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880. アメリカのシリアに対するミサイル攻撃に関する外国の報道のまとめー2017.4.10 [国際ーアメリカ、中東]

(このテキストは、4月15日の土曜講座で使用します。)


880. アメリカのシリアに対するミサイル攻撃に関する外国の報道まとめ―2017.4.10


アメリカのトランプ大統領は、4月6日、シリアのアサド政権軍が化学兵器を使って空爆を行い多数の死傷者を出したと断定し、その報復として、シリアの空軍基地を巡航ミサイルで攻撃したと発表しました。
アメリカがシリアのアサド政権に対して軍事攻撃を行ったのは、2011年シリアの内戦が始まって以来初めてのことです。

このニュースに関する外国のメディアの報道を紹介しましょう。アメリカ、イギリス、シリア、ロシア、中国、北朝鮮などの放送、新聞、通信社の報道です。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Trump launches military strike against Syria”(トランプ政権、シリアに対する軍事攻撃開始)という見出しで、”The United States launched a military strike Thursday on a Syrian government airbase in response to a chemical weapons attack that killed dozens of civilians earlier the week”(アメリカは、先週何十人もの市民を殺害した化学兵器による攻撃に応えてシリア政府軍の空軍基地に対する軍事攻撃を開始した)と報じました。

アメリカの『FOX』放送は、”Syria missile attack: Satellite photos show majot damage to airfields”(シリアへのミサイル攻撃:衛星写真、空港への大きな被害を示す)という見出しで、”Satellite images released Friday of the Syrian airbase that was pounded with 59 U.S. Tomahawk missiles show large-scale destruction to airfields, planes and fueling facilities allegedly used by the Assad regime to mount chemical weapons attacks”(アメリカのトマホーク・ミサイル59発が落とされたシリアの空港の衛星写真は、化学兵器の攻撃をしかけるためにアサド政権によって使われたといわれる空港、航空機、燃料施設に対する大規模な破壊を示している)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”U.S. Launches Cruise Missiles at Syrian Air Base in Response to Chemical Attack – Strikes represent first time a U.S. military operation deliberately targeted regime of President Basha al-Assad – “(アメリカ、化学兵器の攻撃に対抗してシリアの空軍基地 に巡航ミサイル発射―この攻撃は、初めてアメリカの軍事作戦が、アサド大統領の体制を慎重に狙ったものだ)という見出しで、”The U.S. military launched nearly 60 Tomahawk cruise missiles against a Syrian air base Friday, responding to mounting calls for a display of force in the wake of this week’s suspected chemical weapons attack in Syria”(アメリカ軍は、シリアの空軍基地に対して60近くのトマホーク巡航ミサイルを発射した。これは、今週初めのシリアにおける化学兵器の攻撃に引き続いて、力の誇示を求める声が高まってきたのに応えたものだった)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、”Syria Strike Puts U.S. Relationship With Russia at Risk”(シリアへの攻撃、アメリカのロシアとの関係を危険な状態に置いている)という見出しで、”The American military strike against Syria threatened Russian-American relations on Friday as the Kremlin denounced President Trump’s use of force and the Russian military announced that it was suspending an agreement to share information about air operations over the country, devised to avoid accidental conflict”(アメリカ軍のシリアに対する攻撃は、ロシアとアメリカの関係を脅かした。それは、クレムリンがトランプ大統領の力の行使を非難し、ロシア軍が、偶発的な争いを避けるために工夫されたシリア上空の航空作戦に関する情報を分かち合う協定を一時停止すると発表したからだと報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”US launches missile attacks on Syria”(アメリカ、シリアへのミサイル攻撃開始)という見出しで、”US forces have launched missile attacks on Syria, a country in the Middle East. The attacks were aimed at forces that support Syria’s President Assad. The American President Donald Trump ordered the attacks because he believes that President Assad was behind a chemical weapons attack in Syria last week”(アメリカ軍は、中東の一国であるシリアへのミサイル攻撃を開始した。この攻撃は、シリアのアサド大統領を支持する勢力に対するものである。アメリカのトランプ大統領は、アサド大統領が先週シリアでの化学兵器の攻撃の背後にあると信じているので、このミサイル攻撃を命令した)と報じました。

シリアの『Syrian Arab News Agency』国営シリア・アラブ通信(SANA)は、
“NINE CIVILIANS KILLED IN US MISSILE ATTACK IN HOMS
(ホムスへのアメリカのミサイル攻撃で9人の民間人死亡)という見出しで、
“Nine civilians, including four children, were killed in the US missile attack on a military airbase and the nearby villages in the southeastern countryside of Homs province. Civil sources told SANA that two missiles used in the US attack that hit al-Shairat airbase in the Central Region killed five civilians, including three children, in addition to causing huge material damage to the houses”(シリア・ホムス県南東地方の軍事基地とその近くの村にアメリカがミサイル攻撃を行い、子供4人を含む民間人9人が殺害された。当局がSANA(国営シリア・アラブ通信)に語ったところによると、中部地方のアル・シュアイラート空軍基地へのアメリカの襲撃に使われた2発のミサイルは、3人の子どもを含む5人の民間人が殺害され、家々に大きな被害をもたらした)と報じました。

ロシアの『TASS』通信は、”Zakharova: US strike on Syria unrelated to attempts to learn truth about chemical weapons”(ザハロバ(外務省報道官):アメリカのシリアへの攻撃は、化学兵器に関する真実を知ろうとする試みとは無関係だと言明)という見出しで、”The U.S. strikes on the Syrian aerodrome, into which it had planned an investigation, is not related to attempts to lean about chemical weapons in Syria, spokeswoman of the Russian Foreign Ministry Maria Zakharova told the Rossiya television channel on Saturday. “Only recently the Americans and their western allies demanded inspectors sent, some investigation begun into the aircraft which delivered strikes on the militants’ depots and production facilities” she said”(ロシア外務省のマリア・ザハロバ報道官は、ロシア・テレビ・チャンネルに「アメリカのシリアの空港を攻撃したが、これは、シリアの化学兵器に関して知ろうとする試みとは関係がない。つい最近アメリカとその西側の同盟国が、査察官を送るように要求し、過激派の倉庫と生産施設に爆撃を行った航空機の調査を始めたばかりだった」と述べた)と伝えました。

中国の『Xinhua』通信は、”Political solution only way out for Syrian issue: Chinese envoy”(中国大使言明:シリア問題は政治決着が唯一の解決策)という見出しで、”A Chinese envoy said here(UNITED NATIONS) on Friday that political solution is the only way out for the Syrian issue and military means will no work. Liu Jieyi, China’s permanent representative to the UN, made the remarks at a Security Council emergency meeting that convened after the United States launched missile attacks on a Syrian military airfield on Thursday”(国連で、中国の大使は、シリア問題の唯一の解決方法は、政治的な解決で、軍事的方法は役に立たないと述べた。中国の劉結一国連大使は、アメリカがシリアの軍事空港にミサイル攻撃を行った後召集された国連安全保障理事会の緊急会合で、この見解を表明した)と』報じました。

北朝鮮の『Korean Central News Agency』通信は、”U.S. Missile Attack on Syria Unpardonable:Spokesman of DPRK FM“(朝鮮民主主義人民共和国の外務省報道官言明:アメリカのシリアへのミサイル攻撃は許すことはできない)という見出しで、”The Trump administration on April 7 mounted a massive missile attack on an air force base of the Syrian government army under the pretext that it killed civilians by using chemical weapons. A spokesman of the DPRK Foreign Ministry in a statement issued on April 8 termed this absolutely unpardonable as it was an undisguised act of aggression against a sovereign state”(トランプ政権は、4月7日にシリア政府が化学兵器を使って一般市民を殺害したという口実で、シリア政府軍の空軍基地に大量のミサイルによる攻撃を行った。朝鮮民主主義人民共和国の外務省報道官は、4月8日の声明の中で、アメリカのシリアへのミサイル攻撃は、主権国家に対する明白な侵略行為で、絶対に許すことはできないと述べた)と報じました。

中東・カタールの『Al Jazeera』放送は、”US launches cruise missiles on Syrian airbase – Syrian army denounces ‘aggression’ after US launches nearly 60missile strikes following suspected gas attack in Idlib”(アメリカ、シリアの空軍基地を巡航ミサイルで攻撃開始―アメリカがイドリブ県へ毒ガス攻撃を行なったとみられる後で60発近くのミサイル攻撃を行ったが、シリア軍は、これは、’侵略‘だと非難した)という見出しで、” The United States on Friday fired dozens of cruise missiles at a government-controlled airbase in Syria, in retaliation for a suspected chemical weapons attack on a rebel-held town that killed scores of civilians”(アメリカは、シリアの反政府勢力が占拠している町への化学兵器による攻撃とみられることへの報復として、シリアの政府が支配している空軍基地に何十もの巡航ミサイルを発射した)と報じました。

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598.イスラエル首相、米議会でオバマ政権のイランとの核協議非難ー2015.3.5 [国際ーアメリカ、中東]

(a)日本語のニュース

ワシントンを訪れているイスラエルのネタニヤフ首相は、3日アメリカの上下両院合同会議で演説し、イランの核開発問題をめぐるオバマ政権の政策を批判しました。
ネタニヤフ首相は、この中で、「イランは、イスラエルだけでなく世界全体に深刻な脅威をもたらしている」として、イランの核開発をめぐってアメリカなど主要6か国が合意をめざしていることについて、「これは、イランが核爆弾を持つのを防ぐのではなく、核爆弾への道を整えるようなものだ。間違った合意になる」と懸念を示しました。
外国の首脳がアメリカ議会での演説でアメリカの外交政策を批判するのは、極めて異例のことです。
今回のネタニヤフ首相の演説は、上下両院で過半数を制している野党・共和党のベイナー下院議長が招いたもので、与党・民主党の議員およそ60人が反発して演説を欠席しました。
オバマ大統領は、ネタニヤフ首相の演説について「新たな内容はなく、何の代替案も示されていない」と非難しました。
また、オバマ大統領は、今回ワシントンに滞在中のネタニヤフ首相とは会談しない方針で、その理由についてオバマ大統領は、イスラエルで2週間後に議会選挙が行われるため、選挙の直前にはその国の首脳とは会談しないことが原則だと説明しています。
イランの核開発問題をめぐっては、アメリカとイスラエルは厳しく対立しており、今回の事態は、両国の間の確執が深まっていることを示すものとみられています。

(b)ニュースの背景

1948年祖国を持たなかったユダヤ人の国家イスラエルが建国し、アメリカは最も早く国家として承認し、これ以降アメリカの歴代政権は、イスラエルを中東の外交・安全保障政策の重要なパートナーとして重視し、事実上の同盟国として軍事支援も続けてきました。
アメリカ国内では、豊富な資金力を持つユダヤ系の団体がアメリカ政治への強い影響力を行使し、アメリカのイスラエル政策を支えてきました。
しかし、2009年に発足した民主党のオバマ政権では、アメリカとイスラエル両国の溝が目立ち始めます。
最大の要因は、イランの核開発問題をめぐってオバマ大統領は、外交交渉での解決を重視し、2013年にはイランの穏健派の政権との間で直接交渉に始めるなど関係改善に踏み切ったことです。
これに対して、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの核開発問題をイスラエルの安全保障上の最大の脅威と位置づけ、オバマ政権のイラン政策は間違っていると公然として批判してきました。
こうしたことから、今回の事態は、両国関係がこれまでで最も冷え込んでいると指摘されています。

イランの核開発問題をめぐる協議は、イランとアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国、ロシアの6か国の間で行われているもので、6月末の交渉期限までに最終合意にこぎつけるために、問題の解決に向けた大きな方針を定める「枠組み合意」を今月下旬までにまとめることをめざし、双方の交渉を活発化しています。
交渉における双方の対立点は、イランが核開発を制限する期間については、イラン側が8年以内、アメリカなどが10年以上、イランが保持する遠心分離器の数については、イラン側が9000基、アメリカなどが4500基を、イラン中部のフォルドゥの地下ウラン濃縮施設については、イラン側が実験用施設へ転換、アメリカなどが活動停止を、対イラン制裁の緩和については、原油の禁輸、銀行間取引停止の即時解除、アメリカなどが「最終合意」発効後1年をかけ徐々に緩和を主張しています。

(c)英語のニュース

Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu has warned in his speech to the US Congress that the Iranian regime poses a great threat not just to Israel, but also to the entire world. And he declared that a proposed deal with Iran would not stop the country from developing nuclear weapons.
Mr. Netanyahu said that any deal with Iran would be bad and include major concessions.
He was visiting the United States at the invitation of Republican House Speaker John Boehner. Both Houses of the Congress are controlled by Republicans while the President is a Democrat. About 60 Democrats boycotted the session. His speech at the session was arranged without consulting the White House. No meeting between Mr.Netanyahu and President Barack Obama was planned during his stay in Washington.
US-Israeli relations have been worsening as President Barack Obama tries to resolve the standoff over Iran's nuclear program through diplomacy.
Talks between Iran and the United States and five other counries on Iran's nuclear program are nearing a critical late-March deadline for an outline agreement.

(d)ニュースの比較研究

イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ議会でオバマ政権のイランの核開発問題に対する政策を批判したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道しました。とくにアメリカのメディアは詳しく報道し、分析していました。
アメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『Fox』放送は、"Netanyahu warns pending nuclear deal 'paves Iran's path to the bomb’"
(ネタニヤフ首相、核協定は、’イランの核爆弾への道を開く’と警告)という見出しで、"Israeli Prime Miniser Benjamin Netanyahu used a controversial speech before the U.S. Congress to appeal to President Obama to pull back on nuclear talks with Iran, warning the "bad deal" in the works "paves Iran's path to the bomb" and could lead to a "potential nuclear nightmare"(イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカ議会で問題の演説を行い、オバマ大統領に対して、イランとの核交渉から撤退するよう訴え、”悪い協定”はイランの”核爆弾への道を開き”、”可能な核の悪夢”に導くことになるだろうと警告した)と伝えました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、" Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu left a partisan Congress roiling in the wake of his controversial speech on Tuesday, with Republicans and Democrats largely split on how the dramatic address was received"(イスラエルのネタニヤフ首相は、問題の演説を行ったために、議会で党派色の強い攪乱を起こし、共和党と民主党の議員は、劇的な演説をどう受け止めるかについて、大きく分かれた)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、"Israel's Benjamin Netanyahu Urges Congress to Block 'Bad Deal' With Iran"(イスラエルのネタニヤフ首相、アメリカ議会にイランとの’悪い協定’を阻止するよう要請)という見出しで、"Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu, in a dramatic and highly public showdown with a U.S. President, told a joint session of Congress Tuesday that an emerging diplomatic agreement with Iran would not only fail to stop Tehran from acquiring nuclear weapons, but virtually ensure it gets them"(イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカの大統領との劇的で極めて公家の場での対決の中で、アメリカ議会の上下両院合同会議で、イランとの外交上の協定はイランが核兵器を持つことをやめさせることができないでなく、事実上イランが核兵器を持つことを確実にするだろうと述べた)と報じました。










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546.米、シリア領内でも空爆ー2014.9.24 [国際ーアメリカ、中東]

(a)日本語のニュース

アメリカが、イスラム過激派組織「イスラム国」に対する空爆をイラクからシリアに拡大しました。
アメリカのオバマ大統領は、23日ホワイトハウスで声明を発表し、アメリカ軍が8月からのイラクの「イスラム国」に対する空爆に続いて、シリア領内にも拡大したことを明らかにし、「テロリストに逃げ場所はない」と述べ、「イスラム国」を壊滅させるという強い決意を表明しました。
そして、この軍事作戦にサウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタールの中東5か国が参加していることをあげ、「この戦いが、アメリカ単独のものではないことを示した」と述べ、アメリカが主導する国際的な包囲網作りの成果だと強調しました。
さらに、「過激派組織との戦いは時間がかかるだろう。目の前には困難が待ち構えている。しかし、われわれはやるべきことを行っていく」と述べ、軍事作戦が長期化するという見通しを示しました。

一方、シリア外務省は、23日、アメリカ政府からシリア領内での空爆について事前通告を受けていたことを明らかにし、アメリカ軍の空爆を支持する意向を表明しました。

(b)ニュースの背景

「イスラム国」というのは、イラクとシリアで勢力を拡大しているイスラム教スンニ派の過激派組織です。
もともと「イラクとシリアのイスラム国」((ISIS=Islamic State of Iraq and Syria)または「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL=ISIS=Islamic State of Iraq and the Levant)と名乗っていましたが、2014年6月イスラム国家として独立を宣言し、「イスラム国」(Islamic State)を国名とすると一方的に宣言しましたが、各国ともこれを承認していません。

アメリカのイラク領内の「イスラム国」に対する空爆については、2011年12月アメリカはイラクからの撤退を完了していましたが、2014年6月イラク政府軍とイスラム過激派組織ISISとの間の戦闘が激化し、過激派組織がイラク北部を制圧し、首都バグダッドに迫る勢いになったことから、アメリカのオバマ大統領は、イラク政府軍を支援するため、最大で300人の軍事顧問をイラクに派遣し、首都バグダッドとイラク北部にイラク軍と共同作戦本部を設置し、イラク政府軍の訓練にあたらせると発表しました。
その後、過激派組織が「イスラム国」の樹立を宣言したほか、イラク北部でクルド人少数派住民への迫害を強めるなどしたため、8月オバマ大統領は、イラク北部のイスラム過激派組織に対する空爆に踏み切りました。

さらに、9月23日アメリカ軍は、過激派組織「イスラム国」に対する空爆をイラクからシリア領内に拡大しました。
この背景には、アメリカ人ジャーナリスト2人が相次いで「イスラム国」の戦闘員に殺害されたことから、アメリカでシリアへの空爆を支持する世論が高まっている中で、11月の中間選挙を控え、シリア領内への空爆拡大に踏み切ったものとみられています。
アメリカ国防総省によりますと、アメリカ軍は、「イスラム国」が主要拠点とするシリア北部のラッカなど4つの都市で合わせて14回の空爆を実施し、訓練施設などを破壊したということです。戦闘機や爆撃機による攻撃のほか、紅海やペルシャ湾に展開するアメリカの艦船から巡航ミサイルも発射しました。
しかし、効果的な空爆には、地上部隊との連携が重要ですが、オバマ政権は、地上戦を行う戦闘部隊を派遣しない方針で、シリア領内での軍事作戦は、長期化することは必至の情勢になっています。

(c)英語のニュース

The United States is expanding its air strikes against Islamic militants in Syria, following such action in Iraq.
U.S.President Barack Obama announced this in a statement in Washington on Tuesday and said that 5 Middle East countries - Saudi Arabia, Jordan, the United Arab Emirates, Bahrain and Qatar - took part in or supported the U.S. air strikes.
The United States began its air strikes against "Islamic State" militants in Iraq in August, and this time marked the first time the United Staes has attakced the militants in Syria and the largest American action against the group so far.
Mr. Obama said "We will not tolerate safe havens for terrorists who threaten our people"
He added "The overall effort will take time. There will be challenges ahead but we're going to do what's necessary to take the fight to this terrorist group"
Meanwhile, the Syrian Foreign Ministry said that Syria had been informed of the U.S. air strikes and that it supports the air strikes.

(d)ニュースの比較研究

アメリカが、中東5か国とともに、シリア領内のイスラム過激派組織「イスラム国」に対する空爆を実施したと発表したニュースについて、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道しました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『Al Jazeera』放送は、"Obam vows morestrikes on ISIL in Syria"(オバマ大統領、シリアの「イスラム国」にさらなる空爆を誓う)という見出しで、"Barack Obama has said that the participation of the Arab nations in airs raid against ISIL in Syria "makes it clear to the world this is not America's fight alone" (オバマ大統領は、シリアの「イスラム国」に対する空爆へのアラブ諸国の参加は、アメリカだけの闘いではないことを示していると述べた)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News network)』放送は、"U.S. airstrikes hit ISIS inside Syria for first time"(アメリカの空爆、シリアの「イスラム国」を初めて攻撃)という見出しで、"American jets began bombing ISIS targets in Syria early Tuesday, raising U.S. involvement in the war-torn country and sending a forceful message to the terror group"(アメリカのジェット機は、シリアの「イスラム国」の目標に爆撃を始めた。これによって、内戦のシリアにアメリカが巻き込まれたことであり、テロリストのグループに有効なメッセージを送ることになったのだ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"IS strikes: Not America's fight alone - Obama"(「イシラム国」に対する爆撃:オバマ大統領、アメリカだけの闘いではないと言明)という見出しで、"President Obama has hailed the support of Arab nations in air strikes on Islamic State(IS) militants, saying : "This is no America's fight alone"(アメリカの大統領は、「イスラム国」の過激派への空爆でアラブ諸国の支持を称賛し、「アメリカだけの闘いではない」と述べた)と報じました。

















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530.イラク北部の国内最大のダムを過激派から奪還ー2014.8.20 [国際ーアメリカ、中東]

(a)日本語のニュース

イラク政府軍は、イラク政府軍とクルド人部隊が、イスラム過激派組織によって制圧されていたイラク北部モスルにある国内最大のダムを奪還したと18日発表しました。
モスルダムは、イラク最大規模のダムで、首都バグダッドを含む全土に水や電力を供給する重要な戦略拠点で、北部で支配地域を拡大しているイスラム過激派組織「イスラム国」が今月初めから占拠していましたが、イラク政府軍とクルド地域政府の治安部隊が、アメリカ軍の空爆の支援を受け、奪還に成功したものです。
アメリカのオバマ大統領は、18日ホワイトハウスで記者会見し、イラク軍とクルド人部隊が、アメリカ軍の支援で、イラク国内で最大のダムを奪還し、大きく前進したと述べ、イスラム過激派への空爆の成果を強調しました。
オバマ大統領は、空爆を終える見通しを問われて、「信頼できるイラク政府」の発足がすべての出発点になると指摘し、マリキ首相に代わって新首相候補に指名されたアバディ連邦議会副議長に今後数週間で挙国一致の新政権を発足させるよう重ねて求めました。
そのうえで、今後もアメリカ軍としては限定的な軍事作戦にとどめる意向を強調し、イラクの新政権がアメリカの「有能なパートナー」になれば、「終わりの見えない展開になる可能性は極めて低くなる」と述べ、イラクで挙国一致の政権が発足すれば、アメリカ軍の関与は長期化しないという見通しを明らかにしました。

(b)ニュースの背景

アメリカ軍は、2011年12月イラクからの撤退を完了しましたが、2014年6月イラク政府軍とイスラム教スンニ派でアルカイダ系の過激派組織「ISIS=Islamic State of Iraq and Syria イラク・シリアのイスラム国」の間で激戦が続き、過激派組織がイラク北部を制圧し、首都バグダッドに迫る勢いになったことから、アメリカのオバマ大統領は、6月19日イラク政府軍を支援するため、最大で300人の軍事顧問をイラクに派遣すると発表しました。アメリカの軍事顧問は、首都バグダッドとイラク北部にイラク政府軍と共同作戦本部を設置し、イラク政府軍の訓練にあたるなどの支援をしていくことを明らかにしました。
6月29日、ISISは、イスラム国家の樹立を一方的に宣言し、組織名を「イスラム国(Islamic State)」と改めることを明らかにしました。しかし、欧米など各国は、これを認めていません。
イラク北部でイスラム過激派によるクルド人少数派住民への迫害が深刻化し、8月7日オバマ大統領は、アメリカ軍のイラクの過激派に対する限定的な空爆を承認し、8日アメリカ国防総省は、イラク北部の主要都市アルビル近郊などでイラクの過激派に対する空爆を開始するとともに、山岳地帯で過激派に包囲されているクルド人少数住民に対し、水と食料を投下する作戦を行ったと発表しました。
アメリカ政府は、アメリカ軍のイラクでの空爆は限定的なものだと強調していますが、それが、いつまで続くかが注目されています。今回オバマ大統領の記者会見で、イラクでアメリカに友好的な挙国一致の政権ができることがメドであることが明らかになりました。

(c)英語のニュース

Iraqi government forces ad Kurdish security forces, backed by U.S. air strikes, have recaptured the country's largest Mosul Dam in northern Iraq from the Islamic militants.
The dam provides water and power to the country's second largest city of Mosul and other areas. It was seized by the Islamic militants early this month. There was a risk Mosul as well as the capital, Bagdad, could be flooded if they destroyed the dam.
U.S. President Barack Obama has stressed that U.S. air strikes in Iraq have helped Iraqi government forces and Kurdish fighters recapture the dam.
Speaking to newsmen, he also called for the creation of an inclusive Iraqi government that can unite all communities in the country.

(d)ニュースの比較研究

イラクから撤退したアメリカが再び軍事介入を始めた動きに、アメリカ国民だけでなく、世界各国のメディアがいつまで続くのか関心をもって見ています。
アメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"Iraqi Military Launches Offensive to Reclaim Tikrit"
(イラク政府軍、ティクリット奪還のための攻勢開始)という見出しで、"The Iraqi military launched a major and ground offensive early Tuesday to reclaim Tikrit from Islamist militants, who had taken control of the city best known as the hometown of former dictator Saddam Hussein, officials said"(イラク政府筋が明らかにしたところによると、イラク政府軍は、イスラム過激派からティクリットを奪還するため、大規模な地上戦を開始した。過激派が、前の独裁者のサダム・フセインの故郷としてよく知られたこの街(ティクリット)を支配しているのだ)と報じています。

アメリカの『The Washingto Post』紙は、"Iraqi effort to recapture Tikrit said to stall"(イラクのティクリット奪還作戦、苦戦)という見出しで、"The Iraqi army launched a fresh offensive Tuesday to recapture the central city of Tikrit, seeking to build on the success of U.S.-backed governmet forces in seizing Mosul Dam, their first significant defeat of Islamic State militants this year. Initial reports suggested, however, that the offensive had stalled in the face of stiff resistance from the militant fighters"(イラク政府軍は、イラク中部の都市ティクリットを奪還するために新たな攻勢を始めた。これは、過激派「イスラム国」にとって今年初の大敗北だった、アメリカの支援を受けたイラク政府軍によるモスルダムの奪還の成功を基に打ち立てようとしている。しかしながら、その攻勢は、過激派から激しい抵抗に会い、行き詰まっていると伝えられている)と報じました。

アメリカの『The New York Times 』紙は、"In Retaking of Iraqi Dam, Evidence of American Impacts”(イラクのダムの奪還に、アメリカの空爆の衝撃の証拠)という見出しで、"The two bodies lay festering in the midday sun on Tuesday, some of the only remnants of the Sunni militant force that until Monday night controlled the strategically important Mosul Dam. Around them was the evidence of not just a fierce battle but also a different sort of fight: buildings reduced to rubble; cars churned into twisted metal; manmoth craters gouged fro the road. All bore testament to the deadly effect Americann airstrikes were having on the militants of the Islamic State in Iraq and Syria, or ISIS, who until this month were marauding over northern Iraq with little resistance and who two weeks ago seized control of the dam."(戦略的に重要なモスルダムを支配していたスンニ派の過激派の残党の2人の死体が真昼間の太陽にさらされて横たわっていた。その周りには激戦のみならず違った種類の戦闘の証拠があった。それらは、建物のがれき、自動車のめちゃくちゃになった部品、道路にあいた大きな穴などだ。これらは、すべて死をもたらしたアメリカの空爆による証拠であり、ISIS=イラク・シリア・イスラム国家の過激派に対してもたらされたものだ。彼らは、最近まで、ほとんど抵抗を受けずにイラク北部を襲撃し、そのダムを支配していたのだ)と報じました。






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526.アメリカ、イラク過激派への空爆を続行ー2014.8.10 [国際ーアメリカ、中東]

(a)日本語のニュース

アメリカ軍が、8日に続いて9日も、イラク北部のイスラム教過激派組織に対する空爆を実施しました。
アメリカ政府は、8日アメリカ軍が、イラク北部でイスラム教スンニ派の過激派組織に対する空爆を開始するとともに、山岳地帯で過激派組織に包囲されているクルド民族少数派住民に対し、水と食料を投下する作戦を行ったと発表しました。
この発表によりますと、アメリカ軍は、8日イラク北部のクルド人自治区の中心都市アルビル近郊などで空爆を行い、過激派組織「イスラム国」の迫撃砲や車両などを破壊したうえ、組織のメンバー数人を殺害したということです。
同時にアメリカ軍は、イラク北部の山岳地帯で過激派組織に包囲されているクルド民族少数派住民およそ4万人に対し、およそ5700リットルの水と2万8000食余りの食料を投下する大規模な作戦を実施したということです。
オバマ大統領は、9日声明を発表し、イスラム教過激派組織に対する空爆が成果を挙げていると強調し、空爆を当面継続する可能性を示唆しています。

(b)ニュースの背景

アメリカ軍は、2011年12月イラクからの撤退を完了していましたが、2014年6月イラク政府軍とイスラム教スンニ派でアルカイダ系の過激派組織「ISIS=Islamic State of Iraq and Syria イラク・シリアのイスラム国」の間で激戦が続き、過激派組織がイラク北部を制圧し首都バグダッドに迫る勢いになったことから、アメリカのオバマ大統領は、6月19日イラク政府軍を支援するため、最大で300人の軍事顧問をイラクに派遣すると発表しました。アメリカの軍事顧問は、首都バグダッドとイラク北部にイラク政府軍と共同作戦本部を設置し、イラク政府軍の訓練にあたるなどの支援をしていくことを明らかにしました。
6月29日、ISISは、イスラム国家の樹立を一方的に宣言し、組織名を「イスラム国(Islamic State)」と改めることを明らかにしました。しかし、欧米など各国は、これを認めていません。
イラク北部でイスラム過激派によるクルド人少数派住民への迫害が深刻化し、8月7日オバマ大統領は、アメリカ軍のイラク過激派に対する限定的な空爆を承認し、8日アメリカ国防総省は、イラク過激派の移動式の火砲に対する空爆を実施したと発表しました。

(c)英語のニュース

The U.S. military has conducted more airstrikes on Islamic militants who are stepping up their offensive in northern Iraq.
This marks the first U.S. air raid on Iraq since U.S. combat troops withdraw from the country in December, 2011.
A White House spokesman says that President Barack Obama authorized only limited military action in Iraq.
He said that the operation is intended to protect U.S. diplomats and other U.S. citizens in Iraq and address the urgent humanitarian situation in mountainous region, where religious minorities have taken refuge.
The U.S. military airdropped crates of food and water to the religious minorities.

(4)ニュースの比較研究

アメリカがイラク過激派を空爆したニュースについては、アメリカなど外国のメディアも日本のメディアも大きく報道しました。焦点は、いつまでも空爆を続行するかということです。
アメリカの代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"U.S. jet fighters, drones strike USIS fighters, convoys in Iraq"(アメリカのジェット戦闘機と無人機、イラクにおけるUSIS(イラク・シリアのイスラム国)の戦闘員、車両部隊を爆撃)という見出しで、"U.S. fighter jets and drones repeatedly bombed Sunni Islamic extremists in northern Iraq on Friday, targeting what officials described as ISIS artillery units and convoys advancing on the Kurdish regional capital of Irbil"(アメリカのジェット戦闘機と無人機は、イラク北部のイスラム教スンニ派の過激派たちを繰り返し爆撃した。アメリカ政府筋は、目標は、クルド人地域の都市イルビルに進撃しているISIS(イラク・シリアのイスラム国)の砲兵隊と車両部隊だ)と報じました。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"After first airstrikes, US drops new aid to thousands of Iraqis fleeing militant advance"(アメリカ、イラクでの最初の空爆の後、過激派の進撃から逃れている何千人ものイラク人に新たな援助物資を投下)という見出しで、" The U.S. launched a new airdrop Saturday to aid thousands of members of an Iraqi minority group who fled the advance of the Islamic State group, trying to stem a worsening humanitarian crisis in a country reeling from the extremists offensive"(アメリカは、イラクの過激派「イスラム国」の進撃を逃れたイラクの少数派の何千人という人々を助けるために新たな空中投下を行った。それは、過激派の攻勢によって取り囲まれた地域の悪化しつつある人道主義的危機を除去しようとするものだ)と報じました。

アメリカの『The Washington Post』紙は、"U.S. expands airstrikes against Islamic State militants in northern Iraq"(アメリカ、イラク北部のイスラム過激派「イスラム国」への空爆拡大)という見出しで、"The reaction in the Iraqi capital(Bagdad) was muted on Saturday after American warplanes and drones struck Islamist militants in the country's north a day earlier, putting the U.S. military back in action in the skies over Iraq less than three years after the troops withdrew and President Obama declared the war over"(アメリカ軍機と無人機が、イラク北部のイスラム過激派を空爆した後のイラクの首都バグダッドの反応は静かなものだった。それは、アメリカ軍がイラクから撤退し、オバマ大統領がイラク戦争の終結を宣言してから3年足らずで、再びアメリカ軍がイラク上空で軍事行動を起こしたのだ)と報じました。














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