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691.国連のCOP21パリで開幕ー2015.12.3 [国際ー国連]

(a) 日本語のニュース

地球温暖化防止を話し合う国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議=COP21がパリで開かれています。
会議は、11月30日から12月11日までの12日間の日程で開かれ、条約に加盟している196の国と地域の代表が参加し、2020年から実施する地球温暖化対策の新しい国際的な枠組みづくりを目指しています。合意すれば、1997年に採択された京都議定書以来18年ぶりの国際的な枠組みになります。
初日の11月30日には、首脳会合が開かれ、およそ150か国の首脳が出席し、議長国フランスのオランド大統領が開会の宣言をした後、アメリカのオバマ大統領、中国の習近平国家主席、日本の安倍首相らが演説しました。
フランスのオランド大統領は、「地球温暖化との戦いとテロとの戦いを分けることはできない。いずれもわれわれが取り組むべき世界の大きな課題だ」と開幕を宣言し、参加者全員でパリで起こった同時多発テロの犠牲者に黙とうをささげました。
アメリカのオバマ大統領は、演説の中で、各国が、地球温暖化防止対策として、温室効果ガスの削減目標を達成するための透明性のある仕組みをつくろうと呼びかけ、どのような温暖化対策を取っているか、各国の説明責任を明確にし、定期的に削減目標を見直せるような仕組みを作るべきだと訴えました。また、アメリカは、温室効果ガスの排出量を2025年までに2005年に比べて25~28%削減すると述べたほか、二酸化炭素を排出しないクリーンな次世代エネルギー技術の開発を促す計画「ミッション・イノベーション」を発表しました。
中国の習近平国家主席は、先進国は途上国に対し、年間1000億ドルの支援をする約束を実現し、2020年以降はさらに支援を拡充すべきだと述べるとともに、中国としても途上国へ多額の資金支援を行う考えを示しました。また、中国は、GDP=国内総生産あたりの二酸化炭素排出量を2030年までに2005年に比べて60~65%削減することを明らかにしました。
日本の安倍首相は、官民合わせた途上国への気候変動対策事業として、現在年およそ1兆円の支援を徐々に増やしていき、2020年までに年およそ1兆3000億円とする目標を表明しました。

翌12月1日から実務者レベルの交渉が始まり、京都議定書に代わる2020年以降の地球温暖化防止策の新たな枠組みづくりを目指して議論を行いました。
しかし、新たな枠組みにどこまで法的な拘束力を持たせるかなどをめぐって、先進国と途上国が激しく対立して議論が紛糾し、会期末の11日までに合意文書をまとめるのに難航が予想されています。

(b)ニュースの背景

・地球温暖化(global warming)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、地球の気温が高まり、自然や生活環境に各種の悪影響が生じる現象のことです。これに対応するためには、各種の温室効果ガスの排出削減(省エネルギーやフロンの削減など)、温室効果ガスを吸収する森林の保護や植林などが必要です。
・温室効果ガス(GHG=greenhouse gas)というのは、太陽の放射熱と同量の熱が地表から赤外線として宇宙に放射されることで大気の温度はバランスを保っていますが、この赤外線を一部吸収するガスのことです。二酸化炭素(CO2)、
メタン(CH4)、オゾン(O3)などがあり、これらの濃度が高まると気温が上がることになります。特に二酸化炭素は、石油などを燃やすと発生し、現在の巨大化・高度化した経済活動と密接な関係があります。

・京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)というのは、1997年に京都で行われた第3回国連気候変動枠組み条約の締約国会議のことで、COP3(Conference of the Parties)ともいいます。2005年発効し、現在191か国およびEU=欧州連合が締結しています。二酸化炭素、メタンなど6種の温室効果ガスを対象とし、2008年~2012年の間に先進国の締約国全体で1990年に比べて5%以上削減することを目標に、各国ごとの法的拘束力のある数値目標を定めました。(日本6%、アメリカ7%、EU=欧州連合8%など)。しかし、2001年アメリカが離脱し、日本とロシアも、京都議定書の第2約束期間(2013年~2020年)には、参加せず、中国やインドなど新興国や途上国は、削減義務がないことから、もともとの京都議定書は、骨抜きの状態になっています。

・国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC=Intergovernmental Panel on Climate Change)というのは、国連環境計画と世界気象機関が共催し、各国政府が参加している会合で、地球温暖化などについて報告書をだしており、それは、
最も信頼できる科学的情報とされています。
IPCCは、2014年11月地球温暖化をめぐる最新の研究成果をまとめた報告書を公表し、今のペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻な広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、
被害を軽減する適応策にも限界が生じると予測し、各国政府に迅速な対応を迫っています。
国連気候変動枠組み条約の第20回締約国会議(COP20)が、2014年12月ペルーで開かれ、各国が自主的に温室ガス削減目標を掲げることを基本に新しい枠組、み作りを目指す合意文書を採択し2015年パリで開かれるCOP21で合意を目指すことになっているのです。今回は、アメリカ、中国なども参加している会
議になったので、合意が期待されています。

(c)英語のニュース

A United Nations conference on climate change is now being held in Paris to try to work out a global agreement on curbing greenhouse gas emissions.
Delegates from 196 countries to the United Nations Framework Convention on Climate Change are attending the 12 day- conference, which will continue until December 11th. They are aiming at reaching a new framework that would obligate all nations to cut their greenhouse gas emissions from 2020.
The Paris conference is taking place amid the highest security against a backdrop of the deadly terrorist attacks in mid-November there.
At the summit, on the opening day – Monday- , attended by leaders from about 150 countries, French Premier Francois Hollande delivered a speech to open the Paris conference, saying that the fights against terrorism and global warming are two major global challenges that people have to face. He added that people must protect the planet from catastrophe.
U.S. President Barack Obama, in his remarks, acknowledged his country’s role in climate change as the world’s largest economy and second-largest carbon emitter, adding “We embrace our responsibility to do something about it”
Chinese Premier Xi Jinping, for his part, called for differences between developed and developing countries to be respected in combating climate change. He added that legitimate needs of developing countries to escape poverty and improve living standards should not be denied.
Japanese Prime Minister Shinzo Abe, in his remarks, said that Japan will extend 1.3 trillion yen or about 10.6 billion US dollars in 2020 to assist developing countries’ efforts to fight global warming, up from 1 trillion yen Japan now provides each year.

On Tuesday – the second day of the conference – working-level talks started discussions to try to work out a global agreement on curbing greenhouse gas emissions.
However, developed and developing countries remain divided on how to differentiate the responsibilities of implementing emissions-cutting measures.

(d)ニュースの比較研究

パリの国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議=COP21のニュースについては、日本のメディアは、1日目の首脳会合、2日目以降の実務者レベルの会合などを会議全体がわかるように報道していましたが、外国のメディアは、自国の代表の演説、途上国の主張、会場外でのデモなどを報道し、会議全体の内容を報道したものは少なかったように思います。これまでのCOPのニュースについても同様なことがいえると思います。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

フランスの『AFP(=Agence France Presse 』通信は、”Developing nations say cash row could scupper climate talks”(開発途上国の言明:金融支援問題が気候会議をダメにする可能性がある)という見出しで、”Developing countries warned Wednesday that UN talks in search of a climate –rescue pact risk foundering without finance commitments from rich nations. Negotiations under way of a high-profile conference outside Paris are deeply divided on the issue of aid to help developing nations make the costly shift away from climate-harming fossil fire and shore up defences against future harms. “The Paris outcome must provide clarity on the level of financial support that will be provided by developed country parties” the G77 and China group of 134 developing nations said in a statement to the 195-nation climate forum”
(開発途上国は、気候を改善する協定を探っている国連の会議は、先進国からの金融支援の約束がなければ、決裂の危機にあると警告した。パリの郊外でおこなわれている注目すべき会議における交渉は、開発途上国が気候を害する化石燃料から高い金を払って転換し、将来の害に対する防衛を強化するのを援助する問題をめぐって意見が鋭く分かれている。134か国の途上国の中のG77と中国のグループは、195か国の気候フォーラムへの声明の中で、「パリ会議の成果は、先進国によって与えられる金融支援のレベルに明確に依存している」と述べた)と報じました。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、”Obama ends Paris climate visit with spotlight on legacy”(オバマ大統領、遺産にスポットライトをあててパリの気候サミット訪問を終える)という見出しで、”President Barack Obama has long made clear he wants action on climate change to be part of his legacy and Tuesday in Paris he raised the stakes. A successful outcome to the United Nations climate talks will include a “legally binding” mechanism to ensure countries adhere to their carbon reduction commitments. Obama said at a press conference before heading back to Washington”(オバマ大統領は、自分の遺産の一部として気候変動について行動をおこしたいとずっといってきた。彼は、パリでそれをやったのだ。「国連の気候会議が成功する結果をだすのは、各国が、炭素削減の約束を順守することを確かなものにする”法的拘束“のあるメカニズムを含むことだろう」 オバマ大統領は、ワシントンに戻る前の記者会見でこのように語った)と報じました。
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