SSブログ
国際ーヨーロッパ、国連 ブログトップ

645.ギリシャ、事実上のデフォルト(債務不履行)状態ー2015.7.1 [国際ーヨーロッパ、国連]

*2015.7.4のサロンのテキスト*(642~645)

(a)日本語のニュース

IMF=国際通貨基金は、6月30日、財政危機に陥ったギリシャに対する融資15億ユーロ、日本円で約2000億円が同日の期限までに返済されず、延滞扱いになったと発表しました。
先進国で延滞扱いとなるのは初めてです。
これは、ギリシャに対するEU=欧州連合からの金融支援プログラムが30日で失効し、打ち切られたためで、ギリシャは、期日までにIMFにお金をかえすことができなくなったためです。
これによって、ギリシャは、事実上のデフォルト=債務不履行の状態になりました。
ギリシャでは、EUが金融支援の条件として提示している財政緊縮策を受け入れるかどうかについての国民投票を5日に行うことになっており、どういう結果がでるか、注目されています。

ギリシャのチプラス首相は、1日EUからの金融支援が終了してから初めてのテレビ演説を行い、財政緊縮策の賛否を問う国民投票について、予定通り5日に行うとしたうえで、財政緊縮策の受け入れに反対する票は、EU側に強い圧力になるとして、国民に反対票を投じるよう改めて呼びかけました。
一方、ユーロ圏各国の財務相は、1日電話会談を行い、これまでのところ、ギリシャの姿勢に変化はみられず、5日の国民投票が終わるまではギリシャとの話し合いの余地はないという考えで一致しました。

(b)ニュースの背景

ギリシャでは、2009年財政赤字の粉飾が発覚し、債務(借金)危機に陥り、南欧にも波及しました。EU=欧州連合やIMF=国際通貨基金は、厳しい緊縮策と引き換えに、2010年5月からギリシャへの金融支援を実施しました。現行の金融支援プログラムは、6月30日で期限切れになりました。ギリシャは、この支援がなくなったため、30日に返済期限を迎えるIMFからの融資15億ユーロを返せなくなったほか、7月にはECB=欧州中央銀行が持つ巨額の国債の償還も滞ってしまい、債務危機は一層深刻化する恐れが高まっています。
ギリシャとEUの間の債務問題をめぐる交渉は、難航しています。ギリシャの緊縮政策のための年金改革、日本の消費税にあたる付加価値税、防衛費など財政構造改革などをめぐって対立しています。1日明らかになったところによると、ギリシャのチプラス首相は、30日EUやIMFのトップに書簡を送り、EU側が求める財政改革案をほぼ受け入れるが年金カットや付加価値税の見直しの緩和など一部で条件をつけたといわれています。しかし、EU側は、チプラス政権に対する不信感が強く、「遅すぎる」として、拒否を決定、5日の国民投票が終わるまでギリシャとの話し合いは行わないことになりました。

(c)英語のニュース

Greece is facing a debt crisis again, as the International Monetary Fund has announced that Greece has missed the deadline for a debt repayment.
The IMF announcement says that Greece had not repaid 1.5 billion euros, or about 1.7 billion dollars, owed by the international institution by the time the deadline for repayment expired on Tuesday.
Greece became the first developed country to fall into arrears on IMF payments, while the eurozone bailout program for the country expired on Tuesday.

Meanwhile, Greek Prime Minister Alexis Tsipras delivered a television address, confirming that his country will hold a referendum on Sunday as planned on whether to accept the austerity measures presented by the eurozone countries.
He called on the people to vote "No" to the measures.

Eurozone finance ministers have decided not to hold talks over bailout measures for Greece until they learn the outcome of Sunday's referendum on the issue in the country.

(d)ニュースの比較研究

ギリシャの債務危機のニュースについては、欧米のメディアはもちろん日本のメディアも連日その日の動きを伝えていました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

ドイツの『Deutche Welle』放送は、”Opinion: Who will end the Greek tragedy?”(意見:ギリシャの悲劇を終わらせるのは誰か?)という解説記事の中で、ギリシャのチプラス首相の選挙を意識した政治的パフォーマンスを批判した後、次のようにその記事を結んでいます。”Now all we can do is hope for a new start after the referendum - or Greece must leave the euro zone. A democratic referendum, a decision by the people, is legitimate. But not only in Greece. When I asked a Syriza politician if the Germans, Finns, French, Spaniards and other Europeans should also vote on whether they want to continue to finance Greece, he fell silent, and then mumbled 'no.'
That's a highly questionable understanding of democracy. One member of the Euro group is better than the 18 others? That can not be"(今やわれわれがすることができる全ては、国民投票後の新しいスタートに対する希望だ。そうでなければ、ギリシャは、ユーロ圏から離脱しなければならなくなる。民主的な国民投票は、人々による決定で、合法的なものだ。しかし、それは、ギリシャだけでなくて・・私(ドイチェ・ベーレの記者)は、ギリシャのSyriza(急進左翼連合)のある政治家に、ドイツ、フィンランド、フランス、スペイン、その他のヨーロッパの人たちが、ギリシャに対する財政援助を続けたいと思うかどうかについて投票すべきかどうかを尋ねた。彼は、しばらく沈黙の後に「ノー」とつぶやいた。これは、民主主義についての極めて問題のある理解だ。ユーロ圏の1か国が他の18か国よりもよりよいといえるだろうか。そんなことはありえないことだ)と伝えました。

イギリスの『BBC(=British Broadcasting Corporation)』放送は、"Greece crisis: Eurozone rules out talks until after referendum"(ギリシャ危機:ユーロ圏、国民投票後まで交渉をやらず)という見出しで、"Eurozone finance ministers have ruled out any further talks on a fresh bailout for Greece until the country holds its referendum on Sunday"(ユーロ圏の財務相は、ギリシャが5日に国民投票をやるまでは、ギリシャのための新たな緊急援助に関するさらなる交渉はやらないことを決めた)と伝えました。

アメリカの『USA TODAY』紙は、"Greek PM says 'No' vote doesn't mean Greece will leave euro"(ギリシャの首相、国民投票の’ノー’という投票は、ギリシャがユーロ圏から離脱することを意味しないと言明)という見出しで、"Greek Prime Minister Alexis Tsipras struck a defiant tone Wednesday, urging his fellow nationals in a televised address to vote "No" in a planned Sunday referendum over bailout terms demanded by international creditors. Tsipras said a "No" vote would not mean Greece would leave the eurozone and that European leaders who suggested so were "liars." He said his government was willing to get a better deal for the Greek people, particularly the elderly"(ギリシャのチプラス首相は、反抗的な調子で打って出て、テレビ演説で、ギリシャ国民に、国際的な債権者によって要求された緊急援助の条件に関する国民投票で、”ノー”と投票するよう呼びかけた。チプラス首相は、”ノー”の投票は、ギリシャがユーロ圏から離脱することを意味しないと述べるとともに、そういうことをいっているヨーロッパの指導者たちは”うそつき”だと語った。首相は、ギリシャ政府は、ギリシャの人たち、とくに高齢者のためによりよい取引をしていると述べた)と報じました。












コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
国際ーヨーロッパ、国連 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。