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735. 安倍首相、パナマのバレーラ大統領と会談ー2016.4.21 [政治―外交、国際―中南米]

*2016.4.23の阿佐谷のテキスト*(732~735)

(a) 日本語のニュース

安倍首相は、20日来日中のパナマのバレーラ大統領と会談し、いわゆるパナマ文書の問題を受けて、2国間の租税情報交換協定の締結に向けた正式協議を早期に開始することで一致しました。
パナマ文書というのは、パナマの法律事務所から膨大な顧客データが流出し、各国の首脳らがいわゆるタックスヘブン、租税回避地の企業を利用していたことが明らかになった問題で、両首脳は、会談後の共同記者会見で、これについての考えを明らかにしました。
安倍首相は、租税回避問題について、「国際的協調の枠組みの中で対応することが重要だ」と指摘し、バレーラ大統領は、「パナマ政府が積極的に協力し、国際社会の努力の先頭に立つ意思がある」と述べました。
また、会談では、日本がパナマにパナマ運河を横断するモノレールを建設するための費用として、およそ2800億円の円借款を行うことを伝えました。モノレール整備計画については、日本式を採用することで基本合意しており、日本式の中南米での受注は初めてのことです。

(b)ニュースの背景

租税回避地、いわゆるタックスヘブン(tax haven)というのは、法人税や所得税などの税率がゼロかきわめて低い国・地域のことで、カリブ海のイギリス領バージン諸島やケイマン諸島などがあります。
これらの国・地域で資産を保有したり、金融取り引きをしたりすること自体は、違法ではありませんが、法人情報がほとんど公開されないため、税務当局の目が届きにくく、脱税や粉飾決算、資金洗浄の温床という批判もあります。

パナマ文書というのは、租税回避地、いわゆるタックスヘブンの会社の設立などを手掛ける中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書のことです。1977年から2015年にかけて作られた1150万点の電子メールや文書類です。21万あまりの法人の情報の中には、10か国の現旧指導者12人、現旧指導者の親族ら61人の関係する会社も含まれています。芸能人やスポーツ選手の関係する会社もあります。

ICIJ(=International Consortium of Investigative Journalists 国際調査報道ジャーナリスト連合)というのは。は、1989年に創設された非営利の報道機関「Center for Public Integrity」の国際報道部門です。アメリカのワシントンに事務所があります。60か国以上のジャーナリストが連携し、国際的な問題を取材し、報道しています。

パナマ文書公表で各国に衝撃
2016年4月、各国の首脳やその関係者が租税回避地、いわゆるタックスヘブンを利用していたと指摘したパナマ文書が公表され、各国に衝撃を与えています。
ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合による調査報道で、中米パナマにある法律事務所の文書が流出し、各国の首脳やその関係者が、カリブ海のイギリス領バージン諸島などの租税回避地いわゆるタックスヘブンにある企業を通じて金融取引を行っていたことなどが明らかになったもので、この中には、アイスランドのグンロイグソン首相、イギリスのキャメロン首相、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、ウクライナのポロシェンコ大統領なども含まれています。
アイスランドのグンロイグソン首相は、2007年にタックスヘブンのイギリス領バージン諸島に夫婦で購入した会社を通じて、自国の3つの銀行の債券に日本円にして数億円の投資をしていながら、これを公表してこなかったと指摘されていましたが、正式に辞任しました。
イギリスのキャメロン首相は、過去にこうした企業の株式を保有していたことを認めており、これまでタックスヘブンを通じた課税逃れに厳しく対処する姿勢を示していただけに、批判が高まり、議会で追及され、ロンドンなどで抗議デモが行われました。
ロシアのプーチン大統領は、古くからの友人の音楽家がタックスヘブンにある企業を通じて、およそ2200億円の金融取り引きを行っていたとされ、ロシアでは、大統領への賄賂を工面していたのではないかとして、疑惑の声が上がっていましたが、大統領は、「いかなる汚職もなく、ロシアに対するゆさぶりだ」と欧米がしかけた、いわゆる「情報戦」だとして、強く反発しました。
中国の最高指導部7人のうち、習近平国家主席を含む3人の親族についても、パナマ文書で、名前が挙がっていますが、中国国内では報道が厳しく規制されていて報道されていません。
来日中のウクライナのポロシェンコ大統領は、「何も隠しておらず、透明性を確保した手続きの下で行っている」と述べ、疑惑を否定しました。


(c)英語ニュース

Japan and Panama have agreed to start formal consultation as soon as possible to conclude a bilateral agreement on exchange of information to prevent tax avoidance.
The agreement was reached during talks between Japanese Prime Minister Shinzo Abe and Panamanian President Juan Carlos Varela in Tokyo on Wednesday.
Their talks followed the disclosure of the so-called Panama Papers. .Panama has been in the spotlight since the papers came to light earlier this month. A trove of 11.5 million leaked documents revealed that a Panama-based law firm, Mossack Fonseca, helped foreign politicians and the rich and famous hide their assets in offshore companies based in tax havens.
At their talks, Mr. Abe told Mr. Varela that Japan will extend a yen loan totaling 280-billion yen, or 2.5 billion U.S. dollars, to Panama on the construction of a monorail transit system crossing the Panama Canal with Japanese technology.

(d) ニュースの比較研究

安倍首相とパナマのバレーラ大統領の会談については、日本のメディアは、報道しましたが、外国のメディアは、報道していません。

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