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693.パリのCOP21閉幕ー2015.12.14 [国際ー国連]

*2015.12.19の荻窪のテキスト*(693,695,696)

(a) 日本語のニュース

パリ郊外で地球温暖化対策を討議していた国連の会議は、12日、開発途上国を含むすべての国が協調して2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」を採択しました。
11月30日からパリ郊外で開かれていたCOP21=国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議は、会期を1日延長して12日、196の国と地域が参加する2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を採択して閉幕しました。
「パリ協定」は、地球温暖化対策の国際的枠組みとしては、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた1997年の京都議定書以来18年ぶりのことで、史上初めて開発途上国を含むすべての国が協調して削減に取り組む枠組みとなり、地球温暖化阻止へ向けて歴史的な一歩を踏み出したことになります。
「パリ協定」は、法的拘束力のある2020年以降の国際的な枠組みで、気温上昇を18世紀後半から19世紀前半に行われた産業革命の前に比べて、1.5度に抑えるよう努力するとし、世界全体の温室効果ガスの排出量を21世紀後半には実質的にゼロにするよう削減に取り組むとしています。
また、開発途上国も含めたすべての国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を国連に提出し対策を進めることが義務付けられ、削減目標は提出するたびに改善されるべきだとしています。
さらに、開発途上国への資金支援については、経済力がある新興国なども自主的に資金を拠出できるとしたほか、先進国は、資金支援の状況を2年に1度報告する義務が盛り込まれました。しかし、資金支援の現在の水準の年間1000億ドルという数字は協定には盛り込まず、その水準を2025年にかけて引き続き目指すとする別の決定を行いました。

(b)ニュースの背景

地球温暖化(global warming)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、地球の気温が高まり、自然や生活環境に各種の悪影響が生じる現象のことです。これに対応するためには、各種の温室効果ガスの排出削減(省エネルギーやフロンの削減など)、温室効果ガスを吸収する森林の保護や植林などが必要です。

温室効果ガス(GHG=greenhouse gas)というのは、太陽の放射熱と同量の熱が地表から赤外線として宇宙に放射されることで大気の温度はバランスを保っていますが、この赤外線を一部吸収するガスのことです。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、オゾン(O3)などがあり、これらの濃度が高まると気温が上がることになります。特に二酸化炭素は、石油などを燃やすと発生し、現在の巨大化・高度化した経済活動と密接な関係があります。

京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)というのは、1997年に京都で行われた第3回国連気候変動枠組み条約の締約国会議のことで、COP3(Conference of the Parties)ともいいます。2005年発効し、現在191か国およびEU=欧州連合が締結しています。二酸化炭素、メタンなど6種の温室効果ガスを対象とし、2008年~2012年の間に先進国の締約国全体で1990年に比べて5%以上削減することを目標に、各国ごとの法的拘束力のある数値目標を定めました。(日本6%、アメリカ7%、EU=欧州連合8%など)。しかし、2001年アメリカが離脱し、日本とロシアも、京都議定書の第2約束期間(2013年~2020年)には、参加せず、中国やインドなど新興国や途上国は、削減義務がないことから、もともとの京都議定書は、骨抜きの状態になっていました。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC=Intergovernmental Panel on Climate Change)というのは、国連環境計画と世界気象機関が共催し、各国政府が参加している会合で、地球温暖化などについて報告書をだしており、それは、 最も信頼できる科学的情報とされています。
IPCCは、2014年11月地球温暖化をめぐる最新の研究成果をまとめた報告書を公表し、今のペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻な広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、 被害を軽減する適応策にも限界が生じると予測し、各国政府に迅速な対応を迫っています。 国連気候変動枠組み条約の第20回締約国会議(COP20)が、2014年12月ペルーで開かれ、各国が自主的に温室ガス削減目標を掲げることを基本に新しい枠組み作りを目指す合意文書を採択し、2015年パリで開かれるCOP21で合意を目指すことを決めました。

(c)英語のニュース

A United Nations conference in Paris has approved a landmark international accord to fight global warming.
The approval was made on Saturday at the final day session of the two-week-long U.N. conference on climate change attended by delegates from 196 countries.
The Paris accord gives the world a long-sought tool to get all countries involved in reining in greenhouse gas emissions for the first time. And it’s the first global framework since the 1997 Kyoto Protocol, which obliged only industrialized countries to reduce emissions.
The Paris accord calls on all countries to make efforts to stem the rise in temperatures to less than 1.5 degrees Celsius, compared to levels before the Industrial Revolution. It also commits all countries to work forward peaking emissions as soon as possible and bring them to virtually zero in the second half of the century.
The Paris accord says that all countries are obliged to set and submit to the United Nations their reduction targets every 5 years and make efforts to achieve them. They are also required to upgrade their targets every 5 years and to have their progress reviewed by experts.
As to financial assistance to developing countries, the Paris accord doesn’t mention the 100 billion US dollars a year currently pledged by industrialized nations, but separately from the accord, a decision was made to aim for increasing assistance between 2020 and 2025.

(d)ニュースの比較研究

パリ郊外で開かれていた国連の地球温暖化対策を話し合う会議が、新たな国際的な枠組み「パリ協定」を採択して閉幕したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアもこぞって報道しました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence France Presse)』通信は、”Early progress seen at UN talks seeking to avert climate disaster”(国連の会議で気候の災害を避けようとすみやかな進展)という見出しで、”Ministers seeking to avoid climate catastrophe reported rare cooperation Monday as they launched five days of frenetic negotiations in Paris to reach a historic global seal.(各国の閣僚たちが、パリで5日間にわたった活発な交渉を行い、歴史的で世界的な協定に合意したので、気候の崩壊を避けるためのまれな協力を報告できたのだ)と報じました。

アメリカの『AP(=The Associated Press)』通信は、”Historic pact to slow global warming is celebrated in Paris”(地球温暖化を遅らせる歴史的な協定、パリで合意)という見出しで、”Nearly 200 nations adopted the first global pact to fight climate change on Saturday, calling on the world to collectively cut and then eliminate greenhouse gas pollution but imposing no sanctions on countries that don’t”(およそ200か国が、気候変動と戦うための最初の世界的な協定を承認した。それは、世界に対して、温室効果ガスの汚染を協調して削減するよう呼びかけるものだが、そうしない国に対しては、制裁を科すことはないのだ)と報じました。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、”Spotlight: Historic climate pact adopted at COP21, China vows to undertake obligations”(焦点:COP21で歴史的な気候協定採択、中国、義務を果たすことを誓う)という見出しで、”The historic Paris agreement on climate change was finally adopted with no
objection on Saturday by the 196 Parties of the United Nations Framework Convention on Climate Change(UNFCCC) during the 21st session of the Conference of the Parties(COP21) hosted by France. “The Paris Climate Conference is a crucial point in the global climate governance process. ・・・・China, as a responsible developing country, will take international obligations commensurate with its own national condition, development stage and actual capacity” China’s Special Representative on Climate Change said after the adoption of the Paris agreement”(フランスで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議の196の締約国は、歴史的な気候変動に関するパリ協定を反対なしで採択した。パリ協定採択後、中国の気候変動に関する特別代表は、「パリの会議は、世界的な気候ガバナンスのプロセスで重要なポイントだ。・・・中国は、責任ある開発途上国として、中国自身の国家状況、発展段階、実際の能力にふさわしい国際的な義務を果たしていくだろう」と述べた)と報じました。












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