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865. 安倍首相とトランプ大統領の電話会談のニュースに関する日米報道の比較ー2017.1.30 [国際ーアメリカ]

安倍首相とトランプ大統領の電話会談のニュースについて、日本とアメリカなど外国の報道を比較してみました。


アメリカのトランプ大統領は、1月20日就任し、27日イギリスのメイ首相と外国の首脳としては初めて直接会談を行い、翌28日、日本の安倍首相、ドイツのメルケル首相、ロシアのプーチン大統領、フランスのオランド大統領、オーストラリアのターンブル首相の5か国の首脳と順番に電話会談を行いました。
安倍首相との電話会談は、日本時間の28日(土)23時から40分程度行われ、終わってから安倍首相が、自ら記者団に会談について語り、新聞各社の朝刊用の原稿締め切りは、午前1時~2時ですので、全紙とも29日(日)の朝刊にぎりぎり間に合って掲載していました。解説と関連記事、社説などは30日(月)の朝刊に掲載していました。いずれも、安倍首相が記者団に語った内容が中心で、一様に「日米同盟の重要性の認識で一致」という内容でした。
外国のメディアの報道は、トランプ大統領が5か国の首脳と電話会談を行ったというリードで、プーチン大統領の電話会談は1時間で、やはりほとんどがこの米ロ会談に焦点をあてて、詳しく報道していました。
ここでは、外国のメディアの報道の中で、安倍・トランプ会談だけを取り上げた報道をピックアップしてみました。


日本のメディアの報道


『読売』
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳会談10日で合意、電話会談、「同盟の重要性確認」
・リードー安倍首相は28日夜、トランプ米大統領と電話で会談し、ワシントンで2月10日に初めての首脳会談を行うことで合意した。首相は電話会談後、首相官邸で記者団に「日米同盟の重要性を確認した」と述べた上で、「2月の首脳会談では、経済や安全保障全般にわたり、率直で有意義な意見交換をしたい」と語った。首相の訪米には、麻生副総理兼財務相、岸田外相、世耕経済産業相も同行する方向だ。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(記名なし)首脳会談来月10日、日本 米の貿易圧力警戒、安保と「取引」懸念
・社説―日米電話会談、肝心なのは同盟強化の各論だ

『朝日』
29日(日)朝刊
・見出しー日米同盟の重要性確認、両首脳が電話会談、来月10日会談合意
・リードー安倍晋三首相とトランプ米大統領は28日深夜(米東部時間28日朝)、トランプ氏の就任後、初めての電話会談を行った。両首脳は、首相が訪米して2月10日にワシントンで初の首脳会談を開くことで合意。日米同盟の重要性を改めて確認したうえで、通商政策や安全保障の課題について意見を交わした。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(小室浩幸、ワシントン=佐藤武嗣)10日の会談は「真剣勝負」、日米首脳 通商交渉、焦点に/ 読めぬトランプ外交
・社説―(別のテーマ・核燃料サイクル 再処理工場を動かすな)

『毎日』
29日(日)朝刊
・見出しー日米、来月10日合意、通商問題議論へ、首脳電話協議
・リードー安倍晋三は28日深夜、トランプ大統領と電話で協議し、2月10日ワシントンで会談することで合意した。両首脳は、日米同盟の重要性を確認。トランプ氏は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に代わる2国間の通商協定交渉に入る姿勢を示しており、通商問題を含めた日米経済関係を首脳会談の議題とすることも確認した。
30日(月)朝刊
・解説または関連㎡記事―(古本陽荘)日本、経済協力を模索
・社説―(別のテーマー面会めぐる争い、子供の幸福を最優先に)

『日本経済』
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳、来月10日会談、「経済関係や同盟重要」、電話協議、トランプ氏 日本との関係重視
・リードー安倍晋三首相は28日夜、トランプ米大統領と電話で42分協議し、2月10日にワシントンで日米首脳会談を開くことで合意した。日本側によると、両首脳は日米同盟の重要性を確認、日米の経済関係の重要性でも一致した。環太平洋経済連携協定(TPP)や自由貿易協定(FTA)は話題にならなかった。首相は、自動車など日本企業の米経済への貢献を説明した。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(記名なし) 日本の車産業に雇用要請、対北朝鮮では協力/日本、対米貢献強調へ 経済連携、かじ取り難しく
・社説―日米自動車摩擦の再燃を回避したい

『産経』
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳会談来月10日、通商政策焦点に、トランプ氏「関係を重視」、電話会談、首相、厳しい局面も
リードー安倍晋三首相は28日深夜、トランプ米大統領と電話会談を行った。両首脳は、2月10日に米ワシントンで初の首脳会談を行うことで合意した。安倍首相は電話会談後、官邸で記者団に「日米首脳会談で経済や安全保障全廃において率直で有意義な意見交換をしたい」と意欲を示した。ワシントンでの首脳会談では通称政策の議論が焦点になりそうだ。
30日朝刊
・解説または関連記事―日米首脳電話会談、国防長官異例の早期派遣、「マッド・ドッグをよろしく」(マッド・ドッグ(狂犬)は、マティス国防長官のあだ名)/「娘があなたを高く評価していた」
・主張―日米首脳来月会談、アジア太平洋重視へ導け

『東京』(中日新聞東京本社発行)
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳会談来月10日決定
・リードー安倍晋三首相は28日深夜、トランプ米大統領と電話で約40分間協議し、来月10日にワシントンのホワイトハウスで初の首脳会談を行うことで正式に合意した。首相は、電話後、官邸で記者団に、ワシントンの会談では「両首脳は同盟の重要性も確認した。経済、安全保障全般で率直で有意義な意見交換をしたい」と述べた。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(記名なし)大統領と電話協議、米、雇用創出求める/
(稲尾聡太)メーカーは警戒、減産と引き換えでは・・・
・社説―米英の接近、人権重視の価値観守れ (米英首脳会談)

『共同通信』
29日に配信
・見出しートランプ氏、雇用創出要求
・リードー安倍晋三首相は、28日深夜、トランプ米大統領と電話会談し、米ワシントンで2月10日(現地時間)に直接会談することで合意した。トランプ氏は。「日本との関係を重視している」「(米国の)雇用をつくってほしい」と述べたのに対し、首相は、自動車産業など日本企業の米国への貢献を説明した。両首脳は、同盟の重要性も確認した。首相は、電話会談後、来月の首脳会談に関し、「経済、安全保障全般において有意義で、率直な意見交換をしたい」」と官邸で記者団に語った。トランプ氏は「日本の安全確保に対する米国の確固たる責任」を確認。

『時事通信』
29日(日)配信
・見出しー日米首脳会談、来月10日で合意、トランプ氏「同盟極めて重要」、電話協議
・リードー安倍晋三首相は28日深夜、首相官邸で、米国のトランプ大統領と電話で協議し、初の首脳会談を2月10日にワシントンのホワイトハウスで行うことで合意した。両首脳は「日米同盟は重要」との認識で一致し、強化していく方針を確認。トランプ氏が環太平洋連携協定(TPP)離脱を決めたことを踏まえ、2国間の貿易・投資関係を強化していくことで一致した。

『NHK』
29日(日)放送
・見出しー日米首脳会談来月10日にワシントンで開催を確認
・リードー安倍総理大臣は28日夜、アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、来月10日にワシントンで、大統領就任後初めてとなる日米首脳会談を行うことを確認しました。また、安倍総理大臣は、トランプ大統領が自動車メーカーにアメリカ国内への投資を求めていることを踏まえ、日本企業がアメリカ経済に貢献していることを説明し、理解を求めました。


外国のメディアの報道

アメリカ

『The Wall Street Journal』紙(東京発)
・見出しーShinzo Abe Discusses Importance of Japan-U.S. Alliance With Donald Trump (安倍首相、トランプ大統領と日米同盟の重要性を討議)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe said Saturday that U.S.
President Donald Trump has acknowledged the importance of an alliance between their countries for defense and economic growth. (日本の安倍首相は、アメリカのトランプ大統領が防衛と経済成長のための両国間の同盟の重要性を認めたと述べた)

『CNN(=Cable News Network)』放送(ワシントン発)
見出しーJapan PM Abe to visit US, meet with Trump (日本の安倍首相、訪米し、トランプ大統領と会談へ)
リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe accepted an invitation Saturday to visit President Donald Trump at the White House next month. White House press secretary Sean Spicer confirmed the news on Twitter shortly after the two leaders had their first phone call since Trump was inaugurated earlier this month. (日本の安倍首相は、来月ホワイトハウスでトランプ大統領を訪ねるようにという招待を受け入れた。ホワイトハウスのスパイサー報道官は、両首脳が、トランプ氏が今月大統領に就任して以来、初めて電話会談を行った後、ツィッターでこのニュースを確認した)

『Bloomberg』(経済、金融など中心の総合情報サービス会社)

見出しーTrump, Abe Agree in Phone Call to Meet in Washington Next Month
(トランプ大統領、安倍首相、電話会談で、来月ワシントンで会談することで合意)
リードーPresident Donald Trump and Japanese Prime Minister Shinzo Abe agreed to hold a summit in Washington on Feb.10 and affirmed the importance of their alliance. Abe told reporters, after the U.S. strained ties by withdrawing from a Pacific trade pact. (トランプ大統領と日本の安倍首相は、2月10日にワシントンで首脳会談を行うことで合意し、日米同盟の重要性を確認した。これは、安倍首相が記者団に明らかにしたもので、日米関係は、アメリカが太平洋の貿易協定(TPP協定)から離脱したことによって緊張していた)

イギリス

『REUTERS』通信(東京、ワシントン発)
見出しーJapan PM Abe: To meet Trump February 10; reaffirmed importance of alliance (日本の安倍首相、2月10日にトランプ大統領と会談へ、日米同盟の重要性を再確認)
リードーU.S. President Donald Trump and Japanese Prime Minister Shinzo Abe agreed on Saturday to meet early next month, affirming the importance of bilateral ties while setting the stage for potentially sensitive trade talks.
(アメリカのトランプ大統領と日本の安倍首相は、来月初旬に会談を行うことで合意し、潜在的に微妙な通商交渉の場を設定し、日米関係の重要性を確認した)

中国

『Xinhua(新華社)』通信(東京発)
見出しーAbe, Trump to hold 1st summit meeting on Feb.10 (安倍首相、トランプ大統領、2月10日第1回首脳会談開催へ)
リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe and U.S. President Donald Trump on Saturday agreed to hold their first summit in Washington on Feb.10, said Abe here after telephone talks with Trump on Saturday. (日本の安倍首相は、アメリカのトランプ大統領と電話会談した後、両首脳が、2月10日ワシントンで第1回の首脳会談を開催することで合意したと述べた)






















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864. 昨年の貿易収支、6年ぶりに黒字ー2017.1.25 [経済―貿易]

(a) 日本語のニュース

輸出から輸入を差し引いた昨年1年間の日本の貿易収支は、4兆円741億円の黒字で、2010年以来6年ぶりの黒字になりました。
財務省が25日発表したところによりますと、昨年1年間の輸出額は、おととしより7.4%減って70兆392億円、一方輸入額は、おととしより15.9%減って65兆9651億円でした。輸入額が大幅に減った主な要因は、原油価格の下落と円高の影響で、原油やLNG=液化天然ガスの輸入額が減ったためです。
この結果、輸出から輸入を差し引いた昨年1年間の貿易収支は、4兆741億円の黒字で、東日本大震災前の2010年以来6年ぶりの黒字になりました。
アメリカのトランプ大統領は、日本や中国に対するアメリカの貿易赤字が大きいことを問題視していますが、昨年1年間の日本のアメリカに対する貿易収支は、6兆8347億円の黒字で、2年ぶりに減少しています。

(b) ニュースの背景

貿易の全体を表す統計に国際収支表があります。
これによりますと、国際収支(International Balance of Payments)は、モノに関する取引、サービス・所得に関する取引、資金に関する取引の3つに分類されます。
このうち、モノに関する取引は、輸出と輸入からなり、輸出額から輸入額を差し引いた金額を貿易収支(Trade Balance)といいます。貿易収支がプラスであれば貿易収支は黒字、逆にマイナスであれば赤字になります。
次に、サービスに関する取引は、輸送収支、旅行収支、その他のサービス収支の通信・建設・保険・金融・情報などの分野におけるサービス収支、さらに特許使用料、文化・興行サービスなどが含まれます。
さらに、所得収支(債券の保有によって発生する金利、あるいは株式の保有に伴って生ずる配当金の受け払いなど)や経常移転収支(援助など対価の支払いが伴わず、一方的な支払いを行う取引を移転収支といいますが、そのなかで相手国へモノ・サービスを提供する取引、さらに国際機関への拠出金など)があります。
これまで説明してきた貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支を合わせると、経常収支(Current Account)になります。
最後に、資本に関する取引は、外国から資本が入ってくる資本取引と、逆に国外に資本が出ていく資本流出があります。
経常収支と資本収支を合わせたものが、国際収支です。

(c) 英語のニュース

Japan posted its first trade surplus in 6 years in 2016
The Japanese Finance Ministry says that the trade surplus in 2016
stood at 4.07 trillion yen or 35.76 billion dollars.
The value of imports tumbled 15.9 percent to 65.97 trillion yen as crude oil and liquefied natural gas imports slide. Exports dropped for the first time in 4 years, down 7.4 percent to 70.04 trillion yen, as shipments of iron, steel and cars decreased.
Japan’s trade surplus with the United States, a major trading partner, shrank 4.6 percent to 6.83 trillion yen.

(d)ニュースの比較研究

昨年の日本の貿易収支が6年ぶりで黒字になったというニュースについては、日本のメディアは、報道しましたが、外国のメディアは伝えていません。

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863. トランプ米大統領、TPP離脱の大統領令に署名、対日批判ー2017.1.24 [国際ーアメリカ、日本]

(a) 日本語のニュース

アメリカのトランプ大統領は、23日、アメリカがTPP=環太平洋経済連携協定から離脱する大統領令に署名し、TPPは発効が不可能になりました。
大統領令は、貿易交渉を担当するUSTR=アメリカ通商代表部に対して、「TPPの署名国から離脱し、TPP交渉からアメリカが永久に離脱するよう指示する」と明記しています。
トランプ大統領は、「TPP離脱は、アメリカの労働者にとってよいことだ」と述べました。
TPP協定をめぐっては、昨年2月、日本やアメリカなど12か国が署名し、各国で、国内の承認手続きが進められており、日本は、承認手続きを終え、批准しています。しかし、TPPの発効には、アメリカの承認が欠かせない仕組みになっていて、アメリカの離脱の決定によって、TPP協定の発効は不可能になりました。
トランプ大統領は、「私の政権の意図は、個別の国と直接1対1で将来の貿易交渉を進めることだ」と述べて、2国間協定を重視する姿勢を強調しています。

トランプ大統領は、同じ23日、大統領令の署名に先だって、アメリカの企業経営者と会談し、日本や中国は、それぞれの国内でアメリカの製品を販売するのを難しくさせていて、公平な貿易を行っていないと批判しました。
このうち日本については、「われわれが日本で自動車を販売する場合、日本は販売を難しくさせている。しかし、日本の数十万台の車が大きな船でアメリカに入ってくる。これは公平ではない。この問題は協議しなければならない」と述べ、2国間協議を通じて、日本に何らかの是正を求めることを明らかにしました。

(b)ニュースの焦点

TPP
TPP(=Trans Pacific Partnership free trade agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定といい、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムの12か国が参加する自由貿易協定のことです。TPP協定交渉は、2015年10月アメリカのアトランタで大筋合意し、2016年2月ニュージーランドのウエリントンで12か国が協定に署名し、各国が国内手続きに入りました。
TPP協定が発効すれば、世界最大の自由貿易圏になることになっています。域内の人口は、世界の1割に当たる8.1億人、1国の経済活動の規模を示す名目GDP=Gross Domestic Product国内総生産は、合わせて28兆ドルで、世界のおよそ4割を占めることになります。
TPP協定は、30章からなり、関税分野では、最終的に工業品の99.9%で関税が撤廃されるほか、サービス・投資などの分野で「共通のルール」もできることになっています。
TPP協定は、12か国全てがニュージーランドに国内手続きの終了を通知してから60日で発効することになっています。12か国全てが承認できない場合は、協定への署名から2年が経過した後に、12か国全体のGDPの85%を占める
6か国が通知して発効することになっています。アメリカと日本のどちらかが欠けても発効しません。
安倍首相は、トランプ大統領がTPP離脱の大統領に署名した後も、TPP協定の重要性を説き続けるといっています。

アメリカの大統領令
アメリカの大統領が、連邦議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令のことで、法律と同じ効力を持ちます。一方で、連邦議会は、反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を示すことができます。

(c)英語のニュース

U.S. President Donald Trump has signed a presidential memorandum to withdraw the United States from the Trans-Pacific Partnership free trade agreement.
In the memorandum signed on Monday, he directed the U.S. Trade Representative to withdraw the United States as a signatory to the TPP and permanently withdraw TPP negotiations.
He also ordered the trade chief to begin pursuing bilateral trade negotiations to promote American industry, protect American workers and raise American wages.
Mr. Trump called the presidential memorandum “a great thing for American workers.
The move dealt a fatal blow to the 12-member free trade agreement, which was signed in February, last year, but does not take effect without U.S. ratification.
Earlier in the day, President Trump met U.S. corporate executives and criticized Japan and China for engaging in trade practices that, he said, are unfair to U.S. manufacturers.
He indicated that Japan and China are making it difficult for U.S. firms to sell products in their countries.
Mr. Trump said that Japan sells many cars in the United States, but it has rules on U.S. carmakers that make it impossible to sell cars there. He said that it’s not fair and needs to be discussed at bilateral negotiations.

(d)ニュースの比較研究

トランプ大統領がTPP=環太平洋経済連携協定から離脱する大統領令に署名したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも報道しましたが、特に日本のメディアは、改めて衝撃的なニュースとして伝えていました。一方、アメリカのメディアは、批判的な見方で、このニュースを伝えていました。
代表的なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『The New York Times』紙は、”Trump Abandons Trans-Pacific Partnership, Obama’s Signature Trade Deal”(トランプ大統領、TPP=環太平洋パートナーシップ、オバマ前大統領の貿易協定を破棄)という見出しで、”President Trump upended America’s traditional, bipartisan trade policy on Monday as he formally abandoned the ambitious, 12-nation Trans-Pacific Partnership brokered by his predecessor and declared an end to the era of multinational trade agreements that defined global economics for decades”(トランプ大統領は、アメリカの伝統的で超党派の貿易政策をひっくり返してしまった。それは、トランプ大統領が、彼の前任者(オバマ大統領)が取り仕切った大がかりな、12か国のTPP=環太平洋経済連携協定を正式に放棄し、何十年間も世界経済を定義してきた多国間の貿易協定の時代に終止符を打つ宣言をしたからだ)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Donald Trump Withdraws U.S. From Trans-Pacific Partnership – TPP agreement was aimed at curbing China’s advantages ”(トランプ大統領、TPP=環太平洋経済連携協定からアメリカを離脱―TPP協定は、もともと中国の進出抑制が目的だったのだ)という見出しで、”President Donald Trump’s formal withdrawal from the 12-nation Pacific trade agreement, announced Monday, creates an American policy vacuum in a fast-growing region that includes China and longtime U.S. allies”(トランプ大統領の12か国の太平洋貿易協定(TPP)から正式に離脱することは、中国と長期にわたるアメリカの同盟国が存在する急速に成長しつつある地域において、アメリカの政策の真空地帯を作り出すことになる)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Trump signs order withdrawing from TPP”(トランプ大統領、TPP=環太平洋経済連携協定からの離脱命令に調印)という見出しで、”President Donald Trump on Monday will start to unravel the behemoth trade deal he inherited from his predecessor as he signed an executive action to withdraw from the negotiating process of the Trans-Pacific Partnership. That executive action sends signals to Democrats and leaders in foreign capitals around the world that Trump’s rhetoric on trade during the campaign is turning into action. Trump vowed during the campaign to withdraw the US from the Pacific trade deal, commonly known as TPP, which he argued was harmful to American workers and manufacturing.”(トランプ大統領は、彼の前任者(オバマ大統領)から引き継いだ巨大な貿易協定をつぶし始めるだろう。それは、トランプ大統領が、TPPの交渉過程から離脱する大統領に署名したからだ。この大統領令は、民主党員や世界中の外国の指導者に対して、トランプ氏の選挙期間中の貿易に関する言葉を行動に移しつつあることを示唆した。トランプ氏は、大統領選挙期間中、TPPとして知られている太平洋貿易協定からアメリカを離脱させることを誓った。彼によれば、TPPは、アメリカの労働者や製造業にとって有害だからだ)と報じました。


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862.トランプ米大統領就任のニュースの日本とアメリカなど外国の報道の比較ー2017.1.23 [国際ーアメリカ]

アメリカのトランプ大統領の就任のニュースについて、日本とアメリカを中心に外国の報道を比較してみました。

日本ほどアメリカの大統領に関するニュースを大きく詳しく報道する国はないと思いますし、今回の日本の報道は、外電にもかかわらず、国内の政治・経済のニュースと同様、ニュースの本記は、「画一的、横並び」で、演説の「米国第一」主義と大統領令のTPP=環太平洋経済連携協定からの離脱表明が中心でした。ニュースの本記は、トランプ大統領の演説と大統領令の発表された”言葉“で書いていて、その発言や発表のもっている意味づけが外国の報道と比較してほとんどありません。ちょうど前日の20日に召集された通常国会での安倍首相の施政方針演説などの政府演説のニュースをご覧になれば同じことが言えると思います。両方とも記者は、PRESS RELEASEを見て書いていて、外国の報道のように意味づけが欠けている場合が多いのです。あとは、解説と社説にまかせ、ニュースの本記はストレート・ニュースでよいという考えからだと思います。書く方は、その方が楽だからです。アメリカなど外国の報道のように、ニュースの本記のリードを読めば、全体像がわかるように書くべきだと思います。


・日本のメディアの報道


『読売』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、「米国第一」宣言、TPP離脱表明、抗議デモ217人逮捕
・リードー米国の実業家ドナルド・トランプ氏(70)は20日、第45代大統領に就任した。連邦議会議事堂前での就任演説では「今日この日から米国第一だ」と述べ、外交・経済両面で国益を何よりも優先する姿勢を鮮明にした。トランプ氏は就任初日に大統領令に署名し、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱方針を明示するなどした基本政策を発表するなど政権を始動させた。就任式場は8年前より空席が目立ち、ワシントン市内では全米から集まったトランプ氏の支持者と抗議デモ参加者が衝突した。米社会の分断、国際秩序の先行きに懸念が集まる船出となった。
・解説―アメリカ総局長 小川聡 分断深める危うさ
22日朝刊
・社説―トランプ新政権、価値観と現実を無視した演説、「米国第一」では安定と繁栄を失う

『朝日』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領始動、米、TPP離脱表明、NAFTAは「再交渉」、デモ過激化200人超逮捕
・リードー米共和党のドナルド・トランプ氏(70)は20日正午(日本時間21日午前2時)、連邦議会議事堂前での就任式で宣誓し、第45代大統領に就任した。就任直後に主要政策を公表し、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱する方針を発表。就任演説では米国益を最優先する「米国第一主義」を全面に打ち出した。全米で抗議デモが行われ、首都ワシントンでは一部が過激化して200人以上の逮捕者が出た。トランプ大統領の時代は「分断」を色濃く映し出した幕開けとなった。
・解説―ワシントン=佐藤武嗣 内向き「米国第一」、国際協調の理念 強く否定
22日朝刊
社説―トランプ政権、内向き超大国を憂う

『毎日』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、「権力国民に戻す」、米、TPP離脱表明、オバマケア見直し、騒乱拡大200人逮捕
・リードー米共和党のドナルド・トランプ新大統領(70)は20日、連邦議会議事堂前で就任宣誓し、第45代大統領に就任した。就任演説では「米国第一主義」を強調し、国内雇用の維持・創出や不法移民対策を主張した。演説後、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱方針を正式に発表。医療保険制度改革(オバマケア)の見直しに向けた大統領令にも署名し、オバマ前政権からの政策の大転換を印象づけた。
・解説―ワシントン 会川晴之 トランプ大統領就任、米軍増強を強調、過激派打倒「最優先に」
22日朝刊
・社説―トランプ新大統領、分断を世界に広げるな

『日本経済』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、米、TPP離脱表明、NAFTA再交渉、オバマケア見直し指示
・リードー米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が20日就任した。大統領就任式では「米国製品を買い、米労働者を雇って、米国を再び偉大な国にする」と演説し、式典直後には公約通り環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表した。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も表明し、政権発足と同時に通商政策の抜本転換を打ち出した。また医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに関する大統領令にも署名した。
・解説―米、TPP離脱表明、日本通商戦略見直し、翻意へ有効策乏しく
22日朝刊
・社説―「米国第一」を世界に拡散させるな

『産経』(夕刊なし)
22日朝刊
・見出しー大統領就任、トランプ氏 TPP離脱表明、米国第一アメリカ製品を買おう IS壊滅、連日抗議デモ200人拘束
・リードー昨年11月の米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏(70)は20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第45代大統領に就任した。演説で「今日から米国が第一になる」と宣言したトランプ氏は、就任初日に環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明。また、「イランや北朝鮮のような国からのミサイル攻撃」に対抗するため、ミサイル防衛システムを確立する方針を示した。
・解説―編集局長 乾正人 「日本第一」主義でいこう
・主張―トランプ新大統領、世界にどう向き合うのか、自由貿易を日本は働きかけよ

『東京』(中日新聞社東京本社発行)
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、初日から米国第一、「アメリカ製品を買いアメリカ人を雇う」、TPP 即座に離脱
・リードー米共和党のドナルド・トランプ氏(70)は20日正午(日本時間21日午前2時)ごろ、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で宣誓し、第45代大統領に就任した。就任演説では、雇用創出を前面に打ち出し、「米国第一主義」を宣言。新政権は、早速、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を正式表明した。トランプ氏は演説で国民に結束を呼び掛けたが、首都では抗議活動が相次ぎ、デモ参加者の一部が暴徒化。警察は催涙ガスを噴射するなどし、200人以上を拘束した。
・解説―ワシントン・石川智規 内向き保護主義現実に 米新政権 2国間交渉に軸足
22日朝刊
・社説―トランプ新政権船出、建国の精神を忘れるな

『共同通信』
21日配信
・見出しー米新政権、「米国第一」主義を宣言
・リードー昨年11月の米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏(70)20日(日本時間21日未明)首都ワシントンの連邦議会議事堂前で宣誓し、第45代大統領に就任した。共和党政権は8年ぶり。トランプ氏は、演説で「米国第一」主義を宣言し、雇用創出などを通して「米国を再び誇り高く、安全で偉大な国にする」と強調。国民に結束を促し、米国の再建を誓った。

『時事通信』
21日配信
・見出しー「権力を国民に」強調=イスラムのテロ壊滅誓うートランプ米大統領就任演説
・リードートランプ米新大統領(70)は20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で行った就任演説で、国民の根深い政治不信を念頭に「きょうの式典は単なる政権の移行ではなく、ワシントンから国民への権力の移行だ」と強調した。その上で「米国第一」を最優先に国家の再生に取り組む決意を表明した。

『NHK』
21日放送
・見出しートランプ新大統領が就任「米第一主義」掲げる
・リードーアメリカの第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任しました。トランプ新大統領は就任演説でアメリカ第一主義を掲げ、アメリカの国益を最優先にする姿勢を鮮明にしました。


・外国のメディアの報道

アメリカ

『The New York Times』紙は、”Donald Trump Is Sworn In as President, Capping His Swift Ascent”(ドナルド・トランプ氏大統領に就任、スピード出世)という見出しで、”Donald John Trump was inaugurated as the 45th president of the United States on Friday, ushering in a new era that he vowed would shatter the established order and reverse a national decline that he called “this American carnage.” In a ceremony that capped a remarkable rise to power, Mr. Trump presented himself as the leader of a populist uprising to restore lost greatness. He outlined a dark vision of an America afflicted by “the ravages” of economic dislocation and foreign exploitation, requiring his can-do approach to turn around”(ドナルド・トランプ氏は、アメリカの第45代大統領に就任した。新しい時代を先導し、確立された秩序を破壊し、彼が“このアメリカの大虐殺”と呼んでいるアメリカの衰退をひっくり返すことを誓った。トランプ氏は、権力への顕著な出世を表わした式典で、失われた偉大さを取り戻すために国民勃興のリーダーになるといった。彼は、経済の流出や外国の搾取といった”破壊“のよってもたらされたアメリカの暗いビジョンを概観し、それらをひっくり返す大胆なアプローチを求めた)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Donald Trump Strikes Nationalistic Tone in Inaugural Speech – Historians and speechwriters call the address one of the most ominous entrances ever, reinforcing familiar campaign themes of American decline –“(ドナルド・トランプ氏、就任演説で、ナショナリスティックな調子を打ち出す - 歴史家やスピーチライターは、その就任演説をこれまでで最も不吉なスタートの一つだとし、アメリカの衰退という大統領選挙運動期間中の慣れ親しんできたテーマを強化したものだったといっている)という見出しで、”President Donald Trump delivered what historians and speechwriters said was one of the most ominous inaugural addresses ever, reinforcing familiar campaign themes of American decline while positioning himself as the protector of the country’s “forgotten men and women”(トランプ大統領は、歴史家やスピーチライターたちがこれまでで最も不吉な就任演説の1つだといっている就任演説を行い、アメリカの衰退という大統領選挙運動期間中慣れ親しんだテーマを強化し、自らをアメリカの“忘れられた男女”の擁護者だと位置づけた)と報じました。

『The Washington Post』紙は、”Trump takes office, vows an end to ‘American carnage’”(トランプ氏、大統領に就任、’アメリカの大虐殺‘に終止符を打つと誓う)という見出しで、”Donald John Trump was sworn in Friday on the nation’s 45th president and delivered a fiery nationalist manifesto that promised a populist restoration by stripping power from Washington’s elites and ending an era of “American carnage.” Framing his ascension as transformational and global in its impact, Trump delivered a dark inaugural address in which he pledged fealty to all Americans. But he made little overt attempt to soothe a nation still wounded from arguably the ugliest election season of modern times and signaled that he intends to govern as if waging a permanent political campaign”(ドナルド・トランプ氏は、アメリカの第45代大統領に就任し、ひどくナショナリスティックな政策を発表し、ワシントンのエリートから権力を奪還し、”アメリカ大虐殺“の時代を終わらせることによって、国民の復興を約束した。トランプ氏は、彼が大統領までのぼりつめたことが様々形で世界的な影響を与えたが、暗い就任演説を行い、すべてのアメリカ国民に忠誠を誓った。しかし、彼は、おそらく近代で最も醜い大統領選挙から依然として傷ついている国民を慰めようとするような公然とした試みはせずに、あたかも永遠の政治的キャンペーンをしているかのように、統治していくつもりであることを示唆した)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Trump becomes 45th President of the United States”(tランプ氏、アメリカ第45代大統領に就任)という見出しで、”Donald Trump became the 45th President of the United States on Friday, vowing to drain power from Washington elites and always put “America first” in its dealings with the world at a moment of transformative political change. ・・・・Trump’s inaugural address centered on the themes that animated his stunning outsider campaign, which shattered political conventions and gave voice to heartland voters who felt badly let down by professional politicians”(ドナルド・トランプ氏は、アメリカの第45代大統領に就任し、ワシントンのエリートから権力を奪還し、さまざまな政治的な変化の時代に世界に対処するのに“アメリカ第一”主義をいつも貫くことを約束した。・・・・トランプの就任演説は、ひどくアウトサイダー的な選挙運動に似たテーマに集中したもので、政治集会を粉砕し、職業的政治家によってひどく痛みつけられた支持者の中心的な有権者に発言権を与えた)と報じました。


その他の国々

ロシアの『TASS』通信は、”Trump’s inaugural address: When America is united, America is totally unstoppable”(トランプ大統領の就任演説:アメリカは結束した時に、アメリカは、止められない)という見出しで、“The current change of government in the United States means transferring power back to the American people, the United States’ 45th President Donald Trump said in his inaugural speech on Friday”(アメリカの第45代大統領ドナルド・トランプ氏は、アメリカにおける現在の政変は、権力がアメリカ国民に戻ったことを意味すると述べた)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Commentary - As Trump takes office, cooperation best option for U.S.-China ties, global interests”(解説:トランプ氏が大統領に就任したので、協力ということが米中関係や世界の権益にとって最善の選択肢だ)という見出しで、”Donald Trump became the new U.S. president on Friday. He deserves to be congratulated for assuming such a critical office at such a critical moment. The world expects him to deal with the U.S. and global challenges with discretion and wisdom, and give full play to China-U.S. cooperation to conquer the hardships. As a renowned and savvy businessman, the new leader in Washington knows more than anyone else the merits of a sound China-U.S. partnership. Therefore, he surely knows that investment from Chinese business benefits the U.S. economy and could help create more jobs for the country”(ドナルド・トランプ氏が新しいアメリカの大統領になった。彼は、こんなに重要な時期にこんなに重要なポストについたことで祝福を受けるに値する。世界は、彼が思慮深さと賢明さをもって、アメリカや世界の挑戦に対応して難しさを乗り越え、米中間の協力で十分な役割を果たすことを期待している。ワシントンの新しいリーダーは、有名で物わかりのよいビジネスマンとして、誰よりも健全な米中のパートナーシップの良い点を知っている。従って、彼は、中国のビジネス界からの投資がアメリカ経済に恩恵をもたらし、アメリカのためにより多くの雇用をもたらすことをよく知っている)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”President Trump begins overhaul as first executive orders signed”(トランプ大統領、最初の大統領令に署名してオーバーホール開始)という見出しで、”Donald Trump has taken his first steps as president, signing an executive order which targets the signature health care reforms of his predecessor. His proclamation ordered agencies to ease the economic burden of the laws known as Obamacare”(ドナルド・トランプ氏は、大統領令に署名して大統領としての一歩を歩みだした。それは、彼の前任者(オバマ前大統領)の医療保険制度改革に関するものだ。彼の宣言は、関係諸機関にオバマケアといわれる法律の経済的負担を軽減するよう命じている)と報じました。













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861.英首相、EUの単一市場から完全撤退表明ー2017.1.17 [国際ーヨーロッパ]


(a) 日本語のニュース

イギリスのメイ首相は、17日、ロンドンで演説し、イギリスのEU=欧州連合からの離脱に関する基本方針を示し、「EUの単一市場に留まることはできない」と述べ、域内の人やモノ、サービスの自由な移動や取引を認める単一市場からの完全撤退を表明しました。
そして、移民制限や国境管理などのイギリスの権利回復を優先する考えを示しました。
メイ首相は、イギリスは、EU離脱後にEUと包括的な自由貿易協定の締結を目指し、製造業や金融業などが単一市場に最大限アクセスできるように交渉すると強調し、EU域内の無関税の取引を続けるために新たな関税合意が必要になるとも語りました。
メイ首相は、イギリスがEUから離脱後、新たな体制が整うまでの段階的な移行措置を求める考えを示しました。
また、イギリスとEUとの原則2年間の交渉が妥結した際には、最終案をイギリスの上下両院の採決にかけて是非を問う考えも同時に示しました。
メイ首相は、「EU離脱は、よりグローバルなイギリスを築くチャンスだ」と強調しました。

(b) ニュースの背景

イギリスのEU=欧州連合からの離脱は、Brexit という言葉で表されます。これは、Britain(イギリス)とExit(出口、離脱)の合成語です。
EU離脱の是非を問うイギリスの国民投票は2016年6月行われ、離脱が51.9%、残留が48.1%で、離脱派が勝利しました。これを受けて、残留を主張してきたキャメロン首相が、辞意を表明、7月内相から保守党党首に選ばれ首相になったメイ氏が離脱交渉を率いることになりました。ヨーロッパ大陸と地続きでないイギリスは、EUに参加しながらも共通通貨ユーロを採用せず、EUと一線を画してきました。それは、世界の金融街シティを有し、英連邦の共通通貨であるポンドを使用していることも大きい。さらにEU域内の移動の自由を定めたシェンゲン協定にも参加していません。
英連邦は、かつての大英帝国の植民地の名残りというだけでなく、53か国が加盟するゆるやかな国家連合でもあり、その規模はEUを超える巨大な経済圏でもあります。
今回の国民投票で離脱派が勝利したのは、東欧などほかのEU加盟国からの移民の流入に対するイギリス国民の不満や懸念が増大していたことが要因の1つだといわれていますが、自国のことは自分たちで決めたいという意思の表れと見ることもできます。
今後の焦点は、3月末までに正式に始まるイギリスとEUの離脱交渉に移ります。離脱の条件やイギリスとEUの新しい関係を取り決める離脱交渉がどう展開していくか、両者の間だけでなく、世界経済にも大きな影響を与えることになるので世界的な注目を集めています。

(c) 英語のニュース

British Prime Minister Theresa May says that Britain will seek a complete withdrawal from the European Union, when it exits the bloc.
She made this remark in her Brexit speech in London on Tuesday to outline her government’s strategy for leaving the EU.
Ms. May promised to seek the greatest possible access to European market, but said that Britain will aim to establish its own free trade deals with countries far beyond Europe, and impose limits on immigration from the continent.
Britain plans to start the two-year exit negotiations with the EU by the end of March. The negotiations are expected to be one of the most complicated talks in post-World War Two European history.

(d)ニュースの比較研究

イギリスのメイ首相がEU=欧州連合単一市場からの完全撤退を表明したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく伝えました。
イギリスのメディアの報道を紹介しましょう。

『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Brexit: UK to leave single market, says Theresa May”(イギリスのEU離脱:メイ首相、イギリスは単一市場からの撤退を表明)という見出しで、”Theresa May has said the UK “cannot possibly” remain within the European single market, as staying in it would mean “not leaving the EU at all. The PM promised to push for the “freest possible trade” with European countries and warned the EU that to try to “punish” the UK would be “an act of calamitous self-harm. She also said Parliament would vote on the final deal that is agreed”(メイ首相は、EUの 単一市場に留まることは、“EUを完全に離脱したことにはならない”ことを意味するので、EUの単一市場に留まることは、”恐らくできない“と述べた。首相は、ヨーロッパ諸国と”最も自由な貿易“を推し進めていく約束をした。そして、EUに対して、イギリスを”罰しよう“とすることは、”ひどく自虐的な行為“だと警告した)と報じました。

『REUTERS』通信は、”Britain to leave EU market as May sets ‘hard Brexit’ course”(イギリス、メイ首相が“難しい離脱のコース”を設定し、EUの市場を離脱へ)という見出しで、”Britain will quit the EU single market when it leaves the European Union, Prime Minister Theresa May said on Tuesday in a decisive speech that set a course for a clean break with the world’s largest trading bloc”(メイ首相は、世界の最大の貿易圏であるEUと明確に断絶するコースを設定する重要演説を行い、イギリスがEUを離脱する時、EUの単一市場から離脱すると述べた)と報じました。

『The Guardian』紙は、”Theresa May to confirm UK exit from EU single market”(メイ首相、イギリスはEUの単一市場から離脱することを確認)という見出しで、”Theresa May is expected to use the most important speech of her premiership to confirm that Britain will be leaving the single market while insisting that it wants to remain “the best friend” to European partners”
(メイ首相は、首相として最も重要な演説を行い、イギリスがEUの単一市場から離脱することを確認し、一方でヨーロッパのパートナーたちと”最も良い友だち“のままでいたいと主張する)と報じました。







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860.昨年の外国人旅行者の消費額過去最高ー2017.1.17 [経済]


(a) 日本語のニュース

昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者が買い物や宿泊などに消費した金額は、3兆7400億円余りで過去最高を記録しましたが、1人当たりの消費額は、およそ15万5900円で前の年に比べて大幅な減少になりました。
政府の観光庁が17日発表した訪日外国人消費動向調査によりますと、日本を訪れた外国人旅行者が、昨年1年間に買い物や宿泊などに消費した金額は、3兆7476億円と、前の年より7.8%増えて、4年連続で過去最高を更新しました。これは、日本を訪れた外国人旅行者が昨年初めて2000万人を突破するなど大幅に増えたことによるものです。国・地域別では、中国人が1兆4700億円で全体の4割を占めて最大、次が台湾人が5200億円、韓国人が3500億円となっています。
しかし、外国人旅行者の1人当たりの消費額は、15万5896円と過去最高だったおととしを11.5%下回る大幅な減少になりました。これは、特に、中国政府が海外の土産物の関税を引き上げたことや中国でインターネットで海外の商品を買う習慣が広がったことなどから、中国からの旅行者の平均の消費額が前の年に比べて18.4%も落ち込み、いわゆる爆買いが減ったためです。
中国からの旅行者の数の伸びは堅調で、昨年は637万人で前の年に比べて27.6%増えて2年連続で最多、全体の26.5%を占めています。しかし、日本を訪れる中国人は富裕層から中間所得層に広がりつつあり、このことが消費額の伸び悩みにつながる一因とみられています。

(b) ニュースの背景

観光庁のHPによると以下の通り。

国籍・地域別に旅行消費額をみると、中国が1兆4754億円(構成比39.4%)と最も大きい。次いで、台湾5246億円(同14.0%)、韓国3578億円(同9.5%)、香港2947億円(同7.9%)、米国2130億円(同5.7%)の順になっており、これら上位5か国で全体の76.5%を占めた。

国籍・地域別に1人当たりの旅行支出をみると、オーストラリアが最も高く(24万7千円)、次いで中国(23万2千円)、スペイン(22万4千円)の順で高い。中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅になった。

(c) 英語のニュース

The number of foreign visitors to Japan and their spending both marked all- time high last year.
The government’s tourism agency says that the number of visitors to Japan from overseas rose 21.8 percent to 24.04 million in 2016 and their spending grew 7.8 percent to 3.75 trillion yen or 33 billion dollars.
It attributes the 2016 rise in spending to the expansion of duty-free items, relaxed visa requirements for tourists and the slowdown to a stronger yen.
Chinese travelers spent an estimated 1.48 million yen last year – 39.4 percent of the total – followed by travelers from Taiwan and South Korea.
Average spending per visitor fell 11.5 percent from a year earlier to 155,896 yen. This is mainly due to slowdown in Chinese on “bakugai” shopping sprees.

(d)ニュースの比較研究

昨年の外国人旅行者の消費額が過去最高のニュースについては、日本のメディアは報道しましたが、外国のメディアは報道していません。





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859. 日米地位協定の補足協定に調印ー2017.1.16 [政治ー外交、防衛、国際ーアメリカ]


(a) 日本語のニュース

日米両政府は、日米地位協定でアメリカ側に優先的に裁判権が与えられている在日アメリカ軍属の範囲を明確にする補足協定に署名しました。
これは、昨年沖縄県で元アメリカ海兵隊の軍属が逮捕された殺人・強姦致死事件を受けて、日米両政府が在日アメリカ軍属の範囲を明確化する協議を続けた結果まとまったもので、16日東京で岸田外相とケネディア駐日大使が署名し、即日発効しました。
補足協定では、アメリカ側に優先的に裁判権が認められている軍属の範囲を明確に定めていて、具体的には、アメリカ軍の船舶などを運航するために雇われた民間人やアメリカ側に福利厚生のサービスを提供する赤十字などの機関に勤める人など8つの種別に限定するとしています。さらに、アメリカ軍と契約関係にある企業の従業員は、アメリカ軍の任務に不可欠で、高度な技能や知識があるなどとした適格性の基準も定めています。
署名式で、岸田外相は、「補足協定を着実に実施することで、在日アメリカ軍の軍属に対する管理監督が一層強化され、事件事故の再発防止につながることを期待する」と述べました。
一方、沖縄県の翁長知事は、「県としては、アメリカ軍基地をめぐる諸問題を解決するためには、アメリカ側に裁量を委ねる形となる日米地位協定の運用改善だけでは不十分で、協定を抜本的に見直す必要があると考えており、今後も日米両政府に協定の見直しを粘り強く求めていく」と述べています。

(b) ニュースの背景

日米地位協定というのは、正式には、「日本国とアメリカ合衆国の間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」といいます。
日米安全保障条約に基づいて、在日アメリカ軍の権限などを定めています。アメリカ軍の基地内での管理権(第3条)や基地の外での警察権(第17条)を認め、アメリカ兵らの犯罪について日米両国の裁判権が競合する場合の第1次裁判権は公務執行中の場合は、アメリカ軍が、その他は日本側が持つこと(同)などを規定しています。運用などについては、日米両政府でつくる日米合同委員会で協議することになっています。

日米地位協定の補足協定は、日米合同委員会が定めた軍属の種別が8つ規定してあり、①アメリカ政府予算で雇用される文民、②アメリカ政府の歳出外資金で雇用される文民③アメリカ軍が運航する船舶などの文民、④アメリカ軍に福利厚生サービスなどを提供する機関の被雇用者、⑤アメリカ軍以外のアメリカ政府の被雇用者、⑥アメリカ軍が契約する企業の被雇用者、⑦軍用銀行の被雇用者、⑧日米合同委員会で特に認められる者と定められています、

(c) 英語のニュース

Japan and the United States have signed a pact to limit legal protection for American civilians working at U.S. military bases in Japan.
Japanese Foreign Minister Fumio Kishida and U.S. Ambassador to Japan Caroline Kennedy signed the supplementary pact of the bilateral status of forces agreement in Tokyo on Monday.
The signing of the pact which follows the arrest last year. of a U.S. base contractor over the death of an Okinawan woman, supplements the bilateral status of forces agreement that limits Japan’s criminal jurisdiction over U.S. base personnel.
Under the supplementary pact, the definition of civilian worker is restricted to 8 categories. It includes people hired to operate military vessels, Red Cross Society workers and other providers of health and welfare services to the military.
The pact also introduces qualification criteria for employees of companies that have contacts with the military.
At a signing ceremony, Japanese Foreign Minister Kishida said he hopes the pact will contribute to preventing any recurrence of criminal cases and accidents involving civilian U.S. base personnel.

(d)ニュースの比較研究

日米両政府、日米地位協定の補足協定署名のニュースについては、日本のメディアは、報道していましたが、外国のメディアで報道したのは、わずかでした。そのうちの1つを紹介しましょう。

アメリカ軍の『Stars and Stripes』紙は、“US, Japan finalize agreement narrowing SOFA for contractors”(アメリカと日本、契約者への地位協定の適用縮小で協定締結)という見出しで、”The United States and Japan signed an agreement Monday that could end Status of Forces Agreement coverage for some military contractors without specialized skills. The SOFA supplemental agreement negotiations were made public last year, shortly after a former Marine working as a cable company employee in Okinawa was arrested on charges that he raped and killed a 20-year-old Japanese woman” (アメリカと日本は、特殊技能を持たない軍の契約者の一部への地位協定の適用をやめる協定に調印した。地位協定の補足協定の交渉は、昨年、沖縄でケーブル会社の従業員として働いていた元海兵隊員が、20歳の日本人女性を暴行し殺害した直後に明らかになった)と報じました。

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858. 東京・豊洲市場地下水調査で有害物質、移転遅れ必須ー2017.1.14 [社会]


(a) 日本語のニュース

東京・築地市場から豊洲市場へ移転する時期を決めるうえで重要な豊洲市場の地下水調査で、環境基準を超える有害物質が検出され、移転は、さらに延期される可能性が出てきました。
東京都は、安全性を確認する地下水調査を2年間続けてきましたが、昨年11月から12月にかけて行われた9回目の調査結果を14日公表しました。それによりますと、調査を行った200か所のうち、およそ70か所で環境基準を超える有害物質が検出されました。このうち、ベンゼンが最大で環境基準の79倍、ヒ素が3.8倍がそれぞれ検出され、検出されないことが環境基準となるシアンが検出されました。
豊洲市場の地下水調査では、1回目から7回目までは、環境基準を上回る有害物質は検出されず、昨年公表された8回目は、基準をわずかに上回るベンゼンとヒ素が検出されました。
なお、環境基準というのは、環境省が定めた基準で、1日2リットルの地下水を70年間飲み続けても健康に有害な影響がない濃度のことです。
豊洲市場への移転をめぐっては、東京都の小池百合子知事は、昨年8月都知事選挙で当選後、地下水調査が終わっていないことなどの理由から、築地市場からの移転を延期した経緯があり、当時、知事は、安全性が確認できれば、2017年冬から2018年春の間に移転するとしていましたが、今回の調査結果で、新たな調査を行う必要が出てきたことから、移転は、さらに遅れる可能性がでてきました。

(b)ニュースの背景

築地市場の豊洲移転をめぐる経緯
1935年に開場した築地市場は、施設の老朽化が進み、東京都は、用地不足解消を目指し、2001年豊洲へ移転を決定。総事業費の見積もりは当初3900億円でしたが、2016年2月時点で5884億円にふくれあがりました。また、移転先の土壌からヒ素やベンゼンなど高濃度の有害物質が検出され、土壌改良費用の増加などの問題がでてきました。
2014年に汚染対策工事が完了し、当時の舛添要一知事が安全宣言をし、豊洲市場開場を2016年11月に決定しました。
しかし、2016年初当選した小池百合子知事が、安全性への懸念、巨額で不透明な費用、情報公開不足などを理由に移転延期を発表、その後、東京都が、主な施設の下に土壌汚染対策の盛り土をしていないことが判明、環境影響評価の見直しなど安全性を確認するため、さらに移転時期が延期されることが予想されていた中で、今回の地下水の調査結果が明らかになって、新たな調査が必要になり、さらに移転延期の可能性がでてきました。

(c)英語のニュース

Toxic chemicals far exceeding the national environmental standards have been again detected in groundwater at the proposed site of Tokyo’s new wholesale market in Toyosu.
The Tokyo metropolitan government says that this was contained in the 9th round of its survey on groundwater in the Toyosu market.
According to the survey results, benzene was detected at a level as high as 79 times the limit, while cyanide, an impermissible substance, was also found.
The first 7 surveys cleared the national environmental standards, but in the 8th test, 2 toxic chemicals – benzene and arsenic – were detected in groundwater samples at levels slightly exceeding the allowable limits.
The latest 9th finding is expected to delay Tokyo Governor Yuriko Koike’s decision on whether allow the planned market relocation to proceed, because more surveys will be needed. The governor had already postponed the relocation originally scheduled for last November to address safety concerns over the new site of Toyosu. Tokyo has a plan for the relocation of the famous but aging Tsukiji market in Chuo Ward to the Toyosu site in Koto Ward, which formerly hosted a gas factory.

(d) ニュースの比較研究

豊洲市場地下水から基準の79倍のベンゼン検出、移転遅れも、のニュースについては、日本のメディアは、トップニュースで伝えましたが、外国のメディアは、ほとんど報道していません。

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