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478.ウクライナ問題4者協議、事態沈静化で一致ー2014.4.18 [国際ーウクライナ、ロシア、アメリカ、ヨーロッパ]

*2014.4.19のサロンのテキスト*

(a)日本語のニュース

緊迫するウクライナ情勢の事態収拾をめざすウクライナ、ロシア、アメリカ、EU=ヨーロッパ連合の外相級4者協議は、17日ジュネーブで行われ、事態を鎮静化することで一致しました。
協議のあと発表された共同声明は、ウクライナのすべての武装集団を武装解除し、違法に占拠している建物などから直ちに退去することを求めました。
そして、OSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構の監視団をウクライナに派遣することで合意しました。
さらに、ウクライナに、幅広い勢力が参加する国民的対話を行ったうえで、憲法改正を行うための手続きを進めることを求めました。
協議に参加したのは、ウクライナの暫定政府のデシツァ外相、ロシアのラブロフ外相、アメリカのケリー国務長官、EUのアシュトン外交安全保障上級代表で、今年2月以降のウクライナ危機で4者協議が開かれたのは、今回が初めてです。
今後は、4者協議の合意が実行に移され、事態の打開につながるかどうかが注目されます。

一方、アメリカのオバマ大統領は、17日ホワイトハウスでの記者会見で、4者協議の合意について、「外交的な解決の可能性がある」と述べるとともに、ロシアが合意を守るかどうかについては、懐疑的な見方を示し、今後の推移を注視する方針を表明しました。
これに対して、ロシアのプーチン大統領は、17日テレビ番組の中で、4者協議を機に「ウクライナの現政権は、東部の住民との直接節対話を始めなければならない」と主張し、東部住民に大きな自治権を認める「ウクライナの連邦化」を検討するよう求める立場を強調しました。

(b)ニュースの背景

ウクライナ(Ukraine)は、ロシアとEU=ヨーロッパ連合諸国の間に位置し、1991年旧ソ連から独立しました。面積は、60万3700平方キロメートルで日本のおよそ1.6倍、人口は、4500万人。東部と南部は、ロシア系住民が多く、宗教は、主としてウクライナ正教、西部は、EUとの関係を重視する住民が多く、宗教は、主としてウクライナ・カトリック教。ウクライナの財政は、破たん寸前で、ロシアから経済支援を受けていましたが、今年2月の政変以降は、EUが支援を申し出ています。
今年2月の政変では、ウクライナで反政府デモを続けていた欧米寄りの野党勢力が、首都キエフを掌握し、議会が、ロシア寄りのヤヌコビッチ大統領を解任し、5月25日に大統領選挙を実施する決議を採択し、野党幹部のトウルチノフ議会議長を大統領代行に任命しました。これによって、ヤヌコビッチ政権は、崩壊しました。そして、議会が、欧米寄りの政治勢力が発表した閣僚名簿を承認し、暫定政府が発足しました。

クリミア自治共和国(Autonomous Republic of Crimea)は、ウクライナ南部のクリミア半島の大部分を占め、中心都市は、シンフェロポリ、半島の人口は、およそ200万人。半島最大の都市セバストポリは、共和国の中に含まれていません。クリミアは、18世紀オスマン帝国からロシア帝国に併合され、旧ソ連時代の1954年ウクライナに移管されました。ロシア系およびロシア語を母国語とする人たちが、半島全体の人口の6割を占めています。
今年2月ウクライナで起こった政変の際は、ロシア系住民の多い南部のクリミア半島では、欧米寄りの暫定政府の動きに強く反発し、行政府や議会の建物を占拠しました。3月に入って、クリミア自治共和国で住民投票が行われ、ロシアへの編入に賛成する票が圧倒的多数を占め、自治共和国政府は、編入手続きを進めました。ロシアのプーチン大統領は、クレムリンで上下両院議員を前に演説し、ウクライナ南部のクリミア自治共和国とセバストポリ特別市をロシアに編入すると発表しました。その直後、大統領は、自治共和国と特別市の代表と編入に関する条約に署名しました。そして、条約は、憲法裁判所の審査と議会の批准を経て、発効しました。
こうしたロシアの動きに、アメリカやEU諸国は強く反発し、ロシアに対して、制裁措置をとりました。日本もこれに同調しました。

ウクライナ東部は、ロシアと国境を接しており、ロシア系住民が全体の4割を占めており、クリミアのロシア編入後、4月に入って、親ロシア系の武装勢力が活発に活動し、各地で政府関係庁舎などの占拠が続き、ウクライナ軍との衝突が起こり、緊張が高まっていました。
今回の4者協議は、こうした中で、事態打開の糸口を見つけるために、行われました。

(c)英語のニュース

Ukraine, Russia, the United States and the European Union have agreed on steps to lower tension in Ukraine.
The agreement was contained in a joint statement issued after top diplomats from the four parties had talks on Ukraine in Geneva on Thursday.
The joint statement says that all sides in Ukraine must refrain from any violence, intimidation or provocative actions.
It says that all illegal armed groups must be disarmed, all illegally seized buildings must be returned to legitimate owners, all illegally occupied streets, squares and other public places in Ukrainian cities and towns must be vacated.
The joint statement says that the diplomats agreed to send an internatonal observation team from the Organization for Security and Cooperation in Europe to Ukraine.
It also says that the diplomats agreed that Ukraine's plans to reform its constitution should include a broad national dialogue.

Meanwhile, U.S. President Barack Obama has expressed skepticism over whether Russia will follow through on its promise to de-escalate tension in Ukraine.
Speaking at a news conference in Washington, he said that the Geneva meeting was promising, but that the United Staes and its allies are prepared to impose more sanctions on Russia if the situation fails to improve.
Russian President Vladimir Putin, speaking in Moscow, has accused Ukraine's leaders of committing a "grave crime" by using the army to try to quell unrest in the east of the country, and did not rule out sending in Russian troops.

(d)ニュースの比較研究

ウクライナ情勢をめぐるウクライナ、ロシア、アメリカ、EU=ヨーロッパ連合の外相級4者協議の共同声明のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道しましたが、特に欧米のメディアが、合意が実際に実施されるのかについては懐疑的な見方が多かったと思います。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Ukraine crisis talks: Diplomats urge end to violence, security for all"(ウクライナ危機で協議:外交官、暴力に終止符、すべてのものに安全保障を要請)という見出しで、"Diplomats meeting for emergency talks on the crisis in Ukraine issued a joint statement Thursday aimed at de-escalating the tensions and ensuring the security of all Ukrainians"(外交官たちは、ウクライナの危機をめぐる緊急の協議を行い、緊張を緩和し、あらゆるウクライナの人たちの安全保障を確保することを目的とした共同声明を発表した)と報じました。

ロシアの『ITAR-TASS』通信は、"Four-party meeting approves document on deescalation of tensions in Ukraine"(4者協議、ウクライナの緊張緩和の文書を採択)という見出しで、"The Geneva statement adopted at a four-party meeting on Ukraine on Thursday, April 17, calls for a national dialogue in Ukraine, Russian Foreign Minister Sergei Lavrov said after the talks"(ロシアのラブロフ外相は、ウクライナをめぐる4者協議のあと、採択されたジュネーブ声明は、ウクライナにおける国民的対話を呼びかけていると述べた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Ukraine crisis: Deal to 'de-escalate' agreed in Geneva"(ウクラナ危機:”縮小”の取決め、ジュネーブで合意)という見出しで、"Russia,Ukraine, the US and the European Union have said that all sides have agreed to steps to "de-escalate" the crisis in eastern Ukraine"(ロシア、ウクライナ、アメリカ、EU=ヨーロッパ連合は、すべてがウクライナの東部における危機を縮小する手段で合意したと述べた)と報じました。












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