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792. ブラジルのルセフ大統領、罷免ー2016.9.1 [国際ー中南米]

(a) 日本語のニュース

ブラジル議会上院は、政府会計の不正操作に関わったとされるルセフ大統領をめぐる弾劾裁判で罷免することを決めました。
弾劾裁判で大統領が罷免されるのは、ブラジル史上初めてのことです。
ブラジル上院は、ルセフ大統領が政府会計の不正操作にかかわったとして、弾劾をめぐる審議を続けてきましたが、31日弾劾裁判の審理を終え、採決を実施しました。
採決は、上院全議員81人のうち、罷免に賛成したのは、61人、反対したのは20人で、賛成した議員の数が罷免に必要な議員定数の3分の2以上に達したことから、ルセフ大統領は、罷免されることになりました。
ルセフ氏は、政府会計の状況を良好に見せるため、農業融資などを国営銀行に肩代わりさせたと認定され、失職に値すると判断されたものです。
ルセフ氏が失職したあとは、副大統領のテメル氏が大統領に昇格し、ルセフ氏の残りの任期である2018年末まで大統領をつとめることになります。

ルセフ氏は、法律の規定で今後8年間被選挙権が剥奪され、公職に就くのも禁止されるはずでしたが、この日ルセフ氏を支持する議員たちの要請で、この規定を適用するかを問う異例の採決が行われ、賛成する議員の数は、42人と議員定数の3分の2に届かず、ルセフ氏は、被選挙権の剥奪を逃れました。

罷免された直後、ルセフ氏は、首都ブラジリアにある大統領公邸で記者団に対し、「ブラジルと国民に対するクーデターだ。議会上院は、歴史に刻まれる大いなる不正義の選択を行った」とはげしく非難し、「私たちは必ず戻ってくる」と述べ、今後もブラジルの政治に関わっていくことに意欲を示しました。

(b) ニュースの背景

ルセフ(Dilma Vana Rousseff)は、1947年生まれ、軍事独裁政権下、16歳で反体制活動に加わり、1970年代には3年間投獄されました。リオグランデドスル大学卒(経済学)。1993年リオグランデドスル州鉱業・エネルギー・通信相、2001年労働党入党。2003年発足のルラ政権で鉱業・エネルギー相、2005年~2010年官房長官。2010年10月の大統領選挙で当選し、2013年1月就任、任期は4年。2014年10月の大統領選挙決選投票で再選、2015年1月就任。2015年末から議会で弾劾手続きが始まり、今年5月から職務停止中でした。

テメル(Michel Temer)は、1940年生まれ、サンパウロ大学ロースクール、サンパウロ・カトリック大学卒、憲法学者で弁護士や大学教員を経て、40代で政界入り。2001年からブラジル民主運動党党首。同党は、ルセフ氏の労働党と連立を組み、2011年ルセフ氏が大統領就任とともに、テメル氏は副大統領に就任。テメル氏の民主運動党が2016年3月連立政権から離脱し、今回の弾劾成立の流れを作りました。、同年5月ルセフ大統領が弾劾を受け180日間の職務停止なったため、副大統領のテメル氏が大統領代行に就任。就任と同時に新しい閣僚名簿を発表しましたが、閣僚に女性や黒人が一人もいないことで国内外から批判されました。さらに、国営石油会社が絡む大規模汚職への関与が疑われている政治家5人が入閣しており問題になっています。

(c)英語のニュース

Brazil’s Senate has voted to remove President Dilma Rousseff from office for alleged involvement in manipulating government accounts.
She is the first Brazilian president to be impeached. Ms Rousseff had denied the charge.
On the final day of her impeachment on Wednesday, senators took the case to a vote. 61 senators voted in favor of her dismissal and 20 against, meeting the two-thirds majority needed to remove her from the presidency.
It puts an end to the 13 years in power of her left-wing Workers Party.
Conservative vice president Michel Temer,, who has run the country as acting president since Ms Rousseff’s suspension in May, was sworn in as president. He will serve out Ms Rousseff’s term until the end of 2018.

Senators supporting Ms Rousseff called a separate vote on whether to bar her from public office for 8 years, as stimulated by the impeachment law. Less than two-thirds of senators supported the 8-year ban, giving Ms Rousseff a chance to make a comeback.
President Rousseff, speaking to reporters, condemned the Senate’s voting on her dismissal and expressed eagerness to make a political comeback.

(d)ニュ^スの比較研究

ブラジル議会上院がルセフ大統領の罷免を決めたニュースについては、注目されていたニュースだけあって、日本のメディアも外国のメディアも詳しく報道しました。
アメリカの主なメディアの報道を紹介しましょう。

『The Associated Press』通信は、”Brazil senate votes to remove President Rousseff”(ブラジル上院、ルセフ大統領の罷免を可決)という見出しで、”Brazil’s Senate on Wednesday voted to remove President Dima Rousseff from office, the culmination of a year-long fight that paralyzed Latin America’s most powerful economy and exposed deep rifts among its people on everything from race relations to social spending”(ブラジル上院は、ルセフ大統領を罷免することを可決した。それは、ラテン・アメリカで最も強力な経済を混乱に陥れ、人種関係から社会保障費に至るまであらゆることについて国民の間の深い亀裂を露呈することになった1年間にわたる葛藤の結果なのだ)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Dilma Rousseff Ousted in Historic Brazil Impeachment Vote – Leftist leader’s removal puts Michel Temer in power through 2018 as nation’s deep political and economic problems persist”(ルセフ大統領、ブラジルの歴史的弾劾裁判の票決で罷免―ブラジルの深刻な政治・経済問題が続く中で、左翼のリーダー(ルセフ氏)が失脚し、テメル氏が2018年まで政権の座につく)という見出しで、”Dilma Rousseff, a former leftist guerrilla who defied a dictatorship but struggled as Brazil’s president amid a troubled economy and a fractious political climate, was removed from office Wednesday following an impeachment trial she condemned as a coup d’ etat”(ジルマ・ルセフ氏は、以前左翼ゲリラで、独裁政権と戦い、そして、困難な経済と難しい政治状況の中で、ブラジルの大統領として戦ってきた。そして、弾劾裁判で大統領を罷免されたのだ。ルセフ氏は、それをクーデターだと非難している)と報じました。

『The Washington Post』紙は、”Brazilian President Dilma Rousseff ousted in impeachment vote”(ブラジルのルセフ大統領、弾劾裁判の票決で罷免)という見出しで。”President Dilma Rousseff was stripped of her office Wednesday in the culmination of a political crisis that has left Latin America’s largest nation adrift, with an economy in deep recession and a public sharply divided over the country’s future”(ルセフ大統領は、政治的な危機の結果、大統領職を奪われた。それは、経済がひどい景気後退に陥り、国の将来について世論が真っ二つに割れ、ラテン・アメリカ最大の国がさまよっているのだ)と報じました。





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734. ブラジル議会下院、ルセフ大統領の弾劾可決ー2016.4.19 [国際ー中南米]

*2016.4.23の阿佐谷のテキスト*(713~715)

(a) 日本語のニュース

ブラジルでは、政府会計の不正操作に関わったと批判されているルセフ大統領について、議会下院は、17日、弾劾すべきだとする決議を全議員の3分の2以上の賛成で承認しました。
これは、全議席513のうち賛成が367、反対が137、棄権が7、欠席が2で、法律が定める3分の2以上の可決条件を満たしたためです。
一方、ルセフ大統領は、18日記者会見し、下院の決定に「怒りを覚える」と強く反発し、みずからが行った会計処理は歴代の政権も行っていたもので、不正ではないとし、辞任を否定し、弾劾阻止に向けて戦う構えを示しました。

弾劾決議については、上院が、5月中旬に採決を行う予定で、可決される可能性が高いとされており、上院の過半数が賛成すれば、ルセフ氏は、180日間の職務停止処分になります。
その間、上院に弾劾法廷が設置され、3分の2以上が有罪と判断すれば、ルゼフ氏は、罷免されることになります。
ルセフ氏が罷免されれば、ブラジル民主運動党のテメル副大統領が大統領に昇格することになります。
ルセフ氏は、財政赤字を実際よりも少なくみせるために、政府会計の粉飾に関わったと批判されており、当初は、ルセフ氏が率いる労働党を中心とした連立政権は、議会で過半数を維持していましたが、3月に最も多い議席を持つブラジル民主運動党が政権を離脱し、ほかの政党も離れていき、政権の弱体化が明確になっていました。
17日には、リオデジャネイロ、首都のブラジリアなどブラジル各地で、大統領弾劾に賛成派と反対派のデモが行われ、40万以上が参加し、激しく対立しました。
ブラジルでは、8月にリオデジャネイロで開かれる南米初のオリンピックを前に大きな政治的混乱が生じることになります。

(b)ニュースの背景

ルセフ(ジルマ・バナ Dilma Vana ROUSSEFF)
ブラジル大統領。1947年ミナスジェライス州ベロオリゾンテ生まれ。軍事独裁政権下、16歳で反体制活動に加わり、1970年代には3年間投獄。リオグランデドスル連邦大卒(経済学)、1993年リオグランデドスル州鉱業・エネルギー・通信相、2001年労働党入党。2003年発足のルラ政権で鉱業・エネルギー相、2005年~2010年官房長官。2010年10月の大統領選挙で当選し、2011年1月就任。2014年10月大統領選挙決選投票で再選。2015年1月2期目就任。
大統領は、直接選挙制。任期4年。連続再選1回可能。

議会
上院は、26州と連邦地区(首都ブラジリア)に各3議席の計81議席。任期8年。4年ごとに3分の1と3分の2議席を改選。
下院は、各州、連邦地区から人口に応じて選出し計513議席。各州は最低8議席で、最大のサンパウロ州の上限は70議席。任期4年。
2014年10月上院の3分の1の改選と下院選挙実施。
与野党とも各政党の討議拘束力は弱く、所属政党や与野党の構成は頻繁に変わります。
主要政党の議席数(2016年1月現在)
ブラジル民主運動党―上院 18、下院 67
労働党―上院 13、下院 59
ブラジル社会民主党―上院 11、下院 53
進歩党―上院 6、下院40

(c)英語のニュース

Brazil’s lower house of Congress has voted for the impeachment of President Dilma Rousseff, who has been accused of being involved in the manipulation of government accounts.
The vote, held on Sunday, was 367 to 137 with 7 abstentions. Two deputies were not present.
The total easily surpassed the two-thirds majority required to send the proceeding to the Senate.
Meanwhile, President Rousseff has vowed to fight moves to impeach her.
At a news conference on Monday, the president said she is indignant over the vote. She said that previous administrations used the same fiscal maneuvers and denied doing anything illegal. She said she will fight against the impeachment moves and never resign.

The Senate is now expected to vote next month whether to convene an impeachment trial against the president.
If the Senate votes in favor of setting up the court, President Rousseff would be suspended from duty during the trial. Vice President Michel Temer would assume the presidency.

(d)ニュースの比較研究

ブラジルの議会下院が、ルセフ大統領の弾劾を可決したニュースについては、日ごろは中南米のニュースをあまり扱わない日本のメディアも、8月にリオデジャネイロ・オリンピックが開かれることもあって、大きく取り上げていました。外国のメディアは、オリンピックとは無関係で報道していました。特に、アメリカのメディアは、中南米は、アメリカの「裏庭」といわれるだけあって、密接な関係にあり、その中の大国ブラジルだけに、詳しく伝えていました。
主なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『The Wall Street Journal』紙は、”Brazil Lower House Votes to Impeach President Dilma Rousseff”(ブラジルの下院、ルセフ大統領の弾劾を可決)という見出しで、”In a historic and emphatic repudiation of President Dilma Rousseff, Brazil’s lower house of congress voted on Sunday to impeach the embattled leftist leader, whose popularity has plunged as the nation has fallen into recession and political paralysis”(ブラジルのルセフ大統領に対する歴史的で明確な拒否という形で、ブラジルの議会下院は、この困難な問題を抱えた左派の指導者を弾劾することを可決した。ブラジルは、景気後退と政治的混乱の中にあり、大統領の人気は、がた落ちだ)と報じました。

『The New York Times』紙は、”Brazil’s Lower House of Congress Votes for Impeachment of Dilma Rousseff”(ブラジルの議会下院、ルセフ大統領の弾劾を可決)という見出しで、”Brazilian legislators voted on Sunday night to approve impeachment of Dilma Rousseff, the nation’s first female president, whose tenure has been buffeted by a dizzying corruption scandal, a shrinking economy and spreading disillusionment”(ブラジルの議員たちは、ブラジルの最初の女性大統領であるルセフ大統領の弾劾を承認することを可決した。その在任期間は、めまぐるしい汚職スキャンダル、縮小する経済、拡大する幻滅によって打撃を受けたのだ)と報じました。

『Los Angeles Times』紙は、”Brazil’s lower house clears way for President Dilma Rousseff’s impeachment”(ブラジル議会下院、ルセフ大統領の弾劾への道開く)という見出しで、”Brazil’s lower house of Congress voted Sunday to impeach President Dilma Rousseff, setting the stage for her removal from office and a battle over the political future of Latin America’s most populous country”(ブラジルの議会下院は、ルセフ大統領の弾劾を可決して、大統領の解任とラテン・アメリカで最も人口の多い国(ブラジル)の政治的将来をめぐる争いの場を設けることになった)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、Brazil’s lower house votes for Dilma Rousseff(s impeachment”(ブラジルの下院、ルセフ大統領の弾劾を可決)という見出しで、”Brazilian lawmakers shouted, scuffed and even sang as they debated whether to impeach the country’s President on Sunday. And after more than six hours of voting and fiery speeches, the results didn’t fall in President Dilma Rousseff’s favor”(ブラジルの議員たちは、大統領を弾劾すべきかどうかを討論している時、叫んだり、足をならしたり、歌う者さえいた。そして、投票と熱弁をふるう演説が6時間以上も続いたあと、結果は、ルセフ大統領にとっていいものではなかった)と報じました。

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733. エクアドルで地震、死者654人にー2016.4.25(最新版 4.25 12:00現在) [国際ー中南米]

*2016.4.23の阿佐谷のテキスト*(732~735)

(a) 日本語のニュース

南米のエクアドルの太平洋岸で、16日大きな地震があり、25日までに死者は654人にのぼり、行方不明は58人、けが人は、1万6000人に上っています。
エクアドルでは、16日夜、北部の太平洋沿岸で、マグニチュード7.8の地震がありました。エクアドル政府は、大きな揺れを観測した6つの州に非常事態を宣言しました。
被災地では、多くの建物が倒壊しており、依然として多くの住民が倒壊した建物に閉じ込められており、死傷者の数は、さらに増えるものとみられています。
エクアドルでは、およそ600人が死亡し、およそ2万人がけがをした1979年の地震以来の大規模な地震だということです。

(b) ニュースの背景

エクアドル(Ecuador)は、南米大陸の北西に位置し、太平洋に面しています。エクアドルという国名は、スペイン語で「赤道」を意味し、文字通り国土の北部を赤道が通っています。面積は、27万2000平方キロで、日本の本州と九州を合わせた広さ、人口は、1614万4000人で、日本のほぼ10分の1です。
首都は、キト(Quito)、住民は、先住民と白人の混血が約8割、宗教は、カトリックが約9割、公用語は、スペイン語。
西に900キロ以上離れたガラパゴス諸島を領有しています。この地域の動物は、この地域だけに棲息する固有種が多いことで有名で、特に爬虫類と留鳥はほとんどすべて固有種です。
エクアドルの太平洋岸は、サバナ気候、アンデス山脈に挟まれた高原と山脈地帯は、温暖冬季少雨気候、ツンドラ気候、東側のアマゾン源流域へ続く森林地帯は、熱帯雨林気候になっています。
産業は、大土地所有制度による米、トウモロコシ、バナナ、コーヒー豆、カカオ(生産量世界第7位)。エクアドル沖、ガラパゴス沖は、好漁場、石油、天然ガスも生産しています。
政治は、2006年に左派のコレア元経済財務相が大統領に当選し、2007年大統領に就任、南米の他の反米左派政権との関係を深めました。大統領は任期4年で、2013年から3期目に入っています。コレアは、2017年は次期大統領には立候補できませんが、2021年可能になります。
また、2009年エクアドルとアメリカとの基地の10年間の使用協定が期限切れとなり、アメリカ軍は撤退しました。

(c) 英語のニュース

A powerful earthquake has struck off the Pacific coast of Ecuador, killing 654 people with 58 others missing. And 16,000 people have been injured.
The magnitude-7.8 quake occurred on April 16.
The government declared a state of emergency for 6 severely hit provinces.
The government was dispatching at least 10,000 soldiers and firefighters to the disaster areas to rescue people who remain trapped under collapsed buildings.

(d)ニュースの比較研究

エクアドルの地震のニュースについては、日本のメディアも、外国のメディアも報道していましたが、日本のメディアは、圧倒的に熊本地震のニュースを大きく報道し、外国のメディアは、熊本地震よりも大きく扱っていました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。(外電は、日本時間12日午前中までの報道です)

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Ecuador earthquake: Death toll jumps to 272; more than 2,500 injured”(エクアドルで地震:死者 は272人に増え、けが人は2,500人以上)という見出しで、”Rescue crews searched desperately through rubble Sunday for survivors of a magnitude-7.8 earthquake that struck coastal Ecuador.(救援隊は、エクアドルの沿岸を襲ったマグニチュード7.8の地震の生存者をさがして、瓦礫の中を懸命に捜索活動を続けた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”Ecuador earthquake; Deaths rise to 272”(エクアドルで地震:死者の数、272人に増える)という見出しで、”At least 272 people have been confirmed dead and more than 1,500 people injured after Ecuador was hit by its most powerful earthquake in decades”(エクアドルが、この何十年間で最も大きい地震に襲われ、少なくとも272人の死が確認され、1,500人がけがをした)と報じました。

中東・カタールの『Aljazeera』放送は、”Hundreds killed in powerful Ecuador earthquake”(エクアドルの大きな地震で何百人という人が死亡)という見出しで、”The death toll from Ecuador’s strongest earthquake in decades has risen to at least 272, the president said, as rescue teams raced to dig out people trapped under rubble in shattered towns”(エクアドルの大統領は、この何十年間で最も大きい地震の死者は、272人に上ったと発表した。救援チームは、破壊された町で瓦礫の下に閉じ込められた人々を掘り出すために懸命な作業を続けた)と報じました。
















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324.ブラジルで100万人の抗議デモ、大統領の訪日延期ー2013.6.20 [国際ー中南米]

(a)日本語のニュース

ブラジルでは、来年のサッカー・ワールドカップへの巨額の予算投入や物価高騰などに反発する抗議デモが続いているため、ルセフ大統領は、26日から28日に予定していた日本訪問を延期しました。
現在サッカーのコンフェデレーションカップが開かれているブラジルでは、来年のワールドカップに向けたスタジアムの建設などよりも、福祉や教育のために予算を投じるべきだと主張したり、物価高騰に抗議するデモが、今月上旬から各都市で続き、20日も大規模なデモが行われ、地元のメディアによりますと、全国100都市以上でこれまでで最も多い100万人以上が参加しました。リオデジャネイロ、首都のブラジリアなどでは、治安部隊や警官隊が催涙弾やゴム弾で強制排除をはかり、これにデモ参加者がはげしく抵抗するなど混乱が続いています。
このため、ブラジルの大統領府は、20日ルセフ大統領の訪日延期を発表したものです。

(b)ニュースの背景

ジルマ・バナ・ルセフ(Dilma Vana Rousseff)は、ブラジルの女性の大統領。1947年生まれ。軍事独裁政権下で16歳の時から反体制活動に参加、1970年代には3年間投獄されました。リオグランデドスル連邦大学卒業(専攻は経済学)。1993年リオグランデドスル州鉱業・エネルギー・通信相、2001年労働党入党、2003年発足したルラ政権で鉱業・エネルギー相、2005年~2010年官房長官、2010年10月大統領選挙の決選投票で当選し、11月大統領に就任しました。大統領の任期は、4年です。

ブラジルでは、ルラ前政権時代、資源価格の高騰などを背景に、未曽有の好景気を実現しました。後継のルセフ大統領は、経済発展を公約に掲げ、ブラジルで開かれる2014年のサッカー・ワールドカップと2016年の夏のオリンピックを成功させ、ブラジルの国際的な地位を高めたいところでしたが、これらの開催にともなう大規模公費支出、物価の高騰、汚職、教育や医療などの政策に対す大規模な抗議デモが広がり、混乱した状態が続いており、ルセフ大統領が、そうした動きを収拾できるかどうかが焦点になっています。

(c)英語のニュース

In Brazil, large-scale anti-government demonstrations have continued acros the country,and President Dilma Rousseff has postponed her visit to Japan later this month.
Such demonstrations erupted early this month in protest against the government's massive spending on hosting next year's soccer World Cup and price increases.
Local media reports that a recod 1-million protesters demonstrated in more than 100 cities in Brazil on Thursday.
Under such circumstances, the Brazilian presidential office on Thursday announced the postponement of President Rousseff's visit to Japan.

(d)ニュースの比較研究

サッカーのコンフェデレーションカップが行われているブラジルで大規模な抗議デモが続いている動きについては、各国のメディアは、連日報道しています。日本のメディアは、ブラジルのルセフ大統領の訪日延期を伝えましたが、外国のメディアは、ほとんど伝えていません。
特にブラジルの動きに大きな関心を示している欧米のメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Brazil protests:
Dilma Rousseff unveils reforms"(ブラジルの抗議行動:ルセフ大統領、改革を発表)という見出しで、"Brazilian President Dilma Rousseff has unveiled a series of reforms in an attempt to end days of nationwide anti-government protests"(ブラジルのルセフ大統領は、何日も続いている全国規模の反政府抗議行動を終わらせるために一連の改革を明らかにした)と報じました。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"Brazil leaders to meet after 1 million protesters flood streets, violence grows"(ブラジルのリーダー、100万人の抗議行動の人たちが街にあふれ、暴動が拡大したあとで会議を開催)という見出しで、"Brazil awoke Friday to city centers still smoldering after a night that shocked the nation, 1 million protesters took to the streets in scores of cities, with clusters clashing violently with police during anti-government demonstrations. President Dilma Rousseff called a meeting with Cabinet members"(ブラジルでは、全国に衝撃を与えた夜が明けた後都市の中心部には煙がくすぶっていた。これは、100万人もの抗議行動の人たちが何十もの都市で反政府デモの中で警官隊とはげしく衝突した事件だったのだ。これを受けて、ルセフ大統領は、閣議を招集した)と伝えました。









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161.反米のチャベス・ベネズエラ大統領4選ー2012.10.7 [国際ー中南米]

(a)日本語のニュース

南米ベネズエラの大統領選挙は、現職で反米・社会主義者のウゴ・チャベス大統領=58歳が4回目の当選を果たしました。
ベネズエラの大統領選挙は、7日投開票が行われ、開票率90%で、4期目を目指す現職のウゴ・チャベス大統領が54%を獲得、野党統一候補のエンリケ・カプリレス候補の44%を破り、4度目の当選を決めました。
大統領の任期は現在では6年で、チャベス大統領は、これまで14年間にわたって政権の座にありますので、任期を全うすれば、20年にわたる長期政権が実現することになります。
チャベス大統領は、中南米で最も過激な反米指導者の一人で、社会主義体制が続くキューバや国際社会から孤立しているイラン、シリアなどの国と友好関係にあります。
チャベス大統領は、今後とも社会主義政策を継続する方針で、豊富な原油からの収入をもとに、医療の無償化や住宅の提供など国民の多くを占める貧困層重視の政策も継続し、また、経済面では、企業の国有化など国による管理を強化していくものとみられます。
しかし、一方で、国民の中には、とくに経済界や軍の一部に、チャベス大統領の強引な政治手法や長引くインフレ、それに治安の悪化などに対する不満が高まっている中で、チャベス大統領がそれにどう対処していくかが注目されています。

(b)ニュースの背景

ベネスエラの正式国名は、ベネズエラ・ボリバル共和国(Bolibarian Republic of Venezuela)といい、南米大陸の最北部に位置しており、石油、天然ガス、鉄鉱石、ダイヤモンド、金などの資源があります。
1998年の大統領選挙で、92年のクーデター未遂事件の首謀者のチャベス元陸軍中佐が大勝し、貧者救済のための「民主的革命」を主張し、貧困層の支持を集めました。その後、チャベス大統領は、「21世紀の社会主義」を掲げ、豊富な石油収入を財源に、無料の医療施設建設や識字教育、職業訓練など広範な分野で貧困対策を実施し、貧困層からの支持はありましたが、経済界、軍の一部、マスコミなどには、大統領の政治手法、経済政策などに強い反発がありました。
チャベス大統領は、南米の独立運動の指導者シモン・ボリバルに心酔し、南米諸国が結束し、帝国主義を排除しようと訴えました。大統領は、国連総会の一般討論演説で、アメリカのブッシュ大統領を「悪魔」と非難するなど露骨な反米姿勢を続けました。
チャベス大統領は、昨年と今年、がんの手術を受けており、今後の健康状態にも注視していかなければならないでしょう。

(c)英語のニュース

Venezuela’s socialist and anti-American President Hugo Chavez has won a fourth term in office.
The 58-year-old Chavez defeated opposition leader Henrique Capriles in Sunday's presidential elections.
Election officials say that with 90% of votes counted, Mr.Chavez has taken 54% of the votes with Mr. Carriles on 44%
Mr.Chavez has been in power since 1998.
He has nationalized key sectors of the country's economy. Venezuela is a major oil producer and high oil prices have allowed his government to fund health-care, education programs and social housing. That has helped especially poor people.
Mr.Chavez has criticized the U.S.government and had friendly relations with Cuba, Iran, Syria and other countries.
On the other hand, Venezuelan opposition parties have claimed that Mr.Chavez's policies have led to bureaucracy, inefficiency and shortage.

(d)ニュースの比較研究

ベネズエラの反米のチャベス大統領4選のニュースは、日本のメディアも外国のメディアも速報で伝えました。とくにアメリカのメディアは、速報で伝えるとともに、続報で詳しく伝えました。
そのうちの代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Washington Post』紙は、"Hugo Chavez beats Henrique Capriles in Venezuela's presidential election"(ベネズエラの大統領選挙で、ウゴ・チャベス、エンリケ・カプリレスを破る)という見出しで、”Fighting for his political life, President Hugo Chavez beat a vigorous challenge by Henrique Capriles in Sunday's presidential election, receiving another six-year term that will give the populist firebrand the opportunity to complete the consolidation of what he calls 21st century socialism in one of the world's great oil powers.” (ベネズエラの大統領選挙で、ウゴ・チャベス大統領は、政治生命のために戦って、エンリケ・カプリルスを破り、さらに6年間の任期を授けられた。これは、世界の石油大国の一つ(ベネズエラ)で、彼が言うところの21世紀の社会主義の強化を完成するための機会を人気のある火付け役(チャベス大統領)に与えることになったのだ)と報じました。

アメリカの『The New York Times』紙は、"Chavez Wins a Third Term in Venezuela Amid Historically High Turnout"(ベネズエラで、チャバス、歴史的に高い投票率の中で、3期目(原文のまま)に勝利)という見出しで、"President Hugo Chavez, long a fiery foe of Washington, won re-election on Sunday, facing down cancer and the strongest electoral challenge of his nearly 14 years in offfice and gaining a new mandate to deepen his socialist revolution"[チャベス大統領は、アメリカにとって長らく厳しい敵であるが、再選された。これは、がんと彼が14年間にわたる政権の座にあることに対する選挙で最もきびしい挑戦に立ち向かい、彼の社会主義革命を深めるための新たな委任を得たのだ)と報じました。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、"Venezuelan President Hugo Chavez wins re-election"(ベズエラのチャベス大統領、再選)という見出しで、"President Hugo Chavez won re-election Sunday, defeating challenger Henrique Capriles and gaining six more years to cement his legacy and press ahead with his crusade for socialism in Venezuela"(チャベス大統領は、再選し、挑戦者のカプリルスを破り、自らの遺産を固め、ベネズエラの社会主義の改革運動を推進するために、さらに6年間の任期を得た)と報じました。




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