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749. G7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミット閉幕ー2016.5.30 [政治―外交、国際―北米、ヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

三重県で開かれていたG7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットは、27日、世界経済を支える金融、財政政策と構造改革の重要性をうたった首脳宣言を採択し、2日間にわたった会議を終えました。
首脳宣言は、最大のテーマだった世界経済について、「世界経済の回復は続いているが、成長は、引き続き穏やかで、ばらつきがあり、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている」と指摘した上で、「新たな危機に陥ることを回避するするため、適時にすべての政策対応を行うことによって、現在の経済状況に対応するための努力を強化する」としています。そして、持続可能な均衡ある成長の達成に貢献するための対応策をまとめた「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」を打ち出し、「財政戦略を機動的に実施し、構造政策を果断に進めることに関し、G7が協力して取り組みを強化することの重要性に合意する」としています。
また、「3本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政・金融及び構造政策の重要な役割を再確認する」として、機動的な財政出動をはじめ金融政策、構造改革など、G7各国が状況に応じて政策を総動員して世界経済を支えていく姿勢を強調しています。
会議後、議長をつとめた安倍首相は、記者会見を開き、複数の経済指標について、「リーマン・ショック時の下落幅に匹敵する」などとして、世界経済の現状が2008年のリーマン・ショック前に似ているとの認識を示し、「世界経済が危機に陥る大きなリスクに直面している。G7は、その認識を共有し、強い危機感を共有した」と述べました。しかし、この認識については、G7の首脳間では、違いがあったと伝えられています。

(b)ニュースの背景

サミット主要国首脳会議は、1975年第1回は、フランスのランブイエで開催、フランス、アメリカ、イギリス、西ドイツ、日本、イタリアが参加。1976年第2回からカナダが参加。1994年第20回からロシアが政治討議に参加、2003年第29回からすべてに参加。G8に。2014年第40回からウクライナ問題でロシア排除、G7に。
2016年5月26日と27日 第42回主要国首脳会議・伊勢志摩サミット。
伊勢志摩サミットに向けた関係閣僚会議は、広島市での外相会合を皮切りに9月下旬まで、全国10か所で開催されます。
① 外相会合 4月10、11日 広島市
② 農相会合 4月23、24日 新潟市
③ 情報通信相会合 4月29、30日 高松市
④ エネルギー相会合 5月1,2日 北九州市
⑤ 教育相会合 5月14、15日 岡山県倉敷市⑥ 環境相会合 5月15、16日 富山市
⑦ 科学技術相会合 5月15~17日 茨城県つくば市
⑧ 財務相・中央銀行総裁会議 5月20,21日 仙台市
G7=主要国首脳会議・伊勢志摩サミット 5月26、27日 三重県志摩市
⑨ 保健相会合 9月11、12日 神戸市
⑩ 交通相会合 9月24、25日 長野県軽井沢町

(c)英語のニュース

The Leaders of the Group of Seven major industrialized nations have expressed their commitment to work together to improve global economic growth.
This was contained in a joint declaration issued on Friday after the two-day summit of G7 in the Ise-Shima area of central Japan.
The joint declaration said that the global recovery continues, but growth remains moderate and uneven, and downside risks to the global outlook have increased.
It said that the G7 leaders pledged to reinforce their efforts to address the current economic situation by taking all appropriate policy responses in a timely manner.
The joint declaration said that G7 leaders concur on the importance of strengthening their efforts in a cooperative manner to implement their fiscal strategies flexibly to strengthen growth, job creation and confidence.
It said that G7 leaders are committed to advancing structural reforms to boost growth, productivity and potential output.
After the G7 summit, Japanese Prime Minister Shinzo Abe, the chair of the summit, told reporters that the G7 leaders agreed to implement monetary, fiscal and structural policies as they shared a strong sense of crisis over the current global economy.

(d)ニュースの比較研究

G7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミット閉幕のニュースについては、アメリカのオバマ大統領の広島訪問のニュースと重なったため、2番手扱いで、日本のメディアは、首脳宣言と安倍首相の記者会見を詳しく伝えていましたが、外国のメディアは、あらかじめシェルパといわれる政府当局者がサミットのために準備してきた首脳宣言は、ほとんど扱っていませんでした。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”G-7 Leaders Differ on Risks to Global Growth”(G7の首脳、世界の成長へのリスクについて意見分かれる)という見出しで、”Leaders of the Group of Seven leading industrialized nations talked abou to “collectt ways to stoke the global economy, but appeared to disagree on the risk to growth and exactly how to respond”
(G7主要先進国の首脳は、世界経済を活性化する方法について議論をしたが、成長へのリスクといかに対応するかについては、意見が一致しなかったようにみえる)と報じました。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、”G7 leaders pledge collective action on sagging global growth”(G7首脳、衰退しつつある世界の成長に対してまとまった行動を約束)という見出しで、”The leaders of the Group of Seven rich economies pledged Friday to “collectively tackle” major risks to global growth, including direct political threats to the international order from terrorist attacks, violent extremism and refugee flows”(G7豊かな経済大国の首脳は、テロ攻撃からの国際秩序に対する直接的な政治的脅し、暴力的な過激主義、難民の流入などといった世界の成長に対する大きなリスクに“まとまった形で取り組む”ことを誓った)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation) 』放送は、”EU referendum: I’m no secret Brexiteer, says David Cameron”(イギリスのEU=欧州連合に残留か離脱の国民投票(6月23日):キャメロン首相、私は、密かなEU離脱派ではないと言明(Brexit=Britain+exitの合成語でイギリスのEU離脱のこと)という見出しで、”David Cameron has rejected claims he is a “closest Brexit,” insisting he is “passionate” about staying in the EU. Speaking at the G7 summit in Japan, the prime minister, a leading figure in the Remain campaign, denied reports that his “instinct” was to vote Leave”(キャメロン首相は、“熱烈なイギリスのEU離脱派だといううわさを否定し、”熱烈な“EU残留派だと主張した.。EU残留派の代表的な人物であるキャメロン首相は、日本のG7サミットで、彼の”本能“は、EU離脱に投票するという報道を否定した)と報じました。(イギリスでは、6月23日に行われる国民投票に最大の関心が集まっており、来日したキャメロン首相一行や同行したイギリスの記者団も、このことで頭がいっぱいで、サミットどころではないといった雰囲気だったという)

ロシアの『TASS』通信は、”G7 leaders note importance of dialogue wi Russia, spport keeping sanctions”(G7首脳、ロシアとの対話の重要性を認識し、制裁維持を支持)という見出しで、”They agreed that it is important for Russia to play a constructive role in full implementation of Ukraine’s ceasefire agreement”(G7首脳は、ロシアが、ウクライナの停戦協定を完全に実施することにおいて、建設的な役割をすることが重要であるという点で一致した)と報じました。(ロシアは、ウクライナ問題でG8から締め出され、現在G7だけで会議を開いています)




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748. オバマ米大統領、広島訪問ー2016.5.30 [政治ー外交、国際ーアメリカ]


(a)日本語のニュース

アメリカのオバマ大統領は、27日、アメリカの現職の大統領としては初めて被爆地・広島を訪問し、演説の中で、「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組む決意を表明しました。
オバマ大統領は、26日と27日開かれたG7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットに出席した後、広島を訪れ、平和記念資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花し、黙とうを捧げ、招待した広島と長崎の両市長や被爆者の人たちを前に所感を述べる演説をしました。
オバマ大統領は、この中で、広島に原爆が投下された8月6日の「記憶は消え去らない」と所感を述べ、「核兵器のない世界」への決意を表明しました。広島、長崎で亡くなった人々を含め、第2時世界大戦の全犠牲者を追悼し、戦争の惨禍を繰り返さないための誓いを新たにしました。
オバマ大統領は、「われわれは、核兵器を保有する恐怖の論理から脱する勇気を持ち、核兵器のない世界を追い求めなければならない。私が生きている間に実現しないかもしれないが、絶え間ない努力によって破滅を避けることができる」と述べ、核兵器の廃絶に向けて取り組む決意を示しました。
さらに、「われわれは、戦争についての考え方を変え、外交を通じて対立を避けるようにしなければならない」と述べ、「広島と長崎を核戦争の始まりとして記憶するのではなく、人類の道徳的な目覚めにしなければならない」と語り、被爆地の経験を伝え、核兵器が2度と使われないようにしなければならないと訴えました。
しかし、71年前にアメリカが原爆を投下したことに対する謝罪や原爆投下の是非については、言及しませんでした。

(b)ニュースの背景

アメリカのオバマ大統領は、2009年1月就任し、4月チェコのプラハで、「核兵器のない世界を目指す」と演説し、12月にはノーベル平和賞を受賞しています。
オバマ大統領は、2009年初めて日本を訪れた際、記者会見で「広島、長崎を将来訪れることができれば、非常に名誉なことだ」と述べていました。
しかし、オバマ大統領は、これまで3度日本を訪れていますが、いずれも被爆地訪問を見送っています。これは、アメリカ国内には、原爆投下によって戦争終結が早まり、多くのアメリカ人の命が救われたと正当化する主張が根強く存在し、被爆地訪問への慎重論があるためです。
オバマ政権下では、2010年当時のルース駐日大使が、アメリカ政府代表として初めて広島の平和記念式典に出席し、後任のケネディ大使も毎年式典に出席しています。今年7月には広島で開かれたG7=主要7か国外相会議に出席したケリー国務長官が、アメリカ政府の閣僚としては初めて平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、平和記念資料館(原爆資料館)を訪問しました。そして、「すべての人が広島を訪れるべきだ」と語り、オバマ大統領の広島訪問の下地を作ったといわれています。
今回は、オバマ大統領にとって、4度目の日本訪問で、ようやく広島訪問が実現しました。
オバマ大統領は、広島での演説で、7年前のプラハ演説と同様に、「核兵器のない世界を目指す」と訴えましたが、アメリカは、この7年間そのためにどういう努力をしてきたのか、残された8か月でどういう成果をあげることができるのかを注視していかなければなりませんが、現状を見れば、可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

(c)英語のニュース

U.S. President Barack Obama has made a historic visit to Hiroshima, which was devastated by a U.S. atomic bomb in 1945, and delivered a speech, calling for realizing a world without nuclear weapons.
He became the first sitting U.S. president to visit the western Japan city.
In his speech, Mr. Obama stressed the atomic bombed cities of Hiroshima and Nagasaki should be known as the start of people’s moral awakening.
He said “Among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear and pursue a world without them”
Mr. Obama said “We may not realize this goal in my lifetime, but persistent effort can roll back the possibility of catastrophe”
He called for the elimination of nuclear weapons.
However, Mr. Obama’s speech did not include an apology for the atomic bombing. And it did not offer any judgements on the wartime U.S. decision to drop atomic bombs.
Mr. Obama was speaking at the Hiroshima Peace Memorial Park on Friday in front of the mayors of Hiroshima and Nagasaki and atomic bomb survivors after he toured the Peace Memorial Museum and laid a wreath at the cenotaph.

(d)ニュースの比較研究

アメリカのオバマ大統領の広島訪問のニュースについては、日本のメディアは、トップ・ニュースとして、大々的に伝えました。多くの新聞は、演説の英語の原文と日本語訳まで掲載していました。アメリカのメディアも報道していましたが、日本のものほど詳しくは報道していません。
主なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『The New York Times』紙は、”At Hiroshima Memorial, Obama Says Nuclear Arms Require ‘Moral Revolution’”(広島平和記念公園で、オバマ大統領、核兵器は、’モラル革命‘が必要だと言明)という見出しで、”President Obama laid a wreath at the Hiroshima Peace Memorial on Friday, telling an audience that included survivors of America’s atomic bombing in 1945 that technology as devastating as nuclear arms “requires a moral revolution.” ”Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us,” Mr. Obama said, adding that such technology “requires a moral revolution as well.”(オバマ大統領は、広島平和記念公園で原爆慰霊碑に献花し、1945年のアメリカの原爆投下の生存者など聴衆に向かって、核兵器のような壊滅的な技術は、モラルの革命を必要としていると演説しました。大統領は、「人間社会におけると同様な進歩がなければ、技術的進歩は、われわれを確実に破滅してしまうだろう。そうした技術は、モラルの革命を必要としている」と述べた)と報じました。

『The Washington Post』紙は、”71 years after the first atomic strike, Obama calls for the end of nuclear weapons at Hiroshima”(最初の原爆投下から71年たって、オバマ大統領、広島で、核兵器全廃を呼びかけ)という見出しで、”Nearly 71 years after an American bomber passed high above this Japanese city (Hiroshima) on a clear August morning for a mission that would alter history, President Obama on Friday called for an end to nuclear weapons in a solemn visit to Hiroshima to offer respects to the victims of the world’s first deployed atomic bomb”(アメリカの爆撃機が、歴史を変える役目のために、8月のある晴れた朝、この日本の市(広島)の上を通過してほぼ71年たって、オバマ大統領は、広島への厳粛な訪問の中で、世界最初の原爆投下の犠牲者に哀悼の意を表し、核兵器全廃を呼びかけた)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Obama: Memory of Hiroshima Bombing ‘Must Never Fade – U.S. president offers condolences, not apology, to victims of Aug.6, 1945, atomic bombing”(オバマ大統領言明:広島の記憶は‘決して消してはならない’― アメリカの大統領、1945年8月6日の原爆投下の犠牲者に、謝罪ではなく、哀悼の意を表明))という見出しで、”President Barack Obama mourned the victims of the U.S. atomic bombing of Japan at the memorial honoring those who died in the Aug.6, 1945 attack on Hiroshima, the first visit this city(Hiroshima) by a sitting U.S. leader. In solemn comments, Mr. Obama neither apologized for nor justified the U.S. atomic bombs dropped both here(Hiroshima) and in Nagasaki that killed more than 200,000 people, and instead focused on a nonnuclear future, seeking to avoid inflaming passions on either side of the Pacific”(オバマ大統領は、アメリカの現職の首脳としては初めて広島を訪問し、1945年8月6日の原爆投下で亡くなった方々を祀ってある慰霊碑に参り、アメリカの日本に対する原爆投下の犠牲者に哀悼の意をささげた。オバマ大統領は、厳粛な所感の中で、20万人以上の人々が亡くなった広島と長崎にアメリカが原爆を投下したことについて、謝罪しなかったし、正当化しなかったが、その代わり、太平洋のどちら側にも(日本側にもアメリカ側にも)感情に火をつけるのを避けようとして、核兵器のない将来に焦点をあてたのだ)と報じました。

『USA TODAY』紙は、”Obama makes history by visiting Hiroshima bomb site”(オバマ大統領、広島の被爆地を訪問し、歴史を作る)という見出しで、”President Obama made history Friday by becoming the first sitting U.S. head of state to visit Hiroshima since American forces dropped an atomic bomb on the city in 1945, killing an estimated 80,000 people and hastening the end of World War II”(オバマ大統領は、アメリカ軍が1945年に広島に原爆を投下し、およそ8万人の人々を殺害し、第2次世界大戦の終結を早めて以来、現職のアメリカの国家元首として初めて広島を訪問して、歴史を作った)と報じました。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Obama in Hiroshima calls for ‘world without nuclear weapons’”(オバマ大統領、広島で、‘ 核兵器のない世界’を呼びかける)という見出しで、”Barack Obama on Friday became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima, where he called for a “world without nuclear weapons” during his remarks at the city’s Peace Memorial Park”(オバマ大統領は、アメリカの現職の大統領としては初めて広島を訪問し、平和記念公園で所感を発表し、’核兵器のない世界‘を呼びかけた)と報じました。

『NBC(=National Broadcasting Company)』放送は、”Obama Becomes 1st Sitting U.S. President to Visit Hiroshima”(オバマ大統領、アメリカの現職の大統領として初めて広島訪問)という見出しで、”Barack Obama called for a world without nuclear weapons on Friday as he became the first sitting U.S. president to visit the site of the Hiroshima atomic bombing”(オバマ大統領は、アメリカの現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問し、核兵器のない世界を呼びかけた)と報じました。


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747.日米首脳会談、沖縄の事件を討議ー2016.5.26 [政治ー外交、国際ーアメリカ]

*2016.5.28の阿佐谷のテキスト*(746&747)ー当日、オバマ大統領の広島訪問、G7サミット閉幕の資料配布、後日入力予定。


(a) 日本語のニュース

安倍首相は、25日、G7=主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットの開幕を前にオバマ大統領と日米首脳会談を行いました。
両首脳が、会談のあと、共同記者会見で明らかにしたところによると、安倍首相が、沖縄県でアメリカ国籍の軍属の男が日本人女性の死体を遺棄したとして逮捕された事件について、強く抗議し、実効性のある再発防止策を講じるよう求めたのに対し、オバマ大統領は、哀悼と遺憾の意を表し、日本側の捜査に全面的に協力する意向を表明しました。
そして、両首脳は、事件の全容解明と日米地位協定の運用の改善などに協力して取り組み、信頼回復に努めていくことで一致しました。
また、両首脳は、伊勢志摩サミットの成功に向けて、世界経済などの主要なテーマをめぐって緊密に協力していくことを確認しました。

沖縄県の翁長知事は、25日、今回の日米首脳会談について、記者団に、「安倍首相が、オバマ大統領と直接会話したいという私の希望や日米地位協定の見直しに言及しなかったことは、大変残念だ」と述べました。

事件の軍属の男がつとめていた嘉手納基地の前では、市民団体などおよそ4000人の人たちが、25日集会を開き、今回の事件に抗議するとともに、すべてのアメリカ軍基地の撤去を求めました。

(b)ニュースの背景

沖縄県で4月下旬から行方不明になっていた女性の会社員が遺体でみつかった事件で、警察は、5月19日、在日アメリカ軍の軍属でアメリカ国籍の男を死体遺棄容疑で逮捕しました。警察によりますと、容疑者は、逮捕直後は、殺害したことを供述しましたが、現在は、黙秘しているということです。
警察の発表によりますと、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者32歳は、元海兵隊員で、空軍嘉手納基地に勤務していますが、4月28日から29日未明にかけて、沖縄県うるま市の会社員島袋里奈さん20歳の遺体を雑木林に遺棄したとして逮捕したものです。
警察は、付近の防犯カメラの映像や目撃情報から、シンザト容疑者の車がこの時間帯に付近を通っていたことをつきとめ、5月16日から任意の事情聴取を続け、使用車両の任意提出を受けて調べた結果、車から島袋さんのDNA型が検出されました。警察が、19日、雑木林で、島袋さんの白骨化した遺体を発見し、シンザト容疑者を逮捕したものです。
警察は、シンザト容疑者について、日米地位協定が定める「軍属」にあたると説明、ただ、事件は、「公務外」で起きたとし、日本の刑事手続きに従って送検するとしています。

岸田外相は、5月19日、アメリカのケネディ駐日大使を呼び、「事件の発生は、極めて遺憾だ。非難し、強く抗議する」と表明したのに対し、ケネディ大使は、「アメリカ政府と国民に代わって心からの悲しみを表明する」と述べました。

安倍首相は、23日、沖縄県で女性の遺体を遺棄した疑いでアメリカ人の軍属の男が逮捕された事件を受け、沖縄県の翁長知事と首相官邸で会談しました。
この会談で、翁長知事は、「今回の事件は、決して許されるものではない。強く抗議をする」と強調し、沖縄へのアメリカ軍基地の集中が今回の事件の原因にあるとしたうえで、「二度とこうした事件が起きないよう、日米両政府の責任で、日米地位協定の見直しを含め、抜本的な対策を講じるよう求めました。そして、来日するアメリカのオバマ大統領に「直接話す機会を与えてほしい」と要請しました。
安倍首相は、「身勝手で卑劣きわまりない犯罪に強い憤りを覚える。ご遺族に心からお見舞いを申し上げたい。政府としても真剣に受け止めており、アメリカ政府に強く抗議した」と述べました。そのうえで、「オバマ大統領に国民の気持ちを踏まえ、厳正な対処を求めていく」と述べ、26日から始まる伊勢志摩サミットに合わせて行われる日米首脳会談でこの問題を取り上げ、実効性のある再発防止策を講じるよう求める考えを示しました。
沖縄県では、今回の事件を受け、県議会議員や市民団体が、アメリカ軍基地反対の大規模集会を6月に開く準備を進めており、反基地感情が高まっていると伝えられています。

(c)英語のニュース

Japanese Prime Minister Shinzo Abe and U.S. President Barack Obama have had talks on the Okinawan problem ahead of the G7 summit in the Ise-Shima region in central Japan.
At a joint news conference held after their talks on Thursday, Mr. Abe said that he has lodged a strong protest with Mr. Obama over a suspected rape and murder case involving a U.S. civilian base worker. A week ago, Kenneth Franklin Shinzato, a 32-year-old former U.S. Marine, was arrested for allegedly dumping the body of a 20-year-old Japanese woman. Japanese police say that he has admitted to killing her.
Mr. Abe urged Mr. Obama to take effective and thorough measures to prevent the recurrence of such crimes.
In response, Mr. Obama offered his sincere condolences and deepest regrets. He said that the United States will continue to fully cooperate on the investigation to make sure justice is done under the Japanese legal system. Mr. Obama pledged to ensure that everything would be done to prevent such crimes.
Mr. Obama said that the US-Japan status of forces agreement does not in any way prevent the full prosecution and the need for justice under the Japanese legal system. Mr. Abe said that his government plans to improve ways to implement the agreement without revising the agreement itself.
Both leaders didn’t refer to proposals for revising the Japan-U.S. status of forces agreement. Both governments have been noncommittal about reviewing the agreement. The agreement often prevents Japanese law-enforcement authorities from investigating crimes committed on duty by members of U.S. forces, base workers and their dependents and from prosecuting perpetrators.

Meanwhile, Okinawa Governor Takeshi Onaga has expressed disappointment that the Japanese and U.S. leaders failed at their talks to show a willingness to respond to calls by people in Okinawa to revise the Japan-US status of forces agreement.
Speaking to reporters in Naha, capital of Okinawa, he said that people in Okinawa have been forced to bear the heavy burden of hosting U.S. military bases and that they are frustrated.

Thousands of protesters have held a rally outside a U.S. military base in Okinawa in protest against the killing of a young woman by a U.S. base workers near the base and demanded the withdrawal of all U.S. military bases from Okinawa.

(d)ニュースの比較研究

G7=主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットを前にして、安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談が行われ、沖縄のアメリカ軍属による日本の女性の遺体の遺棄事件を中心に話し合いが行われましたが、日本のメディアは、トップ・ニュースとして大きく取り上げていました。『日経』だけが、「日米、世界経済成長へ連携」と経済紙らしい見出しでしたが、他の各紙は、、『読売』が、「オバマ氏深い遺憾の意」、『産経』が「核廃絶に力」、『朝日』が、「沖縄事件オバマ氏「遺憾」」、『毎日』が、「米大統領「深い遺憾の意」」、『東京』が、「地位協定改定求めず」とほとんどが、沖縄の事件が見出しでした。
沖縄の新聞は、『琉球新報』が、「オバマ氏、女性遺棄事件謝罪せず、地位協定改定否定」、『沖縄タイムス』が、「オバマ米大統領再発防止に全力、首相、沖縄の遺棄事件「抗議」」という見出しでした。
一方、アメリカのメディアは、事件が明るみに出たときは、ほとんど取り上げていませんでしたが、今回は、一斉に報道していました。
主なアメリカのメディアの報道を紹介しましょう。

『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Obama apologizes for Okinawa incident”(オバマ大統領、沖縄の事件で謝罪)という見出しで、”After a strong statement of protest by Japanese Prime Minister Shinzo Abe, President Barack Obama Wednesday expressed “his sincerest condolences and deepest regrets” for the murder of a Japanese woman allegedly at the hands of a former U.S. Marine”(オバマ大統領は、日本の安倍首相の強い抗議声明の後、元アメリカ海兵隊員の手で日本人女性が殺害されたことに対して、“心からの弔意と深い遺憾の意”を表明した)と報じました。

『CBS(=Columbia Broadcasting System)』放送は、”Japan PM Shinzo Abe slams Obama “despicable” Okinawa murder”(日本の安倍首相、”卑劣な“沖縄の殺害をめぐって、オバマ大統領を叱責)という見出し、”Japanese Prime Minister Shinzo Abe publicly chastised President Obama Wednesday over the recent murder of a woman in Okinawa, which Japanese police have linked to an American worker at a U.S, military base”(日本の安倍首相は、日本の警察がアメリカ軍基地のアメリカ人労働者と関連付けている沖縄の女性の殺害事件をめぐって、オバマ大統領を公の場で叱責した)と報じました。


『NBC(=National Broadcasting Company)』放送は、”Obama: U.S. to Cooperate in Okinawa Murder Investigation”(オバマ大統領言明:アメリカは、沖縄殺害事件の捜査に協力する)という見出しで、”Japan’s prime minister Shinzo Abe on Wednesday was deeply critical of a case involving the arrest of a retired Marine in connection with a Japanese woman’s death”(日本の安倍首相は、日本人女性の死に関連して、退役したアメリカ海兵隊員が逮捕された事件について、きわめて厳しい見方をしている)と報じました。

『VOA(=Voice of America)』放送は、”Abe Tells Obama ‘Profound’ Over Okinawa Killing”(安倍首相、沖縄の殺人事件で‘強い憤り’を伝える)という見出しで。”Japanese Prime Minister Shinzo Abe told President Barack Obama of his country’s “profound resentment” over a former U.S. Marine’s confessed involvement in the killing of a 20-year-old Japanese woman outside an American military base in Okinawa”(日本の安倍首相は、沖縄のアメリカ軍基地の外で20歳の日本女性を殺害したと自白した元アメリカ海兵隊員の関与について、オバマ大統領に、日本の‘強い憤り’を伝えた)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Japan’s Abe Presses Obama on Death of Japanese Woman – Police had arrested an American working on a U.S. military base in Okinawa in connection with the killing”(日本の安倍首相、日本女性の死で、オバマ大統領に圧力をかけるー日本の警察、その殺人に関連して、沖縄のアメリカ軍基地で働いているアメリカ人を逮捕)という見出しで、”Japanese Prime Minister Shinzo Abe, after meeting with President Barack Obama on Wednesday, sharply pressed the U.S. leader on the death of a Japanese woman in which an American citizen was allegedly involved, a case that has fueled criticism of the U.S. military presence in Japan. Mr. Obama, in return, said the U.S. was “appalled” by the death, would review procedures on military bases and cooperate with the Japanese legal system”(日本の安倍首相は、オバマ大統領と会談した後、アメリカの民間人が巻き込まれているといわれる日本の女性の死をめぐって、大統領にひどく圧力をかけた。その事件は、アメリカ軍の存在に対する非難に火をつけることになった。これに対して、オバマ大統領は、アメリカは、その死によって“愕然”としており、アメリカ軍基地での手順を見直し、日本の法的制度と協力するだろうと述べた)と報じました。

『The Washington Post』紙は、”Okinawa murder dominates talks between Obama and Abe”(沖縄の殺害事件、オバマ大統領と安倍首相の会談を支配)という見出しで、”The brutal slaying of an Okinawa woman, allegedly by a U.S. military contractor, dominated a meeting between the American and Japanese leaders Wednesday night, with President Obama expressing his “deepest regrets” to Prime Minister Shinzo Abe over the “tragedy”(アメリカ軍契約者によるとされる沖縄の女性の残忍な殺害事件が、日米首脳会談を支配した。オバマ大統領は、その”悲劇“について、安倍首相に”深い遺憾の意“を表明した)と報じました。

『USA TODAY』紙は、”President Obama calls Okinawa crime “inexcusable””(オバマ大統領、沖縄の犯罪を“許しがたい”行為と非難)という見出しで、”Japanese Prime Minister Shinzo Abe expressed “strong indignation” to President Obama during a face-to-face meeting Wednesday about the death of a young Japanese woman allegedly murdered by a U.S. military worker”(日本の安倍首相は、アメリカ軍関係者によって殺害されたとされる若い日本人女性の死に関して、直接の会談で、オバマ大統領に“強い憤り”を表明した)と報じました。




























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746. イギリスで6月23日にEUからの離脱の賛否を問う国民投票ー2016.5.24 [国際ーヨーロッパ]

*2016.5.28の阿佐谷のテキスト*(746&747)

(a) 日本語のニュース

EU=欧州連合からの離脱の賛否を問うイギリスの国民投票まで23日であと1か月となり、世論調査では、離脱と残留の支持率はほぼ拮抗しており、世論を二分する激しい論戦が繰り広げられています。
残留派は、イギリスの輸出のおよそ半分を占めるEUから離脱することになれば、経済的な打撃が大きいことを強調し、テロ対策など安全保障面でも悪影響が出る恐れがあると指摘して、EUにとどまるよう訴えています。キャメロン首相をはじめ、各閣僚も強く残留を訴え、イギリス国内だけでなく、外国首脳にも同調を求めています。
これに対して、離脱派は、EUが定める移動の自由のために加盟国からの移民が急増しているほか、EUが決めるルールによってイギリスが独自の政策を実施できなくなっているなどと主張し、EUからの離脱を呼びかけています。
世論を二分する激しい論戦が繰り広げられている中、最近行われた世論調査では、残留を支持する人は44%、離脱を支持する人は40%となっていて、拮抗しています。
今回の国民投票で、イギリスがEUから離脱することになれば、統合を進めてきたEUの将来に大きな影響を与えるだけでなく、世界的にも金融市場などに混乱をもたらす恐れもあり、イギリスの動向に世界的な注目が集まっています。

(b) ニュースの背景

イギリスとEUの関係をみてみますと、1993年発足したEU=欧州連合は、第2時世界大戦後に、フランスと西ドイツ主導でつくられたECSC=欧州石炭鉄鋼共同体などが母体となっています。イギリスは、1973年に遅れて後身のEC=欧州共同体に加盟しました。しかし、イギリスは、EUの共通通貨であるEURO=ユーロを導入していませんし、加盟国間の自由な人の往来を認める「シェンゲン協定」にも参加していません。
近年、東欧のEU新規加盟国などからイギリスへの移民が流入、EU離脱論が高まりました。
今回のイギリスの国民投票の背景には、ポーランドなど東欧のEU加盟国からイギリスの手厚い福祉手当を目的に入国する労働者が多いという不満がイギリス国内にあることが指摘されています。キャメロン氏率いる保守党は、昨年5月の総選挙で、国民投票を公約に掲げて大勝し、今年2月キャメロン首相は、EU首脳会議で、イギリスのEU改革案を説明し、首脳会議は、イギリスへの域内移民の抑制策など特例を設けることに全会一致で合意しました。それは、イギリスは、移民抑制策として、流入が多い場合には、社会保障給付を最大4年間制限できる緊急手続きの導入を認め、手続きの継続期間は、キャメロン首相が最低水準とした7年で合意しました。イギリスの要求に、東欧加盟国を中心に反発が強く、協議は難航していましたが、結局イギリスの案をのみました。
キャメロン首相は、ただちに帰国し、緊急閣議を開き、EU首脳会議の結果を報告、その後、6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票を実施すると発表しました。

(c) 英語のニュース

Britain will hold a referendum on June 23rd to decide whether the country should leave or remain in the European Union.
Public opinion is split over the issue. The latest opinion polls show that 44 percent of respondents support the “Remain” side while 40 percent back “Leave” side.
The “Remain” side insists that the nation would suffer a major economic blow as about half of Britain’s exports go to the EU. It also says that the withdrawal could also hurt counter-terrorism and other security arrangements.
The “Leave” side claims that the number of migrants to Britain from the EU member states is surging and that EU rules are blocking Britain from implementing some measures independently.
The referendum is drawing international attention as a vote for an exit might trigger turmoil on global financial markets and have some influence on the future of the EU.

(d) ニュースの比較研究

6月23日にイギリスで行われる国民投票で、イギリスがEU=欧州連合に残留するか、離脱するかが決まりますが、離脱することが決まった場合には、EU内部だけでなく世界的に大きな影響がでることになりますので、世界的な関心を呼んでいます。
イギリスのメディアの報道を紹介しましょう。

『Financial Times』紙は、”Brexit shock would cause loss of half a million jobs, Javid warns”(ジャビッド・ビジネス相警告:イギリスがEUを離脱した場合には、50万人の失業者がでるだろう。 Brexitは、Britain(イギリス)+exit(出口、離脱)の合成語)という見出しで、”Britain faces the loss of more than half a million jobs if it votes to leave the EU, according to a bleak analysis of the short-term economic shock of a Brexit vote to be published on Monday by the Treasury”(イギリスの財務省が発表する予定の短期的な経済的衝撃の暗い分析によれば、イギリスは、もし国民投票でEUを離脱することになれば、50万人以上が失職する事態に直面する)と報じました。

『REUTERS』通信は、”UK would lose at least 500,000 jobs after Brexit vote: Osborne”(オズボーン財務相談:国民投票でイギリスがEUから離脱を決めたら、少なくとも50万人が失職するだろう)という見出しで、”Britain would lose at least half a million jobs within two years of a vote to leave the European Union and a fall in the value of the pound would push up inflation sharply, fiancé minister George Osbourne said on Monday”(オズボーン財務相は、イギリスが国民投票でEU離脱を決めたなら、2年以内に50万人が失業し、ポンドの価値は下落し、インフレはさらに悪化することになるだろうと述べた)と報じました。

『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、”EU referendum: Brexit ‘would spark year-long recession’ – Treasury”(EUに関する国民投票:イギリスの離脱は、1年間の景気後退を引き起こすー財務省報告)という見出しで、”Leaving the European Union would tip the UK into a year-long recession, with up to 820,000 jobs lost within two years, Chancellor George Osborne says. Publishing Treasury analysis, he said a Leave vote would cause an “immediate and profound” economic shock, with growth between 3%and 6% lower”(オズボーン財務相は、イギリスがEUから離脱すれば、イギリスは、1年間の景気後退に陥り、2年間で82万人が失業するだろうと述べた。財務省の分析を発表してさらに、離脱すれば、“即刻の、そして深い”経済的ショックを引き起こし、経済成長は、3%から6%の間で下がるだろうと述べた)と報じました。













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745. 日本・パナマ租税情報交換協定で実質合意ー2016.5.23 [経済、国際ー中南米]


(a)日本語のニュース

タックスヘイブン=租税回避地をめぐるパナマ文書の問題を受けて、脱税や国際的な課税逃れを防ぐため、日本とパナマは、租税情報交換協定を結ぶことで実質合意しました。
これは、日本の財務相が、23日明らかにしたもので、外国の企業や個人が、自国の金融機関に保有している口座の名義や預金残高などの情報を、税務当局の間で定期的に交換するものです。
OECD=経済協力開発機構が進めている国際的な枠組みに沿ったもので、パナマが定期的な情報交換を盛り込んだこうした協定を結ぶのは、初めてのことです。
26日に開幕する主要国首脳会議=伊勢志摩サミットでも課税逃れ対策は主要議題となるものとみられ、日本とパナマの実質合意が、国際的な枠組みを拡充する上で、役立つものと期待されています。

(b)ニュースの背景

租税回避地、いわゆるタックスヘブン(tax haven)というのは、法人税や所得税などの税率がゼロかきわめて低い国・地域のことで、カリブ海のイギリス領バージン諸島やケイマン諸島などがあります。
これらの国・地域で資産を保有したり、金融取り引きをしたりすること自体は、違法ではありませんが、法人情報がほとんど公開されないため、税務当局の目が届きにくく、脱税や粉飾決算、資金洗浄の温床という批判もあります。

世界各国の首脳や富裕層などの隠れた資産運用を明らかにした「パナマ文書」の問題で、各国の記者でつくっている国際的な団体であるICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合は、5月10日、21万社を超える法人や関わりがあるとされる個人の名前をホームページ上で公表しました。
「パナマ文書」は、中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内部資料で、今回の公表で、この法律事務所が昨年までにタックスヘイブン=租税回避地とされる21の国や地域に設立したおよそ21万4000社の法人の情報が閲覧できるようになっています。
「パナマ文書」は、一部が4月に初めて公表されて以来、各国の首脳やその関係者の隠れた資産運用の実態が次々と明らかになり、市民から厳しい批判をあびたアイスランドの首相やスペインの産業相が辞任に追い込まれています。
批判の背景には、経済の低迷などを理由に各国の市民の税の負担が増えていることがあるとされ、各国の首脳や富裕層など一部の特権階級だけが税金から逃れることができる現状に不満をもっていることがきっかけとみられています。
「パナマ文書」では、日本を住所地とする400を超える個人や法人の名前があげられていますが、その多くが、租税回避はないという見解を発表しています。

(c)英語のニュース

Japan and Panama have reached basic agreement to exchange information on tax affairs to prevent tax evasion, following the Panama Papers leak.
This was disclosed by the Japanese Finance Ministry on Monday.
The agreement will allow their authorities to automatically share information in areas such as bank accounts held by companies.
It is based on an international scheme implemented by the OECD, or the Organization for Economic Cooperation and Development.
It will be the first time for Panama to conclude such an agreement.

(d) ニュースの比較研究

日本とパナマが租税情報交換協定で実質合意したニュースについては、日本のメディアは、報道していましたが、外国のメディアは、今のところ報道していません。







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744. 安倍首相、沖縄の事件で、翁長知事と会談ー2016.5.23 [社会、政治ー防衛、国際ーアメリカ]


(a) 日本語のニュース

安倍首相は、23日、沖縄県で女性の遺体を遺棄した疑いでアメリカ人の軍属の男が逮捕された事件を受け、沖縄県の翁長知事と首相官邸で会談しました。
この会談で、翁長知事は、「今回の事件は、決して許されるものではない。強く抗議をする」と強調し、沖縄へのアメリカ軍基地の集中が今回の事件の原因にあるとしたうえで、「二度とこうした事件が起きないよう、日米両政府の責任で、日米地位協定の見直しを含め、抜本的な対策を講じるよう求めました。そして、来日するアメリカのオバマ大統領に「直接話す機会を与えてほしい」と要請しました。
安倍首相は、「身勝手で卑劣きわまりない犯罪に強い憤りを覚える。ご遺族に心からお見舞いを申し上げたい。政府としても真剣に受け止めており、アメリカ政府に強く抗議した」と述べました。そのうえで、「オバマ大統領に国民の気持ちを踏まえ、厳正な対処を求めていく」と述べ、今週の伊勢志摩サミットに合わせて行われる日米首脳会談でこの問題を取り上げ、実効性のある再発防止策を講じるよう求める考えを示しました。
沖縄県では、今回の事件を受け、県議会議員や市民団体が、アメリカ軍基地反対の大規模集会を6月に開く準備を進めており、反基地感情が高まりつつあると伝えられています。

(b)ニュースの背景

沖縄県で4月下旬から行方不明になっていた女性の会社員が遺体でみつかった事件で、警察は、5月19日、在日アメリカ軍の軍属でアメリカ国籍の男を死体遺棄容疑で逮捕しました。警察によりますと、容疑者は、殺害したことを供述をしているということです。
警察の発表によりますと、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者32歳は、元海兵隊員で、空軍嘉手納基地に勤務していますが、4月28日から29日未明にかけて、沖縄県うるま市の会社員島袋里奈さん20歳の遺体を雑木林に遺棄したとして逮捕したものです。
警察は、付近の防犯カメラの映像や目撃情報から、シンザト容疑者の車がこの時間帯に付近を通っていたことをつきとめ、5月16日から任意の事情聴取を続け、使用車両の任意提出を受けて調べた結果、車から島袋さんのDNA型が検出されました。警察が、19日、雑木林で、島袋さんの白骨化した遺体を発見し、シンザト容疑者を逮捕したものです。
警察は、シンザト容疑者について、日米地位協定が定める「軍属」にあたると説明、ただ、事件は、「公務外」で起きたとし、日本の刑事手続きに従って送検するとしています。

岸田外相は、5月19日、アメリカのケネディ駐日大使を呼び、「事件の発生は、極めて遺憾だ。非難し、強く抗議する」と表明したのに対し、ケネディ大使は、「アメリカ政府と国民に代わって心からの悲しみを表明する」と述べました。

今回の事件は、今後の沖縄問題を中心にした日本の政治情勢と日米関係に大きな影響を与えるものとみられています。
1995年沖縄でアメリカ海兵隊による少女暴行事件が発生し、抗議の大規模な県民大会が開かれ、アメリカ軍の基地反対運動に拡大していきました。そして翌1996年日米両政府による普天間基地返還合意につながっていきました。
しかし、その後も、アメリカ兵による事件は、後を絶たず、今年3月にも、アメリカ海兵隊員による観光客の女性への暴行事件も発生しています。
アメリカ軍の普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画についても影響がでてくることが予想されます。政府と沖縄県は、移設作業をめぐる訴訟が和解したことを受けて設置された協議の場の作業部会を30日に開くことになっていますが、先延ばしすることを検討していると伝えられています。
今月26日と27日に行われる主要国首脳会議=伊勢志摩サミットの際に開かれる日米首脳会談でも、この問題が取り上げられるものとみられます。
さらに、6月の沖縄県議会選挙や7月の参議院選挙の沖縄県での選挙運動でも、基地問題は、主要なテーマになるものとみられます。
こうした状況から、今回の事件は、沖縄の県民の怒りを呼び起こし、今後の国内外の動向に大きな影響を与えるものとみられます。

(c) 英語のニュース

Japanese Prime Minister Shinzo Abe has met Okinawa Governor Takeshi Onaga to discuss the incident involving a U.S. military base worker who was arrested on suspicion of abandoning the body of a Japanese woman in central Okinawa.
Mr. Onaga told Mr. Abe that the incident is intolerable and that such crimes are inevitable as long as U.S. military bases remain in Okinawa.
He called for a drastic review of the Japan-U.S. status of forces agreement – a bilateral accord defining the handling of U.S. military and other personnel in Japan.
Mr. Onaga requested Mr. Abe to set up a meeting between him and U.S. President Barack Obama in the wake of the incident.
Mr. Abe said that he is furious over the incident and that he will ask President Obama to take effective measures to prevent crimes by U.S. military personnel. Mr. Obama will come to Japan later this week to attend a G7 summit and visit Hiroshima.
Last Thursday, Kenneth Franklin Shinzato, a 32-year-old former U.S. Marine, was arrested for allegedly dumping the body of a 20-year-old Japanese woman. Japanese police say that he has admitted to killing her.
Meanwhile, an organization comprising political parties and civic groups in Okinawa are planning to hold a massive rally next month to protest against the incident and call for the reduction of U.S. military bases in Okinawa.

(d)ニュースの比較研究

安倍首相と翁長沖縄県知事の沖縄における女性遺体遺棄事件をめぐる会談については、日本のメディアは、大きく報道していますが、今のところ、外国のメディアは報道していません。




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743.G7=主要7か国財務相・中央銀行総裁会議閉幕ー2016.5.22 [経済ー金融、アメリカ、ヨーロッパ]


(a) 日本語のニュース

仙台市で開かれていたG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議は、21日、減速する世界経済を下支えするため、各国の実情に応じて、財政出動、金融政策、構造改革を実行していくことを確認して閉幕しました。
今回の2日間にわたった会議は、26日と27日のG7主要国首脳会議=伊勢志摩サミットを前にした最後の閣僚会合で、サミットが、今回の会議の成果を踏まえて強いメッセージを打ち出すことができるかどうかが焦点です。
今回の会議では、サミットで主要な議題となる世界経済について議論し、G7が各国の実情に応じて財政出動、金融政策、構造改革を実行し、不透明さが増す世界経済を支えていくことで一致しました。
しかし、持続的な成長には、需要を生み出す財政出動が必要だとする日本やアメリカと構造改革が重要だとするドイツの間で政策のスタンスの違いが浮き彫りになり、さらに、為替相場をめぐっては、最近の円高ドル安の動きが「一方的、投機的な動きだ」とする日本に対し、アメリカは、「無秩序な動きではない」という見解を示し、円高を警戒する日本の為替介入をけん制し、日米が対立する構図になりました。
今回の会議では、「パナマ文書」で明らかになった租税回避やテロ組織への資金流入防止のための行動計画を策定することで一致しました。

(b) ニュースの背景

主要国首脳会議は、1975年第1回は、フランスのランブイエで開催、フランス、アメリカ、イギリス、西ドイツ、日本、イタリアが参加。1976年第2回からカナダが参加。1994年第20回からロシアが政治討議に参加、2003年第29回からすべてに参加。G8に。2014年第40回からウクライナ問題でロシア排除、G7に。
2016年5月26日と27日 第42回主要国首脳会議・伊勢志摩サミット。
伊勢志摩サミットに向けた関係閣僚会議は、広島市での外相会合を皮切りに9月下旬まで、全国10か所で開催されます。
① 外相会合 4月10、11日 広島市
② 農相会合 4月23、24日 新潟市
③ 情報通信相会合 4月29、30日 高松市
④ エネルギー相会合 5月1,2日 北九州市
⑤ 教育相会合 5月14、15日 岡山県倉敷市⑥ 環境相会合 5月15、16日 富山市
⑦ 科学技術相会合 5月15~17日 茨城県つくば市
⑧ 財務相・中央銀行総裁会議 5月20,21日 仙台市
G7=主要国首脳会議・伊勢志摩サミット 5月26、27日 三重県志摩市
⑨ 保健相会合 9月11、12日 神戸市
⑩ 交通相会合 9月24、25日 長野県軽井沢町

(c)英語のニュース

Finance ministers and central bank chiefs from the Group of Seven leading industrial countries have confirmed the importance of implementing monetary, fiscal
and structural reform policies based on the situation of each member country amid increasing uncertainty in the global economy.
This came when they ended a two-day meeting in Sendai, northeastern Japan, on Saturday to lay the groundwork for a G7 summit to held in Ise-Shima region in central Japan next Thursday and Friday.
However, the finance leaders failed to find ways to take coordinated action to revitalize the global economy.
They also confirmed that excessive or disorderly currency volatility may adversely affect economies and agreed to refrain from competitive devaluation.
The finance leaders agreed to step up measures against tax avoidance.
They also adopted an action plan to boost the exchange of information to stamp out terrorist funding.
G7 countries are the United States, Canada, Britain, France, Germany, Italy and Japan.

(d)ニュースの比較研究

仙台市で開かれていたG7=主要国の財務相・中央銀行総裁会閉幕のニュースについては、日本のメディアは、自国で開かれ、伊勢志摩サミット直前の閣僚会議であったため、大きく扱っていましたが、外国のメディアは、通信社や経済紙が報道した程度で、あまり関心を示していませんでした。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=Associated Press)』通信は、”G7 Takes Aim at Terrorist Financing”(G7、テロリストの資金を目標に)という見出しで、”The Group of Seven major economies showed a unified front on fighting terrorist financing and tax evasion in talks that ended Saturday, but shied away from coordinated action on policies to revive stalling growth.(G7=主要7か国は、会談で、テロリストの資金や税金逃れに対して戦うのに統一戦線を示したが、減速している経済成長を再活性化させるための統一した行動をとることはできなかった)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、”U.S., Japan Clash Over Yen Policy at G-7 Meeting”(日米、G7の会議で、円政策をめぐって対立)という見出しで、”Differences between the U.S. and Japan over the yen surfaced again Saturday, underscoring the difficulty the world’s leading economies face as they try to coordinate efforts to stoke global growth”(アメリカと日本の間の円をめぐる意見の相違が、再び表面化した。世界の主要国が世界的な成長をうながそうとする努力を調整しようとしている時、それらの国々が直面しているむずかしさを浮き彫りにしているのだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”U.S., Japan disagreement on yen moves overshadows G7 meeting”(アメリカと日本の円の動きをめぐる不一致は、G7の会議に影を落としている)という見出しで、”The United States issued a fresh warning to Japan against intervening in currency markets on Saturday as the two countries’ differences over foreign exchange overshadowed a Group of 7 finance leaders’ gathering in the Asian nation”(アメリカは、日本に対して、通貨市場に介入しないよう新たな警告を発した。外国為替をめぐる日米の意見の相違は、アジアのこの国(日本)におけるG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議に影を投げかけたのだ)と報じました。


















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742. 沖縄米軍属、女性の遺体遺棄容疑で逮捕ー2016.5.20 [社会、政治ー外交、国際ーアメリカ、日本]

*2016.5.21の荻窪のテキスト*740~742(ほかに、安倍首相談(NY Times)、台湾総統就任演説の英文を当日配布)


(a) 日本語のニュース

沖縄県で先月から行方不明になっていた女性の会社員が遺体でみつかった事件で、警察は、19日、在日アメリカ軍の軍属でアメリカ国籍の男を死体遺棄容疑で逮捕しました。警察によりますと、容疑者は、殺害をほのめかす供述をしているということです。
警察の発表によりますと、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者32歳は、元海兵隊員で、空軍嘉手納基地に勤務していますが、先月28日から29日未明にかけて、沖縄県うるま市の会社員島袋里奈さん20歳の遺体を雑木林に遺棄したとして逮捕したものです。
警察は、付近の防犯カメラの映像や目撃情報から、シンザト容疑者の車がこの時間帯に付近を通っていたことをつきとめ、今月16日から任意の事情聴取を続け、使用車両の任意提出を受けて調べた結果、車から島袋さんのDNA型が検出されました。警察が、19日、雑木林で、島袋さんの白骨化した遺体を発見し、シンザト容疑者を逮捕したものです。
警察は、シンザト容疑者について、日米地位協定が定める「軍属」にあたると説明、ただ、事件は、「公務外」で起きたとし、日本の刑事手続きに従って送検するとしています。一方、アメリカ側は、沖縄の地元当局の捜査に全面的に協力するとしながらも、容疑者は、現役の軍人でなく、アメリカ軍に雇用されている人物でもなく、基地で働く民間会社の請負人だとしています。

岸田外相は、19日、アメリカのケネディ駐日大使を呼び、「事件の発生は、極めて遺憾だ。非難し、強く抗議する」と表明したのに対し、ケネディ大使は、「アメリカ政府と国民に代わって心からの悲しみを表明する」と述べました。

(b)ニュースの背景

今回の事件は、今後の沖縄問題を中心にした日本の政治情勢と日米関係に大きな影響を与えるものとみられています。
1995年沖縄でアメリカ海兵隊による少女暴行事件が発生し、抗議の大規模な県民大会が開かれ、アメリカ軍の基地反対運動に拡大していきました。そして翌1996年日米両政府による普天間基地返還合意につながっていきました。
しかし、その後も、アメリカ兵による事件は、後を絶たず、今年3月にも、アメリカ海兵隊員による観光客の女性への暴行事件も発生しています。
アメリカ軍の普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画についても影響がでてくることが予想されます。政府と沖縄県は、移設作業をめぐる訴訟が和解したことを受けて設置された協議の場の作業部会を30日に開くことになっていますが、先延ばしすることを検討していると伝えられています。
今月26日と27日に行われる主要国首脳会議=伊勢志摩サミットやその際開かれる日米首脳会談、さらには、アメリカのオバマ大統領の広島訪問などでも、この事件に触れざる得ないものとみられます。
さらに、6月の沖縄県議会選挙や7月の参議院選挙の沖縄県での選挙運動でも、基地問題は、主要なテーマになるものとみられます。
こうした状況から、今回の事件は、沖縄の県民の怒りを呼び起こし、今後の国内外の動向に大きな影響を与えるものとみられます。

(c)英語のニュース

Japanese police have arrested an American male civilian who works for the U.S. military in Okinawa on suspicion of abandoning the body of a missing Japanese woman.
According to the police, a 32-year-old former U.S. Marine, Shinzato Kenneth Franklin has admitted the charge and suggested he killed a 20-year-old Japanese woman, Miss Rina Shimabukuro, She went missing late last month.
The police said that they found her body at a wooded area in central Okinawa in accordance with Shinzato’s statement.
Meanwhile, Japanese Foreign Minister Fumio Kishida has summoned U.S. Ambassador to Japan, Ms. Caroline Kennedy, to lodge a protest. Ms. Kennedy expressed condolences and said that the United States will redouble its efforts to prevent similar incidents.

(d)ニュースの比較研究

沖縄米軍属、行方不明の女性の遺体遺棄容疑で逮捕のニュースについては、日本のメディは、大々的に伝え、今後の政局などに波紋という形で報道しましたが、アメリカのメディアは、それほど大きくは扱っていません。
アメリカの報道を紹介しましょう。

アメリカ軍の『Stars and Stripes』紙は、”Reports: US civilian arrested as Okinawa police find woman’s body”(報道:沖縄の警察、女性の遺体発見、アメリカの民間人逮捕)という見出しで、”Japanese police have arrested an American civilian employee of a U.S. military base in connection with the disappearance of a 20-year-old Okinawan woman missing since last month”(日本の警察は、先月以来行方不明になっている沖縄の20歳の女性の事件に関連して、アメリカ軍基地で働いているアメリカの民間人を逮捕した)と報じました。

『AP(=Associated Press)』通信は、”U.S. military worker arrested in Okinawa, linked to murder”(殺人事件に関連して、アメリカ軍関係者逮捕)という見出しで、”Japanese police have arrested an American working on a U.S. military base in Okinawa on suspicion of abandoning the body of a woman who had been missing since last month”(日本の警察は、先月以来行方不明になっている女性の遺体を遺棄した容疑で、沖縄のアメリカ軍基地で働いているアメリカ人を逮捕した)と報じました。

『The Washington Post』紙は、“American accused of dumping body”(アメリカ人に遺体遺棄容疑)という見出しで、”An American man working at a U.S. military base on the Japanese island of Okinawa was arrested Thursday on suspicion of dumping the body of a 20-year-old Japanese woman, Okinawan police said”(沖縄の警察が発表したところによると、日本の島・沖縄のアメリカ軍基地で働いているアメリカ人男性が、日本の20歳の女性の遺体を遺棄した容疑で逮捕された)と報じました。

















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741. 1~3月期のGDP=国内総生産、年率プラス1.7%-2016.5.18 [経済]

*2016.5.21の荻窪のテキスト*740~742

(a) 日本語のニュース

今年1月から3月までのGDP=国内総生産の伸び率は、前の3か月と比べて、物価の変動を除いた実質でプラス0.4%、年率に換算してプラス1.7%と2四半期ぶりにプラスになりました。
これは、内閣府が18日発表したもので、企業の設備投資は、前の3か月に比べて1.4%減少し、GDPの6割を占める個人消費も、プラス0.5%と伸び悩んでいます。
民間エコノミストの間では、うるう年で2月が1日多かった影響を除けば、実質的にゼロ成長にとどまったという見方が多く、景気は足踏み状態が続いているとみられています。、
今回の結果、2015年度1年間のGDPの伸び率は、実質でプラス0.8%と、2年ぶりにプラスに転じましたが、プラス1.2%程度としていた政府の見通しを下回っています。
政府は、高齢化で増大する社会保障費を賄うため、来年4月に消費税率を10%に引き上げることにしていますが、今後の景気動向や主要国首脳会議=伊勢志摩サミットの議論などを踏まえて、安倍首相が最終判断をするといわれています。

(b) ニュースの背景

GDP(=Gross Domestic Product)は、国内総生産のことで、その国の経済力を示す指標になっています。GDPは、企業や政府の活動が、国内で一定期間に生み出した経済的な価値の総額を示しています。個人消費や設備投資、住宅投資、公共事業などの「内需」と輸出から輸入を引いた「外需」に分かれています。GDPは、実質GDPと名目GDPがあります。GDPは、物価の変動の影響を受けるため、その影響を取り除き、その年に生産された財の本当の価値を算出したものが実質GDPで、一方それを取り除かず、その年の経済活動水準を算出したのが、名目GDPです。GDPの1年間の増加率を示すのが、経済成長率です。

(c) 英語のニュース

Japan’s Gross Domestic Product in the January-March period grew a real 0.4 percent from October-December last year , making a turnaround following the previous quarter’s drop.
Japan’s Cabinet Office says that the GDP increased 1.7 percent in real terms on an annualized basis – the first such positive growth in 2 quarters.
Consumer spending, which accounts for 60 percent of the GDP, grew 0.5 percent. Corporate capital investment shrank 1.4 percent. Housing investment also declined 0.8 percent.
The Cabinet Office says that the GDP figures mark a 0.8 percent rise for fiscal 2015 that ended on March 31st and the first such increase in 2 years, but fall below government expectations of a figure of about 1.2 percent.

(d)ニュースの比較研究

1~3月期のGDP=国内総生産は、年率プラス1.7%というニュースについては、日本のメディアは、大きく伝えましたが、外国のメディアは、ほとんど報道しませんでした。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Japan’s economy dodges recession in first-quarter, sales tax decision eyed”(日本経済、第1四半期で景気後退をはぐらかす、消費税に関する決定に注目)という見出しで、”Japan’s economy expanded at the fastest pace in a year in the first quarter, thanks in part to a leap year consumption boost, but analysts say the rebound is not strong enough to dispel concerns over a contraction this quarter”(日本経済は、第1四半期で、この1年間で最も早いペースで拡大した。これは、うるう年の消費の押し上げのためだ。しかし、分析家は、その回復は、現在の第2四半期の不況をめぐる懸念を払しょくするほど強いものではないといっている)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、””Japanese economy avoids recession”(日本経済、景気後退を避ける)という見出しで、”Japan’s economy has dodged a recession after it grew faster than expected in the first three months of the year”(日本経済は、今年の最初の3か月で、予想よりも早く成長した後、景気後退を避けた)と報じました。


































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740. 国立西洋美術館などル・コルビュジエの作品、世界遺産に登録へー2016.5.18 [国際―国連、社会]

*2016.5.21の荻窪のテキスト*740~742

(a) 日本語のニュース

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産に、フランスの建築家ル・コルビュジエの作品の東京の国立西洋美術館など7か国の17作品が登録される見通しになりました。
日本の文化庁が17日発表したところによりますと、これは、ユネスコの諮問機関のイコモス=国際記念物遺跡会議が、「世界遺産に登録することがふさわしい」と勧告したためで、7月にトルコで開かれる世界遺産委員会で正式に決まる見通しです。
ル・コルビュジエは、近代建築の父と呼ばれ、スイス出身で、その後フランス国籍を取得し、パリを拠点に活躍した20世紀を代表する建築家で、フランスの10作品、スイスの2作品、ベルギー、ドイツ、インド、アルゼンチン、日本のそれぞれ1つの作品、あわせて7か国の17作品が推薦されました。
そのうち、東京にある国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが設計した日本国内唯一の作品で1959年に完成したものです。ピロティと呼ばれる柱で支えられた開放的な空間やらせん状の回廊、それに自然光を利用した建築様式が特徴です。
正式に決定されますと、日本国内の世界遺産候補がほかの国との共同推薦で登録されるのは初めてで、国内の世界遺産は、20件になります。

(b) ニュースの背景

ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887~1965)は、本名は、シャルル・エドゥアール・ジャンネレ・グリ(Charles-Edouard Jeanneret-Gris)で、ル・コルビュジエは、祖先の名に由来するペンネーム。スイス生まれで、その後フランスの国籍を取得し、パリを拠点に世界各地で活躍した建築家。鉄とガラスとコンクリートによる箱型のモダニズム建設を確立し、それまでの伝統的な石積みやレンガ積みの建築からの転換をはかりました。また、ピロティと呼ばれる柱で支えられた吹き抜け空間、屋上庭園、横長の窓などを「新しい建築の5つの要点」として提唱しました。ル・コルビュジエに師事した日本人の中には、昭和を代表する建築家、前川國男や板倉準三、吉坂隆正などがいて、日本の近代建築にも大きな影響を与えました。

世界遺産(World Heritage)は、1972年のユネスコ=国連教育科学文化機関の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録された遺跡、景観、自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的な価値を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象になっています。世界遺や産の総数は、現在1031件で、日本の世界遺産は、19件(文化遺産15件、自然遺産4件)です。国立西洋美術館が登録されれば、東京都内で初めての世界文化遺産になります。

イコモス(ICOMOS=International Council on Monuments and Sites)は、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議のことで、世界遺産の登録の審査、モニタリングの活動などを行っています。イコモスの評価は、「登録」、追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回す「情報照会」、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要な「登録延期」、登録にふさわしくない「不登録」の4段階があります。今回は、2009年、2011年に続いて3度目の挑戦でした。

(c) 英語のニュース

A UNESCO advisory panel has recommended listing 17 structures designed by French architect Le Corbusier, including a museum in Tokyo, as World Heritage sites.
The Japanese government’s Cultural Affairs Agency says that the recommendation was made by the UNESCO’s ICOMOS=the International Council on Monuments and Sites and is now expected to be finalized at a meeting of UNESCO’s World Heritage Committee in Istanbul in July.
The structures in 7 countries include 10 in France, 2 in Switzerland and 1 in Japan - the main building of the National Museum of Western Arts in Tokyo. The building, completed in 1959, features a winding path staircase that slopes through the center of the galleries. It was the sole building in Japan designed by Le Corbusier, who is recognized as the grand master of modern architecture.
The museum’s main building will be the 20th world heritage site in Japan. At present, 15 cultural and 4 natural sites are on the world heritage list for Japan.

(d) ニュースの比較研究

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産に、フランスの建築家ル・コルビュジエの17作品が登録される見通しですというニュースについては、日本のメディアは、国立西洋美術館を中心に大きく報道していましたが、外国のメディアは、報道していません、


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