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390.国連の報告書、地球温暖化で警告ー2013.9.28 [国際ー国連]

(a)日本語のニュース

国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルが、地球の温暖化に関する報告書を公表し、地球温暖化は、人間の活動によって引き起こされた可能性が高く、世界各地で熱波や豪雨、竜巻などの極端な気象が頻発していると警告し、今世紀末には平均気温が最大4.8度に上昇すると予測しています。
世界の科学者で作っているIPCCは、27日、スウェーデンのストックホルムで開かれた会合で、最新の研究成果に基づく地球温暖化の現状と予測について報告書をまとめ、公表しました。
報告書は、CO2=二酸化炭素など温室効果ガスが「直近80万年で前例のない水準」にまで増えていると指摘し、95%以上の確率で人間の活動が気候変動を引き起こしていると分析し、世界各地での干ばつや豪雨、熱波、竜巻などの頻発は温暖化が原因とみられるという見解を明らかにしています。
そのうえで、報告書は、このまま対策が行われず、大気中の二酸化炭素の濃度が現在の2倍以上に上昇した場合、今世紀末には世界の平均気温は最大4.8度上昇すると予測し、世界各国に対策の強化を呼びかけています。

(b)ニュースの背景

地球の温暖化(global warming)というのは、CO2=二酸化炭素などの温室効果ガスの増加によって、地球の気温が高まり、自然や生活環境にさまざまな悪影響が生じる現象のことです。
温室効果ガス(greenhouse gas)というのは、太陽放射の熱と同量の熱が地表から赤外線として宇宙に放射されることで大気の温度はバランスを保っていますが、この赤外線を一部吸収してしまうガスのことで、CO2=二酸化炭素、CH4=メタン、O3=オゾン、代替フロン=HFCなどがあり、これらの濃度が高まると、気温が上がってしまいます。

気候変動枠組条約(the United Nations Framework Convention on Climate Change)というのは、地球温暖化防止条約ともいい、大気中の温室効果ガスの濃度の安定化をめざす条約で、1992年採択、1994年に発効しました。枠組みというのは、温室効果ガスの削減目標やルールを設定し、目標達成に参加する国・地域を定めています。新しい枠組みは、2015年までに採択し、2020年以降にスタートすることになっています。

京都議定書(Kyoto Protocol)というのは、国連気候変動枠組条約に基づいて、1997年京都で開かれた条約第3回締約国会議(COP 3  COP=Convention of Parties)で採択されたもので、先進国の二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を第1約束期間(2008~2012年)に先進国全体で1990年比年平均5%以上削減することなどを定めています(日本は6%削減)。2012年のカタールのドーハで開かれたCOP18では、京都議定書を延長し、第2約束期間を2013~2020年の8年間とすることで合意しています。第2約束期間に参加しているのは、EU=ヨーロッパ連合やノルウェー、スイスなどで、温室効果ガスの総排出量は、世界のおよそ15%です。日本やロシアなどは、アメリカや中国が参加していない議定書の効果を疑問視して参加していません。日本は、2020年以降の新しい枠組みができるまでは、自主的に目標を掲げて取り組むとしています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC=Intergovernmental Panel on Climate Change)というのは、国連環境計画と世界気象機関が共催し、各国政府が参加する会合のことで、1988年に初会合を開いています。温暖化メカニズム、温暖化の環境や社会経済への影響および温暖化対策のあり方の知見を整理した同パネルの報告者は、最も信頼できる科学的情報とされています。2007年に第4次報告書をだしており、今回は、6年ぶり第5次報告書になります。

地球温暖化対策をめぐっては、2012年で京都議定書の第1約束期間が終わり、目標達成が義務づけられた国際的な温暖化対策の取り組みは、事実上形骸化しており、2020年以降の新たな枠組みをめぐる協議は、先進国と中国やインドなどの新興国の対立で進んでいません。
日本は、2012年の東日本大震災の際の東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響で、温暖化の原因となっている温室効果ガスの削減目標を示すことができない状況が続いています。
政府内部でも11月に開かれるCOP19までに新たな削減目標を作るべきだとする環境省と現時点で目標を作るのは難しいとする経済産業省の間で、意見の対立が続いている状況です。

(c)英語ニュース

A United Nations panel on climate change has presented a summary of the latest assessment on global warming.
The summary was released in Stockholm by the IPCC, or the Intergovernmental Panel on Climate Change - an international body established by the United Nations in 1988.
The summary says that it's extremely likely that human activities have been the dominant cause of global warming.
It warns that concentrations of CO2 and other greenhouse gases in the atmosphere have increased to the levels that are unprecedented in at least 800,000 years.
It predicts that global temperatures are likely to rise by 0.3 to 4.8 degrees Centigrade by the end of this century depending on how much governments control carbon emissions.
The summary says that most aspects of climate change will continue for many centuries even if CO2 emissions are stopped.
It says that sea levels are expected to rise a further 26 - 82 centimeters by the end of this century.
The United Nations created the panel of climate researchers to tell world leaders what science is saying about global warming and how bad it will get. This is the panel's fifth report approved by nearly 200 nations at the end of a weeklong meeting in Stockholm.

(d)ニュースの比較研究

国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルが地球温暖化に関する報告書を公表したニュースについては、日本のメディアも外国のメディアも、重要なニュースなので、各社とも、環境問題に詳しい記者をストックホルムに派遣し、IPCCのブリーフイングを取材して書いた記事を報道していました。
代表的なメディアの報道を紹介しましょう。

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送は、"U.N. climate change report points blame at humans"(国連の気候変動の報告書、人類に責任があると指摘)という見出しで、"The world 's getting hotter, the sea's rising and thre's increasing evidence neither are naturally occurring phenomena.
So says a report from the U.N. International Panel on Climate Change, a document released every six years that is considered the benchmark on the topic""(世界は温暖化し、海面は上昇し、さまざまな現象は自然には起こっているものではない.。そう述べているのは、国連の気候変動に関する国際パネルの報告書で、気候変動に関する基準と考えられている6年ごとに公表している文書である)と報じました。(International → Intergovernmental)

オーストラリアの『ABC(=Australian Broadcasting Corporation)』放送は、"IPCC climate change report: Human role in global warming now even cleaarer"(IPCC=気候変動に関する政府間パネルの報告書:地球温暖化における人間の役割、今やより鮮明に)という見出しで、"The Intergovernmental Panel on Climate Change says there is a 95 per cent probability that humans are responsible for global warming"(政府間パネルは、人間が地球温暖化に責任があるということは95%の割合で可能性があると述べている)と報じました。



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