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903. G7環境相会合閉幕ー2017.6.13 [政治―外交、国際―北米、ヨーロッパ]



(a)日本語のニュース

イタリアのボローニャで開かれていたG7=先進7か国の環境相会合は、12日、アメリカ以外の6か国が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の下で協力して取り組みを進めることを再確認する共同声明を発表して閉幕しました。
すでに「パリ協定」からの離脱を表明しているアメリカの主張は、共同声明の本文には盛り込まれず、国内政策に合致する範囲で地球温暖化対策を進めるという方針が脚注部分に記されました。
このように、G7が結束して地球温暖化抑制を主導する姿勢をアピールできず、国際的な取り組みの停滞を招く懸念が増すものとみられています。

(b)ニュースの焦点

パリ協定というのは、京都議定書に代わる地球温暖化対策の国際ルールのことで、2015年12月に採択、194か国が署名、2016年11月に発効しました。産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く抑えることが目標。すべての国が削減目標を作り、目標達成義務はないが達成に向けた国内対策を取る必要があります。
協定の規定では、正式な離脱は発効3年後の2019年11月4日から可能で、手続きは、さらに1年かかります。このため、アメリカの離脱は、次期大統領選挙後の2020年11月以降となります。

アメリカのトランプ大統領は、6月1日ホワイトハウスで演説し、アメリカは、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱すると発表しました。
トランプ大統領は、「パリ協定は、アメリカを他国よりも常に不利な立場に置くものだ」と指摘し、中国やインドを名指しして両国の対策がアメリカに比べて不十分だと述べ、「アメリカは、「パリ協定」から離脱して再交渉する時だ」と呼びかけました。再交渉して目指す新たな合意の条件として、「アメリカの産業、労働者、国民、労働者、国民、納税者にとって公平であること」と述べました。
トランプ大統領は、オバマ前大統領が約束した「温室効果ガスを2025年までに2005年に比べて26~28%削減する」という国別削減目標や「開発途上国の温暖化対策を支援する緑の気候基金への30億ドル、日本円にして約3300億円の拠出」をいずれも白紙に戻すことを明らかにした。

一方、EU=欧州連合と中国の首脳会議が、2日ベルギーの首都ブリュッセルで行われ、「パリ協定」を全面的に履行することで合意しました。
メルケル首相を含む独仏伊の3首脳は、連名で声明を発表し、「パリ協定は再交渉できない」と述べ、トランプ大統領の要求を拒否しました。

(c) 英語のニュース

The environment ministers of the Group of Seven advanced nations have closed a two-day meeting in the Italian city of Bologna. It’s their first gathering held since U.S. President Donald Trump announced the U.S. withdrawal from the Paris agreement on climate change on June 1st.
The main part of the joint statement issued on Monday after the meeting said that six nations, excluding the United States, will work together to tackle global warming in line with the Paris agreement.
The footnote said that the United States will continue to engage with key international partners in a manner that is consistent with its domestic priorities, preserving both a strong economy and a healthy environment.

(d)ニュースの比較研究

イタリアのボローニャで開かれていたG7環境相会合の閉幕のニュースについては、日本のメディアは、山本公一環境相に同行した各社の記者が書いた原稿を掲載していましたが、外国のメディアは、ごくわずかのメディアが報道しただけでした。アメリカ代表のブルイット環境保護局長官は、初日の会合で、演説し、途中で退席、公務のため帰国してしまったということです。
外国のメディアの報道を紹介しましょう。

イタリアの『Ansa(=Agenzia Nazionale Stampa Associata)』通信は、”Environment G7: Unanimity on texy without US on Paris – ‘We worked to build bridges’ says Galletti”(G7 環境相会合:パリ協定についてアメリカ抜きで声明に合意、イタリアのガレッティ環境相、‘われわれは橋渡しに)努力した’と言明)という見出しで、”The final statement from the Environment G7 in Bologna has been unanimously adopted with a footnote in which the US says it does not back the section on climate and development banks, sources said Monday. Italian Environment Minister Gian Luca Gall;etti said “it could have been a G7 of rupture and instead it was the G7 of dialogue”
(ボローニャのG7環境相会合筋によれば、最終声明は、脚注にアメリカの気候および開発銀行に関する部分は支持しないという見解を盛り込んで、全会一致で採択された。イタリアのガレッティ環境相は、「G7の分裂にはならなくて、G7の対話になった」と述べた)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence France Presse)』は、”US isolated as allies vow accelerated action on climate change”(アメリカの同盟国、気候変動に関する行動を加速化誓う、アメリカ孤立)という見出しで、”US allies in the G7 said Monday that action to contain devastating climate change was irreversible and could even be accelerated despite Donald Trump’s decision to pull the United States out of the Paris accord. A two-day meeting of environment chiefs from the Group of Seven club of industrialized democracies ended with the US again dissociating itself from a statement underlining importance of implementing the 2015 Paris deal on cutting carbon emissions”(G7の中のアメリカの同盟国は、トランプ大統領のアメリカをパリ協定から離脱させるという決定にもかかわらず、悪化する気候変動を封じ込める行動は、不可逆的で、加速させるものだと述べた。工業化された民主主義国G7の環境相の2日間の会合は、アメリカがまた二酸化炭素削減の2015年のパリ協定の重要性をうたった声明から離脱し、閉幕した)と報じました。

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