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314.アフリカ開発会議閉幕ー2013.6.3 [政治ー外交、国際ーアフリカ]

(a)日本語のニュース

横浜市で開かれていた第5回TICAD=アフリカ開発会議は、3日、インフラ整備など民間投資を原動力としてアフリカの成長を促す「横浜宣言」を採択し、閉幕しました。
TICADは、5年に1度日本で開かれていますが、今回の会議は、アフリカ54カ国のうち51カ国の首脳らが出席して、1日から3日間の日程で開かれ、最終日の3日採択した「横浜宣言」は、日本とアフリカ各国が協力して「アフリカの成長を加速させ、持続可能な開発を進め、貧困を削減する」という基本方針を示しています。
その実現のため、民間部門が主導する経済成長の促進、道路や送電網などのインフラ=社会基盤の整備、人材の育成を重点的に進めることを明記しています。
民間投資については、これを促進するため、投資環境や法制度、規則の枠組みを改善することをあげ、インフラ整備については、官民連携でエネルギー、運輸、水の3つに力を入れることをあげています。
「横浜宣言」は、アフリカの成長の前提として、テロ問題の解決など「平和と安定」を訴え、アフリカ自身の取り組みの重要性を強調しています。
TICADは、また、アフリカの農業分野での成長率6%の達成や2018年までのコメの生産量の倍増など、「横浜宣言」の方向性を具体化した「行動計画」もあわせて採択しました。

今回の会議の1日目の1日、安倍首相は、日本が、今後5年間で1兆4000億円のODA=政府開発援助を含む最大3兆2000億円の資金を官民合同で拠出する意向を表明しています。そのうち、交通や電力などインフラ整備には6500億円の円借款を供与する、現地の日本企業で働くことを前提とした産業人材3万人を育成するなどの方針を打ち出しています。

(b)ニュースの背景

アフリカ開発会議は、Tokyo International Conference on African Development の頭文字をとってTICADともいわれ、日本政府が主導するアフリカの開発を話し合う国際会議です。アフリカ連合(AU)委員会、
国連などと共催で、首脳級会合は、1993年から5年ごとに日本で開いています。今回の会議は、5回目で、アフリカ54カ国のうち51カ国が参加し、39カ国は首脳が出席しました。

今回の会議で、日本としては、これまでの日本政府によるアフリカへの開発援助から日本の民間企業によるアフリカへの投資の拡大に中心を移し、アフリカの最大の課題である雇用の創出の一環として、人材の育成などの支援を表明しました。
これは、現在アフリカでは各国に中国が大量に進出し、その影響力が大きい中で、日本としては、人材の育成などという得意分野で力を発揮したいためです。
現在、日本企業がアフリカに進出することによって、20万人の雇用を創出していますが、5年後に40万人に倍増させる目標を掲げています。これは、アフリカが各国とも資源輸出に依存し、人口急増で貧困の悪化が懸念され、若年層の失業率が高いことから、アフリカ側から地場産業の育成や雇用の拡大を支援するよう要請があったためで、同時に日本企業による資源開発やインフラ=社会資本の輸出につなげたい狙いがあります。

今回の会議でこれまでになく際立ったのが、TICADの開催地をアフリカでというアフリカの要求が高まったことです。アフリカが高い経済成長を続け、人口が拡大し将来性のある市場として注目され、自立の精神も強くなり、日本が「上からの目線」でいると見方がアフリカの中にもあり、特に中国が閣僚級の「中国アフリカ協力フォーラム」を2000年から始め、3年ごとに中国とアフリカで交互に開催していることから、日本がTICADのアフリカ開催の要請にどう応えるか注目されます。

(c)英語のニュース

Japanese and African leaders have agreed to strengthen private sector-led economic growth in Africa.
This was contained in a declaration issued in Yokohama on Monday at the end of the 3rd and final day session of the 5th Tokyo International Conference on African Development, or TICAD V.
The declaration says that Japanese and African leaders agreed to promote greater private investment and improve the investment climate and legal and regulatory frameworks. It emphasizes the importance of promoting infrastructure development in Africa.
The declaration says that Japanese and African leaders agreed to support human infrastructure through vocational and technical training to develop skills required for employment by the private sector.
Japanese and African leaders adopted an acion plan to meet the declaration's goals. The plan sets a target of 6-percent growth for Africa's agricultural sector and a doubling of its rice production by 2018.
At the opening session on Saturday, Japanese Prime Minister Shinzo Abe said that Japan will provide 1.4 trillion yen in official development assistance to Africa over the next 5 years. When combined with private-sector investment, he said, the funding will total up to 3.2 trillion yen.
Delegates from 51 of Africa's 54 countries attended the meeting, including heads of state and government

(d)ニュースの比較研究.

横浜で開かれた第5回アフリカ開発会議に関するニュースについては、日本のメディアの報道は、日本政府のブリーフィングに基づいた記事がほとんどで、アフリカからおよそ50カ国が参加したにも関わらず、アフリカサイドから見た視点は少なかったように思います。外国のメディアもこのニュースについてはあまり報道しませんでした。
ここでは、中国、アメリカ、イギリスのメディアの報道を紹介しましょう。

中国の『Xinhua(新華社)』通信は、"African countries vow to make voice heard in post-2015 development agenda"(アフリカ諸国、ポスト2015年開発議題に意見反映を誓う)という見出しで、"Delegates at the African development conference vowed Monday their efforts toward making African voice heard in the Post-2015 Development Agenda in the Japanese port city of Yokohama"
(日本の横浜市で開かれたアフリカ開発会議で、代表たちは、ポスト2015年の開発議題にアフリカの声を反映させるための努力を誓った)と報じました。

アメリカの『The Wall Street Journal』紙は、"Seeking to Match China Influence, Japan Boosts African Aid Pledge"(日本、中国の影響力に対抗しようとして、アフリカへの援助の約束を増やす)という見出しで、”Japan pledged an increase in aid to Africa over the next five years, a move, officials said, was in part designed to counter China's rising influence on the resource-rich continent"(日本は、これから5年間でアフリカへの援助を増額することを約束した。これは、政府関係者によると、部分的にだが、資源豊富なアフリカ大陸における中国の大きくなっている影響力に対抗するための動きだ)と報じました。

イギリスの『REUTERS』通信は、"Japan pledges $32 billion aid for Africa to boost investment"(日本、アフリカへ投資を増やすため、320億ドルの援助を約束)という見出しで、"Japan pledged African leaders a $32 billion in public and private support on Saturday to help growth on the continent and encourage Japanese firms to invest there over the next five years"(日本は、アフリカの指導者たちに320億ドルの政府および民間の支援を約束した。これは、アフリカの成長を支援し、日本の企業がこれから5年間にアフリカへの投資するように奨励するためだ)と報じました。また"Japan's direct investment in Africa was $460 million in 2011, compared with China's $3.17 billion, according to the Japan External Trade Organization and China's government data"(日本のジェトロ(日本貿易振興機構)と中国政府の統計によると、日本のアフリカへの直接投資は、2011年4億6000万ドルだったのに対して、中国は30億1700万ドルだった)と伝えました。









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