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606.中国提唱のアジアインフラ投資銀行に50か国近く参加申請ー2015.4.1 [経済、国際ーアジア]

*2015.4.4のサロンのテキスト*

(a)日本語のニュース

中国が提唱しているアジアインフラ投資銀行にこれまでに50か国近くが参加を申請しました。
アジアインフラ投資銀行は、アジアの発展途上国のインフラ整備を金融面から支援する目的で中国が設立を提唱しているもので、中国政府は、31日までに参加を表明し申請をした国は、創設メンバーとして銀行の枠組み作りに参加できるとしています。
これまに参加を表明しているのは、アジア太平洋地域では、中国、台湾、韓国、モンゴル、ASEAN=東南アジア諸国連合10か国、インド、パキスタンなど、オセアニア地域のオーストラリア、ニュージーランド、中東・アフリカ地域では、サウジアラビア、エジプト、トルコなど、ヨーロッパ地域では、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ロシアなど、米州地域では、ブラジルなどとなっています。
アメリカと日本は、アジアインフラ投資銀行の運営方法や融資基準などに懸念があるとして、参加を見合わせています。
中国外務省の報道官は、アジアインフラ投資銀行にアメリカと日本が参加を表明していないことについて、「参加するかしないかは各国の決定を尊重する」としたうえで、「関係国との意志疎通は続けたい」と述べ、アメリカと日本の協力を望んでいるという姿勢を示しました。

(b)ニュースの背景

アジアインフラ投資銀行(AIIB=Asian Infrastructure Investment Bank)は、中国が主導して今年12月末までに設立しようとしている国際金融機関で、習近平国家主席がアジアの道路、鉄道、発電所などのインフラ整備を金融面から支援するとして創設を提唱したものです。 法定資本金は、1,000億ドル(約12兆円)で、出資比率は、各国の経済規模などをもとに話し合うとされていますが、中国が最大の出資者となる予定です。本部は北京。初代総裁も中国が握ることになっています。
昨年10月の設立覚書には、中国、インド、東南アジアなど21か国が調印しましたが、その後、特に今年3月に入って、イギリス、ドイツ、フランス、ロシア、ブラジル、オーストラリアなどが次々と参加を表明、急に膨らんで、これまでに48の国と地域が創設メンバーに参加を表明しました。
今後は、4月中旬に創設メンバーを確定し、5月に参加国の出資比率などを定めた設立協定を策定するための最終会合が開かれ、6月末までに協定署名のための閣僚会合が開かれることになっています。

(c)英語のニュース

Nearly 50 countries have applied for joining the proposed China-led Asian Infrastructure Investment Bank as founding members.
This came on Tuesday -- the final day for nations to sign up as founding members of the bank which will fund infrastructure projects for developing countries in Asia. The founding members will participate in creating the bank's baseline policies.
The members which have filed their applications include China, Taiwan, South Korea, Mongolia, 10 ASEAN members, India, Pakistan, Australia and New Zealand. They also include Saudi Arabia, Egypt and Turkey. Britain, Germany, France, Italy, Russia and Brazil have also applied for the membership.
However, the United States and Japan have not applied, saying that the bank lacks transparency in
governance.
Meanwhile, a spokesperson for China's Foreign Ministry said that China respects the decisions of the United States and Japan on whether to join the China-proposed Asian Infrastructure Investment Bank.
She said that China will continue dialogue with relevant countries, indicating that China hopes to cooperate with the United States and Japan.

(d)ニュースの比較研究

中国が提唱しているアジアインフラ投資銀行への参加申請が50か国近くになったというニュースについては、国際社会における中国の影響力の大きさを示すものとして注目されました。特に日本のメディアは、31日の締め切りに先立って数日前から参加国が増えていく動きを日本が取り残されていくというコメントを添えて報道したものが多かったように思います。
主な外国のメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『The New York Times』紙は、"Japan, Sticking With U.S., Says It Won't Join China-Led Bank"(日本、アメリカとの関係を重視し、中国主導の銀行には参加せず)という見出しで、"Japanese leaders indicated on Tuesday that their nation would not become a founding member of a new China-led Asian development bank but instead remain loyal to the United States, which has urged its allies to refrain from joining. The officials cited concerns about the management of the new lender, the Asian Infrastructure Investment Bank, that echoed objections raised by Washington, which sees the bank as a challenge to American-led institutions like the World Bank."(日本政府の指導者たちは、日本は、新しい中国主導のアジア開発銀行の創設メンバーにならずに、その銀行に参加しないよう同盟国に呼びかけていたアメリカに忠実なままでいることを示唆した。彼らは、その新しい貸し手であるアジアインフラ投資銀行の管理に関して懸念をもっている。それは、アメリカ政府が、中国主導のその銀行を世界銀行のようなアメリカ主導の機関への挑戦とみて反対していることに応えたものだ)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Taiwan and Norway sign up to AIIB"(台湾、ノルウエー、AIIB(アジアインフラ投資銀行)へ参加の署名)という見出しで、"Taiwan and Norway are to join the new Asian Infrastructure Investment Bank(AIIB). They become the last countries to apply to the China-led bank before the Tuesday deadline. They join more than 40 countries, including Australia, South Korea, Britain, France and Germany that have signed up to the development bank. The US and Japan have refused to join, with both countries worried about standards of governance. There are also concerns over whether loans will carry adequate environmental, labour and social safeguards"(台湾とノルウエーは、AIIB=アジアインフラ投資銀行に参加する予定である。31日締切前に銀行に参加申請をした最後のメンバーである。オーストラリア、韓国、イギリス、フランス、ドイツなど40か国以上の国々に加わることになる。アメリカと日本は、参加していない。それは、ガバナンス(統治)の基準について懸念をもっているのと借款が適切な環境的、労働上の、社会的な安全基準を持っているかどうかについて懸念を持っているからだ)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence-France Presse)』通信は、"Hard money, soft standards? Tough questions for China's new bank"(困難な資金、緩やかな基準?中国の新しい銀行に困難な問題)という見出しで、"China scored a diplomatic coup by enticing almost 50 countries including key US allies to join its new development bank. But analysts say authoritarian Beijing now faces a daunting task managing a multilateral institution for the first time, with members ranging from the Netherlands to Nepal."(中国は、その新たな開発銀行にアメリカの同盟国を含めたほぼ50か国を集めて、外交的な大勝利を収めた。しかしながら、分析家たちは、中国政府当局が、オランダからネパールに至るまでのさまざまなメンバーで、初めて多国間の組織を管理するという非常に困難な仕事に直面していると述べた)と報じました。


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466.東芝の技術の韓国への流出事件で元技術者を逮捕ー2014.3.14 [経済、国際ーアジア]

(a)日本語のニュース

大手電機メーカー「東芝」の半導体メモリーに関する研究データが韓国の企業に不正に流出していた事件で、警視庁は、13日元技術者を不正競争防止法違反(営業秘密開示)の容疑で逮捕しました。
逮捕されたのは、北九州市の杉田吉隆容疑者=52歳で、東芝の業務提携先である半導体メーカー「サンディスク」の技術者として東芝の四日市工場に勤務していた2008年ごろ、東芝の主力製品であるNAND(ナンド)型フラッシュメモリーの研究データを記録媒体にコピーして持ち出し、韓国の半導体大手の「SKハイニックス」に提供した疑いがもたれています。
一方、東芝は、13日杉田容疑者と韓国の企業を相手取って、合わせて1000億円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こしました。

(b)ニュースの背景

NAND型フラッシュメモリーは、1980年代に東芝が開発したもので、スマートフォンなどでデータを保存するのに使われています。2013年のメーカー別シェアでは、東芝は、韓国のサムソン電子に次いで2位、韓国のSKハイニックスは4位です。

不正競争防止法違反(営業秘密開示)の摘発には、流出した情報が、①社内で厳重に管理されている②有用な情報である③公然と知られていないの3要件を満たした「営業秘密」でなければなりません。
不正競争防止法は、近年、罰則強化や事件化に必要な要件の緩和など法改正を続けてきましたが、国内メーカーの技術情報が流出したケースに適用されたのは数件しかありません。摘発には、被害者の告訴が必要ですが、そうした行動をためらう企業が多いといわれています。
そうした中で、今回の事件は、海外のライバル企業への最先端情報の不正持ち出しが捜査当局に摘発された初めてのケースになりました。

(c)英語のニュース

Tokyo police have arrested a Japanese engineer on suspicion of illegally providing a South Korean conpany with Toshiba Corporation's NAND flash memory research data.
The police say that Yoshitaka Sugita, 52, obtained and copied the data classified as an industrial secret at a Toshiba plant, where he worked around 2008, and that he passed the information to South Korean semiconductor producer SK Hynix.
NAND flash memory is one of Toshiba's key products and is widely used in smartphones and portable music players.
Following the arrest, Toshiba filed a damages suit against Sugita and SK Hynix with the Tokyo District Court.

(d)ニュースの比較研究

東芝の技術が不正に韓国の企業に流出した事件で元技術者が逮捕された事件のニュースについては、日本のメディアは、トップニュースで詳しく伝えていましたが、外国のメディアは、ほとんど報道していませんでした。
外国のメディアで報道したものを紹介しましょう。

アメリカの『Yahoo News(Business Wire)』は、"Toshiba Brings Lawsuit Against SK Hynix Inc."
(東芝、SKハイニックスを提訴)という見出しで、"Toshiba Corporation today announced that it has brought a civil suit against Korea's SK Hynix Inc.at the Tokyo District Court under Japan's Unfair
Competition Prevention Act. The suit seeks damages for the wrongful acquisition and use of Toshiba's proprietary technical information related to NAND flash memory, which Toshiba pioneered in 1987 and now jointly develops and produces with SanDisk Corporation of the U.S."(東芝が発表したところによると、東芝は、韓国のSKハイニックス社を日本の不正競争防止法違反で東京地方裁判所に損害賠償を求めて提訴した。この提訴は、NANDフラッシュメモリーに関して、東芝の所有している技術情報を不当に獲得し使用したことに対する損害賠償の請求である。NANDフラッシュメモリーは、東芝が1987年に開発し、現在は、アメリカのサンディスク社と共同で開発し、生産しているものである)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"Toshiba, SanDisk sue Hynix over suspected flash memory technology leak"(東芝とサンディスク、フラッシュメモリーの漏えいでハイニックスを提訴)という見出しで、"Partners Toshiba Corp. of Japan and SanDisk of the United States separately filed law-suits against South Korea's SK Hynix Inc., seeking damages over the suspected theft of data related to their flagship flash memory chip technology used in smartphones and tablet computers"(提携会社である日本の東芝とアメリカのサンディスクは、別々に韓国のSKハイニックスを提訴した。これは、両者の主力製品であるフラッシュメモリー(スマートフォンやタブレット・コンピューターに使われている)に関するデータを盗んだ容疑で損害賠償を請求するものだ)と報じました。





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182.造幣局、初めて外国貨幣の製造受注ー2012.11.13 [経済、国際ーアジア]

(a)日本語のニュース

財務省は、13日、大阪にある造幣局が、外国の一般に流通する貨幣としては戦後初めて、バングラデシュの硬貨を受注したと発表ししました。
これによりますと、バングラデシュの中央銀行から受注したもので、「2タカ」、日本円で約2円の硬貨5億枚の製造で、今後は、正式に契約を交わしたうえで、製造を開始し、来年4月から8月にかけて現地に輸送し、引き渡すことにしています。
電子マネーの普及などを背景に国内の貨幣製造量が大きく落ち込む中で、財務省と造幣局は、今後も海外からの受注に力を入れていきたい考えです。

(b)ニュースの背景

造幣局(Japan Mint)(は、財務省の前身の大蔵省に属していましたが、現在は所管は財務省ですが独立行政法人で、硬貨の製造、勲章・褒章および金属工芸品の製造などの事業を行っています。
本局は大阪市にあり、支局は東京と広島にあります。

(c)英語のニュース

Japan has won a contract to mint 12-million dollars worth of coins for Bangladesh.
The Japanese Finance Ministry says that Japan Mint will produce 500-million "2 Taka" coins for delivery to Bangladesh between April and August next year.
It's the first time since the end of World War Two that Japan Mint has won an order for a regular foreign currency.
As minting is on the decline in Japan, the Finance Ministry and the Japan Mint hope to win further orders from abroad.

(d)ニュースに比較研究

造幣局が初めて外国貨幣製造受注のニュースについては、日本のメディアは伝えましたが、外国のメディアは、今のところ伝えていません。


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89.円・元の直接取引、東京と上海で開始ー2012.6.1 [経済、国際ーアジア]

(a)日本語ニュース

日本の円と中国の通貨である人民元を銀行間で直接交換する取引が、1日、東京と上海の外国為替市場で始まりました。
初日の1日は、午前9時に直接取引が始まり、初値は、1元=12円33銭でした。
この直接取引は、これまでの円をいったんアメリカのドルに換えてからドルを人民元に換えるということが省けるため、決済コストの低減や利便性の向上が期待されることから、日中間の貿易や金融取引の促進につながるものとみられています。

(b)ニュースに背景

円と人民元の直接取引は、2011年12月の日中首脳会談で、日本と中国の貿易を活性化するため合意したもので、2012年5月29日、安住財務相が、円と人民元を直接交換する為替取引を東京と上海で6月1日から始めると正式に発表していました。
日本と中国というアジアの2大通貨の直接取引は、日中貿易の円滑化や拡大が期待できるだけでなく、将来的には、これまでのアメリカ・ドルを中心にした世界の通貨体制になんらかの影響を与えるものとみられています。
しかし、日中間の直接取引が順調にいくかどうかは、中国に依然として資本取引の規制が多いため、不透明な部分もあります。

(c)英語のニュース

Direct trading in the Japanese and Chinese currencies started in Tokyo and Shanghai on Friday (June 1st).
The initail exchange rate was set at 12.33 yen to the yuan.
The direct trading removes the interim step of converting to and from the US dollar, reduces transation fees and lowers the risk associated with fluctuations in the US dollar.
The new system is expected to boost trade and investment between Asia's two biggest economies.

(d)ニュースの比較研究

円と人民元の直接取引に関するのニュースは、アメリカとイギリスのメディアで安住財務相が正式に発表した際報道されましたので、それを紹介しましょう。

アメリカの経済専門紙『Wall Street Journal』は、"Japan, China to launch Yen-Yuan Direct Trading"(日本と中国、円と元の直接取引開始)という見出しで、"Japan and China will start direct trading of the currencies on Friday, Japan's finance ministe said Tuesday, as part of a broad agreement reached last year to reinforce bilateral financial ties"(日本の財務相が発表したところによると、日本と中国は、昨年2国間の金融関係を強化することで広範な合意に達したことに基づいて、金曜日(6月1日)から日中の通貨の直接取引を開始することになった)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"China and Japan to start direct yen-yuan trade in June"(中国と日本、円と元の直接取引を6月に開始)という見出しで、"China will allow direct trading of the yuan and the Japanese yen in a move aimed at promoting trade between Asia's two biggest economies"(中国は、元と日本の円を直接取引することを許可することになった。これは、アジアの2つの経済大国の間の貿易を促進するためである)と報じました。

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