staircase that slopes through the center of the galleries. It was the sole building in Japan designed by Le Corbusier, who is recognized as the grand master of modern architecture.
The museum’s main building is now the 20th world heritage site in Japan.

(d)ニュースの比較研究

ユネスコの世界遺産委員会の登録決定のニュースについては、ル・コルビュジエの17作品に決定し、そのうちの1つが国立西洋美術館だったのですが、日本のメディアは、それだけを取り上げて、大々的に報道していました。外国のメディアは、ごくわずかのメディアしか伝えていませんでした。
フランスのメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence France-Presse)』は、”UNESCO lists Le Corbusier’s works as World Heritage Sites”(ユネスコ、ル・コルビュジエの作品を世界遺産に登録)という見出しで、”UNESCO on Sunday listed Franco-Swiss architect Le Corbusier’s works – including the Indian city of Chandigarh which he planned in the 1950s – among its World Heritage Sites. The decision was announced as the World Heritage Committee meeting in Istanbul resumed for a day on Sunday, after being suspended a day earlier due to an abortive putsch bid in Turkey which claimed more than 260 lives”(ユネスコは、世界遺産のリストに、スイス生まれのフランスの建築家ル・コルビュジエの作品を登録することを決めた。その中には、彼が1950年代に計画したインドの都市チャンディーガルがある。その決定は、ユネスコの世界遺産委員会の会議が、260人以上が死んだトルコでの失敗に終わったクーデターのために、1日中断した後に、発表された)と報じました。













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