SSブログ

808. パリ協定、11月4日に発効ー2016.10.6 [国際ー国連]


(a) 日本語のニュース

国連は、5日、地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」が11月4日に発効すると発表しました。
「パリ協定」は、締約国が55か国以上になり、それらの国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると30日後に発効することになっています。
国連は、5日、フランスやドイツなどヨーロッパ7か国が当初の予定を前倒しして締結するなど、締約国は合わせて73か国になり、排出量の合計が全体の56.87%に達したと発表しました。これによって、協定は、発効の要件がすべて整い、30日後の11月4日に発効することになりました。
「パリ協定」をめぐっては、温室効果ガスの2大排出国のアメリカと中国が9月にそろって締結に踏み切ったあと、温暖化対策を主導してきたEU(欧州連合)各国なども締結を急いだことなどから、早期の発効につながったとみられています。
日本は、ほかの温室効果ガスの主要排出国に比べて締結の手続きが遅れており、政府は、締結の国会承認を求める議案を11日に閣議決定し、国会に提出し、早期の承認を目指す方針です。
協定の発効を受けて、11月7日からモロッコのマラケシュで開かれる国連の会議COP22では、締約国による会合が開かれる見通しですが、日本は締約国としては参加できない可能性が高くなっています。

(b)ニュースの背景

2015年12月パリ郊外で地球温暖化対策を討議していた国連の会議は、開発途上国を含むすべての国が協調して2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新しい枠組みパリ協定を採択しました。
パリ協定は、地球温暖化対策の国際的枠組みとしては、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた1997年の京都議定書以来18年ぶりのことで、史上初めて開発途上国を含むすべての国が協調して削減に取り組む枠組みとなり、地球温暖化阻止へ向けて歴史的な一歩を踏み出したことになります。
パリ協定は、法的拘束力のある2020年以降の国際的な枠組みで、気温上昇を18世紀後半から19世紀前半に行われた産業革命の前に比べて、1.5度に抑えるよう努力するとし、世界全体の温室効果ガスの排出量を21世紀後半には実質的にゼロにするよう削減に取り組むとしています。
また、開発途上国も含めたすべての国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を国連に提出し対策を進めることが義務付けられ、削減目標は提出するたびに改善されるべきだとしています。

主な国・地域が国連に提出している温室効果ガス削減目標は、以下の通りです。

中国―2030年までに減少に転じる
アメリカー2025年までに26~28%減(2005年比)
EU=欧州連合―2030年までに少なくとも40%減(1990年比)
インドーGDP=国内総生産あたりの排出量を2030年までに33~35%減(2005年比)
ロシアー2030年までに25~30%減(1990年比)
日本―2030年度までに26%減(2013年度比)

(c)英語のニュース

The United Nations has announced that the Paris agreement on climate change will enter into force on November 4th.
The Paris agreement calls on all countries to make efforts to limit emissions of greenhouse gasses as soon as possible and bring them to virtually zero in the second half of this century.
The agreement stipulates that it takes effect 30 days after more than 55 countries representing more than 55 percent of global greenhouse emissions have ratified it.
The United Nations said that 73 countries representing 56.87 percent of global emissions have ratified.
The world’s 2 largest polluters, China and the United States, ratified the agreement last month, prompting 7 countries of the European Union to bring forward their ratification procedures. Japan has not yet ratified it.
The first conference of parties to the agreement is due to be held during a U.N. climate conference beginning on November 7th in Morocco.

(d) ニュースの比較研究

国連がパリ協定は11月4日に発効すると発表したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも報道しました。
主なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『AP(=The Associated Press) 』通信は、”Paris climate agreement to take effect Nov.4”(パリ協定、11月4日に発効)という見出しで、”The landmark Paris agreement on climate change will enter into force on Nov.4, after a coalition of the world’s largest polluters and small island nations threatened by rising seas pushed it past a key threshold on Wednesday”(気候変動に関する歴史的なパリ協定は、11月4日に発効することになった。これは、世界最大の汚染排出国と海面の上昇に脅されている小さな島国が一緒になって主な目標を達成したからだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、”Paris climate accord to take effect; Obama hails ‘historic day’”(パリ協定発効へ、オバマ大統領、’歴史的な日”として賞賛)という見出しで、”A global agreement to combat climate change will take force after support from European nations sent the accord across an important threshold on Wednesday, prompting U.S. President Barack Obama to hail it as a “historic day” for protecting the planet”(気候変動に対して戦う地球規模の協定が発効することになった。それは、ヨーロッパ諸国の支持が、パリ協定を重要な目標に達成させ、アメリカのオバマ大統領が、地球を保護するために”歴史的な日“だとして、パリ協定を称賛させるに至ったのだ)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Paris climate change deal to enter into force on Nov.4, UN chief says”(国連事務総長、パリ協定は11月4日に発効と発表)という見出しで、”UN Secretary General Ban Ki-moon on Wednesday announced that the Paris Agreement on climate change will cross the second and final threshold for entry into force, and will enter into force on Nov.4, 2016”(国連のバン・ギムン事務総長は、気候変動に関するパリ協定は、発効に必要な第2で最後の目標を超え、2016年11月4日に発効することになろうと発表した)と報じました。


















コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。