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555.エボラ出血熱の死者、4500人にー2014.10.16 [政治ー外交、国際ー全般]

*2014.10.18のサロンのテキスト*(555,554,553)

(a)日本語のニュース

西アフリカを中心に猛威をふるっているエボラ出血熱の感染やその疑いのある人は9000人近くに上り、このうちおよそ4500人が死亡しています。
これは、WHO=世界保健機関が15日ジュネーブの本部で発表したもので、リベリア、シエラレオネ、ギニア、ナイジェリア、セネガル、それにアメリカ、スペインの7か国で、感染または感染の疑いのある人は、8997人に上り、このうち4493人が死亡しています。
WHOの発表によりますと、西アフリカ3か国が最も多く、死者の数は、リベリアが2458人、シエラレオネが1183人、ギニアが843人で、実際の感染者の数は、さらに多いものとみられ、深刻な状況が続いています。
また、医療従事者の感染者も427人に上り、このうち半数以上の236人が死亡しています。
WHOによりますと、最近では、感染者は、毎週およそ1000人のペースで増え続けており、感染を封じ込めることができなければ、12月には最大で現在の10倍にあたる毎週1万人に膨らむ可能性があるということです。

一方、アメリカでは、エボラ出血熱で先日死亡したリベリア人男性の治療にかかわったテキサス州ダラスの病院の女性職員が陽性反応を示したということで、感染が確認されれば、アメリカで2人目の2次感染になります。
オバマ大統領は、15日、これを受けて、ホワイトハウスで緊急対策会議を招集し、感染阻止へ精力的に取り組む必要があるとし、強い危機感を表明しました。
オバマ大統領は、また、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの首脳に協力を呼びかけました。
さらに、日本の安倍首相とも15日電話会談を行い、両首脳は、エボラ出血熱の流行について、「国際社会の平和と安全に対する脅威」という認識を共有し、「国際社会が一致して取り組むべき課題」という考えで一致したということです。安倍首相は、「支援策を加速させる」と述べました。
日本政府は、総額4500万ドル、日本円にしておよそ48億円の支援を表明しており、防護服や毛布、テントなども提供することになっています。

(b)ニュースの背景

エボラ出血熱(Ebola hemorrhagic fever)は、エボラウィルスが引き起こす感染症で、特効薬や予防注射はありません。
このウィルスは、1976年中部アフリカのザイール(いまのコンゴ)とスーダンの南部(いまの南スーダン)でほぼ同時に大流行し、初の患者が確認されました。エボラというのは、発生地の近くを流れる川の名前です。
潜伏期間は、通常2日から21日で、発病は、突発的で、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振などから、嘔吐、下痢、腹痛などが起こります。進行しますと、口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など全身に出血、吐血、下血がみられ、失明、失聴、脳障害など重い後遺症にかかることが多いということです。重症化すると内臓から出血が続き、1週間ほどで死に至ります。感染した人の致死率は、50%~90%と高いのが特徴です。

(c)英語のニュース

The death toll from Ebola infections in West Africa and other regions has risen to nearly 4,500 and suspected cases have reached some 9,000.
This was announced by the World Health Organization in Geneva on Wednesday.
According to the annoucement, the death toll from the Ebola virus outbreak has reached 4,493 and there have been 8,997 suspected cases. The number of the death includes 2458 in Liberia, 1183 in Sierra Leone and 843 in Guinea.
WHO warned that new Ebola infections could surge to 10,000 cases a week by early December from the current level of around 1,000.

Meanwhile, the U.S. state of Texas has announced that a second member of the medical team who treated an Ebola patient has tested positive for the virus. A female nurse of the team was exosed to the Ebola virus when she treated a Liberia man who became the first patient diagnosed with Ebola in the United States. Later, the man died.
In Washington, President Barack Obama has convened a meeting of government officials concerned to discuss how to deal with the sutuation concerning the Ebola disease.
Mr. Obama also asked Britain, France, Germany and Italy to cooperate in fighting the Ebola disease.
Mr. Obama made a similar request to Japanese Prime Minister Shinzo Abe in their telephone talks.
Mr.Abe accepted the request.

(d)ニュースの比較研究

エボラ出血熱の感染拡大のニュースについては、とくにアメリカで感染者、死者がでてからは、欧米のメディアは、連日その動きを報道しました。とくに、オバマ大統領が、アメリカ国内だけでなく、関係国にも対策に協力を求めるのに力を入れていることも注目されています。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Ebola outbreak: Get Up to speed with the latest developments"(エボラ出血熱勃発:最近の展開にスピードをもって立ち上がろう)という見出しで、"President Brack Obama is promising a more aggressive approach to containing Ebola in the United States. A second worker with Ebola at Texas Health Hospital is identified as a 29-year-old nurse"(オバマ大統領は、アメリカにおけるエボラ出血熱を封じ込めるためにより攻撃的なアプローチを約束している。テキサス保健病院のエボラの第2の感染者は、29歳の看護婦である)と伝えています。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"WHO: Ebola continues to expand geographically"(WHO: エボラ出血熱、地理的に拡大続く)という見出しで、"The World Health organization(WHO) has warned that Ebola could reach 10,000 cases per week in West Africa if the international community does not step up its response to the deadly virus"(WHO=世界保健機関は、もし国際社会が死をもたらしているエボラ出血熱のウィルスに対して対応策を打ち出さなければ、西アフリカで1週で1万のケースに達するだろうと警告した)と報じました。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、"WHO finds 70 percent Ebola mortality rate"(WHO、エボラ出血熱の致死率を70パーセントに)という見出しで、"The Ebola outbreak in West Africa kills seven put of 10 victims and new cases could hit 10,000 a week within two months if it is not brought under control, the World Health Organization has said"(WHO=世界保健機関が発表したところによると、西アフリカにおけるエボラ出血熱の勃発で、10人の感染者のうち7人が死亡している。もし感染を2か月以内に抑えることができなければ、1週に1万の新たな感染を生み出すことになるだろう)と伝えました。










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共通テーマ:ニュース

469.G7、ソチのG8ボイコット、ハーグ宣言採択ー2014.3.25 [政治ー外交、国際ー全般]

(a)日本語のニュース

ロシアがウクライナ南部のクリミア半島の編入を強行したことを受けて、アメリカ、ヨーロッパ、日本などG7=先進7か国の首脳会議が、24日オランダのハーグで開かれ、今年6月ロシアのソチで予定されているG8=主要国首脳会議をボイコットし、同じ時期にベルギーのブリュッセルでG7の首脳会議を開くことなどを決めた「ハーグ宣言」を採択しました。
「ハーグ宣言」は、ロシアによるウクライナ南部のクリミア半島の編入を「違法な試み」として非難し、承認しない姿勢を表明しています。さらに、こうした国際法違反の行為は、「世界の法の支配に対する深刻な挑戦だ」と批判し、ロシアがウクライナへのさらなる軍事圧力などで事態を悪化させた場合、「制裁を含む行動を強化する用意がある」と述べ、追加制裁を行うことを示唆しています。
「ハーグ宣言」は、また、G7が結束してウクライナの暫定政府を支援することを打ち出し、憲法改革や自由で公正な大統領選挙の実施を支持するとしたうえで、G7として金融面での支援を約束するなどと述べています。
席上、日本の安倍首相は、ロシアの行動を非難したうえで、ウクライナの経済安定に向けて、日本として、1500億円、15億ドルの支援を行うことを表明しました。
G7=先進7か国の首脳会議は、アメリカのオバマ大統領、日本の安倍首相のほか、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの首脳が参加して開かれたもので、アメリカ、ロシア、中国、韓国、日本など53か国の首脳が、テロリストに核物質が渡る危険をなくす取り組みを話し合う核セキュリティ・サミットが24日オランダのハーグで開かれたのを機会にアメリカの提案で開催されました。

一方、ロシアのラブロフ外相は、オランダのハーグでアメリカのケリー国務長官と会談したあと記者会見し、ロシアは、G8=主要国首脳会議の形式にこだわりはないと述べて、西側が望まないのであれば、G8が開かれなくても問題はないという立場を表明しました。
ラブロフ外相は、G8が開かれなくても、国連の安全保障理事会や新興国も参加するG20といった枠組みがあると述べました。

(b)ニュースの背景

ウクライナ(Ukaine)は、ロシアとEU=ヨーロッパ連合の間に位置し、1991年旧ソ連から独立しました。面積は、60万3700平方キロメートルで日本のおよそ1.6倍、人口は、4500万人。東部と南部は、ロシア系の住民が多く、宗教は、主としてウクライナ正教、西部は、EUとの関係を重視する住民が多く、宗教は、主としてウクライナ・カトリック教。財政は破たん寸前で、ロシアから経済支援を受けていましたが、今年の2月の政変で、EUが支援を申し出ています。

クリミア自治共和国(Autonomous Republic of Crimea)は、クリミア半島の大部分を占め、中心都市は、シンフェロポリ。人口は、およそ200万人。半島最大の都市セバストポリは、共和国には含まれていません。18世紀オスマン帝国から帝政ロシアに併合され、旧ソ連時代の1954年ウクライナに移管されました。ロシア系およびロシア語を母国語とする人たちが、半島全体の人口の6割を占めているといわれています。

今年2月ウクライナで政変がありました。反政府デモを続けていた欧米寄りの野党勢力が首都のキエフを掌握し、議会がロシア寄りのヤヌコビッチ大統領を解任し、5月25日に大統領選挙を実施する決議を採択し、野党幹部のトゥルチノフ議会議長を大統領代行に任命しました。これによって、ヤヌコビッチ政権は崩壊しました。
そして、議会が、欧米寄りの政治勢力が発表した閣僚名簿を承認し、暫定政権が発足しました。首相には、反政府デモを主宰した野党指導者のヤツェニューク氏、EU=ヨーロッパ連合を担当する副首相には、欧米寄りの前の政権で外相をつとめたタラシュク氏が就任しました。
大統領代行のトゥルチノフ議会議長は、5月25日の大統領選挙後に、議会の選挙を行うと発表し、さらに自らが、軍の最高司令官に就任したことを明らかにしました。
一方、ロシア系住民の多い南部のクリミア半島では、暫定政府の動きに強く反発し、行政府や議会の建物を占拠するなどして緊張が続きました。

3月に入って、クリミア自治共和国で住民投票が行われ、ロシアへの編入に賛成する票が圧倒的多数を占め、自治共和国政府は、編入手続きを進めました。
ロシアのプーチン大統領は、クレムリンで上下両院議員を前に演説し、ウクライナ南部のクリミア自治共和国とセバストポリ特別市をロシアに編入すると発表しました。その直後、大統領は、自治共和国と特別市の代表と編入に関する条約に署名しました。そして、条約は、憲法裁判所の審査と議会の批准を経て発効しました。
こうしたロシアの動きに、アメリカやヨーロッパ諸国は、強く反発し、ロシアに対する制裁措置を発表しました。日本もこれに同調しました。

(c)英語のニュース

Leaders of 7 major industrialized nations have declared that they will boycott a G8 summit scheduled for June in Sochi, Russia. in protest at the country's annexation of Ukraine's southern region of Crimea.
The leaders from the United States, Britain, France, Germany, Italy, Canada and Japan issued the declaration in The Hague on Monday.
They said that they will instead meet in Brussels in June to discuss issues related to the Ukrainian crisis.
The G7 leaders warned that they are prepared to impose new sanctions on Russia if the country continues to escalate the situation.
They pledged to provide financial support for the Ukranian interim government.
At the G7 summit, Japanese Prime Minister Shinzo Abe said that Japan will provide an aid package worth up to 150 billion yen or about 1.5 billion U.S. dollars to help Ukraine out of its economic crisis.
Meanwhile, Russian Foreign Minister Sergei Lavrov said that he doesn't see any problem even if the G8 summit is not going to be held.
At a news conference held in The Hague after talks with U.S. Secretary of State John Kerry, Mr. Lavrov said that there are other formats for considering many questions, including the United Nations Security Council and the Group of 20 industrialized and emerging nations.

(d)ニュースの比較研究

オランダのハーグで開かれたG7=先進7か国首脳会議が、ロシアのウクライナ南部のクリミア自治共和国を編入したことに抗議して、6月ロシアのソチで開かれる予定のG8=主要国首脳会議に不参加を表明したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも大きく報道しました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"President Barack Obama and other world leaders have decided to end Russia's role in the group of leading industrialized nations, the White House said Monday. The move to suspend Russia's membership in the G8 is the latest direct response from major countries allied against Russia's annexation of Crimea"(ホワイトハウスが発表
したところによると、オバマ大統領とそのほかの世界の指導者は、主要な先進国のグループの中でのロシアの役割を終わらせる決定をした。G8でのロシアのメンバーの資格を停止する動きは、ロシアのクリミア編入に対する同盟関係にある主要国による最新の直接的な反応である)と報じました。

ロシアの『ITAR-TASS』通信は、"Leaders of G7 suspend their countries' participation in G8"(G7の指導者、G8への参加を停止)という見出しで、"Leaders of the Group of Seven have suspended participation of their respective countries in the Group of Eight, says a statement that the leaders of Britain, Canada, France, Germany, Italy, Japan and the U.S. issued here (The Hague) Monday night upon the end of an informal summit"(G7-イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリー、日本、アメリカーが、非公式のサミットの閉幕にあたって発表した声明は、G7の指導者たちは、それぞれの国のG8への参加を停止したと述べている)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"China, U.S. reaffirm commitment to promote new type of major-country ties"(中国とアメリカ、新しいタイプの大国関係を促進するという約束を再確認)という見出しで、"Chinese President Xi Jinping said here(The Hague)Monday that his country is willing to work with the United States to keep the two countries on the right path towards building a new type of major-country relations"(中国の習近平国家主席は、中国は、米中関係が新しいタイプの大国関係を構築する方向にずっと進むよう、アメリカとともに協力していく用意があると述べた)と伝えるとともに、"China has always held a "just and objective attitude" towards the Ukraine crisis, Xi said, reiterating China's stance that "the promotion of a political solution to the crisis serves the interests of all parties"(習主席は、中国は、ウクライナ危機に対する”正しい、客観的な態度”をいつも維持していると述べ、ウクライナ危機の政治的解決を促進することが、あらゆる関係国の利益になるという中国の立場を再び強調した)と伝えました。

















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368.オバマ米大統領、シリアへの軍事介入で議会の承認求めるー2013.8.31-9.1 [政治ー外交、国際ー全般]

(a)日本語のニュース

アメリカのオバマ大統領は、8月31日、ホワイトハウスで声明をは発表し、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと非難し、「アメリカは、軍事攻撃を行うべきだと決断した」と初めて明言するとともに、「地上部隊は派遣せず、攻撃は短期間の限定的なものになるだろう」と述べました。同時に軍事介入についてアメリカ議会の承認を求める考えを示しました。
これによって、間近いとされてきたアメリカの軍事介入は先送りされ、実施されるとしても、休会中のアメリカ議会が再開される9月9日以降になることが確実になりました。
オバマ政権は、9月1日から議員らに対して、「アサド政権が化学兵器を使用したとする十分な証拠がある」として、機密情報を含むシリア情勢について説明し、アメリカによる軍事介入の承認へ向けて働きかけを本格化させています。しかし、今のところ、軍事介入について、議会や世論の支持を得られるかどうかは、不透明な情勢です。

一方、日本政府は、1日、日本としては、引き続きアメリカなど関係国と連携しながら、今後の対応を検討していく方針を明らかにしました。
安倍首相は、オバマ大統領の声明について「重い決意表明と受け止めている。アメリカ議会のプロセスを注視したい」と述べ、岸田外相も「重い決定だ。情報収集に努めた上で状況を注視し、我が国の立場について考える」と述べました。

(b)ニュースの背景

化学兵器は、多くの人を殺傷する大量破壊兵器の1つです。大量破壊兵器は、NBC兵器ともいわれ、核兵器(nuclear weapon)、生物兵器(biological weapon)、化学兵器(chemical weapon)のことです。
化学兵器は、マスタードガス(イペリット)やサリンやVXガスなど毒ガスの毒性化学物質を使い人や動物に対して被害を与えるために使われる兵器のことで、化学兵器禁止条約で使用を禁止されています。

今回シリアの内戦で8月21日に化学兵器が使用されたと報道され、被害を受けた子どもなど一般市民のいたいたしい映像が全世界に放映され、大きな衝撃を与えました。シリアの反政府側は、アサド政権の政府側が化学兵器を使用したと主張し、政府側は、反政府側が使用したと主張し、見解が真っ二つに分かれています。

国連の化学兵器調査団は、8月31日までシリアで調査を行い、オランダアのハーグにある化学兵器禁止機関(OPCW)の本部に到着し、シリアで採取した被害者の血液や土壌の分析を始めました。OPCWによれば、分析には最長3週間かかり、分析結果はただちに国連のパンギムン事務総長に報告され、国連安全保障理事会のメンバーとすべての加盟国に提示されることになっています。

アメリカ政府は、30日、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したことに「強い確信」があるとする報告書を公表しました。
報告書は、8月21日首都のダマスカス郊外で化学兵器による攻撃が行われ、子ども426人を含む1429人が死亡したとし、犠牲者の症状や映像、証言などから神経ガスが使われたと述べています。
報告書は、また、化学兵器のロケットの発射地点はアサド政権の支配地域で、3日前から政権の要員がガスマスクを使うなどして準備を進め、アサド政権が化学兵器攻撃を確認し、国連調査団に証拠を収集されることを懸念した会話を傍受したと説明しています。

シリアで化学兵器が使用されたと報道された時点では、アメリカ、イギリス、フランスは、アサド政権が化学兵器を使用したとして、シリアに対して軍事行動を起こす準備を整えていると報道されましたが、8月29日イギリス議会が軍事行動に反対する決議を可決したことから、キャメロン首相は、方針を転換し議会の決定に従うことを表明しました。フランスは、現在では、単独では軍事行動を起こさないとしていることから、9月9日以降の休会明けでアメリカ議会がどういう決定をするか、アメリカの世論がどういう判断を示すかに焦点が集まっています。
ロシアと中国は、当初から軍事行動には強く反対しています。
日本政府は、当初28日の段階では、シリアでの化学兵器使用の可能性が高いとして、アサド政権を非難し、アサド政権の退陣を求める態度を表明していましたが、オバマ政権の見解の変化につれて軌道を修正し、日本としては同盟国の動向を注視して態度を決めるという立場をとるようになりました。

(c)英語のニュース

U.S.President Barack Obama's administration is trying to gain Congressonal support for military action against Syria.
President Obama has charged in a statement that the Assad regime used chemical weapons in Syria and said that he has decided to take military action in Syria in response to the alleged use of such weapons . He ruled out sending ground troops to Syria and said that the action would be limited in duration and scope. At the same time, President Obama said that he will seek Congressional consert beforehand.
Both Houses of the U.S. Congress are expected to vote on President Obama's proposal sometime after September 9th following the current recess.

Meanwhile, Japanese Prime Minister Shinzo Abe has told newsmen that he received President Obama's statement as an expression of serious determination. Mr. Abe said that his government will closely watch developments in the U.S. Congress. He said that his government will cooperate with the United States and other countries in collecting information and work to help improve the Syrian situation.

(d)ニュースの比較研究

シリアで化学兵器が使われ、子どもなど一般市民が殺傷され事件は、世界に大きなショックを与え、アメリカの軍事介入があるのかないのか、あるとすればいつになるのか、世界のメディアが逐次その動きを大々的に報道していました。
世界の代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

中東・カタールの『ALJAZEERA』放送は、"Syria asks UN to stop 'any aggression' Appeal made to world body's chief as Russia says it is unconvinced by chemical-attack evidence presented by US"
(シリア、国連へ’いかなる侵略’も停止要請  ロシアが、アメリカによって提示された化学兵器による攻撃の証拠は信用できないと言明したので、国連事務総長への訴えがなされた)という見出しで、"Syria has asked the UN to prevent "any aggression" against Syria following a call over the weekend by US President Barack Obama to punitive strikes against the Syrian military for last month's alleged chemical-weapons"(シリアは、国連にシリアに対する”いかなる侵略”も避けるよう要請した。この要請は、先月のいわゆる化学兵器による攻撃で、シリア軍に対する報復攻撃を求めたオバマ大統領によるこの週末の呼びかけのあと、なされた。さらに、"US military action will be put to a vote in Congress, which ends its summer recess on September 9, giving Syrian President Bashar al-Assad time to prepare the ground for any assault and try to rally international support against the use of force"(アメリカの軍事行動は、9月9日に夏の休暇を終える議会で投票に付される。このことは、シリアのアサド大統領にいかなる攻撃に対しても準備をし、力の行使に反対する国際的な支持を集める時間を与えることになる)と報じています。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Syria crisis: World waits to see if the U.S. will strike"(シリア危機:世界は、アメリカが攻撃するかどうかを見守る)という見出しで、"U.N. evidence that could show whether chemical weapons were used in Syria will head to a lab. Monday, but to some, the answer may just be a formality"(シリアで化学兵器が使われたどうかを示す国連の証拠は、研究所に向かうことになるが、ある程度、その答えは、形式的なものになるかもしれない)と報じています。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Syria minister: US strike on Syria 'would benefit al-Qaeda'"(シリアの大臣談:アメリカのシリアに対する攻撃は、’アルカイーダを利する”ことになろう)という見出しで、"Any US military action against Syria would amount to "support for al-Qaeda and its affiliates", Damascus has said. Syrian Deputy Foreign Minister Faisal Mekdad also told the BBC that armed groups backed by America - not Syrian troops - had used chemical weapons"(シリア政府高官は、シリアに対するいかなるアメリカの軍事行動も、結局は”アルカイーダとその支部を支持する”ことになるだろうと述べた。その高官は、シリアのファイサル・メクダッド外務次官で、彼は、BBCに、アメリカに支援された武装グループが化学兵器を使った、シリア政府軍ではないと述べた)と伝えました。

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