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387.アメリカとイランの大統領、国連総会で一般演説ー2013.9.25 [国際ー国連、アメリカ、中東]

(a)日本語のニュース

アメリカとイランが核問題をめぐる長年の対立から関係改善に向かうのではないかという憶測が流れる中で、アメリカのオバマ大統領とイラクのロウハニ大統領が、24日、国連総会で一般討論演説を行い、それぞれの方針を表明しました。
オバマ大統領は、演説の中で、8月に就任したイランのロウハニ大統領に、イランの核開発問題で、「アメリカは平和的解決を望む一方で核兵器開発は断固阻止する」とする書簡を送ったことを明らかにしました。
そして、「イランの核開発問題の解決は、これまでと違った関係に向けた大きな一歩となる得る」とロウハニ大統領の姿勢に期待を表明しました。
その上で、オバマ大統領は、イランに対し、核開発は、平和利用のためだということを言葉だけでなく行動で示すよう求め、ケリー国務長官にヨーロッパの関係国などと協力して、イランの核開発問題の外交的な解決に向けて取り組むよう指示したことを明らかにしました。
オバマ大統領は、また、シリアのアサド政権に対して、化学兵器を廃棄するよう求め、従わない場合には、厳しい措置を取るとする強力な国連安全保障理事会の決議を採択する必要があると訴えました。

一方、イランのロウハニ大統領は、演説の中で、「イランの核開発は、平和目的だと明確に宣言する。イランの安全保障政策に核兵器や大量破壊兵器は無い」と強調し、核開発の透明性を高めるとともに、交渉によって国際社会の懸念を払拭したいという姿勢を示しました。
そして、悪化しているアメリカをはじめ欧米諸国との関係について、「対等な立場でお互いを尊重する関係を構築する必要がある」と述べ、関係改善をめざす考えを強調しました。

(b)ニュースの背景

イランの核開発問題というのは、イランが自国の核関連施設で高濃縮ウランの製造を進めているとされている問題で、イランは、医療用アイソトープの生産を行う原子炉稼働のためで、あくまでも平和目的だと主張していますが、アメリカをはじめ欧米諸国は、通常の原子力発電では低濃縮ウランで十分で、高濃縮ウランを使用するのは核兵器の製造を狙っているのではないかという疑惑を抱いています。
イランは、2005年就任したアフマディネジャド大統領の下で、核兵器開発疑惑を全面否定し、「核の平和利用」の権利を主張、濃縮ウランの製造など核燃料サイクル計画を推進してきました。
これに対して、国連安全保障理事会は、2006年、2007年、2008年、2010年と4回にわたって、イランに濃縮活動の全面停止とイランに対する制裁決議を採択しています。このほかに、アメリカとEU=ヨーロッパ連合は、それぞれイランに対する制裁を大幅に強化してきています。

2013年6月イランの大統領選挙が行われ、保守穏健派として知られるロウハニ師が保守強硬派の候補者を抑えて当選し、8月大統領に就任しました。2005年から2期8年つとめたアフマディネジャド大統領の政権下で、イランは、国際社会の批判を無視して核開発を進め、経済制裁で国内経済が悪化してきましたが、その状況をどう立て直すかに、欧米諸国は注目しています。とくに、イランがこれから欧米諸国に柔軟な姿勢をとるのかどうかに関心を寄せています。
イランでは、最高指導者ハメネイ師が核問題など重要な政策の決定で強い権力を握っており、国内の保守対欧米強硬派も大きな影響力をもっています。そうした中で、ロウハニ大統領が欧米諸国などとの関係で、どう手腕を発揮するのか注目されます。

(c)英語のニュース

U.S. President Barack Obama and Iranian President Hassan Rouhani have delivered their addresses to the United Nations General Assembly amid reports that their countries are moving to the improvement of their relations from confrontation.
President Obama said in his address that new Iranian President Rouhani is seeking to build constructive ties with the international community. He asked the Iranian President to match his conciliatory words with actions to resolve Iran's nuclear development.
President Obama also urged the U.N. Security Council to adopt a strong resolution on Syria's chemical weapons if President Bashar al-Assad refuses to abandon such weapons.

Meanwhile,Iranian President Rouhani stressed in his address that his country's nuclear program is exclusively for peaceful purposes, saying that nuclear weapons have no place in his country's security and defense doctrine.
He said that his country is seeking to improve relations with the United States and other countries.
The Iranian President said that he listened carefully to U.S.President Obama's address at the General Assembly and added that he believes Iran and the United States can arrive at a framework to manage their differences.

(d)ニュースに比較研究

アメリカのオバマ大統領とイランのロウハニ大統領の国連総会での一般討論演説については、日本のメディアも外国のメディアも一斉に伝えていました。日本のメディアと外国のメディアの報道の大きな違いは、日本のメディアは、いずれもオバマ大統領の演説ではシリア問題を大きく取り上げていましたが、外国のメディアは、イラン問題に焦点をあてていた点でした。
代表的なメデイアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Obama focuses foreign policy on Iran and Middle East peace"(オバマ大統領、外交政策の焦点をイランと中東和平に)という見出しで、"President Barack Obama reframed U.S. foreign policy priorities on Tuesday by focusing his administration's immediate
attention on Iran's pursuit of nuclear weapons and the Middle East conflict between Israel and the Palestinians"(オバマ大統領は、(国連演説の中で)アメリカの外交政策の優先順位を再構築し、彼の政権のいまの注目点をイランの核兵器追求とイスラエルとパレスチナの間の中東紛争にあてた)と報じました。

CNNは、また、イランのロウハニ大統領がCNNとの単独インタビューを行い、アメリカ国民への英語のメッセージを送ったことを伝えました。""I would like to say to American people: I bring peace and friendship from Iranians to Americans" he said"(ロウハニ大統領は、「私は、アメリカ国民に申し上げたい。私は、イラン国民からアメリカ国民へ平和と友好を持ってきました」と述べた)と報道しました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、"Obama pushes diplomatic dialogue with Iran / US President welcomes new Iranian government's "more moderate course" which he says could help solve nuclear issue"(オバマ大統領、イランとの外交対話を模索 / アメリカの大統領、イランの新政権の”より穏健な路線”を、核問題解決に役立つとして歓迎)という見出しで、"US President Barack Obama has said he is pushing for diplomacy with the new Iranian government over its suspect nuclear programme to bring about "broader peace" in the region"(アメリカのオバマ大統領は、中東地域に”より広範な平和”をもたらすために、核計画疑惑をめぐって、イランの新政権との外交を模索していくと述べた)と報じました。

ALJAZEERAは、また、"Rouhani calls for time-bound nuclear talks / Iranian president proposes framework for dialogue in UN speech, hours after Obama expressed interest in talks"(イランのロウハニ大統領、期限を定めた核交渉を呼びかけ / イランの大統領、オバマ大統領が交渉に関心を表明した直後に、国連での演説で、対話の枠組みを提案)という見出しで、"The Iranian President Hassan Rouhani has offered to find a "framework" to manage differences with the US, saying he was prepared to engage in "time-bound and results-oriented" nuclear talks and did not seek to increase tensions with the United States"(イランのロウハニ大統領は、アメリカとの違いをうまく管理するための”枠組み”を模索することを提案し、”期限を定めた、結果重視の”核交渉に従事する用意があると述べ、アメリカとの緊張を増すことを求めないと述べた)と報じました。













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