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787.米のシー・シェパード、調査捕鯨妨害禁止で日本側と合意ー2016.8.23 [社会、国際ーアメリカ]

(a) 日本語のニュース

南極海などで調査捕鯨を行っている日本鯨類研究所は、23日アメリカの反捕鯨団体「シー・シェパード」との間で、日本側が金銭を支払う一方で、日本の調査捕鯨への妨害行為を永久に行わないことで合意したと発表しました。
これは、日本鯨類研究所が、2011年アメリカ・ワシントン州の連邦地方裁判所に妨害中止を求めて起こした訴訟で、裁判所の調停で決着したものです。
発表によりますと、日本の調査船とその乗組員を攻撃することや安全航海を脅かすような航行は永久に禁止される、調査船の500ヤード(およそ460メートル)以内に近づくことやシー・シェパードのグループ団体による妨害行為への資金提供もできなくなります。
しかし、日本側が支払う和解金がいくらかは明らかにされていません。
一方、今回の合意について、日本の調査捕鯨に対する妨害活動を実際に行ってきたオーストラリアのシー・シェパードは、コメントを発表し、「アメリカの裁判所での合意は、われわれには適用されない」としたうえで、「南極海のクジラを守るというわれわれの使命に影響を及ぼすものではない」として、今後も妨害活動を続ける考えを示唆しました。

(b) ニュースの背景

1982年国際捕鯨委員会(IWC)は、食用目的でクジラをとる商業捕鯨を禁止する決定をしましたが、日本は、クジラを「重要な食料資源」として、南極海のミンククジラの調査捕鯨だけを行ってきました。
しかし、2014年国際司法裁判所は、日本の調査捕鯨に関して、捕獲数が多く、肉を販売しており、実質的に商業捕鯨にあたるとして、南極海の調査捕鯨を違法とする判断を示し、調査の中止を命令しました。
しかし、日本は、2015年12月捕獲数を大幅に減らすなど新たな計画のもとで南極海での調査捕鯨を再開しています。

アメリカのシー・シェパードは、2012年にも、アメリカの高等裁判所から今回と同様の仮処分命令を受けたにもかかわらず、妨害活動を継続していました。そのことが法廷侮辱に当たるとされ、日本鯨類研究所と調査船を所有する東京の共同船舶に賠償金計255万ドル(当時のレートでおよそ3億円)を支払いました。今回の合意は、訴訟費用がシー・シェパードに重くのしかかったためという見方もあります。

(c) 英語のニュース

A Japanese government-affiliated whaling organization says that it has reached a court-mediated settlement with a U.S. based anti-whaling group.

Japan’s Institute of Cetacean Research says that the agreement, reached earlier this month, permanently prohibits the U.S. Sea Shepherd Conservation Society from obstructing Japanese whaling activities The Institute conducts research whaling in the Antarctic Ocean. It had filed a suit in the United States seeking an injunction against the Sea Sheperd’s attacks on Japanese research whaling ships.
The Institute says that under the agreement it will pay a monetary settlement to the U.S. anti-whaling group, but adds that it cannot disclose how much.
Meanwhile, the Australian Sea Shepherd says that the agreement would not apply to it, nor would it affect its mission to protect whales in the Antarctic Ocean.

(d) ニュースの比較研究

日本の調査捕鯨を妨害しないという米の反捕鯨団体との和解のニュースについては、日本のメディアは伝えましたが、外国のメディアは、伝えていません。











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726. プルトニウム、アメリカへ輸送ー2016.3.24 [社会、国際ーアメリカ]


(a) 日本語のニュース

日本がアメリカに引き渡すことで合意していた研究用プルトニウムや高濃縮ウランを積んだイギリスの輸送船が、22日茨城県東海村の東海港を出港し、アメリカに向かいました。
引き渡されるのは、東海村の日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置のプルトニウムや高濃縮ウランで、1960代から1970年代に研究用としてアメリカ、イギリス、フランスから購入したものです。2014年3月核安全サミットで安倍首相とオバマ大統領が引き渡しで合意していました。これは、各国が保有する核物質がテロなどに悪用されるのを防ぐため、オバマ政権が進める管理強化策の一環だとされています。
プルトニウムは、331キロで、核兵器に転用が可能なものが大部分を占め、核兵器40発から50発分に相当するといわれ、アメリカでは、核兵器にできないように処理するということです。
プルトニウムと高濃縮ウランは、アメリカ南部のサウスカロライナ州にあるアメリカ・エネルギー省のサバンナリバー核施設に運ばれる予定で、アメリカに到着するのは5月の予定です。
日本には、ほかにも原発の使用済み核燃料を再処理した際に出るプルトニウムが国内外におよそ47トンありますが、使い道として期待された高速増殖炉の開発の見通しが立たないところから、さらにプルトニウムを増やすことにつながる再処理工場の稼働をめぐって、国際社会から厳しい目がそそがれています。

(b)ニュースの背景

プルトニウムは、プルトニウム238、239、240、241などの核種があり、239と241は核分裂しやすい。原発で燃やされた後の使用済み燃料に残っているプルトニウムのうち60~70%が核分裂をしやすいものなので、核燃料として利用できます。核兵器にはプルトニウム239が90%を超えるものが一般に使われますが、低純度でも核兵器への転用は可能であるといわれています。

濃縮ウランは、天然ウランを軽水炉の燃料とするためには、ウラン235の割合を天然の0.7%から3~5%ほどにまで高める必要があります。そこで濃縮という作業が行われます。この作業を繰り返せば、95%以上にまで濃縮した高濃縮ウランが得られるため、核兵器に直結した技術だといわれています。

核燃料サイクルというのは、ウランの採掘から原子炉で利用された後の燃料や放射性廃棄物の取り扱いまでの全過程のことをいいます。使用済み燃料の後始末には、大きく分けて2つの方式があります。1つは、使用済み燃料をそのまま廃棄物として処理処分する方式(直接処分)、もう1つは、使用済み燃料を再処理工場で化学処理して、燃え残りのウラン、プルトニウムと高レベル放射性廃棄物に分離し、ウラン、プルトニウムを再び燃料として利用する方式です。

再処理工場は、使用済み燃料を化学処理して、燃え残りのウランやプルトニウムを回収する工場のことで、回収の後に残る高レベルの廃液は、ガラスとともに溶かしてステンレスの容器に固め込むガラス固化が行われます。日本では、茨城県東海村に日本原子力研究開発機構が所有するパイロットプラントである東海再処理工場がありますが、同工場では処理能力足りないため、イギリスやフランスの再処理工場に使用済み燃料を送って、処理を委託していましたが、現在では、東海工場への委託も海外の工場への委託もすべて終了しています。
代わって青森県六ケ所村に日本原燃が建設した商業工場の六ケ所再処理工場が動き出す計画でしたが、同工場では、再処理工程の試験は終了しているものの、ガラス固化の試験でつまずき、本格操業にまだは入れていません。

アメリカ国務省の高官は、2016年3月アメリカ議会の公聴会で、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する日本などの核燃料サイクル政策について、「経済的な合理性はない」と述べ、撤退が望ましいとの見解を表明しました。アメリカ政府高官が公の場で日本の再処理事業に懸念を表明したのは異例のことです。

(c)英語のニュース

A ship has left a port in eastern Japan to transport a shipment of plutonium to the United States for storage under a bilateral agreement.
The ship is taking the 331 kilograms of plutonium from the coastal village of Tokai, which is home to the nation’s main nuclear research facility, the Japan Atomic and Energy Agency, to the Savannah River Site, a U.S. government facility in South Carolina.
The amount is said to be enough to make 40 atomic bombs.
The plutonium, mostly from the United States, and some from France and Britain originally, had been used for research purposes in Japan.

The transfer is part of counter-terrorism measures at preventing nuclear materials from falling into the wrong hands. The measures were planned by Japanese and U.S. leaders at the 2014 nuclear security summit in the Netherlands.
Japan’s stockpile and its fuel-processing ambitions to use plutonium as fuel for power generation have been a source of international security concerns.
Japan has accumulated a massive stockpile of plutonium – 11 tons in the country and another 36 tons that have been reprocessed in Britain and France and waiting to be returned – enough to make nearly 6,000 atomic bombs.
Japan began building a major reprocessing plant with French state-owned company Areva in the early 1990s. The trouble-plagued project has been delayed ever since, and in last November its opening was postponed until 2018 to allow for more safety upgrades and inspections.

(d)ニュースの比較研究

プルトニウムのアメリカへの輸送のニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも伝えましたが、それほど大きな扱いではありませんでした。双方のメディアの違いは、外国のメディアが、最初のセンテンスで、輸送するプルトニウムの量を原爆を作る大きさと比較して入れている点です。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、”British ship believed carrying plutonium leaves Japan for US”(プルトニウムを積んだイギリスの船、日本を離れ、アメリカへ出発“という見出しで、”An armed British ship believed to be carrying enough plutonium to make about 40 atomic bombs left a port in eastern Japan on Tuesday to bring the shipment to the US for storage”(約40個の原子爆弾を作るのに十分と思われるプルトニウムを運ぶとみられるイギリスの船が、東日本の港を出港し、保管のためアメリカに向けて出港した)と報じました。

アメリカの船舶関係のニュースを扱っている『The Maritime Executive』は、”Plutonium Ship Departs Japan for U.S.”(プルトニウムを積んだ船、日本をたってアメリカへ)という見出しで、”A ship carrying over 330 kilograms of weapons-grade plutonium, enough for 50 nuclear bombs, has left Japan for the Savannah River Site in South Carolina”(約50個の原子爆弾を作るのに十分な兵器並みの330キロのプルトニウムを積んだ船が、日本をでて、南カリフォルニアのサバンナリバーサイトに向けて出港した)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Japan sends 331 kg of weapons grade plutonium to U.S.: Greenpeace”(グリーンピース声明:日本、アメリカへ331キロの兵器級のプルトニウム輸送)という見出しで、”A ship loaded with weapons-grade plutonium left Japan for the United States on Tuesday in what is the largest such shipment of the highly dangerous material since 1992, the environmental group Greenpeace said”(環境保護グループのグリーンピースは、兵器級のプルトニウムを積んだ船が、日本からアメリカに向けて出港した。積み荷は、1992年以来高度に危険な核燃料のこれまでで最大のものだと発表した)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Japan ships weapon-grade plutonium to U.S., Three Non-Nuclear Principles in focus”(日本、アメリカへ兵器級プルトニウム輸送、非核三原則焦点に)という見出しで、”A ship carrying 331 kilograms of weapon-grade plutonium left a port in Ibaraki Prefecture, eastern Japan, on Tuesday en route to the United States. The transportation of the highly pure plutonium, which has been confirmed as enough to make as many as 50 nuclear bombs, follows a bilateral deal struck between Japan and the United States in 2014”(兵器級のプルトニウム331キロを積んだ船が、東日本の茨城県の港を出港し、アメリカに向かった。原子爆弾50個以上を作るのに十分であることが確認されている高度に純粋なプルトニウムの輸送は、2014年の日米の合意に後なされたものだ)と報じました。











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223.米領グアムで殺傷事件ー2013.2.14 [社会、国際ーアメリカ]

(a)日本語のニュース

西太平洋にあるアメリカ領のグアム島の繁華街で、男が車で歩行者をはねたあと、周りにいた観光客などを刃物で次々と切り付ける事件が12日起こり、14日までに日本人3人が死亡し、10人がけがをしました。
グアムの警察は、事件直後に、21歳のアメリカ人のチャド・ライアン・デソト容疑者を逮捕し、事件の動機などについて、詳しく調べています。
デント容疑者は、22日までに市民から選ばれた陪審員の審理などによって起訴されるかどうか決まることになっています。

(b)ニュースの背景

グアム政府観光局によりますと、世界各地から2012年グアムを訪れた観光客は、およそ130万8000人で、このうち7割にあたる92万9000人が日本人だということです。日本の9都市からグアムへの直行便が飛んでいます。
今回の事件が起きたのは、グアムの西側にあるタモン地区で、フィリピン海に面した海岸にショッピングセンターや高層のリゾートホテルが立ち並ぶ最もにぎやかな繁華街です。アメリカ軍の基地と観光がグアムの2本柱の経済ですが、この地区は、「観光の心臓部」といわれ、商店やレストランは、深夜まで営業しており、飲食する観光客などで夜間の人通りも多いということです。

(c)英語のニュース

Three Japanese tourists have been killed and 10 others wounded in a stabbing rampage on the Pacific resort island of Guam.
The incident occurred in a major tourist area on the island on Tuesday, when a knife-wielding man crashed his vehicle into a convenience store and stabbing bystanders.
Police on Guam immediately arrested the 21-year-old suspect, Chand Ryan Desoto,and are now investigating the motive of the suspect.

(d)ニュースの比較研究

グアムの殺傷事件は、日本人観光客が巻き込まれ死傷者がでるという事件になり、日本のメディアは、連日このニュースを大々的に報道しました。外国のメディアは、このニュースについては、あまり伝えていませんでした。
アメリカとイギリスの世界的なネットワークをもつメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"Knife-wielding attackers kills at least 2, wounds 11 on Guam"(グアムで、ナイフをふりまわした襲撃者、少なくとも2人殺害、11人負傷)という見出しで、"A knife-wielding attacker killed two Japanese tourists and wounded 11 others on Tuesday in a tourist district on the U.S. Pacific territory of Guam, government officials said"(グアムの政府当局者によると、太平洋のアメリカ領グアムの観光地区で、ナイフをふりまわした襲撃者が、少なくとも日本人観光客2人を殺害し、そのほかの11人にけがを負わせた)と報じました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Knifeman kills two in Guam attack"(グアムの襲撃事件で、ナイフをもった男、2人を殺害)という見出しで、"A man wielding a knife has killed at least two Japanese tourists and injured 11 in the US Pacific territory of Guam"(太平洋のアメリカ領グアムで、ナイフをふりまわした男が、少なくとも日本人観光客2人を殺害し、11人にけがを負わせた)と報じました。



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