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61.核安全保障サミット閉幕ー2012.3.27 [国際ーアメリカ、ヨーロッパ、アジア]

(a)日本語ニュース

北朝鮮の核問題が国際的な関心を呼ぶ中、韓国の首都ソウルで開かれていた核安全保障サミットは、27日、核テロ防止への国際協力の促進などを盛り込んだ共同声明を発表して閉幕しました。
核物質の管理強化や核施設の安全対策を協議するための第2回核安全保障サミットは、アメリカのオバマ大統領、ロシアのメドベージェフ大統領、中国の胡錦涛国家主席、韓国の李明博大統領、日本の野田首相ら53カ国の首脳や国連など4つの国際機関の代表が出席して、26日と27日の2日間ソウルで開かれました。
閉幕にあたって発表された共同声明は、核テロを防ぐ国内措置や国際協力の必要性を強調しています。
さらに、東京電力福島第1原発事故を踏まえて、災害やテロに備えるため、原子力施設の安全対策の強化が必要であると述べています。また、核兵器に転用が可能な高濃縮ウランをできるだけ減らすため、各国に対して、その計画を2013年末までに発表するよう求めています。

議長をつとめた韓国の李明博大統領は、期間中行われた各国の個別会談を通じて、アメリカだけでなく、中国やロシアの首脳も、北朝鮮が予告している「人工衛星」の打ち上げを中止すべきだという認識で一致したことを明らかにし、「打ち上げが実施されれば、北朝鮮は国際社会からさらに孤立することになる」と述べ、重ねて自制を促しました。

一方、北朝鮮の外務省は、27日、「人工衛星」の打ち上げは、予告通り4月中旬に実施することを改めて明言しました。これは、アメリカ、韓国、中国、ロシア、日本などが打ち上げ中止を求めたことに対する回答とみられています。
北朝鮮は「人工衛星」の打ち上げと発表していますが、これは、事実上の長距離弾道ミサイルの発射とみられ、アメリカ、韓国、日本などは警戒態勢に入っています。

(b)ニュースの背景

2009年1月就任したアメリカのオバマ大統領は、同年4月チェコのプラハで行った演説で、「核兵器のない世界」を目指す方針を明らかにし、翌2010年自らが主導して、第1回の核安全保障サミットをワシントンで開きました。この会議には、47カ国の首脳や閣僚が出席し、核物質を使用したテロを封じ込めることを目的に、核物質の管理を4年以内に徹底する方針を決めました。
今回の2回目の会議は、この2年間の成果を確認し、核物質の管理徹底を目指すことで合意したものでしたが、国際社会では核兵器の危険が増しているのが現実で、次回2014年にオランダで開かれる会議までに関係国が目標に向かってどう行動していくかが課題になっています。

(c)英語のニュース

World leaders have called for the reduction in the use of highly enriched uranium, which could be used to make nuclear weapons, by the end of 2013.
The call was contained in a joint communique issued at the end of a two-day meeting of the Nuclear Security Summit in Seoul on Tuesday. Leaders of 53 countries including the United States, Russia, China, South Korea and Japan, as well as four international organizations attended the meeting.
The communique also stresses the importance of sustained efforts to address nuclear safety against natural disasters and terrorism in the aftermath of the nuclear disaster in Fukushima, Japan in 2011.

The chairman of the summit, South Korean President Lee Myung-bak, said that the United States, China and Russia agreed in meetings that North Korea should stop the planned launch of what-it-calls a satelite But it is generally believed that North Korea actually plans to launch long-range ballistic missiles in the middle of April.
.
Meanwhile, the North Korean Foreign Ministry repeated its insistence to go on the planned launch.
It said that U.S. President Barack Obama should acknowlege its right to launch a satellite if his country has no hostile intent toward Norh Korea. Earlier, in Seoul, President Obama, addressing North Korean leaders,said that the United States has no hostile intent toward North Korea and urged the North to cancel its launch plan.

(d)ニュースに比較研究

ソウルで行われた核安全保障サミットについて、関係国のメディアがどう報道したかを紹介しましょう。

韓国の『KBS(=Korean Broadcasting System) 』放送は、"Nations to enhance Transportation Security of Nuke Materials"(各国、核物質の輸送の安全性を強化へ)という見出しで、"South Korea and four other nations(the United States, Japan, Britain and France)have announced a joint statement pledging cooperation to enhance the security of nuclear and radioactive materials in domestic and international transport"(韓国、アメリカ、日本、イギリス、フランスは、国内および国際の輸送で、核および放射性物質の安全性を強化するために協力していくことを誓った共同声明を発表した)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"Seoul communique calls for tighter nuclear security measures"(ソウルの声明、よりきびしい核の安全保障策をとることを呼びかけ)という見出しで、"The Nuclear Security Summit ended here(Seoul) on Tuesday with more than 50 world leaders calling for tighter measures to keep vulnerable nuclear materials out of the wrong hands"(ソウルの核安全保障サミットは、50カ国以上の首脳が、脆弱性のある核物質を悪の手から守るためによりきびしい方策をとるよう呼びかけた声明で閉幕した)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"North Korea refuses to halt launch plan despite Obama's warnings"(北朝鮮、オバマ大統領の警告にも拘わらず人工衛星打ち上げ計画中止を拒否)という見出しで、"North Korea said Tuesday that it would not abandon its plan to carry out a satellite launch next month despite recent warnings from President Barack Obama over the move"(北朝鮮は、オバマ大統領の警告にも拘わらず来月に予定している人工衛星打ち上げ計画を中止しないと言明した)と報じました。

ロシアの『ITAR-TASS』通信は、"Russia to do its best to have Iran, N Korea back at negotiating table - Medvedev"(メドベージェフ大統領、ロシアはイランと北朝鮮が交渉のテーブルに戻るよう全力をつくすと言明)という見出しで、"Russia will do its best to have Iran and North Korea back at a negotiating table on the nuclear programs, Russian President Dmitry Medvedev said on Tuesday"(ロシアのメドベージェフ大統領は、ロシアは、核計画で、イランと北朝鮮が交渉のテーブルに戻るよう全力をつくすと言明した)と報じました。














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32.日米欧6中央銀行、ドル資金供給で協調ー2011.11.30 [国際ーアメリカ、ヨーロッパ、アジア]

*2011.12.3の第5回サロンのテキスト*

(a) 日本語のニュース

日本、アメリカ、ヨーロッパの6つの中央銀行は、30日、ヨーロッパの財政危機に端を発した国際金融市場の緊張に対応するため、協調して金融市場にドルなどの資金を円滑に供給できる対応策をとることで合意したと発表しました。
これは、アメリカの中央銀行であるFRB=連邦準備制度理事会が日本やヨーロッパの中央銀行にドルの資金を供給するときの金利を0.5%引き下げ、金融機関がドル資金を容易に調達できるようにする、また、ユーロ、ポンド、円などドル以外の通貨についても、必要に応じて市場に供給できるように、それぞれの中央銀行が融通できるようにすることを決めたものです。
この背景には、巨額の財政赤字を抱えているヨーロッパ各国の信用不安で、イタリア、スペインなどの国債が大幅に値下がりし、これらの国債を大量に保有しているヨーロッパなどの金融機関の経営が厳しくなっていること、このため、必要な資金を調達しにくくなっている金融機関もでており、資金繰りに行き詰まれば、世界的な金融危機に発展することも懸念されていることがあります。
今回の措置は、2008年のリーマン・ショックのときに導入したドル資金供給の枠組みを大幅に拡充することによって、ヨーロッパの債務危機が世界的な信用不安を招き、金融機関の資金繰りが行き詰まるのを防ぐ狙いがあるものとみられています。

(b)ニュースの背景

・中央銀行(central bank) というのは、各国または地域の金融システムの中心的な機関としての役割を担う銀行のことで、紙幣の発行や国庫金の出納業務、物価の安定などの機能を通じて、その国または地域の経済成長を金融面からサポートしています。
このニュースにでてくる6つの中央銀行というのは、日本銀行(日銀 Bank of Japan)、アメリカのFRB(=U.S.Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会)、欧州中央銀行(ECB=European Central Bank)、イギリスのイングランド銀行(Bank of England)、カナダ銀行(Bank of Canada)、スイス国立銀行(Swiss National Bank)です。
・ヨーロッパの経済危機は、2009年ギリシャ政府の財政赤字の大幅な改ざんが明るみに出たことから起こったギリシャの財政危機に端を発したもので、PIIGSといわれるポルトガル(Portugal)、イタリア(Italy)、アイルランド(Ireland)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)のユーロ圏の中の5カ国が中でもきびしい状況にあるといわれています。こうした国々の国債を大量に保有しているヨーロッパの金融機関が、銀行間市場でドル資金を調達するのが難しくなり、資金繰りが苦しくなっているものとみられています。
・ユーロ(EURO)は、1999年に導入されたEU(=European Union ヨーロッパ連合)の共通通貨のことで、現在EU加盟27カ国のうち、ユーロを導入しているのは17カ国で、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、アイルランド、オーストリア、フィンランド、ギリシャ、スロベニア、キプロス、マルタ、スロバキア、エストニアです。これらの国々を総称してユーロ圏(Euro-zone)といっています。

(c) 英語ニュース

The world's six major central banks have agreed to step up their collaboration in supporting the global financial system amid European credit crisis.
The agreement was announced on Wednesday by the U.S. Federal Reserve Board, the European Central Bank,and the central banks of Britain, Canada, Switzerland and Japan.
The central banks will borrow U.S.dollars from the FRB to allow banks to secure dollar liquidity at lower interest rates.They will also be able to secure other currencies, including Euros, British pounds and Japanese yen,
These moves are intended to loosen credit and stimulate economic growth in Europe and prevent its debt crisis from unhinging the global economy.

(d) ニュースの比較研究

日米欧の6つの中央銀行がドル資金供給で協調することで合意したというニュースは、世界各国がヨーロッパの経済危機がグローバルな金融システムに拡大するのを危惧しているところから、各メディアは、多大の関心をもって、詳しく報道していました。しかし、今回の措置の影響は、長続きはしないだろうという見方も多かったと思います。

イギリスの経済紙『Financial Times』は、"Central banks' action on liquidity lifts markets"(日米欧の中央銀行のドル資金供給の動きで金融市場上昇)という見出しで、"A wave of central bank action around the world to avert a liquidity crisis cheered financial markets on Wednesday but highlighted the depth of international concern about possible economic turmoil in Europe"(中央銀行が世界中に一連の債務危機を避けるための行動をとったことは、金融市場を活性化したが、ヨーロッパの経済的な混乱を避けたいという国際的な関心の深さを浮き彫りにした)と報じました。

アメリカの経済紙『Wall Street Journal』は、"Central Banks Move to Calm Fears - Markets Rally After Joint Action Aimed at Cushioning Global Effects of Euro Crisis; Fed 'Prepared to Do More if Needed"(中央銀行、経済危機の恐れを鎮めるために動く - ユーロの危機がグローバル化する影響を和らげる目的の共同行動のあと金融市場は持ち直した。アメリカの連邦準備制度理事会は、必要ならドル資金供給をより拡大する用意があると述べた)という見出しで、"The world's major central banks launched a joint action to provide cheap, emergency U.S. dollar loans to banks in Europe and elsewhere, a sign of growing alarm among policy makers about stresses in Europe and in the global financial system"(世界の主な中央銀行は、ヨーロッパやその他の国々の銀行に金利の低い、緊急のドル資金を供給するための共同行動を打ち出した。このことは、ヨーロッパやグローバルな金融システムにおける緊張に関して政策作成者の間で懸念が高まっている表れだ)と報じました。



















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