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554.マララさんら2人にノーベル平和賞ー2014.10.11 [国際ーアジア、ヨーロッパ]

*2014.10.18のサロンのテキスト*

(a)日本語のニュース

今年のノーベル平和賞は、子どもの教育のために活動を続けているパキスタンの少女マララ・ユスフザイさんとインドの活動家のカイラシュ・サティヤルティさんに授与されることになりました。
ノルウェーのノーベル賞委員会が、10日、2014年のノーベル平和賞は、女子教育の権利を唱えてイスラム過激派の武装勢力タリバンに撃たれたパキスタンのマララ・ユスフザイさん=17歳とインドの児童労働問題の活動家カイラシュ・サティヤルティさん=60歳に授与すると発表しました。
委員会は、授賞理由として「子どもや若者への抑圧と闘い、すべての子どもの教育を受ける権利のために奮闘している点」をあげています。
マララさんの17歳での受賞は、1901年に始まったノーベル賞のすべての部門を通じて史上最年少となりました。また、1947年インドから分離独立した後のパキスタン生まれのノーベル賞受賞者は、マララさんが初めてです。
マララさんは、2009年から女子教育を否定するイスラム過激派の武装勢力タリバンの支配による惨状をブログを通じて訴え、女性が教育を受ける権利や人権の重要性を主張してきましたが、2012年学校からバスで帰宅途中タリバンに頭と首を撃たれました。マララさんは、イギリス中部のバーミンガム市の病院に移送され、治療を受け、奇跡的に回復し、現在も全ての女子や児童への教育実現を唱え、国連総会で演説したり、アメリカのオバマ大統領らと会見するなど国際社会で活躍しています。
サティヤルティさんは、インドのボランティア団体「児童労働に反対するグローバルマーチ」を設立し、不当に就労させられている子どもたちを解放する運動を推進してきており、そうした子どもたち8万人以上を救出したということです。
ノーベル賞委員会は、「インドやパキスタンの人々にとって、教育のための取り組みや過激派に対抗するために結束が重要」と述べています。

(b)ニュースの背景

ノーベル平和賞は、ノーベル賞の一部門で、ノルウェーの議会が任命する政治的に独立した機関であるノルウェー・ノーベル賞委員会(5人)が授賞者を選考し、授与します。創設者のノーベルは、平和賞を「国家間の友愛関係の促進、常備軍の廃止・縮小、平和のための会議・促進に最も貢献した人物」に授与するとしましたが、近年ノルウェーの
選考委員会では、平和の概念を広く解釈し、授賞対象者は、国際平和、軍備縮減、平和交渉などだけでなく、人権擁護、非暴力的手法による民主化や民族独立運動、慈善事業、保健衛生、環境保全など広範囲に及んでいます。
近年の受賞者の中には、1990年のソ連のゴルバチョフ、1991年のミャンマーのアウンサンスーチー、1993年の南アフリカのマンデラ、デクラーク、1994年のパレスチナのアラファト、イスラエルのペレス、ラビン、1997年の地雷禁止国際キャンペーン、ウィリアムズ、1999年の国境なき医師団、2000年の韓国の金大中、2001年の国連、アナン、2002年のアメリカのカーター、2005年の国際原子力機関、エルバラダイ、2006年のグラミン銀行、ユヌス、2007年の気候変動に関する政府間パネル、ゴア、2009年のアメリカのオバマ、2010年の中国の反体制派の劉暁波、2012年の欧州連合、2013年の化学兵器禁止機関 などが含まれています。なお、日本人としては、佐藤栄作首相が1974年に受賞しています。

(c)英語ニュース

This year's Nobel Peace Prize has been shared by 2 activists for children's rights and education - Miss Malala Yousafzai of Pakistan and Mr.Kailash Satyarthi of India.
The Norwegian Nobel Committe has announced that Miss Malala, 17, and Mr. Satyarthi, 60, won the 2014 peace prize for their struggle against the suppression of children and young people and for the rights of all children to education.
Miss Malala is the youngest Nobel laureate.
She was shot in the head by Islamic extremists on her way home from school in northern Pakistan near the Afghanistan border because of her campaign for girls' rights to education. She had an operation at a hospital in Britain and made a recovery. She now lives in the country.
Miss Malala has gained international attention for her campaign to secure education for girls.
Mr. Satyarthi is known for his campaign to eradicate child labor in India. He has maintained Mahatma Gandhi's tradition and headed various forms of peaceful protests and demonstrations, focusing on the grave exploitation of children for financial gain.
The Norweigian Nobel Committee noted the significance of a Hindu Indian and a Muslim Pakistani joining a common struggle for education and against terrorism.

(d)ニュースの比較研究

ノーベル平和賞がパキスタンの少女マララさんとインドの活動家サティヤルティさんに授与されることになったニュースは、日本のメディアも外国のメディアも速報した後、大々的に報道しました。日本のメディアと欧米のメディアは、マララさんに焦点をあててその活動を称賛していました。しかし、パキスタンのメディアの中には、欧米の「操り人形だ」とするきびしい批判的な見方もあるということです。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

パキスタンの国営放送『PTV(=Pakistan TV)』は、"Malala awarded 2014 Nobel peace prize"(マララさん、2014年のノーベル平和賞受賞)という見出しで、"This is in recognition of her services for the cause of education especially amongst girls. Children's right activists Malala Yousafzai of Pakistan and Kailash Satyarthi of India have won the Nobel Peace Prize"(これは、特に女子教育の目標のための彼女の奉仕を認めたものだ。子どもの権利のための活動家であるパキスタンのマララ・ユスフザイさんとインドのカイラシュ・サティヤルティさんは、ノーベル平和賞を授与されることになった)と伝えました。

インドの『The Times of India』紙は、"India's Kailash Satyarthi and Pak's Malala Yousafzai win Nobel peace prize"(インドのカイラシュ・サティヤルティさんとパキスタンのマララ・ユスフザイさん、ノーベル平和賞受賞)という見出しで、"History was made on Friday when an Indian and a Pakistani national jointly shared the Nobel peace prize for 2014, the first time ever"(インド人とパキスタンにんが、2014年のノーベル平和賞を分かち合って共同で授賞することになった。これは、初めてのことであり、歴史は作られたのだ)と伝えました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporaion)』放送は、"Malala and Kailash satyarthi win Nobel Peace Prize"(マララさんとカイラシュ・サティヤルティさん、ノーベル平和賞受賞)という見出しで、"Pakistani child education activist Malala Yousafzai and Kalash Satyarthi, an Indian child rights campaigner, have jointly won the Nobel Peace Prize. At the age of just 17, Malala is the youngest ever recipient of the prize"(パキスタンの児童教育のための活動家のマララ・ユスフザイさんとインドの児童の権利のための活動家のカイラシュ・サティヤルティさんが共同でノーベル平和賞を受賞することになった。マララさんは、ちょうど17歳で、ノーベル賞受賞者で最年少だ)と伝えました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"The Nobel Peace Prize was awarded Friday to India's Kailash Satyarthi and Pakistan's Malala Yousafzai for their struggles against the suppression of children and for young people's rights, including the right to education"(ノーベル平和賞は、インドのカイラシュ・サティヤルティさんとパキスタンのマララ・ユスフザイさんに共同で授与されることになった。授賞理由は、児童の抑圧に反対し、教育の権利を含む若い人たちの権利を求める闘争だ)と伝えました。











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339.ミャンマー大統領、年内に全政治犯釈放ー2013.7.15 [国際ーアジア、ヨーロッパ]

(a)日本語のニュース

ミャンマーのテイン・セイン大統領は、15日訪問先のロンドンで講演し、年内に政治犯全員を釈放する方針を明らかにし、民主化に取り組む姿勢をアピールしました。
大統領は、また、長年続いてきたミャンマー政府軍と少数民族武装勢力の戦闘についても「数週間のうちに全土で停戦合意に至ることができるだろう」と述べ、和平実現に明るい見通しを示しました。
この講演に先立ち、テイン・セイン大統領は、イギリスのキャメロン首相と会談し、ミャンマーが進めている民主化や経済改革について説明しました。
これに対しキャメロン首相は、こうした取り組みを歓迎するとしたうえで、2015年に予定されている大統領選挙に向けて民主化の加速化を促しました。

(b)ニュースの背景

ミャンマーの大統領は、上下両院議員の全員の投票で選出されます。任期は5年、現在のテイン・セイン大統領は2011年3月就任。大統領は、3選禁止。大統領は、軍総司令官を任命しますが、国家緊急時には、国の全権を軍総司令官に委譲することになっています。
議会は、上院は定数224議席、下院は440義席で、それぞれの定数の4分の1が軍人枠(上院56議席、下院110議席)。
政党は、連邦団結発展党(USDP)-議長は、テイン・セイン大統領ですが、大統領は政治活動を行えないため、下院議長が議長代行。1993年軍政が設立した大衆運動組織の連邦団結発展協会(USDA)を改称した軍人の受け皿の政党。2010年設立。
国民民主連盟(NLD)-議長は、アウン・サン・スー・チー氏。1990年の総選挙で圧勝し、最大野党に。2010年の総選挙では不正選挙だとしてボイコット、解党、2012年政党再登録。アウン・サン・スー・チー氏は、2012年の連邦議会補欠選挙で当選、下院議員に就任。
現在議会の下院の440議席のうち、USDPが219議席、NLDが38議席などとなっています。

(c)英語のニュース

Myanmar's President Thein Sein has promised to release all of the country's political prisoners by the end of this year
In his lecture in London on Monday, he also said it's possible that a nationwide ceasefire will be reached between government forces and ethnic minority forces in the coming weeks.
Earlier, Myanmar's President Thein Sein met British Prime Minister David Cameron to explain about his country's political and economic reforms.
Mr. Cameron welcomed these moves and expressed hope that Myanmar's presidential election in 2015 will be held freely and fairly.

(d)ニュースの比較研究

ミャンマーのテイン・セイン大統領がロンドンでの講演で政治犯全員を今年中に釈放すると述べたニュースについては、欧米諸国が、ミャンマーの民主化と開発に関心があるところから、報道していました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Burma to free all political prisoners, says Thein Sein"(ビルマ、政治犯全員を釈放へ、テイン・セイン大統領言明)という見出しで、"Burma will release all political prisoners "by the end of the year", President Thein Sein has said during his first official visit to the UK"(テイン・セイン大統領は、初めてのイギリス公式訪問で、ビルマは、今年末までに政治犯全員を釈放するだろうと言明した)と報じました。(BBCは、国名について、ミャンマーを使わずにビルマを一貫して使っています。理由は、ミャンマーという国名は、”非合法な”軍事政権が命名したものだからです)

アメリカの『The New York Times』紙は、"Myanmar Admits to Political Prisoners, Pledging Their Freedom"(ミャンマー、政治犯に釈放を約束したことを認める)という見出しで、"Myanmar's president promised Monday that all remaining political prisoners would be freed by year's end. It was an unusual guarantee as well as an acknowledgment that the country still incarcerated people based on their beliefs in the two years since his civilian government ended the military's repressive monopoly on power"(ミャンマーの大統領は、まだ残っている政治犯をすべて年末までに釈放されるだろうと約束した。それは、特別な保証だし、彼の民政が軍の弾圧的な権力の独占に終止符を打って以来この2年間依然として人々を投獄したままであるという認識だ)と報じました。

フランスの『AFP(=Agence France-Presse)』通信は、"Myanmar to free all political prisoners by year-end: president"(ミャンマー、年末までにすべての政治犯を釈放:大統領言明)という見出しで、"Myanmar President Thein Sein said Monday that all political prisoners would be freed by the end of the year and that a ceasefire with ethnic groups was possible within weeks"(ミャンマーのテイン・セイン大統領は、すべての政治犯を年末までに釈放するだろうと述べるとともに、少数民族との停戦はこの何週かの間に
可能だと語った)と伝えました。
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